味噌の種類や栄養とは? 味わいの違いと正しい保存方法
日本の食卓に欠かせない味噌。全国各地で様々な種類の味噌が生産されており、地域色豊かな食材です。
本記事では、味噌の種類や歴史、栄養、おすすめの食べ方を紹介します。味噌を使った美味しい料理のレパートリーを増やしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
味噌について、どれくらい知ってる?
日本人にとって味噌は、馴染み深い食材のひとつ。その歴史を紐解くと庶民に普及したのは室町時代で、今から500年も前のことです。ここでは味噌の歴史や作られ方、栄養について紹介します。
味噌の歴史
味噌の起源は、中国で作られていた「醤(しょう・ひしお)」という食品と言われています。いつ日本に伝来したかは正確には明らかになっていませんが、701年に制定された「大宝律令」には「末醬」という言葉が登場しており、「みしょう」「みしょ」「みそ」と変化していったと考えられています。
製造方法
米味噌を作る場合は初めに大豆に水分を含ませ、約2倍の大きさになるまで膨らませます。次に大豆を蒸してペースト状に潰し、塩や麴などをよく混ぜ込みます。最後に混ぜたものを大きい樽に仕込んで、数カ月熟成させると完成です。
味噌の栄養
主な原料である大豆は、“畑の肉”と呼ばれるほどタンパク質を豊富に含んでいるのが特徴です。
麹を混ぜて発酵させることでさらに栄養価はアップし、アミノ酸やビタミンも大量に生成されるため、美肌効果が期待できます。ほかにも味噌は炭水化物、ミネラル、マグネシウムなども含んでおり、栄養バランスが非常に良い食品です。
タンパク質は薄口醬油の約2倍、ビタミンB2は豆乳の約5倍、食物繊維は油揚げの約4倍もあります。
味噌の種類は大きく3つ
日本各地で様々な種類の味噌が生産されていますが、使う原材料や発酵後の色味、舐めたときの味はそれぞれ異なります。ここでは、どこでどのような味噌が作られていて、どのように種類分けするのかをご紹介します。
原材料で分ける
味噌を原材料で分けると、米味噌、麦味噌、豆味噌、調合味噌の4種類に分類されます。
米味噌は大豆に米麹、麦味噌は麦麹を混ぜて作ったものです。豆味噌は大豆のみを材料にしています。調合味噌は米麹と麦麴をブレンドして発酵させた味噌や、ほかのどの3種類にも分類されない味噌のことを指します。
色で分ける
味噌は出来上がった色をもとに、赤味噌、淡色味噌、白味噌の3種類に分類されることもあります。
味噌づくりに使う原料や、製造工程の違いによって味噌の色味も変化します。色の変化をもたらすのは、発酵中に発生するメイラード反応が原因。アミノ酸と糖が反応して、褐色へと変色します。赤味噌と淡色味噌はほぼ全国的に、白味噌は近畿地方と瀬戸内の一部地域に分布しています。
味で分ける
味噌は甘口と辛口のように、味によっても分けることが可能です。
辛みは塩の量だけでなく、麹歩合にも左右されます。麹歩合とは、原材料である大豆の分量に対する麹の比率のことです。塩分量が一定の場合、大豆の量に対して麹の方を多く使用していると、味は甘口になります。甘い味噌は西日本や太平洋沿岸地域、辛い味噌は東北地方や日本海側などで生産される傾向にあります。
味噌の色ごとのおすすめ料理
味噌は熟成期間が長くなるほど色が濃くなり、コクが深くなります。色によって風味や旨味は異なるので、料理に適した味噌を使うことが大切です。
ここでは白味噌、淡色味噌、赤味噌それぞれと相性が良い食材と、おすすめのレシピを紹介します。
白味噌
白味噌は米麹を使って熟成させており、ほかの味噌よりも甘味が強いのが特徴。相性が良い食材は、白身魚や野菜など淡白な味のものです。じっくり火を通すと白味噌ならではの優しい風味が際立ちます。
味が甘口であることを生かして、和風スイーツを作るときに使うのもおすすめです。
西京焼き
西京焼きは、白味噌を盛んに生産している京都の伝統料理です。
白身魚に白味噌と調味料を付けて焼くだけで、簡単に作れます。
作り方
- 白身魚に白味噌とみりんを混ぜ合わせた調味料を塗る
- 20分放置して味を染み込ませる
- グリルで両面を焼く
白身魚は、鰆や鱈を使うのがおすすめです。主菜を何にするか迷った時でも手軽に調理できるので、ぜひ試してみてください。
スコーン
甘い風味の白味噌は、お菓子作りでも活躍します。抹茶とホワイトチョコも混ぜて、和スイーツを作ってみましょう。
作り方
- ボウルに薄力粉・グラニュー糖・ベーキングパウダー・バターを入れて混ぜる
- 別のボウルに生クリームと卵を混ぜ合わせた後、①に入れてさらに混ぜる
- ②に抹茶の粉末と割ったホワイトチョコを混ぜる
- ③をラップに包んで冷蔵庫で30分ほど寝かせる
- 生地をスコーンの形に整えて、上に白味噌を塗る
- オーブンで焼く
味噌ならではの甘辛さが、ホワイトチョコとバターの香りを際立たせるスコーンです。オーブンの熱でこんがりと焼けた白味噌は、香ばしくておいしいですよ。
淡色味噌
淡く黄色に色づいているのが特徴の淡色味噌。全国的に生産されていますが、特に越中味噌や信州味噌など甲信越地方のものが有名です。
相性が良いのは、チーズやバターなどのクリーミーな食材。程よい塩気で野菜とも合わせやすく、幅広い料理に使える万能味噌です。
野菜炒め
野菜炒めは、フライパンで具材をザっと炒めるだけで作れるお手軽料理です。お肉も一緒に炒めると一皿でたくさんの栄養分を取れるので、忙しい日の1食にもぴったり!
作り方
- 味噌・酒・砂糖を混ぜてタレを作る
- ニラやパプリカなどの野菜を切る
- フライパンでひき肉を炒める
- ②の野菜も加えて最後に①を絡める
野菜やお肉を変えて何度でも試せる便利なレシピです。タレの味付けを濃い目にしておくと、最後のシメにうどんを投入して焼きうどんも作れます。
グラタン
甘辛い味噌がホワイトソースのコクを深め、風味豊かなグラタンを作れるレシピです。鶏もも肉のジューシーな脂分が食欲をそそります。
作り方
- 鶏もも肉をひと口サイズに切り、下味を付ける
- ブロッコリーやニンジンなどの野菜を切る
- ①と②をフライパンで炒めて耐熱容器に移す
- 味噌・牛乳・すりおろした山芋などを混ぜて③にかける
- オーブンで焼く
アツアツのグラタンは、冬に欠かせない料理です。味噌の優しい風味が利いたソースを味わって、ほっと一息ついてみてください。
赤味噌
濃い赤色が特徴的な赤味噌はほかの味噌よりも熟成期間が長く、塩分を多く含んでいます。深いコクがあるため、がっつりと食事をしたいときは赤味噌のタレをかけるのがおすすめです。
煮込み料理にも使いやすく、野菜や出汁の風味をアップさせてくれますよ。
麻婆豆腐
ピリ辛な味付けがクセになる麻婆豆腐と、赤味噌の相性はとても良好です。豆板醬の旨味が際立ち、どんどんご飯が進みます。
作り方
- 豆腐の水気をキッチンペーパーで吸い取り、ひと口大にカットする
- フライパンで油を熱し、みじん切りにした野菜を入れる
- 豆板醤・ひき肉・調味料の順番でフライパンに入れてさらに炒める
- 水を加える
- 豆腐と水溶き片栗粉を入れる
最後に小ねぎを散らすと彩りが加わって、さらにおいしそうに見えますよ。途中の工程までで肉味噌も作れるので、サラダ巻きを作るときにも重宝するレシピです。
味噌カツ
食べ応えのあるお肉料理なら、赤味噌のソースをかけた味噌カツを作ってみましょう。ソースの味は濃い目なので、どんどん箸が進みます。
作り方
- 豚肉の筋を切って下味を付ける
- 薄力粉、卵、パン粉の順で衣をつける
- キャベツを千切りにする
- 赤味噌と調味料を合わせてソースを作る
- 油で②を揚げる
豚肉はロースを使うと肉汁があふれてジューシーに仕上がります。自宅でカツを揚げる時間を取れないときはお惣菜の豚カツを買ってきて、ソースだけ自作することも可能です。
上手な保存方法
開封したあと適当に放っておくと、味噌は黒っぽく変色したり、固まったりしてしまいます。
味が落ちる原因でもあるので、正しい方法で保存しておきましょう。ポイントは冷蔵庫に入れることと、ラップで密閉することです。
冷蔵庫保存
味噌の保存に適した環境は、直接光が当たらず、湿度が高すぎず、気温が比較的低いところです。その全ての条件を満たしているのが冷蔵庫。特に高温多湿で日差しが強い夏は、冷蔵庫での保管がおすすめです。
味噌をまとめ買いしてすぐに使わない場合は、冷凍室で凍らして保存しておくことも可能。少々固くなってしまいますが、特別な処理を施さなくてもそのまま料理に使用できます。
ラップで密閉する
味噌を開封した後は、ラップで密閉して保存するのが長持ちのコツです。容器の上にラップを被せるのではなく、ラップと味噌の表面がくっつくように覆います。ラップの隙間から空気が入り、表面が乾いたり酸化したりするのを防ぐためです。
プラスチック容器に入った味噌をほかの容器に移して保管する場合も、ラップがピッタリと味噌の表面につくようにしてみてください。
まとめ
地域によって様々な味わいのものが生産されている味噌。味噌汁はもちろん、ソースや煮込み料理での調味料として欠かせない食材です。味噌は栄養を含んでおり、健康な生活をおくるためにも重要な役割を果たします。
今回紹介した食べ方や保存方法を参考に、おいしく正しく毎日の食生活に取り入れてみてください。