さつまいもの旬な季節や時期・種類は? おいしい食べ方も紹介

みなさん、さつまいもはお好きですか?
焼き芋や大学芋、スイートポテトなどおやつはもちろん、料理にもいろいろと使えるさつまいも。最近では焼き芋の専門店も登場していて、様々な種類を食べ比べできます。
こちらの記事では、さつまいもにはどんな種類があるのか、どんな食べ方が美味しいのか、いろいろ探っていきます!
- さつまいもは中南米生まれ、中国育ち
- 温暖な地を好む野菜なので北関東より南が主流生産地
- さつまいもの旬は9~11月
- さつまいもは低GI食品
この記事でわかること
さつまいもの由来と産地

さつまいもは中南米で生まれ、紀元前800~1,000年頃には、中央アンデス地方で作られていました。その後、ペルーで栄えた文明圏でもサツマイモが栽培されていた事が記録に残っています。
15世紀の終わりには、コロンブスがアメリカ大陸からヨーロッパへとさつまいもを持ち込みますが、ヨーロッパでは気候が合わず栽培は難しい状態でした。そこで、ヨーロッパの植民地であるアフリカやインド、東南アジアなどの植民地で栽培されることになりました。
そこから中国に伝わり、日本にやってきたのは1600年頃と言われています。
さつまいもの名前の由来

琉球(りゅうきゅう/今の沖縄県)から薩摩(さつま/今の鹿児島県)に伝わったので「さつま芋」と呼ばれています。中国から来た芋という意味で「からいも」や、中国での呼び名と同じ「甘藷(かんしょ)」とも言われます。
徳川八代将軍・吉宗の時代には、蘭学者の青木昆陽によってさつまいもが全国に広まりました。
関東では埼玉県川越市のあたりが一大産地となり、江戸から十三里の位置にあったため、川越からくる焼き芋屋のことを「十三里」と呼び、それにかけて、「栗(九里)より(四里)うまい十三里(9+4=13)」と親しまれていた事が記録に残っています。
さつまいもの産地

さつまいもの育成に適切な温度は20~30℃と言われています。
そのため、北関東よりも南での栽培が盛んです。一番収穫が多いのはやっぱり「薩摩」、鹿児島県です。温暖な気候の鹿児島では、品種によって2月頃から植えられたさつまいもが6月頃から収穫されることもあります。
秋に収穫されるのは関東圏です。干し芋の産地としても有名な茨城は、鹿児島についで生産量2位。茨城に続いての3位は千葉です。
それぞれ、産地ごとに違う種類のさつまいもが栽培されているので、「ご当地さつまいも」として、いろいろと味わってみたいですね。
さつまいもの旬の季節は何月?

野菜や果物などは収穫された直後、新鮮であるほど美味しいものが多いですが、さつまいもは収穫直後では少し水っぽく甘みが少ないため、2~3か月ほど貯蔵します。適切な時期に収穫したさつまいもを熟成させることで余分な水分が抜けて甘みが増すので、基本的に季節が夏から冬へと切り替わる秋が食べ頃=旬です。
春から夏にかけて種まきをしたさつまいもは、過ごしやすい季節になってくる9~11月頃にかけて食べごろを迎えます。
暖地である鹿児島は、火山灰を多く含んだ水はけのよい土壌と温暖な気候に育まれて、全国の中でもさつまいもの旬は早く、9~11月に訪れます。4~5月の春の季節に作付けしたさつまいもは、暑い夏を越えて大きく実るのが特徴です。
基本的にさつまいもは1~2カ月の熟成期間をおいてから出荷されます。しかし、鹿児島の名産品である安納芋など、品種によっては2週間~1ヶ月など、熟成期間を短くして出荷されるものもあります。
そのため、店頭にならぶのは夏が終ってすぐの9月末頃から冬が始まる12月頃まで、幅広い時期に流通します。
お隣の宮崎では青果用の品種が多いため、さつまいもの旬は10~1月のものが多いです。関東の茨城ではそれよりも遅く、12~2月頃に旬を迎えます。
ただし、これらは品種によりばらつきがあります。
さつまいもの品種
さつまいもは品種によって、食感や甘みが変わります。
その種類は数十種類にも及びますが、ほくほく系・しっとり系に分けて、代表的なものをいくつかご紹介します。
【ほくほく系】紅あずま
食用としてはもっとも作付面積が多いのが紅あずまです。
焼き芋や天ぷら、サラダ、煮物などに向いています。ほっくりとした、昔ながらの焼き芋を味わいたいなら紅あずまがおすすめです。
しっかりとした甘みで、生のままだと平均糖度は約14度、焼き芋にすると約32度にまで上がります。
【ほくほく系】紅さつま

鹿児島をはじめとした西日本で多く栽培されています。甘みが強いほくほく系で、料理にもお菓子にも向いています。
ハウス栽培の早いものだと6月上旬から収穫が始まり、7~9月には出荷のピークを迎えます。他のさつまいもより一足早いのが特徴のようですね。
【ほくほく系】鳴門金時
徳島県鳴門市が発祥の鳴門金時は、中身が黄金色のさつまいもです。
焼いたりふかしたりしてそのまま食べてももちろん美味しいですが、糖度が高いのでお菓子にも向いています。栗のようにほくほくとした食感が魅力です。
【ほくほく系】紅こがね
茨城県で主に栽培されている紅こがねは、ねっとり系に比べるとやや甘みは劣りますが、昔ながらの自然な甘さが味わえる人気の品種です。
食べ飽きない甘さで、冷めても味が落ちないと言われています。加熱後はほくほくとした食感で、口にいれるとほどけるような食感が楽しめます。
【しっとり系】シルクスイート

2012年に種苗の販売が開始されたシルクスイートは比較的新しい品種です。
ほどよい甘さが上品で、シルクのようになめらかな食感が特徴です。収穫したてはほくほくで甘く、貯蔵するとねっとりとした甘さに変わり、熟成具合で2種類の美味しさを楽しめるさつまいもです。なめらかな食感はスイートポテトなどに向いています。
【しっとり系】クイックスイート
農研機構によって交配研究され、2002年に誕生した品種です。最大の特徴は電子レンジで加熱するだけで、一般的なさつまいもより甘く焼き上げられることです。
クイックスイートは通常より20℃ほど低い50度前後で、でんぷんが糊化します。それによって麦芽糖が生成される時間が長くなり、電子レンジの加熱でも石焼き芋のような甘さが楽しめるんだとか。
さつまいもの栄養価

さつまいもは、いも類の中では糖質・カロリーともに高めで、炭水化物を多く含むため、もちろん食べ過ぎには注意です。
ただ、さつまいもは低GI食品なので、食後血糖値が上昇しにくい食品でもあります。血糖値の上昇を緩やかにすると、脂肪を体内にため込む作用を防ぐことにつながるので、食べ過ぎなければダイエットに向いている食品です。
便通を改善する鍵となる食物繊維を多く含み、高血圧を防ぐカリウムも含まれています。
また、さつまいもにはビタミンCも豊富。
さつまいもの中でも安納芋にはβカロテンが、紫芋にはアントシアニンが含まれ、これらは抗酸化作用が期待されています。
ただし、やはり糖質は高めなので、糖尿病の方は1日1/4本、ダイエット目的の方は1日1/2本までを目安にしておくといいかもしれません。
美味しいさつまいもの選び方

さつまいもは、皮の色が均一で斑点やしわのないものが、いいさつまいもです。
スーパーなどで買う際には皮がきれいかどうかを見てみるといいですね。形はでこぼこやひげ根が少ないもののほうがいいです。
さつまいも特有の紡錘形(ぼうすいけい、つむがた)で、真ん中がきれいにふっくらとして、持ったときに重量感があるものを選びましょう。ちなみに、切り落とされた上端から飴色の蜜が出ているものは糖度が高くなっているので、とっても甘くなっている証拠です!
さつまいもは焼き芋で効率良く栄養が摂れる
さつまいもにはさまざまな食べ方がありますが、栄養を効率良く摂れる食べ方として注目されているのが焼き芋です。
ビタミンCは熱に弱いと言われるものの、数時間の加熱程度では大きく損なわれないことが分かっており、加熱よりも煮たり蒸したりすることで水に溶けて損なわれてしまう割合の方が多い傾向にあります。そこで、焼き芋にすることで、水溶性のビタミンCをさつまいもの中に閉じ込め、効率良く摂取できるでしょう。
また、サツマイモに含まれるアミラーゼという酵素は、じっくりと熱を通すことで働きが活発になります。アミラーゼが活発に働くことで、さつまいもの甘みが増すため、焼き芋は美味しく栄養をたっぷり摂れる食べ方と言えます。
美味しい焼き芋の作り方
さつまいもの食感、甘みをシンプルに味わうなら焼き芋が一番です。
さつまいもは70度ほどの低温でじっくり焼くと甘みを引き出せるので、時間があれば低温調理がおすすめです。どの焼き方も、加熱した後に余熱で放置する時間を作るのが、甘く仕上げるコツです。

オーブンで焼く場合
さつまいもを軽く水洗いし、そのままオーブンに入れ、余熱なしの160℃で90分焼きます。
そのまま庫内で10~15分ほど放置します。竹串がすっと刺さればできあがりです。
トースターで焼く場合
800~850Wで15分焼き、余熱で10分ほど放置します。その後、上下をひっくり返して、さらに15分焼きます。竹串を刺して、固いようであれば追加加熱をしてください。

レンジで作る場合
手軽さなら電子レンジが一番!水洗いした後、濡らしたキッチンペーパーか新聞紙でさつまいもを隙間なく包み、その上からラップで隙間なく包み込みます。
竹串でラップに数カ所穴をあけ、耐熱皿にのせて500Wで10分加熱します。取り出したら、ラップに包んだまま5分放置します。
竹串を刺して、固いようであれば500Wで3分ずつくらい様子を見ながら追加加熱します。ラップに穴をあけないと、途中でラップが破裂してしまうので気をつけてくださいね。
魚焼きグリルを使う場合
最近のグリルには遠赤外線機能がついています。遠赤外線機能付きのグリルなら、焼き芋屋さんの味が再現できる可能性が高いです。
さつまいもを水で洗った後、アルミホイルで包んで魚焼きグリルに入れます。 弱火で30分焼き、火を消して10分放置するだけで完成します。グリルが片面焼きの場合は、ひっくり返しながら弱火で20分ずつが目安です。
炊飯器を使う場合
焼き芋というよりは、ふかし芋に近い形になりますが、炊飯器でも調理可能です。水洗いしたさつまいもを炊飯器に入れ、さつまいもの高さの半分まで水を入れます。
あとは炊飯ボタンを押すだけです。ちなみに、玄米モードで炊くと、石焼き芋のようなねっとり感が出ます。水分が飛びにくいのでふっくらと柔らかく仕上がります。

焼き芋のおすすめアレンジレシピ
焼きいもはそのまま食べても美味しいですが、少し手を加えることでさらに美味しくいただけます。
最後に、焼き芋をさらに美味しくするおすすめのアレンジレシピを紹介します。
〈焼き芋バタートースト〉
焼き芋の中身を取り出して、つぶしながら食パンに塗り、バターをひとかけらのせて、トースターで5~8分ほど焼きます。
溶けたバターの上に、アイスクリームをのせて、メープルシロップをかけて、仕上げにごましおを散らします。
焼き芋の甘さにバターのコク、冷たいアイスとのコントラスト、メープルシロップの香りと、ごましおのアクセントが全て引き立て合う美味しいアレンジです。朝食やおやつとしても食べてみてください。
〈焼き芋のチーズ焼き〉
余ってしまった焼き芋に、とろけるタイプのチーズをのせて、トースターでこんがり焼くだけの簡単レシピです。
チーズの塩気が甘い焼き芋と合います。
まとめ
今回はさつまいもにクローズアップしてみましたが、いかがでしょうか。
品種や産地によって違いはありますが、秋から冬にかけての季節に旬を迎えるさつまいもは、以前はほくほく系が主流でしたが、近年ではしっとり系やねっとり系と呼ばれる品種が増え、さらにバリエーションが豊かになっています。
調理法や好みに合わせて、好みに合わせて、ぜひいろいろな品種を食べてみてください!