カレーに合うじゃがいもを考える。おすすめの品種と選び方。
カレーを作るときにじゃがいもは入れますか? 入れないという方もいると思いますが、ホクホクの食感と濃いめのカレー味との相性は抜群です。品種を変えるだけでも、カレーの味わいが変化するのも奥深いポイント。この記事では、じゃがいもの品種別にカレーの仕上がりや美味しくなる調理のコツを詳しく紹介します。
- じゃがいもを入れるとカレーにとろみがつく
- 品種選びのポイントは「粉質」「粘質」
- カットの大きさや素揚げなどで煮崩れを防止
この記事でわかること
カレーにじゃがいもは入れる? 入れない?
カレーにじゃがいもを入れる派か、入れない派かは人それぞれ。定番の材料ではありますが、カレーにじゃがいもを入れるようになったのには理由があります。派閥を一度忘れて、入れた時のカレーの変化を楽しんでみるのはいかがでしょう。
じゃがいもを入れるようになった理由
そもそもカレーにじゃがいもを入れるようになったのは、1900年前後と言われています。今でこそ、ファンの多いカレーの具材ですが、当初はとろみをつけるためにすりおろして使われていたそう。
ひとつの具として採用されるようになったのは、海軍がカレーに使ったのが始まりのようです。じゃがいもや玉ねぎ、人参というカレーの具材三銃士は日持ちしやすいため、長期の航海にも耐えられることから、カレーに入れられるようになったとされています。
とは言え入れる派・入れない派がいるように、全国的にじゃがいもをカレーに入れるようにはなりませんでした。品種によって煮崩れしやすいこともあり、そのようなじゃがいもを栽培している地域ではカレーに入れないそう。日本ならではの具材であるため、欧風カレーやインドカレーにはじゃがいもが入っていないことが多いです。
入れたときのカレーの変化
カレーにじゃがいもを入れると、ルーにとろみが付きやすくなります。じゃがいものデンプンが溶け出すことによって、ルーの食感が変わるので、とろっとしたカレーが好きな方におすすめ。辛さを抑える効果も期待できるので、甘口派の方や辛いのが苦手な方には嬉しいでしょう。
また、じゃがいもは具材の中でもサイズが大きく、食べ応えがあります。ボリュームのあるカレーを食べたいとき、食べ盛りの子どもがいるご家庭には、じゃがいも入りが良いかもしれません。
入れないメリットもある?
じゃがいものデンプンはとろみをつけてくれる一方で、芋の食感が残ってザラザラとした口当たりになることもあります。サラッとすっきり食べたいなら、じゃがいもは入れない方が良いでしょう。
また、じゃがいもは火が通るまで時間がかかるので、カレーの煮込み時間が長くなります。しっかり煮込むと、せっかく入れたじゃがいもが完全に溶けてしまうこともあるので、できるだけ短時間で作りたい場合はじゃがいもを入れないのもひとつの手です。
カレーを冷凍して作り置きしたい方にとっては、じゃがいも抜きが望ましいでしょう。じゃがいもは冷凍すると食感が変わるので、味が落ちるのが気になるならじゃがいも抜きの方が冷凍カレーは美味しくなります。
カレーに入れるじゃがいもの品種選びのポイント
カレーとじゃがいもを両方美味しく食べるなら、じゃがいもの品種選びはとても大切。じゃがいもには、粉質と粘質という性質があり、粉質の品種は煮崩れしやすく、粘質の品種は煮崩れしにくいです。
じゃがいもがしっかり残った食べ応えのあるカレーをつくるなら、粘質の品種がおすすめ。「メークイーン」や「とうや」は、粘質の代表的な品種です。「男爵」や「キタアカリ」は粉質の品種なので、カレーにとろみを付けたいときに選ぶと良いでしょう。粉質でも、煮込み時間を短くしたり、大きめに切ったりすれば煮崩れを防げるので、調理方法を工夫してみてくださいね。
カレーに合うじゃがいものおすすめ品種と仕上がり
どのじゃがいもを入れても美味しいですが、品種によって仕上がりが異なります。じゃがいもの持つ特性によって、カレーが変わりますよ。ここでは、主な品種の特徴とカレーの仕上がりをご紹介します。
男爵いも
男爵いもは、多くの品種の中でも特に煮崩れしやすいのが特徴。全体的に溶け込み、ルーにとろみと甘みを加えてくれます。形の残ったじゃがいもが好きな方には不向きですが、ルーと一体になったじゃがいもが好きな方にはたまらないでしょう。
きたあかり
きたあかりは、栗じゃがとも呼ばれ、黄色い果肉が特徴です。男爵いもに次いで煮崩れしやすいですが、ルーに溶け込みながらも、形が残る部分もあります。じゃがいものホクホク感も、カレーのとろみも外せないという方にはおすすめで、なめらかなカレーと芋感を楽しめますよ。
メークイーン
メークイーン(メイクイーン)は、溶けにくい品種の代表格。カレーはもちろん、シチューや肉じゃがなどにも使われています。カレーに入れると、ほとんど煮崩れないので、ルーの変化はほとんどありません。ルーそのものの味わいを生かしつつ、ホクホクのじゃがいもを存分に味わえます。
とうや
とうやは、メークイーンよりは煮崩れしやすいですが、カレーと煮込んでもほとんど形が残ります。メークイーンがカレーに負けずに独立しているなら、とうやは周りが程よく崩れてカレーと馴染むのが特徴です。溶けすぎず残りすぎないくらいの粉質で、カレーとじゃがいもをバランスよく味わえます。
レッドムーン
レッドムーンは1991年に正式登録された、比較的新しい品種です。食感や使用用途は男爵いもに近いと言われており、粘質が強いため煮崩れしにくく煮込み料理に向いています。皮が赤く。中身は黄色いさつまいものような見た目ですが、カレーの場合は皮を剥いてしまうので、普通のじゃがいもと同様に使えます。ホクホク系ではなくしっかりとした食感で、甘みのある品種なので子供向けの”甘いカレー”におすすめ。
カレーとじゃがいもがもっと美味しくなる調理のコツ
基本の下ごしらえやカットなどをちょっと工夫するだけで、カレーとじゃがいもがもっと美味しくなります。どれも簡単にできるテクニックなので、できるものから取り入れてみましょう。
カットはひと口大に
品種に関わらず、食べやすいようにひと口サイズにカットするのがポイントです。縦半分に切って、それぞれ4等分ほどに分けるとちょうどよいでしょう。粉質のじゃがいもを使いたいときは、気持ち大きめにしておくと、完成したときに形が残りやすくなります。
雑味が気になるときは水にさらしておく
じゃがいもを煮込むと、灰汁(あく)が出るので、気になる方はあらかじめ10分ほど水にさらしておきましょう。雑味が出にくくなるので、カレーの味わいがしっかり仕上がります。
炒めるときに油を入れて煮崩れを防止
カレールゥや水を入れる前に野菜を炒めますが、このときに油をじゃがいもにまとわせるのがコツです。ある程度火が通ったところで、全体に油を回しかけるとコーディングできます。油が水分のしみ込みをガードしてくれるので、じゃがいもが煮崩れにくくなりますよ。
少し手間はかかりますが、じゃがいもを素揚げするのもおすすめ。煮崩れを防ぎつつ、食感に変化を加えられます。少し時間に余裕があるときや、粉質のじゃがいもしかないときなどに試してみてはいかがでしょうか。
レンジで加熱しておくと時短できる
じゃがいもを入れると煮込み時間が長くなりがちなのが気になるところ。時短でカレーを作りたいなら、電子レンジで加熱してから鍋に入れるのがおすすめです。
ただし、加熱してすぐ煮込み始めると、煮崩れしやすくなります。レンジから出した後は粗熱をしっかり取り、常温に戻ってから鍋に入れましょう。
まとめ
じゃがいもの品種によって、カレーの仕上がりが変わります。煮崩れしやすい品種ならとろみがつき、形が残りやすい品種なら食べ応えのあるカレーになるなど、品種選びはとても重要です。
あらかじめ水にさらしたり、油でコーディングしたりすると、もっとカレーとじゃがいもが美味しくなります。普段じゃがいもを入れない派の方もぜひ入れてカレーを作ってみてくださいね!