緑茶の効果は健康や美容にも!効能や種類・淹れ方による違いも解説

日本人が古くから好んで飲んできた緑茶。飲むと何だかホッとする気持ちになるという人も少なくないのではないでしょうか。
実は、緑茶を飲んでホッとするのはある成分による効果です。緑茶にはさまざまな成分が含まれ、これまで何となく感じていた「緑茶を飲むと〇〇が良くなる」という経験に、化学的な証明がされ始めています。
この記事では、緑茶を飲む事で期待できる効果・効能について詳しく解説します。合わせて、緑茶の種類や淹れ方による抽出成分の違いや美味しい緑茶の淹れ方、緑茶を飲み過ぎた場合のデメリットについても解説します。ぜひ、参考にしてみてください。
緑茶に含まれる主な成分

緑茶とはチャノキの葉を加熱処理した茶葉に、お湯を注いで抽出した飲み物です。日本では平安時代頃から飲まれていたと考えられています。
日本で古くから飲まれている緑茶には、さまざまな成分が含まれており、昔の人が「お茶を飲むとこう感じる」と思った経験に化学的な根拠があることが分かってきました。
緑茶の効果を引き出している成分には以下のようなものがあります。
タンニン
タンニンはポリフェノールの一種です。さまざまな植物に含まれており、緑茶以外にも赤ワインやコーヒーなどにも含まれる成分です。
タンニンは苦味や渋みを感じさせる成分で、緑茶特有の風味にも関係しています。
カフェイン
カフェインは植物由来の成分であり、アルカロイドの一種です。コーヒーや紅茶に多く含まれており、苦味の元となっている成分でもあります。
多くの緑茶はコーヒーや紅茶に比べればカフェイン含有量は多くありませんが、玉露のように緑茶のなかにはコーヒーや紅茶を大きく上回るカフェインを含んでいるものもあります。
カテキン

カテキンはフラボノイドの一種ですが、構造上ポリフェノールも含むため、ポリフェノールの効果を持つ成分として扱われることも多いです。酸化することでタンニンに変わります。
カテキンにはさまざまな効果があり、特に緑茶を含むお茶に含まれるカテキンは「茶カテキン」として、健康への効果が認められています。
テアニン
テアニンはアミノ酸の一種です。緑茶の原料であるチャノキをはじめとする限られた植物にしか含まれていない成分で、上級の緑茶に多く含まれています。
テアニンは旨味に影響する成分であり、紫外線に晒されることで渋みのもととなるタンニンに変質します。そのため、紫外線を遮って作られた緑茶はテアニンがタンニンに変質することなく残り、旨味や甘みが強く、渋みが抑えられた味わいになります。
ミネラル
緑茶にはさまざまなミネラルが含まれており、代表的なものには以下の成分があります。
カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、ナトリウム
ビタミン
緑茶には、ビタミンも含まれています。緑茶に含まれるビタミンとして代表的なものには以下の成分があります。
ビタミンA(βカロテン)、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンK
緑茶を飲むことで期待できる効果・効能

緑茶にはさまざまな成分が含まれており、これらの成分によって多様な効果が期待できます。続いては、緑茶を飲むことで期待できる効果・効能について詳しく解説します。
ダイエット効果
緑茶に含まれているカテキンには、体脂肪の減少作用があることが分かっています。
カテキンは脂肪を分解、消費する酵素を活性化する働きをもつため、緑茶からカテキンを摂ることで脂肪の燃焼が促進されるでしょう。
特に、糖質や脂肪分の多い食事と緑茶を一緒に摂ることで、ダイエット効果が期待できます。
生活習慣病の予防効果
緑茶に含まれるカテキンには、血糖値や血中コレステロールの上昇を防ぐ効果が期待できます。
生活習慣病とは、食習慣や運動習慣など、生活習慣の問題によって発症・進行しやすい病気を指します。特に、血糖値や血中コレステロールの上昇によって負荷がかかりつづけると、心疾患や脳血管疾患などのリスクが上昇してしまうこともあるでしょう。
緑茶を飲むことで、血糖値、血圧、血中コレステロールなどが抑えられれば、生活習慣病の予防や改善効果が期待できます。
血圧を下げる効果

カテキンには、血圧を下げる効果も期待できます。また、緑茶にはカリウムをはじめとしたミネラルも含まれているため、体内の塩分を排出する作用も期待できます。
ある研究によって、カテキンによる血圧の降圧効果についての臨床実験が行われており、その効果は立証されています。ただし、効果の程はそれほど大きなものではなく、カテキンの濃度によっても変化すると考えられています。
老化を防ぐ効果
緑茶に含まれるカテキンやビタミンCなどの成分には、抗酸化作用が期待できます。これらの抗酸化作用によって、血管や肌などさまざまな器官の老化を防ぐことに繋がるでしょう。
リラックス効果
緑茶に含まれるテアニンには、セロトニンやドーパミンなどホルモンの生成を助ける働きがあります。緑茶を飲むことで、これらのホルモンが生成されると、多幸感が得られ心身ともにリラックスした状態を保つ効果が期待できるでしょう。
緑茶を飲むとホッとするのは、テアニンが影響していると考えられます。
風邪やインフルエンザの予防効果

カテキンには強い殺菌効果があると言われています。そのため、緑茶を飲んだり緑茶でうがいをしたりすることで、体内に侵入しようとしているウイルスや細菌を防ぐ効果が期待できます。
また、カテキンには免疫細胞を活性化させる働きがあるため、体内に入った細菌やウイルスから体を守ることにも繋がるでしょう。
虫歯の予防効果
緑茶には、歯の健康を守るために効果的なフッ化物(フッ素)が含まれています。特に、茶葉そのものに多くのフッ化物が含まれており、緑茶として抽出したお茶にも他の食品と比べて多くのフッ化物が浸出していると言われています。
フッ化物には、歯を酸から守る働きがあるため、虫歯の予防に効果が期待できます。また、カテキンによる抗菌効果によって、歯周病を予防する効果も期待できるため、歯の健康を保ちたい人には緑茶がおすすめです。
緑茶の種類によって違う効果が期待できる

緑茶にはチャノキの生育方法や茶葉の処理方法によってさまざまな種類があります。チャノキの育成方法や茶葉の処理方法によっては、抽出される成分にも違いがでるため、お茶の種類によって期待できる効果が異なることもあるでしょう。
抹茶の効果
抹茶は、紫外線を遮った状態で育成したチャノキの葉を揉まずに乾燥させ、微粉状に製造したものです。一般的な緑茶はお湯を注刺で茶葉から成分を抽出するのに比べ、抹茶は茶葉そのものに湯を加えて攪拌して飲むため、多くの成分が得られます。
特に、茶葉に含まれるビタミンEはお湯を注いでも抽出されにくい成分です。抹茶として飲むことで、緑茶では抽出しきれないビタミンEまでたっぷり摂ることができます。
玉露の効果
玉露とは、紫外線を遮って育てたチャノキの新芽から作る緑茶です。緑茶のもつ爽やかな香りや甘みを感じやすく高級茶として扱われています。
玉露にはテアニンが豊富に含まれているのが特徴です。テアニンは紫外線によってカテキンに変化してしまうため、紫外線を遮って育成した茶葉から作る玉露には、他の緑茶より多くのテアニンが含まれます。
テアニンはリラックス効果が期待できるため、心も体もしっかりと癒したい時には玉露を飲むのがおすすめです。
緑茶を飲むデメリットはある?

緑茶にはさまざまな成分が含まれていますが、なかには飲む人にとってデメリットとなる効果もあることが分かっています。
タンニンが鉄分の吸収を妨げるリスクがある
緑茶に含まれるタンニンには、鉄分の吸収を妨げる効果があると言われています。そのため、食事前や食事中、食後直ぐのタイミングでタンニン濃度の高い緑茶を飲むと、鉄分の吸収が阻害されてしまう可能性があるでしょう。
食後は1~2時間空けて、鉄分が十分に吸収されてから緑茶を飲むのがおすすめです。
過剰摂取による肝機能障害のリスクがある
健康に良い効果が期待できる緑茶ですが、過剰摂取による肝機能障害のリスク上昇に注意が必要です。特に、緑茶に含まれるカテキンなどのサプリを過剰摂取した人に、肝機能障害が引き起こされた例も報告されています。
緑茶にして飲む分には、適量であれば抗ウイルス性などによって肝炎の予防効果も期待できますが、くれぐれも飲みすぎには注意しましょう。
カフェインの過剰摂取

緑茶に含まれるカフェインには、覚醒効果が期待できる一方、摂り過ぎてしまうとめまい、興奮、不安感などの中毒症状がみられる可能性があります。
一般的な緑茶(煎茶)は、お茶100mlあたり20g程度のカフェイン濃度と言われています。コーヒーの場合は100mlあたり60mg、紅茶の場合は100mlあたり30g程です。
健康な成人の場合、1日のカフェイン摂取量は上限約400mgを目安にするのがよいと言われているため、適量であれば緑茶によるカフェインの過剰摂取はそこまで気にする必要はないでしょう。
しかし、同じ緑茶であっても抹茶70mlに含まれるカフェインは48mg、玉露には60mlあたり160mgが含まれています。緑茶の種類によっては、カフェインの過剰摂取に繋がるリスクがある点については注意が必要です。
シュウ酸による腎臓へのリスク
シュウ酸はえぐみや灰汁などのもととなる成分で、適量であれば体内のカルシウムと結合して便として排出されます。しかし、過剰に摂取したシュウ酸が体内に蓄積されると尿路結石や腎不全などを引き起こす可能性があります。
緑茶に含まれるシュウ酸はそれ程多くありませんが、1日のうちに何杯も飲んでいると他の野菜などから摂取したシュウ酸も加えて腎臓へ負担をかけてしまう可能性があるでしょう。1日のうちに何杯も緑茶を飲んでいる人は、適量に抑えたりカルシウムを含む食品を積極的に摂るなどの対策が重要です。
緑茶の栄養を引き出す淹れ方

緑茶を淹れる際、少し工夫することでさまざまな成分を多く引き出すことができます。基本的な緑茶の淹れ方と合わせて、栄養を引き出す緑茶の淹れ方を紹介します。
基本の緑茶の淹れ方
緑茶のなかでも一般家庭で広く親しまれている煎茶(せんちゃ)の淹れ方を紹介します。最初に、急須に2~3g程度の茶葉を入れましょう。80度前後のお湯を80ml注ぎ、約1分間蒸らすのがおすすめです。
緑茶は数人分を一緒に淹れる際、一煎目のお茶を全ての湯飲みに同量ずつになるように注ぎます。二煎目、三煎目でそれぞれの湯飲みに緑茶を足していきますが、一煎目と違って茶葉は開いています。お湯の温度を高くし、蒸らし時間を短くしてお茶を淹れていきましょう。
茶葉の種類によって適切なお湯の温度や蒸らす時間は異なりますが、基本的な緑茶の淹れ方として覚えておいてください。
カテキンを引き出すお茶の淹れ方
緑茶を淹れる際に、茶葉からカテキンをしっかり抽出したい場合は、80度以上のお湯を使うのがポイントです。カテキンは高温のお湯に溶け出す性質があるため、温度が高めのお湯を使って緑茶を淹れるとよいでしょう。
高温で緑茶を淹れた場合、苦味が抽出されやすくなるため、蒸らす時間を短めにしてカテキンを抽出しながらも美味しい緑茶を淹れられるように調整してください。
テアニンを引き出すお茶の淹れ方
カテキンとは反対にテアニンは温度の低いお湯に溶けやすい性質があります。そのため、テアニンをしっかり抽出したい場合は、50度前後のぬるめのお湯でお茶を淹れるのがおすすめです。温度が低くてもじっくりと長めに蒸らせば、香り高く美味しい緑茶が淹れられます。
緑茶の効果は茶殻にも!おすすめの活用法

緑茶を飲むことで期待できる効果について紹介してきましたが、実は緑茶を淹れた後に残る茶殻にも多種多様な成分が残っています。最後に茶殻に残った成分を有効活用する方法を紹介します。
【殺菌効果】掃除に使う
茶殻には豊富なカテキンが残っています。茶殻を出汁パック用の袋などに入れて掃除に使うと、殺菌・抗菌作用が期待できるでしょう。
洗剤などで油汚れを落としたシンクや排水溝付近を、茶殻入りパックで磨いておけばカビや雑菌の増殖を防ぐ効果が期待できます。
【消臭効果】消臭剤に使う

茶殻に残るカテキンには消臭効果が期待できます。
新聞紙の上などに茶殻を広げてよく乾燥させましょう。不織布の袋などに入れて冷蔵庫や下駄箱など臭いの気になりやすい場所に置いておくと、臭いが気になりにくくなります。
しっかり乾燥させなければ消臭効果は期待できないため、自然乾燥した後にフライパンなどで、軽く炒って使うのもおすすめです。
【リラックス効果】入浴剤に使う
緑茶を淹れた際に香る特有の香りは「青葉アルコール」という成分によるものです。青葉アルコールには疲労やストレスを軽減する効果が期待されます。
茶殻を不織布の袋などに入れてお風呂に浮かべておくと、お風呂のお湯で香りがたち、青葉アルコールによるリラックス効果が期待できます。
まとめ
緑茶に含まれる成分や期待できる効果・効能について紹介してきました。緑茶にはカテキンやテアニン、タンニンなどさまざまな成分が含まれており、心身の健康を保つ効果が期待できます。
もちろん、極端な飲みすぎはよくありませんが、普段飲んでいる飲み物を適量の緑茶に置き換えることで、免疫力の向上やダイエット効果、虫歯予防などさまざまな効能を得られるかもしれません。
ぜひ、今回紹介した緑茶の効果を引き出す淹れ方なども参考に、美味しく健康になれる緑茶を飲んでみてください。