「大学いも」の由来は、大学生が好んで食べていたから説が有力! 誕生の背景を調べてみたら
揚げたサツマイモに甘~い蜜を絡めた素朴なおやつ、大学いも。デパ地下やスーパーをはじめ、最近は専門店もチラホラと見かけます。サツマイモと調味料があれば簡単に作れるので、子供のおやつとしても人気です。
日本人にとって馴染みの深い食べものですが、一度は「大学いもって、なぜ『大学』?」と気になったことはありませんか? ということで、名前の由来を調べてみました! おいしい豆知識もあわせてご紹介します♪
この記事のまとめ
- 名前の由来は諸説あるが、大学生人気説が有力
- 昭和初期の不況下で安価なスイーツとして誕生
- 作り方は中国料理が発祥のよう
- 地域によって形や蜜に違いがある
なぜ「大学」いもなのか? 諸説ある名前の由来
大学いもは、今からおよそ100年ほど前の昭和初期に関東地方で流行りだしたと言われています。ただ、名前の由来には諸説あり、断定できるものはないようです。
大学生に人気だったから説
一番有力とされているのが、大学生に人気があったからという説です。大正~昭和にかけて、学生が多い街(学生街)でよく食べられていたことから「大学いも」という名前が付けられたとされています。広辞苑にも大学いもの説明に一例として紹介されており、数ある説の中ではこの説が広く知られているところです。
ただし、学生街の候補が複数あり、東京の神田付近や早稲田大学がある高田馬場周辺など様々です。この中では「東大赤門前」ではないか?というのが有力のよう。
1940年頃まで東大の赤門前にあった「三河屋」という店で、揚げた芋に蜜をかけて売っていたものが人気となり、自然と広まったのではないかと考えられています。
大学生が売っていたから説
もうひとつ、大学生が関係した説があります。それは、大学生が大学いもを売っていたからという説です。学生が学費を稼ぐために、安く手に入るサツマイモと砂糖で簡単に作れるおやつを売っていたのではないかという話です。
昭和の初めは、大正におきた関東大震災などの影響で生活に困っていた人が多かった不況の時代。学費を払うのが大変だった学生も多かったようで、学費稼ぎをしていたというのも、なかなか現実味があります。
まだまだある「大学いも」の由来候補
「商品名に『大学』をつけるのが流行っていたから」という説があります。明治から大正にかけての流行だそうで、例えば今でも残っている「大学ノート」という呼び方は、この頃つけられたといわれています。
この他にも、“子供を大学に入れるのと同じぐらい手間がかかるから”という変わった説もあります。いずれも信憑性はあるのですが、決定的な証拠がないため、「諸説ある」としか言いようがありません。
大学いもという名称が浸透したのは、素朴な見た目やと味がなんとなくマッチしていたからかもしれません。
大学いもの作り方と歴史
名前の由来についてはどれも確証がないものでしたが、では、作り方は一体どこから来たのでしょうか。
作り方はいたって単純
乱切りにしたサツマイモを油で揚げた後、甘い蜜とゴマをかけるだけとシンプルです。おいしく作るためのコツは、次の通りです。
- サツマイモは揚げる前に水に浸してあく抜きをする → ふっくら仕上がる
- 中まで火を通すため、揚げる温度は160℃の低温で
- 蜜は揚がったサツマイモが熱いうちに絡める
蜜にはいくつか作り方があり、砂糖や水だけで作ることもあれば、しょう油やみりんを入れて甘じょっぱくすることも。砂糖のかわりに水あめやはちみつを使うのも一般的です。
三温糖を使うと、白砂糖にはない香ばしさが出せます。蜜を作るのが面倒、という場合は、市販の「大学いものたれ」を使ってもよいでしょう。
大学いもは中国料理をもとに作られた?
大学いもとそっくりな料理が、中国料理にもあります。「バースーバイシュー」や「ミーチエンホンユイ」という料理で、いずれも揚げたサツマイモに飴のような蜜をかけたものです。
明治の終わりごろ、中国料理を紹介する本にも書かれていたということで、大学いもの製法はこの中国料理がルーツと言われています。
現在の大学いもと作り方は一緒で、違いは黒ゴマをかけないことと、蜜が濃くて冷えるとしっかり固まる点くらいだそうです。
大学いもの「芋」知識
大学いもはとても単純な作り方ですが、だからこそ地域によって微妙な違いが生まれているようです。
地域で異なる大学いもの形や蜜
形状はおもに4つあり、関東では丸型・乱切り型・輪切り型が存在。関西では細長くカットしたスティック型が一般的なんだとか。また、東北や北海道の一部地域では、蜜の代わりに粉砂糖を雪のように振りかけたものも存在するそう。旅先で大学いもを見つけたら、ご自身の地元の大学いもと違いがあるか確かめてみるのも面白そうです。
関西では「中華ポテト」と呼ばれることも
関西では、大学いもは「中華ポテト」とも呼ばれています。もとは中華料理店で提供されていたものが、徐々に浸透していったのが名前の由来だそうです。
この地域の中華料理店には中国の山東省出身の料理人が多かったため、中国料理の「ミーチエンホンユイ」などの作り方がそのまま持ち込まれたと考えられています。
大学いもと「いもけんぴ」の違いは?
いもけんぴは土佐(高知)の名物です。サツマイモを揚げて蜜をかけるのは同じですが、形は細切りでとても固い仕上がりになっているのが特徴。今では手軽に食べられるお菓子としてスーパーやコンビニでよく見かけますね。
もともと高知には小麦粉で作った焼き菓子の「けんぴ」というものがあり、それと似ていることから名づけられたそうです。
ひと味違う、人気の大学いもレシピ
お店で買う大学いももおいしいですが、好きな形や蜜で作るオリジナル大学いもも人気があるようです。ここでは、お店では見られない一風変わった大学いもレシピをご紹介します。
油で揚げないお手軽大学いも
大学いもの作り方はとても単純といえど、油で揚げるのは片付けも含めて意外と手間がかかります。大学いもレシピを調べてみると、油で揚げない簡単でヘルシーなレシピが人気なようです。
作り方は、フライパンに薄く油をひき、そこに砂糖などの調味料を入れてサツマイモをその中でじっくり焼いていくというもの。使う油が少なくて済み、別に蜜を作る必要がないので、調理の手間も片付けの手間も減らせる一石三鳥のレシピです。
変わった蜜で大学いもを楽しむ
蜜を作るときは砂糖や水あめ、はちみつを使うことが一般的ですが、大学いも好きな人は蜜のバリエーションをさらに研究して楽しんでいるようです。
シナモンやキャラメルは、まるでポップコーンのフレーバーのようでおいしそうです。健康食品としても人気のココナッツは、独特の風味と甘さ控えめな仕上がりとなるようです。
スイートチリとパクチーで「タイ風大学いも」という変わり種までありました。蜜によって大学いもの可能性が広がりますね。
しょう油とみりんでおかず大学いも
大学いもはおやつか?おかずか?という論争がたまにありますが、今まで紹介してきた大学いもは、甘いおやつタイプの大学いもでした。ただ、しょう油とみりんをメインに味付けすることで、立派なおかず大学いもになりますよ。これを発展させて、豚肉と合わせて甘辛く炒めたレシピも紹介されていました。
サツマイモは食物繊維たっぷりで健康にも良いので、このように食事にも取り入れるのもいいかも!
大学いものリメイクレシピ
大学いもを作ったら、意外とボリュームがあるので食べきれない!ということも。
そんな時は、別の料理にアレンジしてみましょう。大学いもをつぶしてペースト状にすれば、あとは衣をつけて揚げればサツマイモコロッケ。バターを塗ってオーブンで焼いてスイートポテトに変身します。ワッフル生地に混ぜ込むというハイレベルなレシピも紹介されていました。
普通のサツマイモより既に甘めの味が付いてるので、そのままサツマイモを使うのとは違った味わいが楽しめそうです。
まとめ
手軽で素朴な味わいの「大学いも」。名前の由来は所説ありますが、いずれも“大学生”が関連していることは間違いなさそうです。また、各地で形状や味付けが異なるのも興味深いですね。