2020年に開業した白老町にあるウポポイの魅力(アイヌ文化の復興・創造・発展)

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北海道にはさまざまな観光地がありますが、2020年に新しいスポットができたことをご存知ですか? 新名所として注目されているのが、白老町にオープンしたアイヌ文化と触れ合えるミュージアムスポット「ウポポイ」です。

この記事ではウポポイの魅力や見所、営業時間やアクセス方法などの他に、ウポポイのある白老町についても紹介。「ウポポイに行ってみたい」「白老町って他に何があるの?」という人はぜひ参考にしてみてください。

この記事のまとめ

  • 2020年白老町に民族共生象徴空間・ウポポイがオープン
  • ウポポイはアイヌ語で「(おおぜいで)歌う」という意味
  • アイヌ文化の復興・創造・発展を目的に作られた施設
  • 白老町には星野リゾートやブランド牛などの魅力がたくさん
  • 北海道ご当地ラーメン
  • スープカレー特集

ウポポイとは

ウポポイとは

北海道は先住民としてアイヌ民族が暮らし、独自の文化が発展していたことを知っている人は多いでしょう。しかし、アイヌ文化は今深刻な消滅の危機を迎えており、積極的な復興や発展が国を挙げて支援されています。

アイヌ文化の復興支援のひとつとして行われた施策が、北海道・白老町に設立されたウポポイ(民族共生象徴空間)の開業です。

ウポポイの意味

ウポポイとはアイヌ語で「(おおぜいで)歌う」という意味です。民族共生象徴空間の愛称として一般公募により決定しました。

ウポポイの目的

ウポポイの目的

ウポポイは民族共生象徴空間として以下の目的で作られた施設です。

  • アイヌ文化の展示・調査研究
  • アイヌ文化の伝承・人材育成
  • アイヌ文化との体験交流
  • アイヌ文化の情報発信
  • アイヌ文化の精神尊重(慰霊)
  • 公園施設

アイヌ文化と触れ合い、学び、文化や民族を尊重する目的を担っているのがウポポイ。共生していくための象徴施設という訳です。

ウポポイのPRキャラクター

ウポポイのPRキャラクターは「トゥレッポん」。オオウバユリという植物の女の子です。
トゥレッポんの名前の由来は、オオウバユリを表す「トゥレプ」に、小さいものを指す「ポ」からつけられています。

両手にはトゥレプアカムというオオウバユリから作る保存食とトゥレプの茎を持ち、お腹を空かせた人にはトゥレプアカムを分けてあげるそうです。

ウポポイの基本情報

ウポポイの基本情報

続いては、入場料金、営業時間、アクセス方法などウポポイの基本情報を紹介します。

入場料金

ウポポイの入場料金は以下のとおりです(2022年3月現在)。

一般料金

大人 1,200円
高校生 600円

団体料金

大人 960円
高校生 480円
中学生以下(一般・団体) 無料

この他、体験プログラムによっては別途料金が必要な場合もあります。特に民族工芸の作成体験などは別途料金が必要なので参加したいプログラムの情報を事前に調べておくのがおすすめです。

営業時間

ウポポイの営業時間は以下のとおりです。

2024年4月1日~4月26日 9:00~18:00
2024年4月27日~5月6日 9:00~20:00
2024年5月7日~7月19日 9:00~18:00
2024年7月20日~8月31日 9:00~20:00
2024年9月1日~9月13日 9:00~18:00
2024年9月14日~9月16日 9:00~20:00
2024年9月17日~9月20日 9:00~18:00
2024年9月21日~9月23日 9:00~20:00
2024年9月24日~10月31日 9:00~18:00
2024年11月1日~2025年3月31日 9:00~17:00

期間によって営業時間が異なるため、事前に確認しておくのがおすすめです。
あわせて休園日についても紹介します。

休園日 月曜および12月29日~1月3日、3月1日~10日
※月曜が祝日または休日の場合は翌日以降の平日に閉園
※但し4月30日、7月8日、8月13日、9月17日、2月10日は開園

土曜・日曜・祝日にに行われる夜間営業では、夜にしか見られない体験プログラムなども実施されるようです。見たいプログラムに合わせて来園日を決めてみてもよいかもしれませんね。

アクセス方法

ウポポイは北海道の道東にある白老町にあります。

住所 〒059-0902
北海道白老郡白老町若草町2丁目3 【map

飛行機・車・電車、それぞれのアクセス方法を紹介します。

飛行機のアクセス方法

最寄りの空港:新千歳空港

  • 東京 → 新千歳空港 約1時間40分
  • 大阪 → 新千歳空港 約2時間

車のアクセス方法

最寄りのIC:白老IC

  • 新千歳空港ICから高速道路で約40分
  • 札幌北ICから高速道路で約65分
  • 旭川鷹栖ICから高速道路で約2時間20分
  • 大沼公園ICから高速道路で約2時間50分

電車のアクセス方法

最寄り駅:JR白老駅

  • JR新千歳空港駅から特急列車で約40分
  • JR札幌駅から特急列車で約65分
  • JR旭川駅から特急列車で約2時間30分
  • JR函館駅から特急列車で約3時間

ウポポイが作られた背景とは

アイヌ文化のナショナルステーションとなるウポポイですが、国を挙げて設立されたのにはさまざまな理由があります。続いては、アイヌ文化や消滅の危機に陥っている理由も踏まえて、ウポポイが作られることになった背景をみていきましょう。

歴史から消されかけたアイヌの文化

歴史から消されかけたアイヌの文化

ウポポイはアイヌ文化の復興や発展を目的として作られていますが、そもそも消滅の危機に陥ったのには理由があります

昔、北海道は蝦夷地(エゾチ)と呼ばれ、アイヌ民族が栄える独自の文化を形成した土地でした。しかし、明治時代に行われた同化政策により、蝦夷地を北海道と改名し日本に取り込むためアイヌ文化を規制する動きが強まったのです。

同化政策によってアイヌ文化が受けたダメージは大変深刻なものでした。ひとつの文化を失ってしまうという過ちを繰り返さないためにも、国を挙げて消滅危機にあるアイヌ文化保護への取り組みが行われています。

アイヌ文化が注目を集めている

アイヌ文化が注目を集めている

学校教育ではアイヌ文化について学ぶ機会がありますが、「北海道にアイヌ民族がいた」程度のものです。多くの人は日常生活の中でアイヌ文化に触れることがありません。アイヌ文化が消滅の危機を迎える背景には、アイヌ文化への興味・感心が薄まってしまったことも理由のひとつに挙げられるでしょう。

しかし、近年アイヌ文化を題材にした漫画や小説などが大ヒットしています。累計1,200万部以上売れている漫画「ゴールデンカムイ」や、直木賞受賞小説「熱源」など、多くの人々がアイヌ文化を知るきっかけになっています。

アイヌ文化への興味や感心が高まっている今だからこそ、アイヌについて学ぶことができる場所が求められているのかもしれません。

ウポポイができるまで

同化政策によるアイヌ文化の規制は1984年「北海道旧土人保護法」が制定されるまで続きました。その後、1997年にアイヌ文化の普及・啓発を目的として「アイヌ文化振興法(アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律)」が公布されました。これをきっかけに、国を挙げてアイヌ文化の保護と発展を行う風潮に変化し始めます。

2007年には国連総会で先住民族の権利に関する国連宣言が採択され、日本では2008年にアイヌ民族を先住民族とすることを求める決議が行われました。もちろん、全会一致で採択されています。

2009年にアイヌ政策の在り方に関する有識者懇談会において、民族共生の象徴となる空間の設立・整備が提言されました。これがウポポイができるきっかけとなります。

コロナ禍により、幾度かオープン延期せざるを得ない状況を乗り越え、2020年に開業を迎えました。

ウポポイのメイン施設と見所

民族共生象徴空間の意味やアイヌの歴史などを知り、興味を持ったものの「ウポポイって結局何があるところなの?」と思う人も少なくないでしょう。

続いては、ウポポイにある施設やそれぞれの見所について紹介していきます。

国立アイヌ博物館

国立アイヌ博物館

ウポポイのメイン施設の1つである国立アイヌ博物館は、日本初のアイヌ文化を主題とした国立博物館です。

シアターや交流室、ミュージアムショップ、ライブラリの他、パノラミックロビー、基本展示室、特別展示室などがあります。

メイン展示室は、「イタㇰ(アイヌの言語)」「イノミ(世界観)」「ウレㇱパ(生活)」「ウパㇱク(歴史)」「ネㇷ゚キ(仕事)」「ウコアㇷ゚カㇱ(交流)」のブースに分かれており、リアルなアイヌ文化の展示を楽しめます。

博物館の中では案内表示にも注目してみてください。アイヌ語の表示看板の下に日本語訳がついており、アイヌ語と触れ合う機会が多くあります。総合案内は「アスㇽコㇿウシ」というそうです。身近な言葉がアイヌ語で何と言うのか分かると、思わず声に出して言ってみたくなりますね。

ミュージアムショップではトゥレッポんグッズやアイヌの民族工芸品を買うこともできます。

国立民族共生公園

国立民族共生公園

ポロト湖沿いに広がる国立民族共生公園には、屋外ステージや体験学習館、工房、コタンなどがあり、雄大な自然をのんびりと感じることもできます。

屋外ステージでは、古式舞踏の公園や体験プログラムなども行われます。屋外でしか見れないアイヌ文化に触れてみてはいかがでしょう。

また、漫画「ゴールデンカムイ」などでアイヌ文化に興味を持った人は、アイヌ民族の伝統的な家屋「コタン」を訪れてみるのがおすすめです。漫画で度々見られるコタンに実際に入ることができます。

広い公園で少し疲れてきたら、エントランス棟にあるレストランやカフェを利用してみるのもよいでしょう。アイヌに由来した食材や調理方法を用いた料理を楽しむことができ、食を通してアイヌ文化に触れることができます。

慰霊施設

ポロト湖を一望できる東側の高台には慰霊碑があります。この慰霊碑について「誰のもの?」と思う人も多いでしょう。

実は、明治から昭和にかけてアイヌ民族の調査という名目で多くの遺骨が掘り返されました。2,000体以上の遺骨が掘り返され、各地の大学など研究施設で保管されています。

これらのアイヌの人々に対して、納骨や伝統的な慰霊儀式を行う場として慰霊施設が設けられました。過去の過ちを忘れないため、アイヌ民族への敬意を持つためにも、ウポポイを訪れた際には慰霊施設にも足を運んでみてください。

ウポポイがある白老町について

北海道内なら日帰りでも行ける距離ですが、他府県からウポポイに行くとなると宿泊場所も確保したいところです。最後に、ウポポイがある白老町の観光スポットや特産品、宿泊施設を紹介していきます。

白老町の観光スポット

アヨロ海岸

白老町には豊かな自然があり、約4万年前火山の噴火によってできたクッタラ湖や、美しいアヨロ海岸などがあります。

白老町には温泉が湧いており、虎杖浜温泉は化粧水いらずな美肌の湯として有名です。

また、白老町は多くの競走馬を輩出しているため、競馬好きな人には広く知られている町です。歴戦の名馬達がのんびり余生を過ごしているところを見ることができます。

白老町の特産品

白老町は美食の町としても有名です。ブランド牛である白老牛や、贈答品としても人気が高い虎杖浜たらこ、椎茸や毛ガニ、ホッキ貝などの水揚げ量が多いことでも知られています。

「星野リゾート界 ポロト」がある

星野リゾート界 ポロト

白老町には2022年、北海道初の星野リゾート界がオープンしました。星野リゾート界は、リゾート施設として有名な星野リゾートの中でも和をコンセプトにした施設です。

界ポロトは和とアイヌが融合した施設が多く、至る所にアイヌ文化が取り入れられています。アイヌの建築的特徴を持った施設や、装飾としてアイヌ模様が使われている場所もあります。

まとめ

北海道・白老町の新名所ウポポイについて紹介してきました。アイヌ文化に触れ合うことができるウポポイでは、私達の日常には無い新鮮な体験や気付きが多くあるでしょう。

また、ウポポイがある白老町は自然豊かで海や山の幸を楽しめる素敵な町。旅行として訪れるのにもぴったりです。ぜひ一度、白老町のウポポイを訪れてみてはいかがでしょうか。

PREZO編集部
PREZO編集部
美味しいものに目がない。食べ歩きやお取り寄せ大好きなPREZOのスタッフが、地域の魅力や商品にまつわるストーリー、北海道の豆知識など、とっておきの情報を発信!