ポルボローネってどんなお菓子?ポルボロンやスノーボールとの違いは?
サクサクした軽い食感と口の中でホロホロと溶けていくような口当たりが特徴的なポルボローネ。一度食べたらやみつきになるポルボローネに、ハマってしまう人が続出しています。
今回は、そんなポルボローネの発祥や語源などを詳しく解説します。合わせて、自宅で簡単に作れるポルボローネのレシピや人気のポルボローネ商品も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- ポルボローネはスペインの伝統的な菓子
- ヨーロッパではブールドネージュ、アメリカではスノーボールと呼ばれる
- 1個だとポルボロン、複数だとポルボローネと呼ぶ
幸せを呼ぶお菓子「ポルボローネ」とは
ポルボローネは、スペイン発祥のクッキーです。スペインのなかでもアンダルシア地方に伝わる伝統的なお菓子で、普通のクッキーではあまり使われないポークラード(豚脂)を使うのが特徴です。
ポークラードを使うことで他のクッキーとは違うコク深い風味が楽しめ、スペインでは口の中に入れて「ポルボロン、ポルボロン、ポルボロン」と3回唱えると幸せが訪れるとも言われています。
ポルボローネの形
ポルボローネは基本的に、円形や楕円形で作られるケースが多いです。また、直径約3cmの一口サイズに作られたものがよく見かけられます。
日本では袋に複数個のポルボローネを入れている商品が多いですが、スペインのポルボローネはキャンディーのように1つずつ個包装で販売されることが多いです。
ポルボローネの食感
ポルボローネは、見た目がやや硬そうに見えますが、口に入れるとホロホロと崩れ落ちるような優しい食感が特徴です。その秘密はポルボローネの作り方にあります。
ポルボローネは材料の小麦粉をよく炒ってから作ります。炒ることで小麦粉のグルテンが結びつきにくくなり、加熱してもモチモチ感や粘り、フワフワ感がでにくくなり、特徴的な食感が生み出されているのです。フランス語では、ポルボローネのホロホロした食感を雪解けに例え「ブール・ド・ネージュ(Boule de Neige・雪の玉という意味)」と呼ぶこともあります。
ポルボローネとスノーボールの違いは?
日本では丸い玉の形で作られることが多いスノーボールクッキー。海外では球体ではなく、丸をやや押しつぶしたような形で作られることが多いのをご存知でしょうか。
丸くて、平たくて、一口サイズで、ホロホロとした食感。ポルボローネによく似ていますよね。
実は、ポルボローネは英語でスノーボールと呼ばれています。つまりポルボローネとスノーボールは同じお菓子です。
ポルボローネのフランス語の名前であるブール・ド・ネージュと同じく、ホロホロした食感が雪解けを連想させることから「雪の玉」という意味を持つスノーボールと呼ばれるようになったと言われています。
日本では、ポルボローネよりスノーボールの名前の方が馴染み深いですね。
ポルボローネの発祥と歴史
現代ではスペインの伝統菓子として知られているポルボローネですが、元々は中東で作られていた菓子でした。マグレブやイベリア半島などに暮らしていたムーア人が作っていた菓子と伝わっており、スペイン・アンダルシア地方に伝わったのは800年ごろだと考えられています。
続いては、ポルボローネに関するさまざまな歴史についてみていきましょう。
ポルボローネはイスラム教徒を探すためにできた?
本来のポルボローネは、ポークラードを使わず牛乳や植物性の油で作られていたと伝わっています。珍しい食感のポルボローネはスペインで大流行し、あっという間に国民的な支持を集める菓子になっていました。
しかし、15世紀以降スペインではイスラム教を排除する思想が高まり始め、スペイン全土にポルボローネをポークラードで作るよう布告されました。
イスラム教では、豚は不浄の動物と考えられ食用を禁止されています。そこで、ポークラードを使ったポルボローネを食べられない者はイスラム教徒だと特定されたそうです。
江戸時代の日本で隠れキリシタンを探すために踏み絵を踏まされたように、ポルボローネはイスラム教徒を探し出すためにポークラードが使われるようになったと言われています。
大航海時代に世界へ広まる
15世紀以降、スペインはヨーロッパ人のアフリカ・アジア・アメリカ大陸へ移住を目的とした大航海時代に突入します。
その際、外国へと持ち込まれたポルボローネは、ヨーロッパでブール・ド・ネージュ、アメリカでスノーボールと呼ばれ、世界各国で愛される菓子となりました。
日本のポルボローネは本場の味じゃない?
大航海時代に海を渡ったポルボローネは、世界のさまざまな国でそれぞれの国土に合う味や食感にレシピが改修されていきました。
日本では、ポークラードを使わずバターを用いて作られることが多いのも、レシピが食べる人に合わせて変えられていった結果です。ポークラードはコク深い一方、独特な風味があります。そこで、日本人に好まれるバターやアーモンドパウダーを用いてポルボローネが作られるようになったのです。
日本のポルボローネは比較的しっかりと形成されているため、袋に入って売られています。しかし、本場のポルボローネは大変崩れやすいため、1つずつ個包装するのが一般的です。これも、さまざまな国で作られるなかで変化していった点と言えるでしょう。
ポルボローネの名前の由来【本当の名前はポルボロン】
ポルボローネが大好きで、スペインに行った際には本場の味を堪能したいと考えている方もいるでしょう。しかし、本場でポルボローネを食べる際には要注意です。
ポルボローネは、スペイン語で粉という意味の「ポルボ(polvo)」と、崩れるという意味の「ロン(rón)」が名前の由来となっています。粉のように崩れるお菓子という意味ですね。
そして、1粒ならポルボロン、複数ならポルボローネと呼び分けられます。
本場スペインでは、個包装されているのが一般的なため「ポルボロン」として販売されています。一方、日本では複数が袋放送されているのが一般的なため「ポルボローネ」として販売されているのですね。
つまり、ポルボローネはポルボロンの複数形の呼び方ということです。沢山のポルボロンが欲しいからといって「ポルボロンス」「ポルボローネス」と伝えてしまうと、意味が通じないので注意してください。
自宅でも簡単に作れるポルボローネのレシピ
ポルボローネはスーパーなどで購入できる材料で簡単に手作りできます。
材料
ポルボローネの材料は以下のとおりです。
- 薄力粉
- バター(常温にしておく)
- アーモンドパウダー
- 塩
- 粉砂糖
- (打ち粉用)強力粉
- (仕上げ用)粉砂糖
お好みでシナモンパウダーなどを加えると風味が良くなります。
作り方
作り方は以下の通りです。
- 小麦粉を炒る
- バターに粉砂糖・塩を加えてよく混ぜる
- 炒った小麦粉とアーモンドパウダーを加えて混ぜる
- 手に打ち粉をふって、生地を小さくちぎり丸めていく
- 天板にオーブンシートを敷いて、丸めた生地を並べる
- 生地を上から掌で押して、厚み1cm程にする
- 150度に予熱したオーブンで20~30分焼く
- 粗熱をとって粉砂糖を振りかけたら完成
小麦粉をよく炒ることで、グルテンが結合しにくくなりポルボローネ特有のホロホロした食感に仕上がります。しかし、小麦粉は焦げ付きやすいので、木べらなどでよくかき回して焦げないように注意してください。
一度は食べたい!人気のポルボローネ3選
独特な食感が人気のポルボローネは、さまざまなメーカーから商品化されています。自分へのご褒美オヤツや他人へのプレゼント、手土産にするのであれば、販売されているポルボローネを選ぶのもよいでしょう。
最後に、インターネットで「美味しい」と評判の人気のポルボローネを3つ紹介します。
成城石井のポルボローネ
成城石井は東京都世田谷区に本社を持つ高級スーパーチェーンです。一般的なスーパーと比べると値段はややお高めですが、質の良い食材や美味しい惣菜が購入できると全国的に人気が高まっています。
なかでも、成城石井のポルボローネは美味しいと話題です。成城石井desica和三盆ポルボローネは、四国の伝統的な製法で作られる砂糖・和三盆を仕様しています。優しい甘さと濃厚なバターの風味に虜になる人が急増中です。
商品の詳細はこちら無印良品のポルボローネ
雑貨や家具、収納アイテムから食品まで豊富な品揃えが魅力的な無印良品では、ポルボローネがヨーロッパでの呼び方「ブールドネージュ」として販売されています。
ベーシックなプレーンの他、紅茶味やいちご味のブールドネージュも展開しており、全ての味を食べてみたくなります。
商品の詳細はこちらシマエナガさんのこな雪ポルボローネ
北海道で冬に見られる「雪の妖精」シマエナガ。可愛らしいシマエナガのパッケージが特徴的な「シマエナガさんのこな雪ポルボローネ」はSNSで話題になっているお菓子です。
ポルボローネの味もさることながら、ポルボローネ1粒がシマエナガの平均的な体重である約8gで作られています。思わず「シマエナガってこんなに軽いの?」と驚いてしまうことでしょう。
「北海道に行ったら絶対買うべき」「たくさん買って、友人にも配りたい」など、美味しさと可愛さで人気が高まっています。
まとめ
ホロホロと優しい口溶けがくせになるスペインの伝統菓子・ポルボローネについて紹介してきました。ポルボローネの発祥や歴史を知ると、より興味が湧いてきますよね。
ぜひ、今回紹介したレシピやおすすめの美味しいポルボローネを味わって、ポルボローネの故郷・スペインに想いを馳せてみてはいかがでしょうか。