千歳飴の正しい食べ方を知ろう♪ 折ると縁起が悪いって本当!?
みなさんもご存じの千歳飴のあれこれを調べてみました!千歳飴といえば七五三のお祝いに子どもに持たせる縁起物ですよね。細長く、そのままではちょっと食べにくい千歳飴ですが、縁起物ということもあって、刃物で切ってしまうのは縁起が悪いんじゃないかと気になる方もいるのではないでしょうか。でも実はそんなことないんです!
この記事でわかること
- 千歳飴の始まりは江戸時代前期から
- 七五三は11月15日。でも前後1ヶ月はOK!
- 千歳飴は直径14.5mm以内、長さ1m以内が規格
- 千歳飴は切っても折っても割っても大丈夫!
- 食べ残しはお砂糖代わりに使える
千歳飴ってそもそも何?
千歳飴は、七五三の時に子供に持たせるものくらいの認識の方も多いのではないでしょうか。近年はキャラクターものが人気のようですが、外袋には鶴などが描かれていて、なんとなく縁起物という感じがしますよね。ここでは、意外と知られていない千歳飴について詳しく紹介します。
千歳飴の由来、はじまり
古くは「千年飴」「千歳飴(せんざいあめ)」という名前で呼ばれていました。千歳飴(ちとせあめ)の由来には諸説あり、元禄時代(江戸時代前期)に、浅草で飴売りをしていた七兵衛という人物が、紅白に色付けして長く伸ばした飴を「千年飴」と名付けて売り出したのが始まりと言う説がひとつ。
この七兵衛さんより少し前、元和時代(江戸時代前期)に、大阪の平野甚左衛門が販路を広げるため、浅草の境内で「千歳飴(せんざいあめ)」と名付けて売り出したのが始まりという説もあります。
いずれにしろ、江戸時代前期に浅草近辺で売られていたことが始まりということになりそうです。
千歳飴は健康や長寿の観点から広まった
もともと高価な食材だった砂糖が日本でも広まり始めた頃で、子どもの健康や長寿をお祝いする場に、砂糖を贅沢に使った飴を用いたことや、紅白の色、長い形が長寿を連想させるなどの理由で人気になったと言われています。「千歳飴(せんざいあめ」は食べると千才まで生きられる縁起物としても人気になりました。
千歳飴はどこで売っているの?
七五三の時期になると、和菓子店やデパートのお菓子売り場、最近ではスーパーなどでもよく見かけますね。また、神社の境内で販売していることもあります。ただし、神社に七五三のお参りに行く場合は祈祷後の授与品としてもらえることがあり、写真館などで記念撮影をする場合は撮影料金に含まれていることもあるので、これらは事前に確認しておいたほうがいいかもしれません。
七五三の時期から外して写真撮影だけを七五三風に行う場合は、ネット通販などで千歳飴を用意する方が多いようです。
神社の千歳飴はお祓いされている
神社の境内で販売されているものや、祈祷後の授与品としてもらえるものは、神社でお祓いされているものです。和菓子店などでも、お祓いを済ませてから売り出していることもあるので、気になる方はそのあたりもチェックしてみてください
七五三はいつやるの? 男女で違いはあるの?
七五三はその名の通り、3歳・5歳・7歳のお祝いです。いずれも数え年で行います。それぞれに意味があり、男の子だけ、女の子だけという違いもあります。
数え年とは
数え年とは、生まれた日から1歳が始まる日本古来の年齢の数え方です。0歳はなく、何月生まれであっても元旦の1月1日を迎えると1歳ずつ年齢が増えます。
数え年の数え方
その年の誕生日を迎えていない場合は満年齢に2を足し、誕生日が過ぎている場合は満年齢に1を足した数が数え年の年齢です。
七五三の簡単一覧表 | |||
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年齢 | 対象 | 祝いの儀 | 意味 |
3歳 | 男女共通 | 髪置の儀 | 長寿の祈願 |
5歳 | 男の子 | 袴着の儀 | 将来の成功を祈願 |
7歳 | 女の子 | 帯解の儀 | 大人への第一歩の意味合いで行う |
3歳は髪置の儀(かみおきのぎ)<男女共通>
髪置の儀は、髪を伸ばし始める3歳に行われていた行事で、糸で作った「綿白髪」を頭に乗せて長寿を祈願していました。これは、髪に白髪が生えるまで生きてほしいという親の願いでもあったそうです。
5歳は袴着の儀(はかまぎのぎ)<男の子のお祝い>
袴着の儀は、子どもが初めて袴を着る行事で、昔は男女に関係なく5~7歳までの子どもに行われていましたが、江戸時代以降は男の子だけに行われるようになりました。天下を取るという意味で碁盤の上に立ち、吉方に向かって祈ることから、将来の成功を祈願する意味で行います。
7歳は帯解の儀(おびときのぎ)<女の子のお祝い>
紐で着付けていた子どもが初めて帯を締める成長の儀のことです。当時は、9歳の男女に行われていたそうですが、江戸時代に5歳の男の子は「袴着の儀」を、7歳の女の子は「帯解の儀」を行う形になりました。この帯解を経て大人の女性へ歩み始めると考えられていたようです。
医療の知識や技術がまだまだ未発達だった時代、小さな子どもが健やかに成長するのはなかなか難しいことでもありました。無事に3歳まで生きた、5歳まで成長した、そんなお祝いを節目ごとにしていた伝統です。
七五三の時期
全国的に11月15日が中心ですが、これは徳川将軍家の「袴着の儀」がこの日に行われていたため、これを踏襲する形となっています。なぜその日かというのは旧暦に関係してくるのですが、ここでは割愛します。
北海道では10月に行うって本当?
北海道では全国よりも1カ月早い10月15日を中心に執り行うのが一般的です。というのも、11月にもなると北海道の冷え込みは厳しくなり、雪が降ることも珍しくないため、子どもの負担を考えて、昭和24年に札幌市内の神職が集まり10月15日を七五三祝としました。そのため、札幌以外でもそれが広まり、北海道では全国よりも1カ月早い七五三となっています。
七五三のお祝いは厳格に当日でなければいけないものではないので、11月15日(北海道では10月15日)を中心として前後1ヶ月くらいの間に神社にお参りしたり、写真を撮ったりするご家族が多いようです。
数え年が基本ではあるが、厳格な決まりはない
年祝いは数え年でお祝いすることがほとんどです。七五三も数え年で……と言いたいところですが、そうなると12月に生まれた子どもは12月で1歳、年が明けて2歳、その次の年の11月には3歳のお祝いになるので、満年齢では1歳11ヶ月で3歳と見なされてしまいます。一応それが正式なものではありますが、それではさすがに早すぎるということであれば、満年齢でお祝いをしても大丈夫!
七五三のお祝いは、数え年と満年齢、どちらでも構わないのです。子どもの成長に合わせたり、早生まれであれば同級生に合わせたり、兄弟姉妹でタイミングを合わせるのも良いでしょう。
千歳飴には決められた規格がある
子どもが無事に成長したことを祝い、氏神様に報告し、これから先の健康・長寿を願うのが七五三です。江戸時代、そのお宮参りのお土産として売られ始めたといわれる千歳飴。長い形状もさることながら、飴は温めて引っ張ると伸びるため、そのことも長寿を連想させ、縁起が良いとされました。
では、長ければ長いほどいいのでは……と思いがちですが、実は千歳飴には規格があります。
千歳飴の規格
- 直径14.5mm以内
- 長さ1m以内
長ければ長いほど、太ければ太いほどいいというわけではありません。また、子どもが手に提げて撮影する都合上もあり、30~50cm程度が主流のようです。食べやすさを考慮したミニ千歳飴などもあります。
ひとつのパッケージに入っている千歳飴の本数は、時代や地域によっても差があるようです。昔は「紅白一本ずつ」「白のみ」というパターンも多かったのですが、最近では紅白を取り混ぜて「年齢に合わせた数」を入れるところが増えているようです。もちろん、色も本数も地域性によるので、どれが正しいということはありません。
近年では色の紅白だけではなく、イチゴミルク味や抹茶ミルク味、レモン、グレープ、青リンゴなどバリエーションも豊かになっています。いろいろ食べ比べてみるのも面白いかもしれませんね。
千歳飴の食べ方とは?
千歳飴の本体は、白砂糖を練り、伸ばして冷やし固めた「太白飴(たいはくあめ)」という伝統的な飴です。淡泊な味わいですが、なんといっても困るのがその長さ。ものによっては1m近い長さがありますし、30cm程度のものでも、一度に食べきるにはなかなか難しいですよね。
千歳飴に食べ方の決まりはない!
「神社でいただいたものだから」「きちんとお祓いされてるものだから」「長いことが縁起の良い物だから」など、様々な理由で切ることにためらう方もいるかもしれません。が、千歳飴に正しい食べ方はありません。もちろん「切ってはいけない」という禁止事項もありません。
むしろ長いまま食べようとすると、一度に大量に食べることになって虫歯への不安、長い飴をくわえての事故への不安などなど、子どもの健康と長寿を祝うためのはずが不安がたくさん生まれてしまいます。それでは本末転倒ですよね。
そもそも30~50cmもあるような細長い飴は大人でも食べにくいものです。一度に食べきれない量なので、食べかけがベタベタして保存に困ったり、不衛生になってしまったりも。
千歳飴の切り方いろいろ
千歳飴はぜひ切り分けてください。短くしたものを家族や親戚で分け合って食べるのもおすすめです。一番簡単なのは、袋に入れたままテーブルの角などの硬いところにぶつけて割ってしまうこと。包丁の背で叩いても割れます。袋に入れたまま割ると、細かい破片が飛び散らないので便利です。
きれいに切りたい場合は、包丁よりはキッチンばさみのほうがおすすめですが、その際、レンジで10~20秒温めると飴が柔らかくなって切りやすくなります。飴の状態や長さにもよるので、短時間ずつ様子を見ながら温めると良いでしょう。
少し固めかな?と思った時は、キッチンばさみで1周ぐるりと溝をつけたあと、包丁の背や柄でカツンと叩けば意外ときれいに割れます。
千歳飴を食べきれない時は・・・
砂糖を練り固めただけのものなので、保存容器やジッパー付きの袋に入れて冷蔵庫で保管すれば1年ほど保ちますが、飴としてはもう食べないなと思ったら、味付きのものであれば、ホットミルクに溶かしてしまうのがおすすめです。イチゴ味や抹茶ミルク味などは、ホットミルクにもよく合います。ミルクに入れる場合はあらためて細かく砕くと溶けやすいですよ。
意外だけど、千歳飴は調味料としても使える
プレーンなものなら料理の際に使用してしまうのもOKです。煮物などに入れる砂糖の代わりに、鍋にぽいっと放り込んでしまえばいいのです! 溶けた飴は水飴のようになるので、普通の砂糖よりも仕上がりに照りが出ます。照り焼きなどに使っても綺麗な仕上がりになりますよ。
プレーンな千歳飴は砂糖の塊として考えれば、大学芋の蜜に入れたり、生クリームを入れて溶かした後に煮詰めるとキャラメルクリームになったり、別のスイーツに生まれ変わらせることもできます。
まとめ
千歳飴の豆知識や食べ方について調べてみましたがいかがでしたでしょうか。家族の年代によっては、ここ数年、千歳飴のお裾分けをよくもらうという方や、逆に千歳飴がもう遠い存在という方がいるかと思います。もともと日本人は言葉遊びや語呂合わせ、食べ物への意味づけなどが大好きな民族です。千年も生きられるほどの健康と長寿を願う、縁起の良い(そして当時としてはとても贅沢な)千歳飴。大人でもちょっと食べてみたくなりますね!