桃の旬はいつ?産地やきれいな剥き方、保存方法も紹介
甘くてジューシーな桃は、大人から子どもまで年齢を問わず好まれるフルーツのひとつです。桃の旬はとても短い果物。美味しい桃を選ぶには、品種や生産地によって異なるベストなタイミングを知ることが重要です。
この記事では、桃の品種や産地別の旬の時期、美味しい桃を選ぶポイント、保存方法、切り方などを紹介します。美味しい桃を選びたい人や、桃を美味しく食べたい人はぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 桃は中国原産でバラ科モモ属の果物
- 桃の国内最大生産地は山梨県
- 桃の旬は初夏から秋にかけて
桃ってどんなフルーツなの?
桃はバラ科モモ属の植物で、中国が原産です。食用だけでなく、観賞用の桃なども世界各国で栽培されています。フレッシュフルーツや、スイーツ、シロップ漬けなど、さまざまな形で食べられている人気の果物です。
桃の歴史
桃が伝わったのは弥生時代と言われており、日本で長く食べられてきた歴史のあるフルーツです。しかし、原産国である中国ではさらに歴史が長く、紀元前770年頃にはすでに桃が食べられていたのではないかと考えられます。
中国では桃に神聖な力が宿ると考えられており、桃源郷でとれる桃は不老不死を叶える仙果と言われていました。こういった背景から、西遊記など有名なお話にも桃が度々登場しています。
日本に伝わった最初の桃は甘味がそれほど無かったため、果物として食べられる一方で観賞用として栽培されることも多かったそうです。江戸時代にかけて、観賞用の桃の栽培が盛んになり、さまざまな書物に桃の木の描写が見られるようになります。
現在のような甘い桃が輸入されるようになったのは明治時代になってからです。甘くて万人受けする桃はたちまち人気になります。栽培が盛んになり、それに伴って品種改良により多くの新種が誕生しました。現在厚生労働省によって登録されている桃の品種は298種にのぼります。
桃に含まれる栄養
桃は美味しいだけじゃなく、栄養も豊富です。特に健康の維持や美しさを保つために必要な栄養素が多く含まれています。
桃に含まれる栄養
- ペクチン
- カリウム
- ビタミンC
- ビタミンE
ペクチンは食物繊維の一種で、腸内環境を整える働きがあります。腸内環境が良くなると、免疫力の向上効果なども期待できるでしょう。その他、高血圧やむくみの改善が期待できるカリウムや、美肌作りに欠かせないビタミンC、体内の活性酸素を除去し若々しく保つ抗酸化作用が期待できるビタミンEも豊富に含まれています。
白桃と黄桃の違い
フルーツとして食べる桃は白いけど、缶詰やゼリーなどに入っている桃は黄色。この違いは何だろう?と思ったことがある人は少なくないでしょう。
白い桃「白桃(はくとう)」と、黄色の桃「黄桃(おうとう)」。
どちらも桃の品種です。一般的に、白桃は瑞々しくジューシーなのでそのままフルーツとして食べられることが多く、黄桃は甘味が強く果肉がしっかりとしていてやや固めなので加工品として扱われるケースが多いと言えます。
黄桃も品種によってはそのまま美味しく食べられるものもあるので「黄桃=加工品」という訳ではありません。
桃の種類と品種
桃は数多くの品種があり、白桃と黄桃以外にもさまざな分類があります。
水蜜桃
一般的に食べられている桃は水蜜桃の白鳳系や白桃系です。黄桃系は、缶詰などに加工されているものをよく見かけますね。黄桃の中にも、そのままで美味しく食べられるものがありますが、これらは偶然生まれた新品種であることが多いようです。
白鳳系
- 特徴
甘味の強さが特徴。酸味がほとんどない - 栽培特性
早生種・中生種 - 有名な品種
日川白鳳、八幡白鳳など
白桃系
- 特徴
実がしっかりしていて、日持ちしやすい - 栽培特性
中生種・晩生種 - 有名な品種
川中島白桃、清水白桃など
黄桃系
- 特徴
果肉がかためで、加工に適している - 栽培特性
中生種・晩生種 - 有名な品種
黄金桃など
蟠桃
蟠桃(ばんとう)は中国原産の桃で、平たいユニークな形をしています。福島県や山形県など、桃の生産地で稀に栽培されていることもありますが、基本的に栽培がとても難しい品種です。そのため、一般に流通することはほとんど無く、見た事がないという人も多いでしょう。
- 特徴
円盤状の平たい形。果肉がきめ細かく滑らか - 栽培特性
早生種・中生種・晩生種 - 有名な品種
日本ではほとんど栽培されていない
ネクタリン
ネクタリンは桃が突然変異して生まれた品種で、桃の大きな特徴であるうぶ毛がなくツルンとしています。原産国は中央アジアのトルキスタン地方。生でも加工品としても楽しめますが、乾燥地帯の果物なので日本の栽培環境に適さず、国内での生産量はあまり多くありません。
- 特徴
桃の変種。果肉はかためで甘酸っぱい - 栽培特性
早生種・中生種・晩生種 - 有名な品種
ファンタジア秀峰など
桃の生産量が多い都道府県ランキング
順位 | 都道府県 | 収穫量 | シェア |
---|---|---|---|
1位 | 山梨県 | 3万4,600t | 32% |
2位 | 福島県 | 2万4,300t | 23% |
3位 | 長野県 | 1万600t | 10% |
4位 | 山形県 | 8,880t | 8% |
5位 | 和歌山県 | 7,310t | 7% |
参照:果樹生産出荷統計(農林水産省:作況調査(果樹):農林水産省
日本の桃は、海外からも高い評価を得ています。全国の2022年における桃の収穫量は9万8,900トンでした。
全国で最も収穫量が多いのは山梨県、続いて福島県、長野県も桃の栽培が盛んです。日本の桃の生産は山梨県、福島県、長野県の3県が全体の6割を占めています。
桃は全国各地で栽培されており、ランキング外には岡山県、青森県、新潟県、香川県、愛媛県、岐阜県なども挙げられます。また、北海道でも余市町などで桃の栽培が行われており、桃の栽培環境として適した高冷地気候によって、着色・甘み共に高品質の桃が収穫されます。
一般的な桃の旬
桃は主に初夏から秋にかけて旬を迎えます。桃はとても傷みやすい果物のため、旬を迎えたら10日ほどで全て収穫してしまわなければいけません。
収穫時期の早い超早生種から、早生種、中生種、晩生種と順に旬を迎えます。
超早生種は5月頃から収穫がはじまり、最も多くの桃が収穫されるのは早生種と中生種の旬の時期が重なる7~8月頃です。
【産地別】桃の旬の時期
桃の旬は、品種以外にも栽培されている地域の気候によって変化します。続いては、産地別の桃の旬や、その地域で多く栽培されている品種の旬の時期をみていきましょう。
山梨県
桃の生産量全国1位の山梨県ではさまざまな品種が栽培されています。そのため、山梨県産の桃は6月中旬から9月下旬頃までの比較的長い期間出荷され続けます。
山梨県で最も多く生産されているのは「白鳳」。7月中旬~8月上旬に旬を迎える定番の桃です。また、山梨県では冬に収穫できる「冬桃(とうとう/クリスマスピーチ)」の栽培をしている桃農家も増えてきているそうです。さらに長い期間、桃を楽しめるようになるのは嬉しいですね。
福島県
福島県の山間部側は果樹農家が多く、桃の栽培においても出荷量が全国で2位。福島県では6月下旬~10月上旬にかけて、次々と桃が旬を迎えていきます。
福島県では、皇室献上品にも選ばれた「あかつき」を栽培している農家も多く、8月に旬を迎えます。その他も、福島では次々と新品種が開発されており、注目を集めています。
長野県
中部地方で最も多くの桃を生産している長野県の桃は、7月上旬~9月下旬が旬の時期です。
特に長野県で人気の品種は、県内で誕生した「川中島白桃」です。今や全国で栽培されるようになった人気品種で、長野県では7月中旬から8月下旬に旬を迎えます。
山形県
寒暖差が大きく、特に糖度の高い桃が栽培されることでも有名な山形県。山形県産の桃は、比較的遅めの8月上旬~10月上旬にかけて旬を迎えます。
「かたい桃」としてメディアなどでも取り上げられた「おどろき」や「美晴白桃」は8月中旬~下旬にかけてが旬です。さっぱりした甘みと、歯ごたえのある果肉を楽しめる山形県産の桃は、特に旬が短いためタイミングが合わないと手に入れられないこともあります。
和歌山県
海の幸、山の幸が豊富な和歌山県。全国5位の桃の生産地で、旬は6月中旬~8月中旬と比較的早い時期に迎えます。
和歌山県紀の川市桃山エリアで栽培された桃は「あら川の桃」として品質の高さが全国的に有名です。中でも「はなよめ」や「桃山白鳳」の旬は早く、6月中旬から下旬。シーズン初の桃をいち早く美味しく味わえます。
岡山県
岡山県は白桃栽培を最初に始めた地域と言われています。岡山県産の桃は6月中旬~9月下旬で、主に白桃系の桃が多く栽培されているのが特徴です。
中でも贈答用などとして人気の「清水白桃」や、岡山県のオリジナル品種である「おかやま夢白桃」などが7月中旬~8月中旬に旬を迎えます。
北海道
北海道で桃の栽培が盛んな余市町では8月中旬~9月下旬にかけて旬を迎えます。桃狩りを楽しめる農場も多いので、桃を目当てに北海道を観光するなら旬の時期を選ぶのがおすすめです。
北海道で多く栽培されているのは、「あかつき」や白鳳系の品種です。これらの品種も、本州と比べると比較的遅い時期に旬を迎えます。
美味しい桃を選ぶ目利きポイント
旬の時期に流通する桃。特に美味しい桃には以下の特徴があるので、よくチェックしてみてください。
桃の目利きポイント
- 左右対称なもの
- ふっくらして丸みがあるもの
- 全体にしっかりうぶ毛が生えているもの
- 香りが強いもの
- 緑がかった部分がないもの
- 表面に細かいヒビのような模様があるもの
- 皮の色が濃いもの
桃はぶつかったり、落ちたりして衝撃を受けた部分から変色して傷んでしまいます。茶色い部分があるものや、黒ずんでいるものは避けたほうがよいでしょう。
桃の保存方法
桃はとても鮮度が落ちやすいため、適切な保存方法で保管しましょう。
常温保存
桃は基本的に常温での保存がおすすめです。
長時間低温にさらすと、甘みや風味が落ちてしまいます。食べる1~2時間前に冷蔵庫に入れて、冷えた桃を早めにいただきましょう。桃は追熟していくため、常温でもあまり長い期間保存はできません。
完熟しているものなら購入した当日か1~2日以内に、未完熟なものなら3日を目安に食べきった方がよいでしょう。
冷凍保存
桃をすぐに食べきれない場合は、冷凍保存しておくのがおすすめです。
1玉丸ごと冷凍保存する場合は、ラップで包み冷凍保存袋に入れて保存します。解凍の際は流水解凍すると、途中で皮がつるんと剥けます。
カットされたものを冷凍する場合は、変色を防ぐために薄めたレモン水にサッとくぐらせてからキッチンペーパーなどで水分を拭き取り、保存容器に入れて冷凍してください。
【簡単&きれい】桃の剥き方・切り方
果肉が柔らかくて中心に大きな種を持つ桃。「美味しいけど、切るのが難しい」と思っている人も多いでしょう。最後に、簡単できれいに桃を切る方法を紹介します。
- 水で桃を洗い優しく手のひらでこすってうぶ毛を落とす
- 桃の筋(縦に割れている部分)に包丁を入れ、種に当たったらそのまま1周回して切り目を入れる
- 切り目を入れた左右を手のひらで包み、それぞれ反対方向に捩じるように回す
- 分かれた桃をくし型(食べやすい大きさ)にカットして皮を剥く
切り目を入れて捻るだけで、桃を簡単に種から切り離すことができます。一口サイズに切った桃の皮は剥がれやすく、実を崩す心配もありません。
まとめ
甘くて美味しいフルーツ界のアイドル・桃について紹介してきました。桃はとても種類が多く、今回紹介した以外にもさまざまな品種が存在します。桃は旬の時期が大変短い果実なので、栽培特性とそれぞれの旬の時期をしっかり把握して、一番美味しい時期に味わうのがおすすめです。
ぜひ、全国各地の旬の時期を把握して、美味しい桃を味わってみてくださいね。