捨てるのは勿体ない!フードロス(食品ロス)を抑えて家計にも地球にも優しくなろう
フードロス(食品ロス)とは、売れ残りや食べ残し、期限切れなどで、本来食べられるはずなのに捨てられてしまう食品のこと。日本には「もったいない」という言葉、思想がありますが、残念ながら多くのフードロスが発生しており、環境問題にも大きな影響を与えています。
この記事では、日本のフードロスの現状や対策について詳しく解説!ご家庭で実践できるフードロスを減らす取り組みや料理方法についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
日本のフードロス(食品ロス)の現状と問題
農林水産省の調査によると、2021年4月〜2022年3月の国内フードロス量(推計)は523万t。日本の人口1人当たりにすると、毎日お茶碗1杯分の「まだ食べられる食品」が捨てられている計算になります。
このフードロス量は、国連世界食糧計画(国連WFP)による1年間の食料支援量の約1.2倍※にものぼります。飢餓に苦しむ人々に対して支援される食料よりも、日本で捨てられている食料の方が多いのです。
また、日本は食料の多くを海外からの輸入に頼っています。大量の食料を輸入している一方で、大量の食料が捨てられているのが現状です。
さらにフードロスは「もったいない」だけでなく、環境にも影響を与えています。
廃棄された食品は可燃ごみとして処理されますが、焼却時に発生する二酸化炭素(CO2)や、焼却後の灰の埋め立てによる環境汚染・環境負荷が問題視されています。
特に水分を多く含む食品の焼却には、多くのエネルギーを消費するため、処理費用の経済的負担も大きな問題となっています。
フードロス(食品ロス)の原因
年間のフードロス量523万tのうち半数以上の279万tは、食品製造業者や外食産業などの事業者によるものです。そして残りの244万tが、家庭から出るフードロスとされています。
家庭から出るフードロスの原因は、大きく次の3つに分けることができます。
- 食べ残し
調理されたものを残してしまう、料理を作り過ぎてしまうことで発生するフードロスです。
- 直接廃棄
食品の消費期限切れ、賞味期限切れにより、手付かずのまま廃棄されることで発生するフードロスです。
- 過剰除去
野菜の皮を剥きすぎる、へたを必要以上にとる、食品の食べられる部分まで捨ててしまうなどで発生するフードロスです。
なお、フードロスの原因のひとつである「期限切れ」ですが、消費期限と賞味期限には違いがあることをご存知でしょうか?
「消費」期限は、一般的に品質の劣化が早いものを「安全に食べられる期限」として設定されるもの。
一方で「賞味」期限は、比較的品質の劣化が緩やかなものに設定されています。そのため期限が過ぎても、すぐに安全性に問題が起こるわけではありません。
「賞味期限が過ぎたから」とすぐに廃棄するのではなく、目で見る、匂いを嗅ぐなどで食品の状態を確認してみることで、フードロスの発生を防ぐことができます。
また、家庭からのフードロスは、買い物とも密接に関わっています。買い物では必要な分だけ買う、すぐに使うものであれば手前からとるなどの心がけが、フードロスの削減につながります。
北海道のフードロス(食品ロス)問題
農業や酪農が盛んな北海道。豊かな自然を生かした大規模生産が行われている一方で、フードロスが発生している現状があります。
ここからは、北海道のフードロス問題についてご紹介します。
牛乳(生乳)の廃棄
国内の生乳生産量の半数以上を担っている北海道では、2023年頃から牛乳(生乳)の一部廃棄が問題となっています。その名も「牛乳ショック」。
2014年頃から進められた酪農の大規模化により、北海道を中心とした酪農農家では、安定した生乳の生産ができるようになりました。
しかしその後、新型コロナウイルスの感染が拡大。学校給食が一時期ストップし、外食や観光産業の需要が急激に減少したことで、牛乳の需要も減少してしまいました。
毎日生産される生乳の量を消費に合わせて調整することは難しく、生乳の生産量が過剰となってしまったのです。
「牛乳が余っているならバターにしたら良いのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかしバターやチーズなど加工用の生乳は、牛乳などの飲用の生乳より価格が安く設定されています。ロシアウクライナ情勢の影響で、飼料代などが高騰しているなかで、加工用の生乳を増やすことは、酪農農家の負担を増やしてしまうことになるのです。
少しでも牛乳廃棄によるフードロスを減らそうと、北海道や道内企業では、牛乳消費拡大キャンペーンやイベントを随時行っています。
特に牛乳の需要が落ち込むのが冬場です。寒い日にはホットミルクや牛乳をたっぷり入れたホットココアなどで、牛乳を積極的に飲んでみてはいかがでしょうか?
規格外野菜の廃棄
北海道では、広大な土地を生かした大規模農業が盛んです。しかし一方で、気温の変化や天候の影響によっては規格外野菜が増えてしまい、大量廃棄につながることも少なくありません。
規格外野菜とは、市場流通の規格(サイズ、重さ、色、形など)に合わず、市場に出回らない野菜のこと。スーパーに並ぶ野菜と比べて形がいびつだったり、色が薄かったりすることが多いのですが、味などの品質に違いはありません。
規格外野菜の一部は、漬物やジュースなどの加工品の原料になったり、ペースト状に加工されたりしています。しかし多くの規格外野菜は廃棄されるか、畑の土にすき込んでしまうのが現状です。
近年では、専用の通販サイトが登場したり、「ふぞろい野菜」や「ぶこつ野菜」というブランドで販売したりなど、北海道内で規格外野菜を活用するための取り組みが進められています。
フードロス(食品ロス)を減らすためにできること
フードロスは、私たち一人ひとりのちょっとした行動で減らすことができます。ここからは、家庭でできるフードロス削減の取り組みについてご紹介します。
食材を無駄なく大切に使うことは、家計費の節約にもつながります。ぜひ日々の料理でも活用してみてください!
食材が長持ちする方法で保存
フードロスを減らすために大事なことは、食材を「食べ切る」こと。しかし、毎日食べる分だけ買い物するのは大変ですし、まとめ買いをすると一度に食べきれない食材も出てきますよね。
中でもすぐに傷んでしまうのが野菜。適切な保存方法を知っておくことで、野菜を長持ちさせ、フードロスを押さえることができます。
ここでは特に痛みやすい野菜の保存方法をピックアップ!ご家庭の冷蔵、冷凍保存の参考にしてみてくださいね。
ほうれん草 | 冷蔵:濡らした新聞紙などで包むかポリ袋に入れて立てて保存。 |
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レタス | 冷蔵:水分を拭きとり、ラップをするかポリ袋に入れて、芯を下にして野菜室に保存。包丁を使わずに手でちぎって使うと痛みにくい |
きゅうり | 冷蔵:水気を拭き取りビニール袋に入れて野菜室で保存。 |
なす | 冷蔵:低温に弱いので、2〜3本ずつキッチンペーパーに包みポリ袋に入れて保存。 冷凍:カットするとそこから劣化が進むため、生のまま丸ごと保存袋に入れる。 |
ピーマン | 冷蔵:3〜4個ずつキッチンペーパーに包んでポリ袋に入れ野菜室で保存。 |
トマト | 冷蔵:1個ずつキッチンペーパーに包んでポリ袋に入れ、ヘタを下にして野菜室で保存。 |
なお、冷凍する際のポイントは、新鮮なうちに凍らせることと、空気や水分をしっかり抜くこと。
この2点を押さえておくことで、より食材を長持ちさせることができますよ!
野菜の茎や皮も食べられる!「使い切り」レシピを活用
野菜の茎や皮など、今まで捨てていた部分も、実は食べられることがほとんど。野菜を丸ごと使う、茎や皮をメインに使うなどの「使いきり」レシピを活用することで、フードロスを削減できます。
ここでは、捨てられてしまうことが多い「ブロッコリーの茎」と「大根の皮」を活用したおすすめレシピをご紹介します。
同じく捨ててしまいがちな「ネギの青い部分」の活用方法については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。合わせてチェックしてくださいね。
参考リンク https://prezo.jp/column/4389
おつまみに!ブロッコリーの茎のピリ辛あえ
中華風の味付けで「ザーサイ」のような味と食感が楽しめる一品です!
材料(2人分) | 分量 |
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ブロッコリーの茎 | 1個分(120〜150g) |
長ねぎ | 1/4本 |
しょうが(すりおろし) | 小さじ1 |
しょうゆ | 小さじ1 |
酢 | 小さじ1 |
塩 | 適量 |
砂糖 | 適量 |
ラー油 | 適量 |
作り方の簡単な説明
- ブロッコリーの茎は長さ3〜4cmに切る。根元の固い部分は厚めに皮をむき、幅1cm、厚さ5mmほどの短冊切りにする。
- 長ネギを斜め薄切りにする。
- 耐熱ボウルにブロッコリーと長ネギを入れ、調味料を全て加えてあえる。
- ラップをかけてレンジで1分(600W)加熱。全体が温まればOK。冷めたら器に盛って完成!
ご飯のおともに!大根の皮のきんぴら
煮物などで厚めにむいた大根の皮を活用!甘辛味にご飯がすすみます!
材料(2人分) | 分量 |
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大根の皮 | 150g |
しょうゆ | 大さじ1と1/2 |
砂糖 | 大さじ1 |
酒 | 大さじ1と1/2 |
赤唐辛子 | 1本(なくてもOK) |
ごま油 | 小さじ1 |
作り方の簡単な説明
- 大根の皮は5〜6mm幅の細切りに。しょうゆ、砂糖、酒は合わせておき、赤唐辛子は種をとっておく。
- フライパンにごま油を熱し、切った大根と赤唐辛子を中火で炒める。
- 大根が透明になってきたら、合わせておいた調味料を加えてさらに炒める。
- 調味料がなくなるまで煮詰めたら完成!白いりごまをかけても良い。
野菜くずで「ベジブロス」を作る
いつもは生ゴミとして捨ててしまうことの多い、野菜のヘタや芯、皮、根っこ、ワタ、種などの野菜くず。その野菜くずを活用して、「ベジブロス」を作ってみませんか?
ベジブロスとは、野菜から取った「だし」のこと。野菜に詰まった栄養成分を効率よく摂取できるだけでなく、普段の料理に幅広く使える万能スープなんです。
どんな野菜でも作ることができるベジブロスですが、5種類以上の野菜で作ると深い味わいになります。野菜の色がカラフルになるように組み合わせることもポイントです。
ベジブロスの作り方
材料、作り方はいたってシンプル!日頃から冷凍用保存袋などに、野菜の皮やヘタなどを集めておきましょう。
おすすめの材料は、玉ねぎの皮。キャベツやブロッコリー、大根などのアブラナ科の野菜は独特の香りがあり、好みが分かれます。
材料(1ℓ分) | 分量 |
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好きな野菜の切れ端 | 250g |
水 | 1.3リットル |
酒 | 小さじ1 |
作り方の簡単な説明
- 大きめの鍋に水と野菜の切れ端、酒を入れて火にかける。
- 沸騰直前で弱火にし、20〜30分コトコト煮込む。強火にすると野菜が煮崩れるため弱火で煮込むのがポイント!
- 火を止めて、ザルなどで野菜を濾(こ)したら完成!密閉容器で2〜3日冷蔵保存できます。冷凍の場合は1か月ほど保存可能です。
外食(宴会)では「3010運動」を実践
環境省が提唱している「3010運動」をご存知でしょうか?
3010運動とは、外食時、特に宴会時に出るフードロス削減のための取り組みです。宴会での乾杯後「30分間」、お開きの「10分前」は自分の席を立たずに料理を楽しむことで、食べ残しを減らすことを目的としています。特に12月〜1月の忘年会・新年会シーズンや、春の宴会シーズンにおすすめしたい取り組みです。
外食では、食べきれる分だけ注文することに加えて、3010運動のように「味わいタイム」「食べきりタイム」を設けることで、フードロスを減らすことができます。ひとりで食べきれないときは、仲間で分け合えるのも外食の醍醐味です。どうしても食べきれない場合は、お店に持ち帰りができないか相談してみましょう。
まとめ
私たちの生活に密接に関わっているフードロス(食品ロス)。家庭での調理や食事のとき、食べ物を買うとき、外食をするときの「ちょっとした行動」がフードロスの削減につながります。
フードロスを意識することは、家計費の節約になるだけでなく、栄養バランスの取れた食生活、食育、環境保全などさまざまなメリットがあります。
ぜひ皆さんもこの記事を参考に、フードロスの削減を心がけてみてくださいね。