昆布の種類と産地が知りたい! 特徴や味の違いとは

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北海道は、国内で生産されている9割の昆布が収穫されている有数の産地。「利尻昆布」「羅臼昆布」「日高昆布」といった有名な品種のほかにも、たくさんの昆布が各地に分布しています。生育環境が変われば、味わいや大きさなども変化し、特徴は様々。

本記事では、昆布の種類と主な産地に加えて、選び方や代表的な加工品までご紹介します。

    この記事でわかること

  • 国内の昆布は、ほぼ北海道産
  • 生育環境によって味わいや旨みが異なる
  • 出汁もとって昆布も食べるなら、日高昆布
  • 北海道ご当地ラーメン
  • スープカレー特集

北海道は昆布が豊富! 主な産地はどこ?

北海道は昆布が豊富! 主な産地はどこ?

日本有数の産地・北海道には、様々な昆布が生育されています。海水や潮など環境の影響を受けるため、「利尻昆布」といったように、〇〇(地名)+昆布という名前が多いです。

主なエリア区分と昆布の銘柄は、以下のようになっています。

エリア 種類
稚内周辺 利尻昆布
羅臼周辺 羅臼昆布
釧路・根室周辺 長昆布、厚葉昆布
日高周辺 日高昆布・三石昆布
函館周辺 真昆布、がごめ昆布
日本海沿い 細目昆布

釧路・根室周辺から日高周辺の太平洋には、親潮と言われる寒流が流れています。函館周辺と日本海沿いには対馬海流と呼ばれる暖流が流れ、噴火湾近海では暖流と寒流がぶつかっているのが特徴です。

昆布の種類と特徴

主な産地を見ていただくとわかるように、北海道には様々な昆布があります。どれも個性があるので、特徴を知っておくと、用途に合った品種を選べるようになるはず。

ここでは、主な種類と特徴を詳しく解説していきます。

真昆布

真昆布

真昆布は、暖流と寒流がぶつかる噴火湾周辺で獲られる品種です。甘みがあり、透き通っただしが出るので、お吸い物や鍋などに適しています。だし用の昆布以外にも、とろろ昆布や塩こんぶ、佃煮などにも使用される、万能な昆布です。

利尻昆布

利尻昆布

利尻昆布は、宗谷岬や礼文島、利尻島などの周辺で生育しています。甘みがありつつも、塩気があり、味の濃いだしが出るのが特徴。お吸い物や湯豆腐、漬物などと相性が良いです。昆布の中では比較的高級で、料亭などでも使われています。

羅臼昆布

羅臼昆布

羅臼昆布は、上質なだしが出る昆布で、だしの王様とも呼ばれています。知床半島の根室側のみに生育していますが、産地名は羅臼に統一されています。だしが黄色く濁る性質があり、濃い旨みとコクを出してくれるのが特徴です。だし用以外には、おしゃぶり昆布や昆布茶などに使用されます。

日高昆布

日高昆布

日高昆布は、静内や浦川といった日高地方、恵山(えさん)や古武井(こぶい)といった十勝・渡島に生育しています。広尾沖で水揚げされる三石昆布も、この日高昆布系です。煮込むと柔らかくなりやすく、煮物や昆布巻きとの相性が良いです。上質な味は万能で、様々な料理に使用できます。

長昆布

釧路の知人岬(しりとみさき)から根室の納沙布岬(のさっぷみさき)にかけて、太平洋沿岸に分布しています。細長い形が特徴で、長さは20mになるものも。生産量が多いため、スーパーなどでも見かける機会が多いです。用途は幅広く、佃煮や煮物、おでんなどで食べられています。

細目昆布

名前の通り、細い形の昆布です。天売島・焼尻島から道南エリアの福島町にかけて生育。粘りが強いので、とろろ昆布や納豆昆布などに多く使われています

がごめ昆布

がごめ昆布は、函館や室蘭の沿岸に生育し、真昆布と地域が重なっています。「がごめ」とは、表面の凹凸がかごの目に似ていることが由来。粘りが強く、健康に良いネバネバ食材として注目されています。魚介類とネバネバ食感を味わえる松前漬けに使われたり、とろろ昆布やおぼろ昆布などに加工されたりすることが多いです。

厚葉昆布

厚葉昆布は、がっがら昆布と呼ばれる品種で、葉に厚みがあるのが特徴です。長昆布と同じく、釧路・根室の沿岸に生育しています。生育エリアは似ていますが、波が当たらない暗礁の陰や海底のくぼみなどが、主な住処です。塩昆布や佃煮、おぼろ昆布などに使われています。

昆布の種類の選び方

昆布の種類の選び方

たくさんの昆布があったら、どれを選んだらよいか迷うほど、多くの種類があります。ここでは、目的に合わせて選ぶポイントを伝授!

美味しい昆布の見分け方もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

昆布そのものを食べたいとき

だしを取りつつ、昆布そのものも食べたいときは日高昆布がおすすめ。しっかりだしが出つつも、昆布にも旨みが残るので、美味しく食べられます。湯豆腐や鍋などで、昆布も一緒に食べられるのが嬉しいポイントです。

棹前昆布も、食べやすい昆布の種類。火が通りやすくて調理しやすいだけでなく、煮崩れせずに食べ応えがあります。おでんのだし、昆布巻きなどにぴったりです。

昆布のだしを取りたいとき

昆布のだしを取りたいなら、昆布だけで取るか、合わせだしで取るかで、相性の良い品種が異なります。濃厚な出汁が取れるのは羅臼昆布。お吸い物やめんつゆ、鍋など、昆布の旨みをしっかり感じたい料理にぴったりです。

合わせだしには、旨みがありつつ、主張しすぎない真昆布や利尻昆布が適しています。昆布感を出しすぎずに、コクや香りを出したいときに使ってみましょう。

美味しい昆布の見分け方

昆布を購入するときは、見た目に気を配ってみましょう。厚みがあるもの、幅が広く長いもの、色が濃くてツヤがあるものは、美味しい昆布の場合が多いです。

また、パッケージには、「天然」「養殖」「促成栽培」といった表示があります。「促成栽培」は1年程度の養殖、「養殖」は2年程度の養殖で育てられたものです。「天然」は、生産量が少ないため、高級な昆布に表示されています。さらに、専門家によって決められた1~6の等級も表示されており、数字が小さくなるほど評価が高いです。

「天然だから美味しい」「1級だから良い」とは一概には言えませんが、表示にも注目してみましょう。

昆布は加工品の種類も多い!

昆布は、だしをとったり、スープにしたりすることが多いですが、加工品も身近ですよね。食感が違ったり、ちょっとしたおかずになったりして、昆布の美味しさを違った形で味わえます。

とろろ昆布やおぼろ昆布など、代表的な加工品をチェックしていきましょう。

とろろ昆布

とろろ昆布

とろろ昆布は、厚さ3mm未満の薄い昆布から作られます。側面を削ってつくるもので、細い束状になっているのが特徴です。手触りも食感もふんわりしていて、口の中に入れるととろけていきます。

おぼろ昆布

おぼろ昆布

おぼろ昆布は、昆布の表面を薄く削ったものです。帯のような見た目が特徴で、昆布の食感が残りつつ、柔らかい食感を楽しめます。黒いものを黒おぼろ、白いものを白おぼろ、混ざったものを黒白おぼろと呼ぶそうです。

塩昆布

塩昆布

塩昆布は、お弁当のおかずになったり、漬物に合わせたりするなど、あると嬉しい食品。醤油やみりん、砂糖などで味付けされていて、塩気と昆布の旨みをプラスしてくれます。

佃煮昆布

細切りにした昆布を甘辛く煮た、佃煮昆布も美味しいおかずです。ごはんのお供にぴったりで、お弁当の白ご飯に添えてあると嬉しくなりますね。

おしゃぶり昆布

おしゃぶり昆布は、噛むほどに旨みが出てくる、クセになるお菓子。つい手が伸びてしまう味わいで、昆布の味や旨みを美味しく食べられます。梅味のおしゃぶり昆布もあって、バリエーションも豊富です。

昆布茶

昆布茶

乾燥した昆布を粉末状にし、味付けしたものを昆布茶と言います。お湯を注げば、昆布のだしや旨みが効いたお茶を楽しめるのが魅力です。調味料や食塩が含まれているので、料理の味付けにも使えます。

まとめ

昆布とひと口に言っても、その種類は様々。

北海道で多く昆布が漁獲され、環境によって特徴が異なります。特徴を知ることで、だしを取りたいとき、昆布も食べたいときなど、目的に合った昆布を選ぶことができます。

産地マップや品種の特徴をチェックして、気になる昆布を食べてみてくださいね!

writerprof_sugawara
菅原 光拳
ライター / フリーエディター
札幌生まれ、北広島市育ち。学生時代に釧路で環境と自然教育を学んだのち、卒業後も北見を拠点に道東で7年間を過ごす。現在は北海道観光をはじめ、ライフスタイルメディアなど多様なジャンルの記事を執筆中。