小女子の読み方や正体は一体なに!? しらすとは違うの?
春先にスーパーや鮮魚店で見かける、しらすによく似た小魚「小女子」。初めて見たという人はまず、読み方に疑問を感じることでしょう。
魚好きには一目置かれる絶品の小女子。その読み方や特徴、旬の時期、しらすとの違いやおいしい食べ方を詳しく紹介。魅力を知れば、きっと食べたくなるはず!
この記事のまとめ
- 小女子の読み方は「こうなご」「こおなご」
- 小女子はイカナゴの稚魚
- 小女子としらすは違う種類の魚
- 小女子は冷蔵・冷凍保存が可能
そもそも小女子って何?
小女子とは、スズキ目イカナゴ科の小魚のこと。
体長1cm~2cmほどで、大きな瞳と透き通るような銀色の魚体が特徴的な魚です。まずは、小女子の読み方や名前の由来、生態などについて紹介していきます。
小女子の読み方
小女子の正しい読み方は「こうなご」。地域によっては「こおなご」と読むこともあるそうです。初めて漢字を見た人の中には「こじょし」と読んでしまう人も少なくありません。
名前の由来
小女子の名前の由来にはいくつかの説がありますが、今回は中でも特に有名な2つの由来を紹介しましょう。
1つ目の由来は、「小さな女の子のようだから小女子」というもの。真ん丸で大きい目や、透き通った綺麗な姿が小さな女の子のように可愛らしいからという理由で「小女子」という字が使われたという説があります。
2つ目の由来は聞き間違いから生まれたというもの。初めて小女子を目にした殿様が「その魚はなんという名前なのか」と尋ね「如何なる魚の子(何かの魚の子)」と答えたものと「こうなご」と聞き間違えて定着してしまったという説があります。
小女子はイカナゴの稚魚
あまり耳馴染みのない小女子ですが、実は私たちのよく知る魚の稚魚であることをご存知でしょうか?
小女子は、イカナゴ(玉筋魚)の稚魚です。イカナゴは、体長10cm~20cmほどの砂泥底に生息する魚。日本近海に広く棲息しているため地方によって様々な呼び方をされており、小女子の数あるイカナゴの呼び名のひとつです。
小女子は地域によって呼び方が違う!?
イカナゴの稚魚である小女子は、地方や大きさによってさまざまな呼び名が使われています。
小女子と呼ぶのはおもに関東以北の地域。関西では「新子(しんこ)」という呼び名で広く知られています。
また、成長すると呼び名が変わり、北海道や東北では「大女子(おおなご)」「女郎人(めろうど)」、関西以南では「古背(ふるせ)」「加末須古(かますご)」「金釘(かなぎ)」などと呼ばれることもあるそうです。
小女子の生息地
小女子は日本各地に生息していますが、住処である砂泥低が減少していることで水揚げ量も年々減少傾向にあります。現在では、主な水揚げ地は北海道。次いで、兵庫県や福井県などでも水揚げされています。
小女子の味
小魚である小女子ですが、その味は濃厚で魚好きからは一目置かれる存在。旬の時期の脂がのった小女子は、豊潤な魚の旨味と軽い口あたりから、生で味わうのがおすすめなのだそう。
煮干しなどにしても他の小魚より旨味や香りを強く残しやすく、生としても加工品としても優秀なんです。
小女子が旬を迎える時期
イカナゴは冬から春先にかけて産卵を行うため、小女子の旬は3月~5月位と言われています。イカナゴは1年ほどで体長が10cmほどに成長してしまうため、小女子として食べられるのは僅かな期間だけ。
生食で試してみたいという人は、小女子の旬である3月~5月に水揚げ地を訪れるのが間違いないでしょう。
しらすと小女子はまったく違う
小女子とよく似た身近な小魚に、しらすがあります。しらすの方が一般的に知られており、食べたことがあるという人も多いでしょう。見た目はよく似ていますが、小女子としらすはまったく違う種類の魚です。
小女子がイカナゴの稚魚であるのに対して、しらすはマイワシやカタクチイワシ、ウルメイワシをはじめとしたイワシの稚魚。小女子とは種類が異なる魚なのです。
その違いは見た目からも見分けることができ、口先の形が違います。小女子は口先が尖り気味で、しらすは口先が短く丸みがあります。また、生の状態だとしらすの方が透明感が強いのも見分けるポイントのひとつです。
小女子に含まれる豊富な栄養素とは
小魚には栄養が豊富に含まれているとされ、子どものオヤツなどにも推奨されています。小女子も同様で、水揚げが盛んな地域では、子どものおやつだけでなく、酒のあてやお茶請けに使われることもあるそう。
小女子にはカルシウム、リン、亜鉛、ビタミンなどが多く含まれています。カルシウムやリンは、体や骨の成長や育成を担う大切な栄養素。さらに亜鉛には基礎代謝向上や免疫力を上げる働きがあり、小女子に含まれるビタミンB12は貧血予防などにも効果が期待できます。
絶品! 小女子の美味しい食べ方
旬の時期なら、生で食べるのがおすすめ。しかしながら、傷みやすいため、さまざまな方法で調理して食べるのが一般的です。ここからは、特におすすめの小女子の食べ方を紹介していきます。
おむすび
シンプルに素材の味を楽しむなら、断然おむすびがおすすめ! 乾燥させた小女子をフライパンで5分ほど軽く炒ります。この時、お好みで醤油をサッと鍋肌に振りかけても香ばしさが増しておいしいくいただけます。粗熱が取れたら、ボウルで熱々のご飯と炒った小女子をさっくり混ぜ合わせて、軽くにぎれば小女子おむすびの出来上がり。小女子自体に味があるので、お塩はなしか控えめが良いでしょう。
卵とじ
脂乗りが良く、噛むとジュワっと魚の旨味が弾ける小女子は卵とじにするのがおすすめ。フライパンひとつでできる簡単料理ですが、少量の醤油とみりんで甘辛く味付けした卵で小女子をとじると、磯の香りが食欲をそそる絶品料理に大変身します。
佃煮(くぎ煮)
砂糖、酒、みりん、醤油で甘辛く煮詰める佃煮(くぎ煮)は保存も効き、小魚との相性が抜群。常備菜としてストックしておけば、副菜や酒のツマミとしても大活躍します。
小女子クルミ
小女子クルミは、小女子の代表的な食べ方のひとつ。小女子とクルミをあえた佃煮のようなもので、箸休めにもおすすめの料理です。
ちりめん小女子
普段からよく耳にする「ちりめんじゃこ」。これは、しらすをよく乾燥させたもののことを言います。一方、小女子をよく乾燥させたものを「ちりめん小女子」と呼び、生とは違った凝縮された魚の旨味が特徴の加工品です。
そのまま食べても、大根おろしと少量の醤油をプラスして食べてもおいしい小女子のちりめん。お酒のツマミにしたいという人におすすめです。
小女子のかき揚げ
小女子を使ったかき揚げは磯の風味とほのかな塩気に、箸が止まらなくなる一品。たまねぎやじゃがいもなどと一緒に、からりと揚げれば、魚の旨みが広がるサクサクのかき揚げに。ご飯のお供としてもハズレがない食べ方です。
小女子を上手に保存する方法
小女子はとても傷みやすいため、購入して食べるまでの間は適切な方法で保存しておくことが大切です。小女子の保存方法について紹介します。
冷蔵保存の場合
釜揚げやちりめんは、密閉容器に入れて冷蔵庫で保存。容器から取り出す時には、清潔なスプーンなどを使い賞味期限を保存目安として管理しましょう。
冷凍保存の場合
小女子は冷凍での保存が可能です。ただし、一度解凍すると再冷凍での保存はできません。使いやすいよう最初に小分けして、密封状態で冷凍保存しておくと良いでしょう。
冷凍の場合は3週間~4週間の保存が可能。凍ったまま調理すれば解凍の手間も省けるので楽ちんです。
まとめ
春先に旬を迎える小女子。季節の素材を扱う料理店などでは、春になるとお品書きに「小女子」の文字を見つけることも。お店などで戸惑わないよう読み方もしっかりチェックしておきましょう。
現在は主に北海道で水揚げされているため、生小女子を食べたいという人は、現地に足を向けてみてはいかがでしょう。また、自宅に居ながら小女子を食べてみたいという人は、お取り寄せもおすすめ。濃厚で味わい深く栄養も豊富な小女子をぜひ味わってみて下さいね。