玉ねぎの栄養と効果がすごい!調理法によって変わる栄養成分についても解説
一年を通して食べられる野菜「玉ねぎ」。玉ねぎは食物繊維やビタミン、カリウムなどが豊富に含まれているほか、玉ねぎ特有の栄養成分も多く含まれている栄養価の高い食品です。日々の食事で玉ねぎを取り入れることで、疲労回復やむくみ解消など、さまざまな健康効果が期待できます。
こちらの記事では、玉ねぎの主な栄養から効果・効能、調理法による栄養成分の変化、1日の目安の摂取量などを解説しています。栄養を効率よく摂取する方法も解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事でわかること
- 玉ねぎの辛みは硫化アリルという成分が原因
- 硫化アリルは血液をサラサラにしてくれる
- 加熱すると硫化アリルが減少するが、甘みが増す
- 水にさらすとケルセチンが減少するが、辛みが抑えられる
- 冷凍保存しても栄養成分はほとんど失われない
玉ねぎに含まれる主な栄養素
玉ねぎには以下のような優れた栄養素(栄養成分)が含まれています。
玉ねぎの栄養素
- 硫化アリル
- ケルセチン
- オリゴ糖
- パントテン酸
- ビタミンB群、ビタミンC
- 食物繊維
- カリウム
ここからは、それぞれの栄養素について詳しく解説します。
①硫化アリル|血液をサラサラにする
玉ねぎに含まれる硫化アリルは、玉ねぎ特有の刺激臭や辛みをもつ成分です。血液をサラサラにする効果(抗血栓作用)のほか、血糖値やコレステロール値を下げるはたらきがあるなど、健康面に優れた効果が期待できます。さらに、ビタミンB1の吸収を助け、疲労回復や食欲増進にもつながります。
一方で、加熱に弱いという特徴があるため、硫化アリルを摂取する際は、玉ねぎを生の状態で食べるのが効率的です。ただし、硫化アリルは水に溶けやすいため、玉ねぎを切った後は水にさらさず、空気に触れさせて食べるのがポイントです。
②ケルセチン|強力な抗酸化作用をもつ
ケルセチンは強力な抗酸化作用をもつポリフェノールの一種です。抗酸化作用とは、「活性酸素」とよばれる人間の細胞を傷つける物質を除去し、体内の酸化ストレスを軽減する働きがあります。さらに、ケルセチンは血管をしなやかに保つため、動脈硬化の予防、コレステロール値や血圧の上昇も抑える効果があると報告されています。また、ケルセチンは玉ねぎの皮の近くに多く含まれていることが特徴で、ケルセチンを摂取するために皮を剥きすぎずに食べるのがポイントです。
③オリゴ糖|腸内環境を整える
玉ねぎに含まれるオリゴ糖は、腸内環境を整えるのに役立つ栄養成分です。オリゴ糖は腸内で善玉菌のエサとなり、善玉菌を増やすことで腸内環境を整えます。便秘の解消につながるほか、腸内環境が整うことで肌のコンディションを整えたり、免疫機能を高めたりする効果も期待できます。また、玉ねぎは野菜の中でも、消化酵素によってほとんど分解されない「難消化性オリゴ糖」を多く含んでいることが特徴です。小腸で消化されにくいため効果的に大腸まで届き、便秘や肌荒れ、血糖値の上昇抑制に役立ちます。
④パントテン酸|脂肪酸や糖の代謝に関わる
玉ねぎには、水溶性ビタミンの一種「パントテン酸」が豊富です。脂肪酸や糖の代謝に重要な役割を果たすほか、副腎の働きをサポートし、副腎皮質ホルモンの産出を促進することでストレスに対処する力を高める効果も期待できます。そのため、ストレスが原因による疲労感や眠気の改善に有効です。
パントテン酸が不足すると、手足のしびれや疲労、食欲不振などの症状が現れることがあります。しかし、玉ねぎを含む多くの食品にパントテン酸が含まれているため、不足の心配は少ないとされます。日常的にストレスを感じている方や風邪をひきやすい方は、玉ねぎを積極的に摂取するのがおすすめです。
⑤ビタミンB群、ビタミンC|炭水化物などの代謝を助ける
玉ねぎはビタミンB群やビタミンCも豊富です。ビタミンB1は炭水化物からエネルギーを生成する際に必要な成分で、皮膚や粘膜の健康を保つためにも欠かせません。ビタミンB1が不足すれば、糖をエネルギー源とする脳や神経に悪影響を及ぼすことがあります。特に、糖質やアルコールの摂取量が多いとき、ビタミンB1の需要が高まり不足しやすいので注意が必要です。
また、ビタミンB6はたんぱく質や脂質、炭水化物の代謝に関与するほか、補酵素として神経伝達物質の合成を促進する成分です。ビタミンB6が不足すると、湿疹や口角炎、貧血、免疫機能の低下などの症状が現れることがあります。
玉ねぎはビタミンCも豊富で、ビタミンCはコラーゲンの生成に不可欠な成分です。皮膚や軟骨の健康維持に役立つほか、体内で鉄の吸収を助けるはたらきや抗酸化作用もあります。ビタミンCは体内で合成できないため食事からの摂取が必要です。ビタミンCが不足すれば疲労感や倦怠感が生じることがあります。玉ねぎを適切に摂取し、これらのビタミンを効率よく補給することが大切です。
⑥食物繊維|腸内環境を整え便秘を予防する
玉ねぎは食物繊維が豊富で、100gあたり1.5gが含まれています。食物繊維は「難消化性炭水化物」ともよばれ、小腸で消化・吸収されずに大腸まで達する物質です。便秘の予防や改善に効果があり、腸内環境を整えるはたらきをします。また、食物繊維は糖や脂質の吸収を抑え、食後の血糖値の急激な上昇を抑制するほか、血中コレステロール値を低下させる効果もあります。そのため、食物繊維は肥満予防や生活習慣病のリスク軽減に役立つ物質です。現代の日本人は食物繊維の摂取量が不足しがちであるため、玉ねぎなどを積極的に取り入れることが大切です。
⑦カリウム|むくみを解消する
玉ねぎには、カリウムも豊富に含まれています。カリウムはミネラルの一種で、体内の細胞内の浸透圧を一定にし、体温や免疫といった身体の恒常性を保つはたらきをもっています。また、余分なナトリウムと水分を体外に排出することで、血圧を下げる効果があります。そのため、高血圧の予防や塩分を摂り過ぎたときのむくみ解消には、カリウムが豊富な玉ねぎを食べるのがおすすめです。
また、カリウムが不足すると脱力感や食欲不振、不整脈などの健康問題を引き起こす可能性があります。野菜不足や塩分を多く摂取する傾向がある方は、日々の食事で積極的に玉ねぎを取り入れましょう。
玉ねぎの効果・効能とは?
優れた栄養が含まれている玉ねぎを食べると、以下のような効果効能が期待できます。
玉ねぎの主な効果・効能
- 疲労回復
- 血液サラサラ
- 食欲増進
- 便秘予防
- 動脈硬化予防
- 免疫力アップ
- むくみ解消
など
玉ねぎに含まれる硫化アリルは血液をサラサラにするほか、ビタミンB1と結びつくことで疲労回復効果を持続させます。さらに、オリゴ糖が腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整えるとともに、食物繊維が便を柔らかくして便の量を増やしてくれるため便秘の予防や解消に有効です。
また、ポリフェノールの一種であるケルセチンが動脈硬化を予防してくれ、玉ねぎに含まれるカリウムがむくみを解消してくれます。このように、玉ねぎは健康面での効果効能が期待できる食材として高く評価されていますので、ぜひ普段の食事で積極的に玉ねぎを取り入れてみてください。
玉ねぎの栄養成分は調理法・下処理で変わる?
玉ねぎの栄養成分は、調理法や下処理でやや変化します。
栄養成分が変化する調理法
- 加熱する
- 水にさらす
- みじん切りにする
- 冷凍する
ここからは、それぞれの調理法による栄養成分の変化について解説します。
調理法①加熱する
玉ねぎに含まれる硫化アリルは熱に弱いという特徴があり、玉ねぎを炒めたり煮たりすると分解や揮発して減少します。その代わり、加熱により「プロパンチオール(プロピルメルカプタン)」という物質に変化し、玉ねぎの辛みが和らいで甘みが増すのが加熱調理の特徴です。プロパンチオールには胃の粘膜を保護し、胃の血流を促進する効果があります。
また、ケルセチンは熱に強いという特性があり、加熱しても抗酸化作用や抗炎症作用などの健康作用を保ちながら摂取することが可能です。そのほか、ビタミンCは加熱することで、水溶性ビタミンやカリウムは茹でることで減少する可能性がありますが、すべての栄養素が失われるわけではありません。加熱することで得られるメリットを活かすとともに、目的に応じて玉ねぎの調理方法を選びましょう。
調理法②水にさらす
玉ねぎを水にさらすと、辛みの原因である「硫化アリル」が水に溶け出し、辛みを和らげることが可能です。ただし、硫化アリルのほかにもカリウムやビタミンCといった水溶性の栄養素が減少してしまいます。特に、水につける時間が長くなるほど、これらの成分が水に溶け出してしまいます。そのため、玉ねぎを生で食べる場合など、水にさらしつつ栄養を無駄なく摂取するためには、水にさらす時間を最小限に抑えることが大切です。なお、辛みが少ない新玉ねぎや赤玉ねぎ(紫玉ねぎ)は、水にさらさずにそのまま食べられます。
調理法③みじん切りにする
玉ねぎをみじん切りにすると、細胞が破壊され硫化アリルが多く発生します。硫化アリルは血液をサラサラする効果や抗菌作用が期待できる成分で、みじん切りにした玉ねぎをドレッシングやソースなどに活用すると、より効率的に硫化アリルを摂取することが可能です。しかし、硫化アリルは目に刺激を与えるため、玉ねぎを切る際には涙が出ることがあります。玉ねぎを冷やし、よく切れる包丁を使うと目への刺激を抑えられます。
調理法④冷凍する
玉ねぎを冷凍しても、栄養素が大きく変化する心配はありません。むしろ冷凍保存することで、玉ねぎを長持ちさせられます。ただし、玉ねぎを冷凍すると、硫化アリルの量が減少することがあります。硫化アリルを効率的に摂取したい場合は、冷凍を避けた方がいいでしょう。
玉ねぎの食べ過ぎは危険?腹痛や口臭の原因になる
玉ねぎは健康にいい効果が期待できる一方で、食べ過ぎには注意が必要です。生の玉ねぎを大量に摂取すると、硫化アリルが胃腸に強い刺激を与え、下痢や腹痛、吐き気、頭痛を引き起こすことがあります。また、玉ねぎに含まれるアリシンは、口臭が気になる原因にもなり得ます。アリシンの臭いを抑えるためには、りんごや緑茶に含まれるポリフェノールを摂取したり、牛乳を飲むことが有効です。胃腸が弱い人や口臭を気にする人は、食べ過ぎに注意しましょう。
玉ねぎの1日の摂取量は?50gが目安
玉ねぎの1日の摂取量は、約50g(約1/4玉)が目安です。また、子どもの場合はその半分の25gが目安となります。ただし、あくまでも目安ですので1日50gを超えてはいけないというわけではありません。個人の体質や体調に応じて適量を調整し、玉ねぎ以外の野菜もバランスよく摂取しましょう。
玉ねぎの種類によって栄養は異なる?
玉ねぎは、その皮の色から大きく「黄玉ねぎ」「白玉ねぎ」「赤玉ねぎ(紫玉ねぎ)」の3種類に分けられます。黄玉ねぎは収穫後に乾燥させ、保存しやすくした普通の玉ねぎのことで、白玉ねぎは新玉ねぎのことです。ここからは、普通の玉ねぎと比較して白玉ねぎと赤玉ねぎの栄養の違いについて解説します。
新玉ねぎ|栄養素はほとんど変わらない
新玉ねぎと普通の玉ねぎ(黄玉ねぎ)には、栄養成分に大きな違いはありません。どちらも同様の健康効果が期待できます。新玉ねぎは白くてジューシーな特徴があり、甘みが強く辛みが少ないので生で食べやすく、サラダにして食べるのに適しています。黄玉ねぎと白玉ねぎは、栄養素の違いではなく味の違いで使い分けましょう。
赤玉ねぎ(紫玉ねぎ)|抗酸化物質が含まれる
赤玉ねぎ(紫玉ねぎ)と黄玉ねぎは、栄養成分に大きな違いはありません。しかし、紫玉ねぎには、その色素の原因にもなる「アントシアニン」という成分が含まれています。アントシアニンはポリフェノールの一種で、ケルセチンと同様に抗酸化作用をもっています。身体を活性酸素から守り、心臓や血管の病気の予防につながるのが赤玉ねぎの特徴です。また、赤玉ねぎは甘みがあり辛みが少ないため、生で食べやすくサラダに適しています。
玉ねぎは栄養がない?栄養を逃さず食べるなら生がおすすめ
玉ねぎの栄養を逃さず食べるなら生食がおすすめです。加熱すると、血液をサラサラにしてくれる「硫化アリル」がほかの物質に変化し、硫化アリルの摂取量が減少してしまいます。また、茹でる調理法では栄養成分のケルセチンも流れ出てしまうので注意が必要です。
ただし、加熱したからといって全ての栄養素が流れ出るわけではありません。加熱すると硫化アリルはプロパンチオールという物質に変化し、玉ねぎの甘さが増加するので、よりおいしく食べることができます。
玉ねぎの栄養を効率的に摂取する方法
玉ねぎの栄養を効率よく摂取するためには、調理法を工夫することが大切です。
栄養を効率的に摂取する方法
- 空気に触れさせる
- 繊維を断つようにカットする
- レンジで加熱する
玉ねぎは水にさらすと、ケルセチンやカリウムなど水溶性の栄養素が流れ出てしまいます。薄くスライスして1時間ほど空気にさらすと、辛みをやわらげつつ栄養を保つことができます。玉ねぎを切る際は、繊維を断つようにカットすると、辛みが抑えられ生で食べやすいです。
また、加熱する場合は電子レンジを使用すると、水に溶けやすい栄養素を逃さずに調理でき甘みも引き出せます。そのほか、スープにすると玉ねぎから溶け出した水溶性の栄養素も逃さずに摂取できます。
酢玉ねぎは効果ないって本当?期待できる美容・健康効果
酢玉ねぎとは、お酢に玉ねぎを漬け込んだ常備菜です。玉ねぎをお酢に漬け込んでも、玉ねぎの栄養成分はほとんど変化しないため、お酢と玉ねぎの両方の栄養素を摂取できるのが特徴です。お酢には体脂肪や内臓脂肪を減少させたり、疲労回復をサポートしたりする効果が期待できます。また、玉ねぎは酢に浸すと辛みが抑えられて食べやすくなるのもメリットのひとつです。酢玉ねぎにすれば、そのまま食べて箸休めの一品として楽しめるほか、サラダやドレッシングなど、さまざまな料理に使うこともできます。
玉ねぎのカロリーは?100gあたり33kcal
玉ねぎのカロリーは100gあたり33kcalです。ほかの野菜と比べると、次のような違いがあります。
カロリー(100gあたり) | 糖質(100gあたり) | |
---|---|---|
玉ねぎ | 33kcal | 0.7g |
にんじん | 32kcal | 6.0g |
キャベツ | 23kcal | 3.9g |
ピーマン | 20kcal | 2.3g |
玉ねぎは比較的カロリーは高めとなっていますが、その差はわずか1〜10kcal(100gあたり)です。食パンは100gで約248kcal、白米は156kcalなので、ほかの食品と比べると玉ねぎは低カロリーの食品と言えます。玉ねぎは栄養価の高い野菜のひとつなので、ダイエット時にも積極的に取り入れるといいでしょう。
玉ねぎをおいしく食べるポイント
日々の食事から玉ねぎを積極的に摂取するため、おいしく保存・調理することが大切です。
玉ねぎをおいしく食べるポイント
- 乾燥して重みのある玉ねぎを選ぶ
- 正しい方法で保存する
- 食べ方によって下処理の方法を変える
それぞれのポイントについて紹介します。
ポイント①乾燥して重みのある玉ねぎを選ぶ
玉ねぎを選ぶ際は、乾燥して重みのあるものを選びましょう。皮が十分に乾燥してパリッとしており、色が濃くつやがあるものを選ぶのが大切です。また、持ったときにずっしりと重みを感じるものがよく、押してみてぶよぶよとしているものは、腐れや傷がついている可能性があります。また、底の根っこ部分が小さく、上部が太くなく硬いものを選ぶと、食べられる部分が多いです。
ポイント②正しい方法で保存する
玉ねぎをおいしく食べるためには、正しい方法で保存することも大切です。丸ごとの玉ねぎは通気性のいいカゴに入れ、風通しがよく涼しい場所で保管します。使いかけの玉ねぎは、水分を拭き取った後、ラップでしっかり包んで密閉容器に入れ、早めに食べ切ることが大切です。また、玉ねぎは冷凍保存も可能で、みじん切りや炒めた「飴色玉ねぎ」を小分けにして冷凍しておくと、いつでも手軽に利用できて便利です。新玉ねぎは特に日持ちしないため、冷蔵庫で保存し数日以内に食べ切るようにしましょう。
ポイント③食べ方によって下処理の方法を変える
玉ねぎは、食べ方に応じて下処理の方法を変えましょう。生でシャキシャキ感を楽しむ場合は切った玉ねぎを流水でさらし、辛みを抜いてから水気を切るのがポイントです。逆に、しんなりとさせたい場合は、カット玉ねぎを塩で揉んでから流水で洗い、水気をしっかり絞って食べる方法があります。甘みを引き出したい場合は、弱火でじっくり炒めて「飴色玉ねぎ」にするなど、加熱調理するのがおすすめです。
まとめ
玉ねぎは硫化アリルやケルセチン、オリゴ糖などの栄養素を含んでいる野菜です。疲労回復や血液サラサラ、むくみ解消など、さまざまな美容・健康効果が期待できます。調理法によって栄養素や味わいが変化するため、目的に応じて食べ方を変えるのがポイントです。日々の食事に、栄養価の高い玉ねぎを積極的に取り入れましょう。