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ビーツってどんな野菜? 気になる栄養素やおいしい食べ方を調べてみた

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「食べる輸血」、「スーパーフード」とも言われるビーツ。どんな野菜かご存じですか? 真っ赤なスープが特徴的なボルシチの赤さはビーツの赤さです。見た目は真っ赤なカブのようで、生で食べるとやや土臭いような味がします。近年では北海道をはじめとする国内栽培のビーツもスーパーで見かけるようになりましたね。この記事ではビーツがどんな野菜なのかという知識と、その栄養価、食べ方についてご紹介します。

    この記事でわかること

  • ビーツとビート(てん菜)は別物!
  • ビーツはカブと大根の中間のような食感
  • 2018年から北海道でも盛んに栽培されている
  • 「食べる輸血」と言われるほど、栄養価が高い
  • 北海道ご当地ラーメン
  • スープカレー特集

ビーツとは

概要

ヒユ科フダンソウ属の根菜で、てんさい糖の原料となるテンサイ(甜菜)の仲間です。ショ糖を多く含むため、食べるとほんのりと甘みがあります。「テーブルビート」や「ガーデンビート」、「カエンサイ(火焔菜)」などの呼び名もあります。同じ仲間であるビートのほうが耳馴染みがあるかもしれませんが、こちらはテンサイの別名。カブと大根の中間のような白い野菜で、「砂糖大根」とも呼ばれます。

ビーツは一見すると赤カブに似ていますが、アブラナ科であるカブとは別の種類です。欧米、とくに東欧では一般的に食べられており、ロシア料理で有名なボルシチが代表的なビーツ料理です。

旬の時期

主にアメリカやオーストラリア、オランダ、ニュージーランドなどの海外で生産されていましたが、近年では北海道、茨城県、熊本県など国内で栽培されたビーツも出回るようになってきましたので、スーパーなどで国内産のビーツを時々見かけますね。

ビーツの旬は6~7月と11~12月ごろの2回。3月と8月の下旬に種蒔きをし、わずか2〜3ヶ月で収穫ができる野菜です。輸入物や缶詰などは通年出回っていますが、国内産のものを食べたいという方は、旬の時期を狙ってスーパーや野菜の直売所を覗いてみるといいかもしれません。

日本にはいつ来たの?

日本にはいつ来たの?

ビーツは地中海沿岸が原産と言われています。日本には江戸時代の初め頃に伝わり、江戸時代の「大和本草(やまとほんぞう)」という書物では、現在のビーツとよく似た特徴の「暹羅(シャムラ/シャムロ※現在のタイのこと)大根」が紹介されています。「暹羅大根.其種,暹羅より来る.京都にて近年隠元菜と云う。葉大に,根紅に,赤白の暈紋あり。うずのまいたるに似たりとて,うず大根とも云う.葉の心も紅し,味甘し.冬栄う」との記述がありますが、葉が大きく芯が赤く甘い、断面はうずを巻いているとのことで、まさにビーツのことですね。意外と古くから日本に伝わっていたようです。

北海道でもビーツ栽培が盛んに

2018年から、北海道でビーツの本格生産に向けた取り組みが開始されています。北海道では同じく生産が盛んなビート(砂糖大根)と区別するため、「レッドビート」と呼ばれています。ホクレンでは北海道産を使ったレトルトのボルシチを発売しました。また、北海道の老舗レストラン五島軒で、北海道産のレッドビートを使った本格的なボルシチも商品化されています。以前は、ビーツが手に入りにくかったため、ボルシチとして提供されるスープのいくつかはトマトで色を出していたこともありますが、北海道では本格的なボルシチが多くなってきています。とくに五島軒は、創始者がハリストス正教会でロシア料理を学んだという、函館の老舗洋食店。その本格的な味わいはぜひ試したいですね。

北海道でもビーツ栽培が盛んに

ホクレンではビーツの産地化に取り組んでいます。愛別町では生産組織が誕生し、新たな特産品作りとしての第一歩を踏み出しました。また、ホクレンと北海道大学との連携協定の一環として、江別市での栽培もスタートしています。近いうちに、「ビーツと言えば北海道」として、北海道産ビーツが全国のスーパーに並ぶかもしれません。食の宝庫・北海道に特産品がまたひとつ増えそうです。

ビーツは栄養価の高いパワーフード

皮の色が濃い野菜は、皮をむくと淡い色が出てくるものが多いですが、ビーツは皮をむくと、さらに濃い色が出てきます。真っ赤な血液の色を連想させることから、「食べる輸血」とも称されています。色はもちろんですが、その栄養価にも期待です!

カリウム

血圧を調節したり、細胞の代謝や神経・筋肉の働きに関わる重要な栄養素がカリウムです。塩分をとり過ぎると血中にナトリウムが増え、高血圧を引き起こす可能性が高くなりますが、カリウムはそのナトリウムを排出して正常な血圧を保つ効果があります。カリウムが不足すると食欲不振や倦怠(けんたい)感、むくみを招く原因になります。

食物繊維・オリゴ糖

どちらも腸内の健康維持に役立ちます。食物繊維は悪玉菌の生産物を排出させ、オリゴ糖は善玉菌を増やして悪玉菌を減少させます。野菜不足、食物繊維不足になりがちな現代の食生活では、積極的にとりたい野菜です。

ベタシアニン

ビーツの鮮やかな赤い色は、ポリフェノールの一種であるベタシアニンによるものです。ポリフェノールにはすぐれた抗酸化作用があり、老化や病気の原因になるといわれている体の中の活性酸素を取り除く働きがあります。ひとくちにポリフェノールと言っても5000種類以上あると言われていますが、そのポリフェノールの中でもトップクラスに抗酸化作用が高いと言われているのがこのベタシアニンです。ベタシアニンはピンクの食べ物に含まれるとされていますが、代表的なものはドラゴンフルーツと、このビーツ。病気予防やアンチエイジング、美容・美肌に効果的なポリフェノールの中でもとりわけ強い抗酸化作用を持つベタシアニンを、ぜひ食生活に取り入れましょう。

ベタイン

ベタインはアミノ酸の一種で、別名「トリメチルグリシン(TMG)」とも言います。体内で増えすぎると悪さをするタンパク質「ホモシステイン」がありますが、これは動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞の原因となるほか、筋肉をつけるホルモンの効果を減少させると考えられています。が、ベタインはこのホモシステインを減らす働きがあります。また、体内で筋肉のエネルギー源となるクレアチンの働きを高め、成長ホルモンを増加させるなどの効果もあり、筋トレをする方の中にはベタインのサプリメントを摂取する方もいるとか。

また、肝機能改善の効果や、美肌効果も期待されているそう。実際、刺激性の少ないアミノ酸誘導体として、化粧水や美容液など様々なスキンケアアイテムに配合されています。

ビタミンB6・葉酸

ビタミンB6は、たんぱく質(アミノ酸)の代謝や神経ホルモンの代謝に必要な栄養素です。皮膚炎を予防することから発見されたビタミンなので、健康な肌を維持するために大切な栄要素と言えるでしょう。ビタミンB6、葉酸ともに、マルチビタミン系のサプリメントに配合されていることからも、その健康効果は期待大です。

基本的な食べ方

生でも、ゆでても

生でも、ゆでても

皮を厚めにむいて、薄くカットしてください。生で食べる場合は、白地に赤い渦巻き模様の「渦巻きビーツ」がアクが少なくて食べやすいかもしれません。シャキシャキとした食感で、サラダなどに使うと見た目にも華やかなです。

ゆでる場合は、特徴的な赤い色とその豊富な栄養を保つために皮のままゆでるのがおすすめです。水に酢やレモン汁を少量入れると、赤い色がいっそう鮮やかになります。ゆで上がりの目安は竹串を刺してみて、スッと通るくらい。ゆでたものをスムージーにするのもいいですね。

ビーツの色素は衣服に着くと非常に落ちにくいです。まな板などにも色が付いてしまうので、牛乳パックやオーブンシートを敷いて調理するといいかもしれません。

保存方法

保存方法は多くの根菜類と同じで、新聞紙やビニール袋などに入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。根の栄養が葉の成長に使われてしまうので根と葉の部分は分けて保存しましょう。生のままなら、根は1週間、葉の部分は2日ほどを目安に食べきるのがおすすめです。冷凍保存する場合は、加熱したビーツの粗熱を取って食べやすいサイズにカットし、冷凍用保存袋に入れて冷凍します。解凍後は崩れやすいので、スープやスムージーなどに使うのがおすすめです。

ビーツを使ったおすすめ料理

ビーツを使ったおすすめ料理

代表的なものはボルシチやサラダですが、それ以外にもビーツは食卓に彩りを添えてくれます。一番シンプルなものは、皮ごとホイルで包んでオーブンでじっくりと焼くホイル焼き。これはビーツのほっくりとした食感と甘さを楽しめます。フルーツや牛乳、ヨーグルトなどと合わせてミキサーにかければ、華やかな色と豊富な栄養をまるごと楽しめるスムージーにも! 玉ネギなどの野菜とビーツをバターで炒めて調味し、ミキサーにかければポタージュになります。ビーツとじゃがいもを茹でて一緒につぶせば、いつもとは違う彩りのポテトサラダとしても楽しめます。そのほか、ピクルスやきんぴら、コロッケなどにも使用できます。スーパーフードとも言われるビーツ、食卓に上手に取り入れていきましょう!

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皆川 今日子
ライター
札幌在住。旅行誌を中心に、観光・グルメ系メディアにて執筆中。趣味は料理とゲーム。長年、掃除を苦手としていることで悩んでいたが、「掃除に必要な才能を生まれ持たなかった」と割り切ることで気が楽になった。