ゆり根の食べ方とは?北海道野菜「ゆり根」の栄養や旬も紹介します

「ゆり根」といえば、お正月に茶碗蒸しに入っているイメージがありますが、実は全国シェア99.9%で北海道が生産量1位ってご存じでしたか?
北海道以外では、京都のごく一部で栽培されていますが、一般の食料品店に出回っているものはほぼ北海道産です。今回は北海道野菜の「ゆり根」のさまざまな情報をご紹介します!
本ページはプロモーション(広告)が含まれています
- ゆり根の栽培は丸6年もかかる
- 北海道産ゆり根の旬は冬
- 古くから漢方としても使われている
- 茶碗蒸しだけじゃない、ゆり根には活用法がいっぱい
この記事でわかること
ゆり根はコオニユリの根

ゆり根はオニユリやコオニユリなどが食用として栽培されていますが、現在では苦みの少ないコオニユリが約95%を占めています。食用となる部分は「根」ではなく、鱗茎(球根)と呼ばれる部分で、これは葉が変化したものです。
燐片がたくさん重なっている隣茎の形から、「百合」の字が当てられたとの説もあります。日本では古くから食用や薬用として利用されてきました。
ゆり根の食べ方は?簡単な下処理をして加熱するだけ
ゆり根は、下処理をして加熱するだけで簡単に食べることができます。
ゆり根の食べ方
- 水洗いする
- 鱗片をはがす
- 茶色い部分を包丁で削り取る
- 加熱して食べる
それぞれ順を追って解説します。
STEP1.水洗いする
ゆり根にはおがくずがついているので、まずは水洗いしておがくずや汚れを取り除きます。水を入れたボウルの中で洗うと汚れを取りやすいです。水洗いしたらざるにあげて水気を切ります。
STEP2.鱗片をはがす
外側の鱗片(りんぺん)を一枚ずつはがします。根本が見えてきて鱗片をはがしづらくなったら、根本を切り落としさらにはがしていきます。
STEP3.茶色い部分を包丁で削り取る
外側の鱗片は変色して茶色くなっている部分があるので、変色部分は包丁で削り取ります。削り取っておくと料理の見栄えがよくなります。ここまでの下処理が終わったら、すべての鱗片を水洗いし内側に残った汚れなどを取りましょう。
STEP4.加熱して食べる
下処理を終えたゆり根は加熱して食べることができます。軽く火を通せたシャキッと食感になり、じっくり火を通せばホクホクな食感になります。加熱具合で食感が変化するため、炒め物や煮物などにしてさまざまな味わいを楽しみましょう。茶碗蒸しやお味噌汁、卵とじにしてもおいしいです。
ゆり根に毒はありません!
ユリ科の植物には毒があるものもあるため、心配になる方もいるかもしれませんが、ゆり根に毒はありません。食用とされるものだけを栽培しているので、市販されているゆり根を購入して食べるのは安全です!
ただし、自宅で育てた観賞用のユリや山野に自生しているユリの根を掘り起こして食べるのはやめたほうがいいでしょう。
ゆり根が食べられるようになるまで6年

ゆり根の栽培はとても時間がかかります。まず、培養施設でウイルスフリーの種子を育て、2年かけて「母球(ぼきゅう)」と呼ばれる状態に育てます。そこから半年かけてタネ球となる「子球(しきゅう)」が作られます。そこから鱗片を繁殖させ、4年目の春にやっと畑に植えられます。
ただし、植えて終わりではありません。寒冷紗トンネルやハウスなどで大事に育てた後、秋になると掘り返して、それを春まで保存します。
5年目の春に、前年掘り返したタネ球をまた畑に植え、初夏から夏にかけて花のつぼみがついたら、それを全て摘み取り、秋になるとまた畑から掘り取って翌年の春まで保存します。

6年目、もう一度畑に植え、つぼみがついたら摘み取り、球根に栄養をたっぷりと届かせます。そして秋、ようやく「ゆり根」として収穫できるようになるのです。
一度ゆり根を植えた畑は、7年は畑を休ませる必要があるため、ゆり根を継続的に栽培するためにはとても広い畑が必要となります。これが、北海道のシェアが大きい理由かもしれませんね。
ゆり根の産地
食用のゆり根は主に北海道で生産されており、全国シェア99.9%で日本一。わずかに京都府の丹波地方で作られているほか、栃木県や埼玉県、長野県など一部の県でも生産されているようですが、その収穫量は少なく統計調査等においても数値は対象外となっています。

北海道内では、十勝管内や後志地方での生産が盛んです。北海道全体の収穫量は1,060tと言われており、そのうちの約4割にあたる610tがニセコエリアの真狩村で生産されています。作付面積においても北海道全体が約58ha(ヘクタール)なのに対して、真狩村の作付面積が約32.3ha(ヘクタール)。市場で出回っているもの・見かけるもののほとんどは、真狩産と言っても過言ではないくらいです。
ちなみに、北海道で生産・収獲されているのは「白銀」という品種が主流です。苦みの少ないコオニユリを交配親とした品種ですが、2017年には「白玲」という新たな品種も誕生しているそう。ゆり根は収獲までに6年の歳月を要するため、認知や市場に広まっていくにはまだまだ時間がかかるかもしれませんね。
ゆり根の旬は冬
お正月料理の他、京料理などにも使われるゆり根ですが、京都の丹波産は8月から秋にかけて収穫され、北海道のゆり根は10月頃から年末にかけて収穫されます。

かぼちゃやサツマイモなどと同じように、収穫してから2~3カ月寝かせると、デンプンが糖に変わって甘みが増して美味しくなります。お正月料理によく使われるのは、旬だからという理由もありそうですね。
北海道以外では高価なゆり根ですが、お正月を過ぎると価格が下がる傾向にあります。北海道産のゆり根は年末にかけて収穫するので、2月頃でもまだまだ旬です。お正月を過ぎた頃のほうが美味しいものが手頃に手に入るチャンスですね!
栄養と効果効能

ゆり根にはカリウムが多く含まれます。野菜の中でも上位に入る、100gあたり740mgという含有量。カリウムは、体内の余分なナトリウムを排出して血圧を下げたり、水分量を調節して、むくみを軽減する効果があります。
葉酸も含まれているので、貧血の予防や動脈硬化の予防にも期待できます。加えて、ゆり根が優秀なのは食物繊維。食物繊維の整腸作用により、便通の改善に期待できる他、食後の血糖値の急激な上昇を抑える働きや、血中コレステロール値を低下させる働きがあります。
ゆり根は漢方にも用いられる優れもの

また、ゆり根は生薬の「百合(ビャクゴウ)」としても用いられ、漢方薬にも使われています。漢方としての百合は滋養強壮、利尿、咳どめなどに効果があり、精神を安定させ、イライラを解消するなどの鎮静作用もあるとされ、中国や日本では古くから珍重されていたようです。
妊娠中の女性に摂取してほしい食材
前述の栄養面で紹介した「葉酸」は、健康な赤ちゃんを産むのに不可欠な栄養素です。葉物野菜に多く含まれている葉酸ですが、ゆり根にはそれに負けないくらい葉酸が含まれています。
カロリーは高め
むくみ軽減や貧血予防、便通改善など女性に嬉しい効果があり、健康に効果的なゆり根ですが、主成分は芋などと同じ炭水化物。意外とカロリーも高いので、食べ過ぎにはご注意を!
美味しいゆり根の選び方

全体にきれいな白色で、ころっと太っているものを選びましょう。鱗片のひとつひとつにぷっくりと張りがあり、しっかりと重なり合って、全体がかたく引き締まっているものが美味しいです。
傷や黒ずみがあったり、根が長く伸びてしまっているものは避けたほうがいいようです。特に全体に紫色がかったものは苦みが強い傾向にあるので、これも避けましょう。鱗片をばらしてパックに詰められたものも売られていますが、できればおがくずと一緒に詰められた、丸のままの物を選んだほうが新鮮です。
ゆり根の保存方法

おがくずと一緒に入っていたら、そのままおがくずごと袋にいれて、冷蔵庫で保存します。むき出しのものであれば、新聞紙に包んでから袋に入れて冷蔵庫へ。
ゆり根は湿気に弱いので、新聞紙は濡らさないようにしてください。おがくずに埋められて売られているのは、おがくずが水分を吸収してゆり根を守ってくれるからです。
ちなみに、おがくずありなら、冷蔵庫で2~3ヶ月程度、おがくずなしなら冷蔵庫で1ヶ月程度が賞味期限の目安になります。もちろんそれぞれ品質にもよりますし、冷蔵庫の開け閉めの回数などにもよるので、なるべく早く食べきりましょう。
鱗片を一枚ずつばらしてしまっている場合はさっと塩茹でするか蒸してからラップに包んで冷凍します。茹でる際は、やや固めに茹でるのがおすすめです。
ゆり根を美味しく食べる簡単絶品料理
軽く火を通した状態ではシャキシャキとした食感、しっかり火を通すとホクホクとした食感、さらにじっくり火を通すとネットリとした食感に変わるゆり根は、いろいろな料理で楽しんでみましょう。
下処理は、1枚ずつ剥がして汚れを洗い流し、根元の固い部分を切り落とすだけです。下茹でする場合は、沸騰したお湯に塩を加えて、1~2分さっと泳がせるだけで充分です。
定番は茶碗蒸しと煮物

1枚ずつばらしたゆり根を具材として入れると、ほくほくとした食感が楽しめます。ゆり根はクセがないのでどんな味付けにも合いますよ!
朝のお味噌汁にも
お味噌汁にもゆり根は合います。他の食材との相性もいいので、いろいろ組み合わせてみてください。少し爽やかに、三つ葉とゆり根の組み合わせなどいかがでしょうか。
ゆり根の卵とじ
下茹でしたゆり根を醤油やみりんなどの合わせ調味料で軽く煮て、卵でさっととじます。めんつゆなどでも簡単に作れます。ご飯にのせてもいいですね!
ゆり根の天ぷら

天ぷらにするとホクホクとした食感とサクサクとした衣の組み合わせが美味しいです。ぎんなんやトウモロコシ、小ネギなどを混ぜてかき揚げにしても、色が入ってきれいですよ。
ゆり根のにんにく炒め
ばらしたゆり根と、にんにくのみじん切りをサラダ油でさっと炒め、塩コショウで味を調えるだけです。クセのないゆり根はにんにくとも好相性! ビールのおつまみにおすすめです。
ゆり根のきんとん
鍋に砂糖(ゆり根の1/3の量)と、砂糖と同量の水、塩少々を入れて、水分が半分になるまで煮詰めてから、ゆり根を入れて煮ます。
ゆり根が柔らかくなったら蓋をとり、水分がなくなるまで煮詰めてください。ヘラで軽くつぶしたら、ゆり根のきんとんのできあがりです。つぶし加減はお好みで!
まとめ
お正月の定番、ゆり根をご紹介しました。晩秋から冬の終わりまでが美味しい時期なので、お正月以外でも料理に取り入れていきたいですね。お正月を過ぎて、値段が下がった頃がお買い得です!
現代では1年を通していろいろな野菜が出回っているので、旬を意識することが少ないかもしれませんが、ゆり根は今でも旬の時期しか出回らない野菜です。季節を感じられる、冬の楽しみのひとつにいかがでしょうか。