牛乳の栄養と成分はやっぱりスゴい! 効率的に摂取する正しい飲み方とは
朝の始まりや、お風呂上りに飲みたくなる牛乳。何となくカルシウムが多い、飲むと体に良いというイメージがあると思いますが、実際に栄養もしっかり豊富です。本記事では、牛乳に含まれている栄養素や効率よく栄養を摂取するコツを紹介します。
- たんぱく質もビタミンも摂取できる
- 低脂肪乳の方がカルシウムが多い
- 飲みすぎはNG! カロリーオーバーに
- 1日コップ1杯がおすすめ
この記事でわかること
牛乳が「栄養バランスがいい」といわれる理由
近年「完全栄養食」という言葉がよく聞かれるようになりました。完全栄養食とは、統一された定義はないものの、一般的に厚生労働省の定める「日本人の食事摂取基準」に記載されている必須栄養素を補える食品として広く認識されています。
牛乳は完全栄養食ではないものの、たんぱく質、ミネラル、脂肪、ビタミン、糖質などを含み、人間に必要な必須栄養素の多くを含んでいることから「準完全栄養食」と呼ばれることもあります。
さらに、牛乳には、お互いの吸収を促す成分が多く含まれているため、吸収率がよく、古くから「栄養バランスがいい食品」として取り扱われて来ました。
牛乳100gに含まれる栄養
普通牛乳100gに含まれる栄養は以下のとおりです。
たんぱく質 | 3.3g |
---|---|
脂質 | 3.8g |
ナトリウム | 41mg |
カルシウム | 110mg |
マグネシウム | 10mg |
リン | 93mg |
レチノール(ビタミンA) | 38㎍ |
ビタミンK | 2㎍ |
ビタミンB2 | 0.15mg |
葉酸 | 5㎍ |
イソロイシン | 170mg |
ロイシン | 320mg |
リシン | 270mg |
メチオニン | 80mg |
トレオニン | 150mg |
トリプトファン | 46mg |
バリン | 210mg |
ヒスチジン | 93mg |
牛乳には、人体のなかで生成できず食事から摂取しなければならない必須アミノ酸が豊富に含まれています。その他、たんぱく質やカルシウム、ミネラル、ビタミンなど、さまざまな栄養がバランスよく含まれているのも大きな特徴のひとつです。
牛乳に含まれる注目の栄養5つ
牛乳の栄養といえば真っ先にカルシウムを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。カルシウムはもちろんですが、牛乳はそれ以外にもさまざまな身体づくりに必要な栄養素を含んでいます。続いては、牛乳に含まれる栄養のなかでも特に注目したい5つの栄養素について解説します。
1.カルシウム
牛乳に含まれる栄養の代名詞でもあるカルシウムは、骨や歯を形成する役割を果たしています。不足すると、骨粗しょう症のリスクが高まるので、丈夫な骨をつくるために欠かせない栄養素です。
「イライラするのはカルシウム不足」と言われるように、カルシウムは神経の興奮を抑える働きがあります。気持ちのコントロールが上手くいかないときは、牛乳でカルシウムを補給すると良いかもしれません。
ちなみに、日本人の成人男性が1日に摂取を推奨されているカルシウム量は750mg、女性の場合650mgです。牛乳コップ1杯(200g)を飲むことで、1日に摂取を推奨されているカルシウムの約1/3を摂ることができます。
2.ビタミンB群
牛乳には、ビタミンB2、ビタミンB12を中心としたビタミンB群が豊富に含まれています。ビタミンB2は、皮膚や粘膜を健康に保つ働きがあるので、肌の調子を維持したり、口内炎を予防したりすることが可能です。その他、妊娠中の女性に必要とされる葉酸もビタミンBの一種として、牛乳に含まれています。
ビタミンB12や葉酸は、赤血球をつくるために体の中で働いています。不足すると貧血になりやすくなるので、しっかり摂取することが大切です。牛乳をコップ1杯(約200g)飲むことで、1日に必要なビタミンの約1/4を摂取できます。
3.たんぱく質
たんぱく質は、身体をつくる上で欠かせない栄養素です。筋肉や臓器などつくる上で欠かせない栄養素であり、ホルモンや免疫力にも深く関わっています。
100mgに含まれるたんぱく質は3.3gです。コップ1杯(約200g)に換算すると6.6gとなり、卵とほぼ同じ量が含まれています。朝に一杯牛乳を飲むだけでも健康な身体づくりにつながるでしょう。
また、牛乳に含まれるたんぱく質には、20種類のアミノ酸がバランスよく配合されているのも特徴のひとつです。特に、人体で生成できない必須アミノ酸が豊富に含まれており、健康な食生活には欠かせない栄養源と言えます。
牛乳に含まれるたんぱく質は、消化されるなかでカゼインホスホペプチドという成分に分解され、カルシウムの吸収を促すことも分かっています。
4.乳脂肪酸
牛乳に含まれる乳脂肪は、少量で多くのエネルギーを産出できる効率的なエネルギー源である事が分かっています。また、乳脂肪は牛乳に含まれている脂溶性ビタミン(ビタミンAやビタミンKなど)の吸収を促す働きも期待できます。
ある研究では、牛乳を毎日摂取することで認知症リスクが15%低減するという報告がされており、認知症と乳脂肪に含まれる栄養の関連性が注目されているのも特徴のひとつです。その他にも、牛を含む反芻動物から得られる乳脂肪は、がんの発生抑制に関連しているのではないかと言われており、現在も研究が行われています。
5.乳糖
乳糖は、ブドウ糖と言われるグルコースとガラクトースで構成される、牛乳の炭水化物に含まれる栄養素です。疲れたときにブドウ糖を補給することがあるように、ブドウ糖はエネルギーの源になります。
脳の栄養補給や発達、エネルギー代謝など、乳糖は重要な栄養素のひとつと言えるでしょう。
牛乳と低脂肪乳の違いとは
低脂肪牛乳は、一般的な牛乳に比べて、脂質が低いのが特徴です。コップ1杯あたりの脂質は、牛乳が7.6g、低脂肪牛乳が2gなので、脂質が気になる方は低脂肪牛乳を選ぶと良いでしょう。
他の栄養素の違いも気になる方もいるのではないでしょうか。栄養の違いは、以下の通りです。
成分 | 牛乳 | 低脂肪乳 |
---|---|---|
たんぱく質 | 6.6g | 7.6g |
炭水化物 | 9.6g | 11g |
カルシウム | 220mg | 260mg |
たんぱく質、炭水化物、カルシウムの配合量は低脂肪牛乳の方が多いと言えます。エネルギー源になる脂質は少なくなりますが、他の栄養面は優れている部分が多いです。ダイエット中など、脂質を減らしたいけど栄養はしっかり摂りたい場合には、低脂肪乳を選ぶのがよいでしょう。
ホットミルクにすると栄養は変わる?変わらない?
冷たい牛乳よりもホットミルクが好きな方もいるかと思いますが、加熱して栄養が変わることはほとんどありません。熱に弱いビタミンCはもともと少なく、その他の栄養素も影響を受けにくいです。
そのため、シチューやグラタンなど加熱する料理でも、牛乳の栄養をしっかり摂り入れることができます。
牛乳の1日の摂取目安量
牛乳は栄養の宝庫ですが、飲めば飲むほど健康になるわけではありません。コップ1杯あたりのカロリーは約122kcalであるため、飲みすぎると1日に必要なカロリーをオーバーしてしまい、太る可能性があります。
また、牛乳に含まれる乳糖が苦手な体質である「乳糖体質」の方も要注意です。お腹がゴロゴロしたり、下痢をしたりしやすい方は、様子を見ながら少しずつ飲むようにしましょう。
一般的な目安は、1日コップ1~2杯と言われています。朝食やお風呂上りなど、タイミングを決めて毎日飲むのがおすすめです。
牛乳の栄養を美味しく摂り入れられるおすすめ料理・レシピ
そのまま飲むのが一番手軽ですが、独特な香りや味が苦手な方もいるかもしれません。そんなときは、料理に使うのがおすすめ。シチューやグラタンなどの人気メニューにしても、牛乳を使ったドリンクをつくったりしても、牛乳の栄養を美味しく摂取できますよ。
シチュー
大人も子どもも大好きなシチューは、牛乳をたくさん使用できるメニューです。じゃがいもやにんじん、ブロッコリー、鶏肉などを具だくさんにすれば、たくさんの栄養を一度に摂取できます。入れる具材は自由なので、きのこを入れたり、お肉を魚介類に変えたりして、自分好みのシチューをつくってみましょう。
クラムチャウダー
あさりとミルクを使ったクラムチャウダーも人気メニューのひとつ。牛乳のコクを感じられるスープに、あさりの旨みがしっかり染みて、味わい深い一品になります。シチューのように野菜も入れやすく、栄養満点な牛乳料理です。
グラタン
牛乳をふんだんに使ったホワイトソースを生かしたグラタンもおすすめ。クリーミーな味わいと具材の組み合わせを楽しめます。チーズをのせたり、ソースに隠し味を入れたりして、アレンジが利くのも嬉しいポイントです。ごはんをプラスして、ドリアにするのも良いでしょう。
カルボナーラ
カルボナーラは、生クリームを減らして牛乳をメインにしても作れます。生クリームメインのカルボナーラよりもあっさりした仕上がりになるので、すっきりとヘルシーに味わえるメニューです。野菜や魚介類、ベーコンなどを加えて、ヘルシーな牛乳カルボナーラをつくってみましょう。
ドリンク
そのままの牛乳が苦手な方は、アレンジドリンクにするのがおすすめです。コーヒーが好きな人は、カフェオレにすると牛乳を美味しく味わえます。コーヒが苦手な人は、カフェオレにするだけで牛乳を気軽に楽しめます。お茶との相性も良く、カモミールミルクやほうじ茶オレなどにしてみるのもよいでしょう。
冷たいドリンクが好きな方は、フルーツや野菜と牛乳を合わせてみてください。スムージーやシェイクにして、デザート感覚で牛乳を飲めば、しっかりと栄養を補えます。
まとめ
牛乳には、カルシウム以外にも、たんぱく質やビタミンB群、乳脂肪、乳糖などが多く含まれています。健康な身体をつくったり、強い骨を形成したりするなど、身体づくりに欠かせない栄養素ばかりです。
温めても栄養が失われることはほとんどないため、ホットミルクにしたり、加熱調理したりしても問題ありません。とはいえ、飲みすぎはカロリーオーバーになりやすいので、1日コップ1~2杯が目安を目安にしてください。ご紹介した料理も参考にして、牛乳を毎日の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。