【コーラとは違う味?】北海道で人気のガラナってどんなもの?定着した理由も紹介
北海道で根強く愛されるガラナという飲み物をご存知でしょうか。実は、ガラナが一度全国的に販売されたものの、北海道以外では定着しなかったことはあまり知られていません。
この記事では、ガラナが北海道で一般的なジュースとして定着した理由を紹介します。また、ガラナの栄養成分や商品ごとに異なる味の違いについても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
- ガラナはブラジル原産の樹の実
- 集中力アップや疲労回復などの効果がある
- 北海道はコーラの上陸が遅れたことでガラナが定着した
この記事でわかること
ガラナってどんなもの?
北海道民にとっては老若男女誰もが知る「あの」ガラナですが、道外に住む人にとっては聞き馴染みのないものでしょう。
最初に、ガラナがどういったものなのかを紹介していきます。
ガラナは植物の実
ガラナは南米に生息する植物で、小さくて赤い皮を持つ実が房状に生ります。その実はわずかな甘みがあるものの、苦味や渋みの方が強くお世辞にも美味しいフルーツという訳ではありません。
しかし、ガラナの種子にはさまざまな栄養があり、原住民には疲労回復・滋養強壮の効果を持つ「不滅の源」と呼ばれ、抽出したエキスが栄養剤として飲まれていました。
ちなみに、ガラナは熟すと赤い皮が裂け、白い果肉から黒い種が出てきます。この様子が恐ろしい「悪魔の目のようだ」とSNSで話題になりました。
北海道民はガラナと言えばジュース
植物であるガラナですが、北海道で「ガラナ」と言うとジュースを差すのが一般的です。
北海道でガラナと言えば、道内全域で一般的に普及しているガラナジュースを差します。本州では滅多に見ませんが、北海道ではさまざまなメーカーがガラナジュースの製品を販売しています。
大手飲料メーカーはもちろん、街起こしのようにお土産品としてご当地ガラナジュースが製造・販売されていることも珍しくありません。
ガラナの栄養と効果
ガラナは、原産地のブラジルでも栄養価の高さが注目されているスーパーフードのひとつです。もちろん、エキスを使用して作ったガラナジュースにも豊富な栄養があり、その効果が話題となっています。
続いては、ガラナの栄養と効果についてみていきましょう。
ガラナの栄養
ガラナには15種類のアミノ酸が含まれていると言われ、特に栄養面で注目されているのは以下の配合成分です。
- ガラニン
- サポニン
- テオブロミン
- テオフィリン
- タンニン
- カテキン
- カリウム
ガラニンはガラナに含まれる天然のカフェイン成分ですが、神経を刺激しないのが特徴です。
摂取後、急速に吸収されるカフェインに対し、ガラニンはゆっくりと体内に吸収されていくため、体に負担をかけにくくカフェインの効果を享受できると言われています。
ガラナの効果
ガラナがもつ栄養成分には、さまざまな効果が期待できます。
効果1.集中力アップ
ガラナに含まれるテオブロミンには、集中力や記憶力をアップさせる効果が期待できます。
また、カフェイン類似成分であるガラニンには緩やかな覚醒効果や疲労回復効果もあるため、勉強中の学生や仕事中の人にもおすすめのジュースです。
効果2.リラックス効果
テオブロミンには、脳内からセロトニンの分泌を促す効果もあります。セロトニンは幸福感や多幸感を得やすい脳内物質で「幸せホルモン」と呼ばれることもある物質です。
そのため、ストレスの低減効果も期待できるでしょう。
また、緩やかに脳が活性化していくことで自律神経が整い、副交感神経が作用しやすくなるためリラックス効果も期待できます。
仕事終わりにガラナを飲むことで、プライベートタイムにしっかりリラックスできるでしょう。
効果3.アンチエイジング効果
タンニンやカテキンは抗酸化作用を持つ栄養素です。体内で活性酸素を分解・排出してくれるため、体の内側から老化を防いでくれる効果が期待できます。
また、カテキンには血糖値の上昇を抑える効果が期待できるため、ダイエット中で甘いジュースを飲むことに抵抗があるという人にもぴったりです。
ガラナを初めて開発したのはブラジル企業
ガラナの栄養や効果について分かってきたところで、ここからは北海道民に好まれるガラナジュースについてさらに詳しく紹介していきましょう。
今や北海道のご当地飲料として知られるガラナですが、実は世界で初めてガラナジュースの開発に成功したのはブラジルのアンタルチカ社(現アンベブ社)です。
1921年に開発に成功して以来、ブラジルでも国民的ジュースとして愛されています。アンタルチカ社(現アンベブ社)はサッカーブラジル代表の公式スポンサーでもあり、ブラジルではサッカーの試合にガラナが欠かせないんだとか。
ブラジルではガラナが飲料のシェアを独占している状態で、その勢いは収まることを知らず、世界各国で愛される人気飲料コカ・コーラを上回ると言われています。
【コーラ対策?】北海道にガラナが定着した理由
今となっては北海道以外の都道府県では滅多にお目にかかれないガラナですが、実は販売当時は全国規模で流通していました。
そんなガラナが本土を撤退し、北海道にだけ定着したのには理由があります。
ガラナはコーラ対策として生まれた
ガラナが販売される前の日本において炭酸飲料はラムネやソーダが主流でした。
しかし、世界で人気を博しているコカ・コーラが日本に輸入されることを知った、日本清涼飲料水協会は外資企業に国内シェアを独占されることを恐れて、対抗策を考えます。
そこで参考にしたのが、コカ・コーラがシェアを独占できなかったとされたブラジルのケースです。ブラジルではガラナが国民的飲料となり、コカ・コーラのシェア独占を阻んでいることから、日本の資本を守るべくガラナ飲料の開発に着手しました。
国内で最初に製品化された「コアップガラナ」は、無事コカ・コーラが日本上陸する1年前に完成し、全国流通を果たしました。
コーラ上陸によるガラナ撤退が相次いだ
無事、日本全国に流通したガラナは徐々に人気を広げていました。
しかし、販売から1年後にコカ・コーラが日本初上陸を果たすと一転、ガラナの普及は見事に停滞。さらに縮小して本州から徐々に撤退を余儀なくされます。
たった一年では定着するまでに届かず、コーラの人気に押される形で、ついにガラナは本州で販売されなくなってしまいました。
本州から3年遅れでコーラが上陸した北海道
当時の日本は、まだまだ物流も発展途上の時代です。特に、津軽海峡を挟んだ北海道へは航路を使うケースも多く、本土よりも物流に時間がかかりました。
北海道にコカ・コーラが上陸したのは、本州に上陸してから3年程過ぎた頃です。その間、北海道民の間では炭酸飲料と言えばガラナという程、ガラナ飲料が定着し、コーラ上陸後もその勢いが衰えないまま現在に至ります。
これが、ガラナが北海道にだけ定着した理由です。物流が発展途上で、北海道にだけコーラ上陸が遅れたからこそ、ガラナは北海道に定着し今も愛される道民のソウルドリンクとなりました。
ガラナの味は?コーラとは全く違う飲み物
ガラナは、パッケージや液体の色が何となくコーラに似ているため、飲んだことがない人に「コーラっぽい味なんでしょう?」と思われがちです。
しかし、ガラナはどちらかと言えば少し薬っぽいエナジードリンクを彷彿とさせる風味が特徴的です。本来のガラナは苦味や渋みを感じやすいですが、コーラに対抗して製品化させた日本のガラナは甘味を多く添加させているものも少なくありません。
炭酸も、サイダーよりもシャンパンに近いような刺激と表現されることが多いです。
まだ、一度もガラナを飲んだことがない人は「コーラっぽい飲み物」と思ってガラナを飲むと驚いてしまうかもしれません。
ガラナジュースはどこで買えるの?
北海道内では、スーパー、コンビニ、自動販売機など、どんなお店に入っても大抵ガラナが陳列されているでしょう。身近な飲み物として販売されているため、特別な場所などは探さずともすぐに売っているのを見つけられます。
本州では、北海道で人気を博しているご当地コンビニ・セイコーマート(通称セコマ)が茨木県と埼玉県に進出しており、同県のセイコーマートで販売されているとの情報があります。
その他、海外輸入食品を扱う店では海外製の本場ガラナが販売されていることがあるようです。ただし、本場のガラナは国内製品と味や風味もやや異なります。
全国各地の百貨店、コンビニなどで行われている北海道フェアでガラナを見つけたという声も聞かれるため、本州に住んでいても意外な所でひょっこり出会うかもしれません。
【人気のガラナ4種】味の違いは?
ガラナは大手飲料メーカーやご当地メーカなどさまざまな種類があり、メーカーごとに味に特徴があります。
今回は、さまざまなガラナ飲料のなかから特に人気の4種について味の違いや特徴を紹介します。
コアップガラナ
コアップガラナは日本で初めて製品化されたガラナです。発売開始は1960年、日本コアップ(株)が統一商標を持ち、各飲料メーカーが「コアップガラナ」として多少のリメイクを加えながらガラナ飲料を発売しています。
北海道でシェアを独占しているのは株式会社小原のコアップガラナで、ポップな赤いラベルと茶褐色の飲料が特徴的です。
コーラよりもやや色が薄く、エナジードリンクのような風味がやや強めです。比較的甘みは抑えめでスッキリとフルーティな飲み口が人気で、ガラナのクセが強くないため誰にでも飲みやすいと言われています。
最近では、ホッピービバレッジから販売されているコアップガラナも人気で「瓶のデザインがエモい」とSNSでも話題になっています。
Secomaガラナ
北海道を代表するご当地コンビニ・セイコーマートのプライベートブランドとして販売されているSecomaガラナ。コアップガラナに比べると色が濃く、見た目はコーラに見間違う人も少なくないでしょう。
他のガラナ飲料に比べると、甘みが強いのが特徴です。また、甘いだけでなくガラナ飲料特有の風味が強く、道民にとって親しみ深い味として好まれています。
キリンガラナ
キリンビバレッジから販売されているキリンガラナは、赤と黒のパッケージが印象的な真っ黒のジュースです。比較的甘みは強く、クセを抑えたフルーティな飲み口が特徴と言われています。
味はドクターペッパーやエナジードリンクに似ていると言われることも多いです。
ガラナアンタルチカ
ガラナアンタルチカは、ガラナを初めて飲料化したブラジル・アンタルチカ社(現アンベブ社)の製品です。日本のガラナに比べると、色はジンジャエールに近い透明感のある琥珀色が特徴。爽やかでフルーティな味わいのため、シャンパンのように感じる人もいるようです。
日本のガラナに比べると甘みは少ないですが、スッキリとした飲み口にハマる人が続出しています。
ジュース以外にも?ガラナを使った商品がある
実は、ガラナはジュース以外にもさまざまな食べ物や飲み物として製品化されています。
キシリトールガムとして人気のキシリッシュ(株式会社明治)は、2007年にガラナミント味を発売しており、セイコーマートではアイスキャンディ―やサワーにもガラナを用いたものが販売されています。
その他、海外ではサプリメントなどにガラナを使用しているものも多く、ガラナは飲料だけでなくさまざまな製品に用いられているようです。
まとめ
北海道民のソウルドリンク・ガラナについて紹介してきました。コーラ上陸が遅かったために地域に定着したガラナですが、おかげで今や北海道を盛り上げるご当地サイダーのひとつとしても人気です。
本州では馴染みの薄いガラナですが、栄養もありさまざまな効果が期待できるため、ぜひ北海道に足を運んだ際にはガラナを味わってみてはいかがでしょうか。