北海道の冬野菜、雪の下大根はどうしてこんなに甘い? おいしい理由
全国区のテレビで “北海道の冬野菜” として紹介され、再注目されている「雪の下大根」。北海道の越冬野菜を代表するブランド野菜のひとつで、厳しい寒さを生かした環境で滋味を蓄えた大根は深い味わいが特徴。また、調理のしやすさも人気の理由です。
この記事では、雪の下大根の特徴とおいしさ、おすすめの食べ方を紹介します。
雪の下大根とは?
雪の下大根は、北海道函館市亀田地区で生産されている大根のブランド名です。その名前の通り、雪に埋まっている大根のことです。
秋に収穫した大根に土をかぶせて越冬させ、真冬に雪の下から掘り起こします。
雪が降る地域性を生かした生産方法
北海道函館は野菜の一大産地で、古くから大根の露地栽培が盛んなエリア。しかし、12月~3月の冬季は、野菜の出荷が少なくなるというのが長年の悩みでした。この期間に野菜を出荷するために考えられたのが、雪の下大根というわけです。
大根を越冬貯蔵し、農家の長年の経験をもとに的確な時期に掘り起こして出荷。この方法は、函館市の亀田地区の農家で30年以上前から行われています。函館は北海道の中では比較的積雪量が少ないため、雪の下からの掘り起こしが容易です。また、雪で気温が下がりすぎて大根が凍ってしまうこともなく、越冬貯蔵に向いているのです。
まさに地域の特徴を上手に利用した農家の知恵です。
雪の下大根の生産量
雪の下大根は、2003年に函館市の亀田農協が大根産地としての認知度を高めるとともに、品質の向上・販売力の強化を図る狙いからブランド化。毎年約700トンが生産され、現在はおもに札幌中央卸売市場に出荷されています。札幌市市内のスーパーなどで販売されているほか、関東や関西などの一部でも産地フェアなどで登場することがあるようです。
特別甘くておいしい、越冬野菜
雪の下大根に限らず、北海道などの雪国では収穫時期を迎えた野菜を冬の間雪の下に埋めておくことがあります。雪の下で眠らせることで甘みが増した野菜を「越冬野菜」と言います。
メディアで紹介されて今再注目
雪の下大根は、そのおいしさと珍しい生産方法から近年メディアで取り上げられることが多くなりました。
これまで紹介されたメディア
- TBS「マツコの知らない世界」
- テレビ朝日「MILKY KITCHEN」
- 日本テレビ「冬の四大食材!博覧会」
各番組内では、「食感が柔らかくてシャキシャキしてておいしい」「大根の上側も下側も両方美味しい」といったコメントほか、練馬大根や三浦大根と比べたうえで「生の大根を食べてもう一度子どもに野菜の美味しさを知ってもらいたい」といった紹介のされ方をしていました。
雪の下大根のおすすめの食べ方
煮ても炒めてもおいしい、雪の下大根の代表的な食べた方やおすすめのメニューを紹介します。
みぞれ鍋
材料は雪の下大根、白菜、豚肉のみとシンプル。適当な大きさに切った白菜を鍋に入れて、その上に豚肉を並べます。さらにその上に、おろした雪の下大根をたっぷり入れ煮込めば完成です。
ポン酢で食べるとさらに美味しい! おろした大根の甘みを存分に味わえる食べ方ですよ。
サラダ
食感を楽しんでほしいので、材料は雪の下大根と生ハムのみ。雪の下大根と生ハムをそれぞれ千切りにして、混ぜるだけなのでとっても簡単です。ドレッシングやマヨネーズで和えていただきます。
田楽
普通の田楽をつくるように、雪の下大根を使って調理します。材料は雪の下大根、だし汁、酒、醤油、みりん、塩、味噌、柚子です。
作り方
- 鍋にだし汁と雪の下大根を輪切りにしたものを入れる
- 大根に串が通るまで茹でる
- 味噌に酒、醤油、みりん、塩を混ぜて煮詰め田楽味噌をつくる
- 茹で上がった大根の上に田楽味噌をのせ、お好みで柚子のスライスを
雪の下大根の甘みと出汁の旨み、味噌の風味が絶妙のハーモニー♪
おでん
普通のおでんと同様に調理が可能です。材料は雪の下大根、おでんのお好みの具材(卵、はんぺん、こんにゃくなど)、昆布、かつお節、みりん、酒、塩、醤油です。
作り方
- 下準備:水に昆布を漬けておく
- 昆布を取り出し、みりん・酒・塩・醤油を入れてひと煮立ちさせる
- 火を消し、鰹節を入れて出汁をとる
- 鍋に雪の下大根と下準備した(少し茹でた)こんにゃくと、取り出した昆布を入れる
- 大根とこんにゃくに火が通ったら、卵・練り物を入れ10分くらい煮る
味の染み込みが早く、大根の煮崩れもないので、大根のおいしさを十分に味わえます。
まとめ
掘った大根をもう一度土に埋め、それをさらに掘り起こすわけですから手間がかかります。その手間を惜しまずに作る雪の下大根は、他の季節に収穫できる大根とは違った美味しさがあります。
大根おろしよし、また出汁をよく吸うのでおでんにしても美味しい雪の下大根。栄養価も高いので、ぜひ味わってみてくださいね。