白花豆って何? なんて読む? 意外と知られていない産地や旬、美容にうれしい栄養素について
「白花豆」という種類の豆をご存知ですか?大豆や小豆、ひよこ豆など、さまざまな種類がある豆類ですが、その中でもひと際大きく厚みのある豆が、「白花豆」です。
この記事では「白花豆」の産地や旬、意外な効果や食べ方、保存方法まで詳しくご紹介します!
「白花豆」の読み方と正式名称
「白花豆」は「しろはなまめ」と読みます。正式名称は「ベニバナインゲン」。インゲンマメ属の植物のことを指しています。
ベニバナインゲンは、その名前のとおり赤〜オレンジの花を咲かせますが、中には白い花を咲かせる品種もあります。赤やオレンジの花をつけるものは紫花豆(むらさきはなまめ)と呼ばれ、種子も花も真っ白な品種を「白花豆」と呼ぶようになりました。
ちなみに「白いんげん豆」は同じインゲンマメ属の植物ですが、白花豆とは別のものです。白いんげん豆に比べて、白花豆の方が粒が大きく厚みがあるのが特徴です。
白花豆の歴史
「インゲンマメ属」の中でもひと際実が大きく、厚みのある白花豆。では、白花豆はいつ頃から日本で食べられるようになったのでしょうか?次は白花豆の歴史についてご紹介します。
白花豆は観賞用?
白花豆は中央アメリカが原産です。中央アメリカから南北アメリカに広がり、その後世界各国で栽培されるようになりました。紀元前4,000年頃のメキシコからも発見されるほど、白花豆は歴史のある植物です。
日本では、白花豆は江戸時代に渡来してきたといわれています。大きく美しい花を咲かせる白花豆は、食用ではなく観賞用として広がり親しまれてきました。
食用としての白花豆の本格的な栽培は、大正時代から始まったとされています。
北海道は白花豆の日本発祥の地?
日本での白花豆の大規模な栽培は、札幌農学校(現北海道大学の前身)から始まったとされています。冷涼な気候が白花豆の生育に適していたため、その後も北海道のオホーツク地方などに普及していきました。
また、北海道後志地方の喜茂別町には「白花豆植栽発祥記念碑」があります。過去に喜茂別町では白花豆の栽培が行われており、その歴史を残すために記念碑が建てられたそうです。なお、喜茂別町の「花丘」という地名は、かつて白花豆を作っていたことからの由来とされています。
白花豆の産地や旬は?
日本では北海道から始まったとされている、白花豆の栽培。では現在は、北海道のどの地域で栽培が行われているのでしょうか。白花豆の主な産地とともに、白花豆が収穫される「旬」の時期も合わせてご紹介します。
白花豆の産地
白花豆の主な産地は北海道です。特に北見市の留辺蘂(るべしべ)町地区は、白花豆の生産量が日本一。日本の生産量の約7割は、留辺蘂町で作られています。 北海道では北見市を中心としたオホーツク地方のほか、十勝地方でも白花豆の栽培が行われています。 また、北海道以外では東北地方や群馬県、長野県の高冷地でも栽培されています。
白花豆の旬
白花豆の旬は秋。収穫は10月頃に行われます。 白花豆の栽培は、5月に種を蒔くことからスタートします。芽が出てきたらツルを巻きつけるためのサオ竹を立てることが、白花豆の栽培の特徴。伸びてきたツルを竹に巻きつける作業は、一本ずつ手作業で行われます。ツルが伸び、夏に真っ白な花が畑いっぱいに咲いたあと、秋に収穫を迎えます。収穫後の乾燥させた豆の選別も、一粒一粒が手作業です。 白花豆の栽培は手間がかかる分その希少性と高い品質が認められ、今では「高級菜豆」として扱われています。
白花豆の栄養効果
一粒一粒手をかけて作られている白花豆は、おいしいだけではなく栄養もたっぷり。特に女性にうれしいダイエット効果や美肌効果が期待できます。次からは、白花豆の栄養効果についてご紹介していきましょう。
白花豆の主な栄養素
白花豆(茹でた豆・可食部100gあたり)の主な栄養成分は、以下のとおりです。
エネルギー | 121kcal |
---|---|
タンパク質 | 6.2g |
脂質 | 0.6g |
炭水化物 | 22.3g |
カリウム | 440mg |
カルシウム | 28mg |
マグネシウム | 50mg |
鉄 | 1.6mg |
ビタミンB1 | 0.14mg |
ビタミンB2 | 0.05mg |
葉酸 | 23μg |
食物繊維 | 7.6g |
白花豆にはカリウムやカルシウム、鉄などのミネラルがたっぷり含まれています。その他にもビタミンB1やタンパク質、食物繊維がバランスよく詰まった、栄養価の高い食材であることが分かります。
続いて、白花豆にはどんな栄養効果があるのか、もう少し詳しくみていきましょう。
ダイエット効果
白花豆の特徴は「低脂質高たんぱく」であること。筋肉や血液、皮膚を作り出す成分であるタンパク質が豊富に含まれており、ダイエットにはぴったりの食材です。 また、エネルギーの代謝を促すビタミンB1などのビタミン群とともに、カリウム、カルシウム、鉄などのミネラルも豊富。栄養バランスが良く、健康維持にも効果的です。 白花豆は粒が大きいため食べ応えがあり、腹持ちが良いこともダイエット向きの食材と言えるでしょう。
腸内環境の改善
白花豆には食物繊維が多く含まれています。白花豆の食物繊維の多くは水に溶けにくい不溶性。水分を吸収して腸の動きを活性化させて、便秘の解消に役立ちます。また、食物繊維は腸内にある細菌の餌となり、善玉菌を増やす役割があります。腸内環境を整えることでデトックス効果が高まり、肌荒れ防止にも役立ちます。
白花豆の食べ方
女性にうれしい美容効果が詰まった白花豆の代表的な食べ方は、粒の大きさを生かした甘納豆や煮豆など。ホクホクとした食感と控えめな甘さが特徴で、いくらでも食べられる美味しさです。 しかし、白花豆には他にもさまざまな食べ方があります。次は白花豆の食べ方についてご紹介します。
白花豆の白あん
白花豆で作った白あんは、さっぱりとした甘さが特徴です。控えめな甘さの白あんは他の素材とも相性が良く、さまざまな味を楽しむことができます。白花豆の白あんに卵を加えた「黄身あん」、味噌を加えた「味噌あん」、柚子を加えた「柚子あん」など、季節によってアレンジができるのも白あんの良さ。おはぎや大福のほか、あんぱんなどにもピッタリです。
白花豆のムース
和菓子に利用されることが多いイメージの白花豆ですが、スイーツにも使われています。白花豆の代表的な生産地である北見市の留辺蘂町では、「白花豆のムース」が販売されているそう。新鮮な牛乳と生クリームを合わせた特別な味わいは、ぜひ食べてみたい一品です。
白花豆の保存方法
白花豆のおいしい食べ方を知ったところで、気になるのは保存方法。乾燥した豆と茹でた豆、それぞれの保存方法についてご紹介します。
乾燥した豆の保存方法
白花豆は温度や湿度の変化が苦手な食材です。乾燥した状態でも、直射日光が当たらない風通しの良い冷暗所に保存しましょう。 密閉されたガラス瓶などに入れておくと、通常は2年ほど保存が可能です。
茹でた豆の保存方法
白花豆は、まとめて茹でて冷凍することも可能です。冷凍する際はジッパー袋に小分けにしておくのがおすすめ。煮汁と分けて冷凍しておくと、スープや煮物などにも使うことができて便利です。 冷凍してから1カ月ほどで使い切ることを目安にしておきましょう。
まとめ
大粒でホクホクとした食感の白花豆は、ダイエットなどの美容効果など、女性にうれしい栄養が詰まった食材。「高級菜豆」とも呼ばれる白花豆の上品な美味しさを、ぜひ一度味わってみてください。