アスパラガスの旬はいつ?栄養や保存方法、選び方を解説
炒めものやフリッター、スープやサラダとしても好まれるアスパラガス。近年ハウス栽培が広まり、年中スーパーなどで見かけるようになってきました。しかし、旬のアスパラガスは別格の美味しさだということをご存知でしょうか。
この記事ではアスパラガスについて徹底解説します。グリーンアスパラとホワイトアスパラの違いや旬、美味しいアスパラガスの選び方、栄養、調理方法なども紹介。ぜひアスパラガスの魅力を知り、旬の味を楽しむ参考にしてみてください。
この記事のまとめ
- アスパラガスにはグリーンアスパラガスとホワイトアスパラガスがある
- アスパラギン酸はアスパラガスから発見された栄養素
- アスパラガスの国内最大生産地は北海道
- 北海道産アスパラの旬は4月下旬~6月中旬
アスパラガスってどんな野菜?
緑色の茎状で、スーパーなどでは20cm程にカットされて並んでいるアスパラガス。どのような野菜なのかご存知でしょうか。
まずは、アスパラガスについて詳しく見てみましょう。
アスパラガスとは
アスパラガスはユリ科の野菜です。私達が食べている部分は新芽で、成長すると草丈が1.5m程になり広く葉を茂らせます。
アスパラガスとは英名で、和名は「オランダキジカクシ」。成長したアスパラガスの葉が、雉(きじ)を隠してしまう程広がるため名付けられたという説があります。
アスパラガスの種類
アスパラガスと言えば緑色をイメージする人がいる一方、白いアスパラガスを見かけたことがあるという人もいるでしょう。
緑色のグリーンアスパラガスと白色のホワイトアスパラガスには栽培方法や味、栄養などに違いがあります。
グリーンアスパラガスの特徴
グリーンアスパラガスは、新芽に日光を当てて栽培したものです。日光に当たることで葉緑体が作られ、鮮やかな緑色になります。
ホワイトアスパラガスに比べると、シャキシャキとした歯ごたえが強く栄養価が高いのが特徴です。
ホワイトアスパラガスの特徴
ホワイトアスパラガスは軟白栽培という方法で、日光を遮って育てたものです。日光を遮られているため葉緑体を持たず真っ白な見た目をしています。
グリーンアスパラガスに比べると、柔らかく甘みが強いのが特徴です。全体的な栄養価はグリーンアスパラガスに劣りますが、サポニンという成分はホワイトアスパラガスに多く含まれています。
紫色のアスパラガスもある
近年、新たな品種として紫色のアスパラガスも栽培され始めています。パープルアスパラガスと呼ばれ、鮮やかな紫色をしており、アントシアニンという栄養成分を含んでいるのが特徴です。
しかし、栽培にコストがかかり生産量が少ないため、一般的には流通が少なく滅多に見られません。グリーンアスパラガスに比べると柔らかく甘みが強い品種で、高級アスパラガスとしてレストランや百貨店向けに流通しています。
アスパラガスから発見されたアスパラギン酸
アスパラガスにはさまざまな栄養が含まれており、その中でもアスパラギン酸はアスパラガスから発見された栄養分です。名前もアスパラガスにちなんで付けられたと言われています。
アミノ酸の一種であるアスパラギン酸。アミノ酸関連物質ということ以外、未解明な部分も多い栄養素ですが、適切に接種することで人体にさまざまな良い影響を与えてくれます。
アスパラガスの生産地
アスパラガスは、本来涼しい気候での栽培が適しています。しかし、一方で耐暑性も強いため、日本国内であれば殆どの地域で栽培可能です。
日本で最も収穫量が多いのは北海道。収穫量だけでなく出荷量も全国1位で、収穫期間が短いにも関わらず他の都道府県より圧倒的に多くのアスパラガスを出荷しています。続いて佐賀、熊本など九州でも栽培が盛んです。
アスパラガスの旬の時期とは
アスパラガスは春から夏にかけて多く市場に出回る野菜ですが、旬の時期は生産地や栽培方法によって異なります。
続いてはアスパラガスが一番美味しい旬の時期について見ていきましょう。
【春野菜として流通】北海道産は4月下旬~6月中旬
北海道産のアスパラガスは4月下旬から6月中旬頃です。中でも、ハウス栽培のものは収穫時期が早く4月下旬から5月頃、霜地栽培のものは5月中旬から6月頃が旬と言われています。
出荷し始めのものは特に甘みが強いため、4月下旬に流通しているハウス栽培のものや5月中旬の霜地栽培のものを味わってみてください。
旬の時期はグリーンアスパラガスもホワイトアスパラガスも同じですが、ホワイトアスパラガスが最も美味しいのは4月下旬から5月中旬頃です。この時期のホワイトアスパラガスは特に甘みが強く、見た目もややピンクがかって鮮やかな色をしていますよ。
【夏野菜としても流通】佐賀産や長野産など北海道以外の地域は夏も旬
北海道以外にも九州や本州の各地でアスパラガスは生産されています。本州で最も生産量が多いのは長野県。4月下旬から9月頃まで収穫できるそうです。また、九州で最も生産量が多い佐賀ではさらに収穫時期が長く、1~10月までと言われています。
九州のように収穫期間が長くなると、アスパラガスの味わいも時期によって変わります。佐賀県では、1~6月中旬は甘みと柔らかさが特徴的な春芽が、6月中旬~10月下旬まではシャキシャキ食感が特徴の夏芽を出荷しているそうです。
アスパラガスに含まれる5つの栄養
アスパラガスは栄養豊富な野菜として広く知られていますが、具体的にどのような栄養素が含まれているのかご存知ですか?
続いては、アスパラガスに含まれる栄養の中から特に注目すべき5つの成分を紹介します。
1.アスパラギン酸
アスパラガスから発見されたアミノ酸の一種であるアスパラギン酸は疲労回復や滋養強壮などに効果が期待できる栄養素です。
アスパラギン酸には新陳代謝を高める働きがあるため、ダイエットなど痩せやすい体作りをしたいという人にもぴったり。利尿作用により、カリウムを始めとするミネラルなどの排出効果もあるため、むくみ防止が期待できます。
2.ルチン
ポリフェノールの一種であるルチンには、血管を強くする働きがあります。高血圧、動脈硬化、脳卒中、心臓疾患の予防などにも効果があると言われており、血管の働きが良くなると体内のエネルギー代謝も高まることでしょう。
また、抗酸化作用を持つビタミンCはルチンと一緒に摂取することで吸収率を高めることができます。ビタミンCはアンチエイジングや認知症予防にも効果が高いと言われているため、ビタミンCを多く含む食べ物とアスパラガスを一緒に食べるのがおすすめですよ。
3.βカロテン
ニンジンなどに多く含まれることで有名なβカロテンは、アスパラガスにも多く含まれています。βカロテンはビタミンAの生成に欠かせない栄養素です。
ビタミンAは強い抗酸化作用を持っています。抗酸化作用により活性酸素を排出すると、癌や糖尿病など病気の予防だけでなく、シミやシワの予防など高い美容効果も期待できます。
4.葉酸
妊婦に必要と言われる成分の葉酸も、アスパラガスには多く含まれています。葉酸は胎児の細胞分裂に必要な栄養素で、特に妊娠初期の妊婦には積極的な摂取が推奨されています。
また、妊婦に限らず葉酸には赤血球を作る働きがあるため、貧血予防にも効果が期待できる栄養です。
5.サポニン
ホワイトアスパラガスに特に多く含まれているサポニン。免疫力を高める効果が期待できるので、風邪を引きにくい体作りにおすすめの栄養です。
アスパラガスは部位によって栄養の含有量が違う
たくさんの栄養を持つアスパラガスですが、実は穂先やはかまなど特に栄養が豊富なポイントがあります。それぞれにどのような栄養が豊富なのか知り、ぜひ積極的に食べるようにしてみてください。
穂先
アスパラガスの先端にある穂先にはアスパラギン酸やルチン、ビタミン類などの栄養が特に豊富に含まれています。栄養豊富な上に柔らかく食べやすい部分でもあるため、積極的に食べるのがおすすめです。
はかま
はかまとは、アスパラガスの茎についている三角に盛り上がった部分です。ピーラーなどで取り除かれがちなはかまですが、アスパラプチン(高血圧の予防効果が期待できる)という栄養が豊富に含まれています。
やや硬さを感じやすい部分ですが、栄養をしっかり取り入れたいのであれば取り除かずに食べてください。
美味しいアスパラガスを選ぶポイント
旬の時期になると、スーパーなどでもアスパラガスが並ぶようになります。多くのアスパラガスの中から特に美味しいものを選びたい時は、以下のポイントに注目して選んでみてください。
- 濃い緑色をしている
- 艶やかで全体に光沢がある
- 茎が太い
- 穂先が尖っている
- はかまが正三角形に近い形をしている
- 根本部分の断面が瑞々しい
ホワイトアスパラガスの場合は、ややピンクがかっているものを選ぶのがおすすめです。
アスパラガスの調理方法
アスパラガスは適切に調理することで、より美味しく味わうことができます。下ごしらえや加熱方法など、ポイントを抑えて美味しく調理しましょう。
下ごしらえのやり方
アスパラガスを美味しく食べるためには下ごしらえが重要です。
- 根元の切り口から1.5cm程の部分を切り落とす
- 皮をピーラーでむく
根元の硬い部分や皮を取り除くことで、食感がよくなります。ただし、はかまには栄養が多く含まれているので、少々筋っぽくなっても構わない場合には皮を剥かずに食べるのがおすすめです。
蒸し方
温野菜として食べる場合には蒸すのがおすすめです。アスパラガスの甘みを感じやすく、栄養を余すことなく取ることができますよ。
- アスパラガスを3等分程の大きさにカットする
- 耐熱皿に入れ小さじ1弱の水を入れる
- ラップをして600wのレンジで1分30秒~2分程加熱する
アスパラガスの切り方や電子レンジの性能によって加熱時間は多少変わります。茎部分にフォークを刺してみて、硬いようであれば加熱時間を追加してみてください。
茹で方
肉巻きやサラダにする場合は、一度茹でて火を通しておくと良いでしょう。
- 鍋にお湯を沸かす
- カットしていないアスパラガスを入れる
- 中火で2分程茹でる
- ザルに上げて水にさらす
最後に水にさらすことで、より鮮やかな緑色に仕上がります。茹でる時はカットせず1本丸ごと茹でることで、栄養分の流出を最小限に抑えることができますよ。
アスパラガスの保存方法
アスパラガスは大変鮮度の落ちやすい野菜です。できる限り早めに食べるのが良いですが、難しい場合には適切な方法で鮮度や美味しさを保ちながら保存しましょう。
冷蔵保存する場合
冷蔵で保存する場合は、キッチンペーパーや新聞紙などで包みポリ袋に入れて保存します。なるべく空気を抜いて密閉しておくのがポイントです。
アスパラガスはカットされた状態でも成長しようとするため、横向きをして保存していると上に伸びようとエネルギーを使ってしまい味や風味が落ちます。保存する時は立てて保存することで、エネルギー消費を抑え美味しい状態を保ちやすくなります。
保存後は2~3日を目安に食べきるようにしてください。
冷凍保存する場合
茹でて冷凍する場合、皮は取り除いておくのがおすすめです。茹でる時はお湯に塩を加えて茹で時間をやや短めにしておきましょう。(およそ1分程度)茹で上がったら水にさらして水分をしっかりと拭き取った後、使いやすい大きさにカットしてラップで包み、冷凍保存袋で密封して冷凍保存します。
茹で処理をしておくと、スープや炒めものなどに凍ったまま投入して食べることができますよ。
アスパラガスは食べ過ぎに注意
どれだけ栄養豊富なものでも、必要以上に食べ過ぎると体に悪影響を与えてしまうものです。アスパラガスに含まれるアスパラギン酸も、摂取過多に注意したい栄養のひとつ。
アスパラギン酸には利尿作用があるため、過剰摂取すると体内に必要なミネラルまで排出してしまいます。また、アスパラガスはプリン体を含むため、過剰に摂取すると痛風や尿道結石を引き起こす可能性があります。
アスパラギン酸の持つ利尿作用も、アスパラガスに含まれるプリン体も1日数本程度の摂取であれば特に問題はありません。1日20本以上など、極端な過剰摂取にならないよう注意しましょう。
まとめ
春から夏にかけて市場に流通するアスパラガス。国内最大生産地である北海道産のアスパラガスは春野菜として、九州や本州で栽培されているものは夏野菜としても流通していることが分かりました。
栄養豊富で体にもさまざまな効果が期待できるアスパラガスを、適切に調理して美味しく味わってみてくださいね。