海藻の栄養で健康増進! うれしい効果と上手に食べる方法

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低カロリーでダイエット食としても人気の海藻。あまり意識していないという方でも、わかめのお味噌汁やおにぎりの海苔、ひじきの煮物、和食全般の昆布出汁など様々なところで遭遇しています。海藻は古くから日本人の食生活となじみ深く、健康を支えてきたのです。

食物繊維とミネラルが豊富で栄養たっぷりと言われる海藻類。

この記事では海藻の種類や栄養についてご紹介します。

    この記事でわかること

  • 海藻の色の違いって?
  • どんな栄養があるの?
  • 上手な食べ方って?
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海藻の種類

和食に欠かせない食材のひとつ、海藻。海藻は海中で育つ藻類のことで、地上の植物と同じように光合成を行っています。海面を通して注ぎ込む太陽の光と、海水に溶けている二酸化炭素を使って、自分に必要な栄養と酸素を作り出しています。種類は非常に多く、食用にできるものだけでも100種類以上あるとも言われています。

海藻は大きく3種類に分けられます。太陽の光が届く浅瀬に生えるのが「緑藻類」、そこから少し深いところに生えるのが「褐藻類」、さらに深いところに生えるのが「紅藻類」です。

海藻の種類

この色の違いは光合成色素の違いです。地上の植物では光合成をするためのアンテナとなる色素が主にクロロフィルなのに対し、藻類の場合は、緑色のクロロフィルに加えて、赤っぽく見える色素や、黄色~褐色に見える色素を持つものがあるため、そのバランスによって様々な色になります。海の色や深さによって差し込む太陽の光の色合いが変わるので、それを逃さず受け止めるようにできているんですね。

緑藻類(浅瀬にはえている緑色の海藻)

あおさ、あおのり、海ぶどう、ミル(海松)など。美しい緑色のものが多く、料理の彩りなどにも使われます。あおさはえびせんべいなどの表面にまぶしてあったりもしますね。

また、たこ焼きやお好み焼きなどのトッピングとしても人気です。お好み焼きなどにのせるものは一般に「あおのり」と言われますが、本物のあおのりは、実は今や高級品。多くはあおさを加工したものになっています。

緑藻類

海ぶどうは生で食べることが多く、独特の食感が好まれています。九州の南側から沖縄で採れるもので、少し前までは現地で消費されることが主でしたが、最近は流通技術の発達で全国に多く出回るようになりました。

褐藻類(褐色~赤褐色)

昆布、わかめ、ひじき、もずくなど。一番よく口にする海藻が褐藻類かもしれません。クロロフィルの他にフコキサンチンという色素を含んでいるため、褐色になります。ヒジキなどのように黒っぽい色をした海藻も多く、サイズが大きいのも特徴です。とくに昆布などは、北海道のように寒い地域ほど大型化すると言われています。

紅藻類(赤っぽい色をした海藻)

あまのり、とさかのり、ふのり、おごのりなど。海の深いところに生息する種類の海藻類です。クロロフィルの他に赤や青の色合いをもった成分が含まれており、緑・赤・青の3色が混ざり合うことで紅色に見えます。私たちになじみの深い「海苔」は生物学的に「あまのり」の種類が使われます。

海藻には栄養たっぷり

低カロリーで食物繊維が豊富なため、ダイエット食材としても人気です。食物繊維は水に溶ける性質の水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維に分けられますが、海藻に多く含まれているのは水溶性食物繊維です。その他にも、たんぱく質、鉄やカルシウム、マグネシウムなどのミネラル、ビタミンも豊富です。

アルギン酸

アルギン酸

海藻に含まれている水溶性食物繊維の一種です。アルギン酸は多糖類の一種であり、昆布、わかめ、ひじき、もずくなどの褐藻類に多く含まれています。アルギン酸には、血圧上昇を抑制する効果や、血中コレステロール値を下げる効果があるので生活習慣予防においても注目されている成分です。

昆布やわかめなどをさわった時に感じる「ぬめり」の成分がアルギン酸です。カリウムと結合してアルギン酸カリウムとなっていますが、体内にとりいれるとカリウムから離れて、ナトリウムを吸着して排出してくれます。このはたらきで、高血圧を予防してくれるのです。

成人は1日に20~25gの食物繊維を摂取することを推奨されていますが、ほとんどの人が不足しているといわれています。積極的に摂取していきたいですね。

フコイダン

フコイダンも「ぬめり」成分のひとつで、水溶性食物繊維です。悪玉コレステロールの排出を促したり、糖の吸収を抑えることで血糖値の上昇を抑えるはたらきがあり、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防に効果が期待できます。

フコイダンは海藻の表面を覆うことで、激しい潮の流れや外的刺激から海藻を守っている成分です。海中の微生物に食べられないようバリアの役目も果たしています。またこのネバネバ成分には免疫力を活性化させるはたらきや、抗アレルギー作用などもあると言われています。また、がん細胞を死滅させるはたらきがあることから、がん予防にも効果が期待されています。

カルシウム

わかめやひじきはカルシウムが豊富です。カルシウムは骨や歯を作るのに欠かせないミネラルで、体内にあるカルシウムの99%は骨と歯に存在しています。それ以外のごく一部は血液や筋肉、神経内にあり、骨量の維持や体のさまざまな機能を調整してくれます。体内に吸収されにくい栄養素なので、ビタミンDと一緒にとることで吸収率がアップします。

骨は、古くなった骨を溶かして壊すこと(骨吸収、骨破壊)と、新たに骨を作ること(骨形成)を繰り返して、新陳代謝を行っています。骨形成には十分なカルシウムが必要なため、長期的に不足すると骨吸収が骨形成を上回って骨密度が低下してしまい、骨粗しょう症へとつながります。

また、長期にわたってカルシウムが不足すると、骨や関節の異常だけではなく、高血圧や動脈硬化、糖尿病、免疫異常、認知障害など、さまざまな病気を引き起こす可能性も指摘されています。

マグネシウム

マグネシウムには、血圧を下げたり血栓をできにくくしたりする働きがあるため、脳梗塞や心筋梗塞の予防に効果的です。また、血糖値と脂質値を下げる効果もあるので、生活習慣病の予防にも期待ができます。マグネシウムはカルシウムと一緒に摂ることでお互いのはたらきを助け合うので、海藻と一緒にカルシウムの多い乳製品や豆類を食べると、より効果的です。ひじきの煮物に大豆を入れるのはとても理にかなっている調理法なんですね。

マグネシウム

ヨウ素

特に昆布に豊富に含まれる成分です。ヨウ素は甲状腺ホルモンの成分になるミネラルです。甲状腺の中にヨウ素が取り込まれ、甲状腺ホルモンを合成します。甲状腺ホルモンは、新陳代謝を促し、子どもの場合では成長ホルモンとともに成長を促進する働きをするため、ヨウ素が足りないとこれらの機能が低下します。また、甲状腺ホルモンは肌や髪に潤いを与えるはたらきがあるので、不足すると肌がカサつくなどの症状が出る原因にもなります。

ただし、日本人は昆布を食べる習慣があることと、ヨウ素の必要量はごくわずかのため、ヨウ素が欠乏することはほとんどないと言われています。逆に過剰摂取すると甲状腺機能を低下させてしまいますので、食べ過ぎには要注意です。もちろん、普通に食べる分には心配ありません。

海藻の栄養を上手に摂取したい!

せっかく栄養豊富な海藻を食べるなら、できるだけ吸収率が良い形で摂取したいですね。効果的な摂取のしかたをこちらにまとめました。

油と一緒に

海藻には皮膚や粘膜の健康を保つために重要な必要なβ-カロテンが含まれています。これはカロテノイドと呼ばれる天然色素のひとつです。強い抗酸化作用を持っていて、これが皮膚を健康に保つと言われています。β-カロテンは脂溶性なので、水に溶けず、油に溶ける性質があります。なので、油と一緒に食べることで吸収率がアップします。

炒め物に使う、和え物にごま油を少量加える、海藻サラダにはごま油やオリーブオイルなどのドレッシングを使うなど、油と一緒に食べることを意識してみてください。

酢と一緒に食べる

海藻には食物繊維が多く、それによって噛み応えがうまれて満足感を得られますが、わかめやもずくなどは酢と一緒に食べることで食物繊維がやわらかくなって、フコイダンなどの栄養素を取り込みやすくなります。また、酢に含まれているクエン酸は、体内に吸収されにくいカルシウムを吸収しやすい形に変えるはたらきもあるので、カルシウムの吸収率がアップします。

酢と一緒に食べる

海藻は酢の物にしたり、酢が入ったドレッシングを海藻サラダにかけるのがおすすめです。

食事の最初は海藻から

空腹時に、ご飯やパンなど糖質の多い食材から食べ始めると、血糖値が急激に上昇します。これは肥満の原因になるだけでなく、糖尿病や動脈硬化など生活習慣病のリスクとなってしまいます。

食物繊維が豊富に含まれている海藻は、血糖値の上昇をゆるやかにする効果が期待できるので、まずは海藻から食べ始めましょう。わかめのお味噌汁を最初に飲むのもいいですね。

血糖値の上昇を緩やかにするには、食物繊維→たんぱく質→炭水化物の順番で食べるのが効果的と言われています。

まとめ

日本人の食生活に深く根ざした海藻類をご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。低カロリーだから栄養もあまりないのでは? と思っていた方もいるかもしれません。でも、実は生活習慣病を予防してくれる成分も豊富で、不足しがちなカルシウムや食物繊維も補ってくれる優れもの。

酢の物や煮物、汁物などで、食卓に1品加えてみませんか?

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皆川 今日子
ライター
札幌在住。旅行誌を中心に、観光・グルメ系メディアにて執筆中。趣味は料理とゲーム。長年、掃除を苦手としていることで悩んでいたが、「掃除に必要な才能を生まれ持たなかった」と割り切ることで気が楽になった。