意外と知らないバターとマーガリンの違い! それぞれの成分や特徴を解説
朝食のトーストに欠かせないのが、バターとマーガリン。パンと相性が良く、クリーミーでおいしいスプレッドですが、2つの違いをご存知でしょうか。味の違いは分かりますが、何からできているか、成分はと聞かれると意識したことがないという人が多いはず。
この記事では、今さら聞けないバターとマーガリンの違いや歴史、健康への影響や料理での使い分けについて解説します。
バターとマーガリンは何が違うの?
見た目はそっくりなバターとマーガリンですが、使われている原料や作り方が異なります。ここでは、バターとマーガリンの違いや特徴、製造方法や歴史の違いを解説します。
バターとマーガリンの基準
バターは「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」、マーガリンは「日本農林規格(JAS規格)」により成分規格や製造方法などが定められています。 バターは乳脂肪分80%以上とされ、油脂含有率80%以上がマーガリンと区別されています。
バターの作り方と歴史
バターの原料は牛乳に含まれる乳脂肪分。バターになる前の牛乳は、乳脂肪分と水分が混ざりあっている状態です。牛乳を激しくかき混ぜる(撹拌する)ことで乳脂肪分と水分が分離します。この分離した乳脂肪に塩などを加えて固めたものがバターです。
バターの歴史は古く、紀元前2000年のインドにはすでに似たようなものがあったそうです。最初は医療用や化粧品として使われていましたが、食用として使われるようになったのは紀元前60年くらいからと言われています。
マーガリンの作り方と歴史
マーガリンの原料は主に植物からとれる油脂です。代表的なのは、コーン油、大豆油、なたね油、紅花油、パーム油など。料理で使うサラダ油と同じですね。これらの油はそのままだと液体ですが、ビタミンAや水分、乳成分、食塩などを混ぜ合わせて固めることで、マーガリンになります。
マーガリンが誕生したのは、1869年のフランス。戦争中にバターが欠乏したため、その代用品として化学者が発明したのが始まりでした。最初は牛乳と牛脂を混ぜて固め、バターに似せて作ったそうです。
バターとマーガリンの特徴
バターは「動物由来の油」、マーガリンは「植物由来の油」が主な原料になっています。この原料の違いによって、バターとマーガリンには次のような特徴の違いがあります。
バター | マーガリン | |
---|---|---|
味 | 牛乳のコクやクリーミーさがあり、風味豊か 塩味がきいている |
乳成分が少なく、軽くてあっさりした味わい |
溶けやすさ | 20℃前後で柔らかくなる | 10℃前後で柔らかくなる |
保存方法 | 冷蔵も冷凍も可能 香りを吸収しやすいので、匂い移りに注意 |
冷蔵保存のみ 冷凍は水分と油分が分離するのでNG |
値段 | 乳製品を使っているので、マーガリンより高め | バターより安いものが多い |
マーガリンが健康に良くないと言われる理由
マーガリンが健康に良くないというイメージがあるのは、20年ほど前に「マーガリンにはトランス脂肪酸が多く含まれている」という説が出たからだと考えられます。
トランス脂肪酸を取りすぎると、コレステロール値が増加し、動脈硬化などの原因になるといわれています。トランス脂肪酸が多く含まれる食品の代表として挙げられたのが、マーガリンでした。
ただ当時は、マーガリンはバターに比べトランス脂肪酸が多く含まれていたそうです。現在は製造方法も改良され、トランス脂肪酸の少ないマーガリンが販売されています。トランス脂肪酸の量は、バターは100gあたり約2gに対し、現在のマーガリンは100gあたり約1gとバターより少ないものが多いようです。
バターとマーガリンの栄養成分とカロリーについて
バターとマーガリンの栄養成分やカロリーはどうなっているでしょうか?また、栄養が含まれているからといって、たくさん摂取してもよいものなのでしょうか。
バターとマーガリンの栄養成分
バターは牛乳が原料なので、乳製品に多く含まれるビタミンAが豊富です。ビタミンAには肌や粘膜を健康に保ち、免疫力を高める効果があります。また、乳脂肪は油脂の中で最も吸収率が高く、栄養素を効率よく摂取できます。
マーガリンは、植物性油脂に多く含まれる必須脂肪酸(リノール酸、α‐リノレン酸など)という成分が豊富です。必須脂肪酸とは体内で作り出せない栄養素で、食物で摂取することが必要とされています。また、原料の植物によってビタミンEやビタミンKが豊富に含まれているので、抗酸化作用による老化防止、骨を丈夫に保つ効果があると言われています。
バター、マーガリンのカロリーの違い
バターといえば、気になるのはカロリー。マーガリンの方が「植物性」の油なので、カロリーは低いのでしょうか?
実はバターとマーガリンのカロリーはほぼ同じで、100gあたり約700kcalほど。100gあたりに含まれる脂質も、バター、マーガリンはともに80~85gとなっています。カロリーが気になる方は、マーガリンより脂質が少ないファットスプレッドを試してみてはいかがでしょうか。マーガリンより水分量が多く、カロリーは100gあたり580kcalほどで抑えられるそうです。
バターもマーガリンも、適度にとるのが吉
バターもマーガリンも栄養が含まれているとはいえ、摂りすぎはもちろん良くありません。脂質を摂りすぎると、悪玉コレステロールを増やし、逆に善玉コレステロールを減らしてしまうと言われています。これが肥満や動脈硬化などの原因になるようです。
バターを料理でよく使う方や、ケーキやクッキーなどお菓子が大好きな方は、適度なバランスを意識してみるとよいでしょう。
バターとマーガリンのかしこい使い分け
栄養豊富なバターとマーガリンは、使い過ぎに気を付けつつ、おいしく料理に取り入れたいですよね。ここでは、バターとマーガリンの味の特徴や使い分けをご紹介します。
バターは濃厚なコク、風味を生かそう
バターがもつ豊かな風味とコクは、洋食やお菓子作りには欠かせません。普段の料理でも、バター醤油にして炒めるだけで簡単にボリュームたっぷりのおかずが作れます。
また最近では、バターを作る際に乳酸菌を加えて発酵させる発酵バターも人気です。発酵させることでさらに深いコクと独特の酸味が味わえるので、バターの風味を生かしたお菓子作りに最適です。
マーガリンはあっさり風味が得意
マーガリンは、バターに比べてあっさりして軽い味わいが特徴で、合わせる食材の味を邪魔せず引き立てることができます。バターを使う料理でマーガリンを代用することもできます。バターのようなコクや風味は出ませんが、軽い食感に仕上げたいときにおすすめです。
冷蔵庫から出しても柔らかく、すぐにパンなどに塗って使えるのもマーガリンの長所と言えるでしょう。また、マーガリンより脂質の少ないファットスプレッドには、チョコレートや果物のなどの味付けをしたものもあります。用途に応じて様々な種類が選べますね。
バターと相性がいい料理
バター醤油炒め
バターとしょう油の香りが食欲をそそります。お肉や野菜の味にバターの風味とコクが加わることで、濃厚でボリュームたっぷりに仕上がります。お箸が止まりませんね!
北海道グルメ
味噌バターラーメンにじゃがバター、鮭のちゃんちゃん焼き、バターキャラメル…。酪農王国北海道のグルメには、バターが欠かせません。
特に味噌とバターの組み合わせは最高です!味噌独特の風味とバターのクリーミーさがお互いを引き立たせます。また、冬でも体がぽかぽか温まりますよ。
マーガリンと相性がいい料理
マーガリンと相性がいい料理をご紹介します。
サンドイッチ
冷蔵庫から出してすぐ使えるマーガリンは、トーストやサンドイッチに最適です。サンドイッチの場合、具材の水分をパンが吸ってしまうのを防ぐ役割もあります。マーガリンそのものの風味や味は強くないので、具材やパンの味をしっかりと堪能することができます。
クッキー
バターの代わりにマーガリンを使うことで、味だけでなく食感もサクサクと軽く仕上がります。バターの風味よりも、卵や小麦など他の食材の風味を引き立てたいときにもおすすめです。バターに比べて値段も安いので、代用品として使いやすいのも助かります。
まとめ
見た目がそっくりなマーガリンとバターは、原料の違いで味や栄養に違いがあります。どちらも栄養を適度に備え、料理をおいしく仕上げるために活躍する食材です。ただし、摂りすぎは肥満や生活習慣病の原因になるので注意しましょう。
濃厚なバターとあっさり味のマーガリン、バランスを意識しておいしく上手に使い分けましょう。