北海道の世界遺産を徹底解説!最新情報や観光におすすめのスポットも紹介
自由の女神やモンサンミッシェル、グレートバリアリーフなど世界には、歴史的・自然的価値が評価され未来に残すべき資源と認められた世界遺産がたくさんあります。日本にも世界遺産として認められた建造物や自然地域があることをご存知でしょうか。その中のいくつかは北海道にあります。
今回は北海道にある世界遺産について、いくつあるのか、どのようなスポットなのかを紹介します。これから北海道旅行をする人や、世界遺産を巡りたいという人はぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 世界遺産は「自然遺産」「文化遺産」「複合遺産」に分類される
- 北海道にある世界遺産は2つ
- 世界遺産として認められているのは縄文遺跡群と知床
世界遺産とは
世界遺産と聞くと、タージマハルやグランドキャニオンなど、世界のさまざまな名所をイメージしますよね。世界的に高く評価されているスポットという印象があるものの、認定基準や誰が認定しているのかなど詳しい概要は知らないという人も少なくありません。
まずは世界遺産とは、どのような基準で誰が決めているのかについて見ていきましょう。
世界遺産保護の始まり
歴史的、自然的に価値の高い建物や環境を保護する取り組みを始めるきっかけとなったのは1972年に採択された世界遺産条約です。正式名称は「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する国際条約」と言います。
今や世界遺産条約締約国は194カ国にのぼり、最も成功した世界条約としても知られています。
世界遺産の種類
世界遺産は「文化遺産」「自然遺産」「複合遺産」の3つに分けられます。
概要 | 例 | |
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文化遺産 | 普遍的価値を持つ建造物や遺跡 | 万里の長城、アンコール遺跡など |
自然遺産 | 普遍的価値を持つ地形や生物、景観などを持つ地域 | イエローストーン国立公園、グランドキャニオンなど |
複合遺産 | 文化的、自然的に両方の普遍的価値を持つもの | マチュピチュ歴史保護区、タスマニア原生地区など |
これらの他に、遺産として保護することが難しいと危惧されている危機遺産もあり、危機遺産リストに登録されると特別な補修や保護などの配慮がなされます。
世界遺産の決め方
世界遺産を選定するのは、政府間委員会である世界遺産委員会です。世界遺産員会の他、文化遺産の選定にはICOMOS(国際記念物遺跡会議)や、自然遺産の選定にはIUCN(国際自然保護連合)なども参加します。世界遺産は、政府間委員会と専門家両方の意見を元に定められているものです。
各国が世界遺産に相応しいとされる建造物や自然を推薦し、候補の中から選定されます。日本では文化遺産の場合文化庁が、自然遺産の場合は環境省(もしくは林野庁)が最終決定を行い、ユネスコへ世界遺産推薦を行っています。
日本の世界遺産
日本にも世界遺産が複数あり、法隆寺や原爆ドーム、富岡製糸場跡、小笠原諸島などが有名です。2021年時点でその数は25件にのぼり、文化遺産は20件、自然遺産は5件登録されています。
北海道にある世界遺産
日本国内に25件ある世界遺産ですが、北海道にいくつあるのか気になるという人も多いでしょう。北海道には以下の世界遺産があります。
分類 | 世界遺産登録年 | |
---|---|---|
知床 | 自然遺産 | 2005年 |
縄文遺跡群 | 文化遺産 | 2021年 |
縄文遺跡群は北海道だけでなく、青森、岩手、秋田などにわたり発掘されたものが遺跡群として登録されています。
「北海道は土地も大きいのに世界遺産は2つしかないの?」と思った人も少なくないでしょう。しかし、日本48都道府県に25カ所しかない世界遺産が、2つもあることを考えると少ないとは言い難いです。
【北海道の世界自然遺産】知床とは
知床半島は道東に位置し、オホーツク海に突き出るような形をしている半島です。アイヌ語の「シㇼ・エトㇰ」が語源になっているとも言われ、地山の先・突き出た所という意味を持ちます。
知床は、流氷に乗ってやってくるプランクトンを含んだ豊かな海から始まる独特な生態系が高く評価されています。豊かな海と陸にはシマフクロウやオオワシなどの希少動物も生息しており、絶滅の危機に瀕しているさまざまな動植物にとって大切な場所です。
世界遺産委員会では、
今や北海道屈指の観光スポットとしても人気ですが、世界遺産を守るためにも野生動物に餌付けしないことや、植物を採取しないこと、ゴミを放置しないことなどマナーを守って観光する必要があります。
【北海道の世界文化遺産】縄文遺跡群とは
世界文化遺産に認定された縄文遺跡群は、北海道、青森、岩手、秋田にわたり全17カ所からなる遺跡群です。その内、北海道には6カ所あり、縄文時代の生活や文化を知る手がかりとなるさまざまな遺跡が発掘されています。
縄文時代は旧石器時代とも言われ、遺跡からは当時の集落群や土製の日用品など生活様式の分かるものや、墓地、裁断など精神文化の分かるものも出土しています。
北海道の世界遺産観光ならここ!知床のおすすめスポット9つ
世界遺産に認定された知床は、長さ約70kmにも渡ります。観光するなら、それぞれのスポットに足を運ぶのが良いでしょう。
続いては、世界遺産を満喫できる知床のおすすめスポットを紹介します。
1.知床五湖
知床五湖は、豊かな原生林に囲まれた5つの湖です。一湖、二湖、三湖、四湖、五湖と5つそれぞれに名前があり、三湖と五湖はやや沼地がかっているのが特徴です。
知床八景のひとつとして景観の良さが魅力で、湖畔や原生林を散策することもできます。エゾリスやエゾシカなどの野生動物が見られることでも人気ですが、時期によってはヒグマの目撃情報が出るため注意が必要です。
ヒグマが出没すると観光コースが封鎖されることも念頭に置いておいた方が良いでしょう。特に春から夏にかけて、ヒグマの出没により遊歩道が封鎖されることが多いようです。
住所 | 北海道斜里郡斜里町大路遠音別村字岩宇別 |
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電話 | 0152-24-3323(知床五湖フィールドハウス) |
見学期間 | 4月下旬~11月下旬 |
備考 | ヒグマが姿を現す森の中にあります、散策には事前の講習受講が必須です(有料・要予約) |
2.知床峠
知床峠は、知床連山の尾根にあたる峠でドライブコースとしても人気の高いスポットです。標高738mと高所にあるため、7月下旬でも残雪を見ることができます。
峠からの眺めはとても美しく、羅臼岳やハイマツの樹海、北方領土国後島などを見ることもできるでしょう。知床峠は天候の変化が著しいことでも知られており、降雪シーズンは特に雪崩なども起こりやすい場所です。訪れる際は、天候状態をよく確認して安全に観光してください。
住所 | 北海道斜里郡斜里町~目梨郡羅臼町(国道334号線) |
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電話 | 0152-22-2125(知床斜里町観光協会) |
3.フレペの滝
フレペの滝は、標高80m落差60mの知床を代表する滝です。しかし、水量が少なく、滲み出た少量の水が流れる様子が涙を流しているようだと言われ、「乙女の涙」と呼ばれています。スノーシーズンにはスノーシューで近辺を散策するツアーも行われ、完全に凍り付いた幻想的なフレペの滝を見ることもできます。
住所 | 北海道斜里郡斜里町大字遠音別村字岩宇別(知床国立公園内) |
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電話 | 0152-22-2125(知床斜里町観光協会) |
備考 | 駐車場がないため、知床自然センターの無料駐車場を利用 |
4.羅臼岳
羅臼岳(らうすだけ)は知床半島最高峰の山で、標高1,661m。知床富士と呼ばれることもある、登山家に人気のスポットです。北海道の気候と高い標高のため、7月でも残雪が多く9月頃から積雪が見られるため、登山が出来るのは7月上旬から9月中旬頃までの短い期間のみ。ヒグマの生息地であり、ルートも複雑なため初心者だけでの登山は危険です。登山が難しい人は、山の麓を散策するだけでも、羅臼岳の豊かな自然を感じることができるでしょう。
住所 | 北海道目梨郡羅臼町湯ノ沢町 |
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電話 | 0153-87-2828(知床羅臼ビジターセンター) |
備考 | 登山を希望する場合は、有料ツアーまたはガイド手配をおすすめします |
5.カムイワッカ湯の滝
カムイワッカ湯の滝は、知床硫黄山の中腹から湧き出た温泉が流れ込む珍しい滝です。滝や川全体が温泉のようになっており、あたりには硫黄の香りが漂っています。
毎年6月初旬から11月初旬頃まで開放されており、水着を着て川遊びを楽しむ姿も見られます。水温は30度ほどなので、露天風呂のように入浴するのは難しいでしょう。
また、滑りやすく落石なども多い場所なので、沢のぼりなど危険な行為は控えるようにして楽しんでください。
住所 | 北海道斜里郡斜里町遠音別村字岩尾別 |
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電話 | 0152-24-2639(知床観光案内所) |
見学期間 | 6月~10月下旬 |
備考 | 時期により車の通行が不可なります(有料シャトルバスを利用) |
6.プユニ岬
プユニ岬はオホーツク海が一望できる岬で、流氷の観察ポイントとしても人気です。実際のプユニ岬は岩肌で観光客が足を踏み入れるには難しい場所のため、近隣の展望台をプユニ岬と呼んでいます。
夕陽の名所としても知られており、水平線にゆっくりと沈んでいく夕陽の美しさに感動することでしょう。
住所 | 北海道斜里郡斜里町遠音別村岩尾別 |
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電話 | 0152-23-3131(斜里町商工観光課) |
備考 | 駐車場がないため、知床自然センターの無料駐車場を利用 |
7.オシンコシンの滝
オシンコシンの滝は、落差30mのダイナミックな自然の滝を間近で観察できると人気のスポットです。滝が途中で二手に分かれていることから、双美の滝とも呼ばれています。
特に迫力のあるオシンコシンの滝を見たい人は春に足を運ぶのがおすすめです。雪解け水で水量が増し、大迫力の滝を見ることができますよ。
住所 | 北海道斜里郡斜里町ウトロ西 |
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電話 | 0152-23-3131(斜里町商工観光課) |
8.夕陽台
夕陽台は市街地からも近く、アクセスの良さで人気のスポットです。ウトロ港やオホーツク海を一望でき、オロンコ岩やウトロの町並みを眺めることもできます。
ただし、あまり広い展望台ではない上、観光スポットとしても知られているため、時間帯によっては大変混雑することもあります。特に夕陽が沈む時間帯は混雑しやすいでしょう。最前列で夕陽を眺めたいなら早めに足を運ぶのがおすすめです。
住所 | 北海道斜里郡斜里町ウトロ香川 |
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電話 | 0152-23-3131(斜里町商工観光課) |
備考 | 駐車場がないため、「夕陽台の湯」の無料駐車場を利用 |
9.オロンコ岩
オロンコ岩はウトロ港近くにある大きな岩です。オロンコとはアイヌ語で「そこに座っている者」という意味があります。ウトロを見守るようにどっしりと構えたオロンコ岩にぴったりの名前ですね。
オロンコ岩には階段があり、岩の上まで登ることもできます。しかし、階段は約200段。急激な登り階段が続くため、歩き慣れた靴を履いていくのがおすすめです。登り切った先には、オホーツク海や知床を一望できる絶景が待っています。
住所 | 北海道斜里郡斜里町ウトロ東 |
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電話 | 0152-23-3131(斜里町商工観光課) |
北海道の世界遺産観光ならここ!縄文遺跡スポット6つ
続いては、北海道にある6カ所の縄文遺跡を紹介します。場所によっては発掘体験ができる遺跡もあるため、歴史に触れる旅をしたいという人は縄文遺跡巡りをしてみてはいかがでしょうか。
1.垣ノ島遺跡
垣ノ島遺跡では、縄文時代早期から後期の住居跡や生活用具などが出土しています。国内最大級の盛り土遺構も発見されており、文化的に価値の高い遺跡です。
垣ノ島遺跡では、縄文人がこの土地に暮らし始めた頃から定住し生活が発展していくまでのさまざまな遺物が発見されています。出土した遺物は20万点以上にのぼり、縄文人がどのように暮らしていたのかを伺える大変重要な遺跡と言えるでしょう。
4~10月の間は、本物の土器や石器に触れることのできる発掘体験も開催しています。
住所 | 北海道函館市臼尻町416-4 |
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電話 | 0138-25-2030(函館市縄文文化交流センター) |
2.北黄金貝塚
北黄金貝塚は内浦湾付近にあり、海と山に囲まれた地域で縄文人がどのような暮らしを送っていたのかが分かるさまざまな遺物が出土しています。
貝塚からは多くの海産物の骨などが発掘され、周辺の集落では漁猟を生業として生活していたことが伺えます。また、遺跡からは当時の縄文人が海進や海退に合わせて住居を移動させていた痕跡もみつかり、当時の環境変化についても知ることができます。
住所 | 北海道伊達市北黄金町 |
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電話 | 0142-24-2122(北黄金貝塚情報センター) |
3.大船遺跡
100棟を超える竪穴建築物跡が発見された大船遺跡では、盛り土からさまざまな遺物が出土しています。特に、海産物の骨の他、栗やクルミなど森から採取したであろう資源も多く出土しており、この集落群の縄文人が海と山両方の資源を活用していたことが伺えます。
遺跡内には、当時の住居などを再現した「縄文のにわ」「縄文の森」などがあり、当時の暮らしを体験しながら学ぶことができます。
住所 | 北海道函館市大船町 |
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電話 | 0138-25-2030(函館市縄文文化交流センター) |
4.入江貝塚
入江貝塚では、多くの海洋資源が出土しており漁猟が活発に行われていたことが分かります。釣り針や銛なども出土しており、当時の漁猟方法なども垣間見えるでしょう。
中でも、入江貝塚から出土した人骨からは、病に伏せり長期間の手厚い介護を受けていたことなどが分かっています。当時の縄文人が、集落内で助け合って生きていたことが分かりますね。
遺跡内には復元された竪穴式住居も展示されています。
住所 | 北海道虻田郡洞爺湖町入江 |
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電話 | 0142-76-5802(入江高砂貝塚館) |
5.キウス周堤墓群
キウス周堤墓群は河川近くの森林内に発見された遺跡です。周堤墓とは大規模な集団墓のことで、キウス周堤墓群では9基の周堤墓が出土しています。
その内8基は特に大型で、最大外形83mにのぼる周堤墓も発掘されているのが特徴です。
当時の技術でこれだけ巨大な周堤墓を作るのは、大変な労力が必要であったことも伺えます。縄文時代の墓地を観察できるとして、文化的な価値が高く評価されている遺跡です。
住所 | 北海道千歳市中央 |
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電話 | 0123-24-4210(千歳市埋蔵文化財センター) |
6.高砂貝塚
高砂貝塚は貝塚を伴う共同墓地であったと考えられ、人骨や副葬品などが多く出土しています。抜歯してある人骨なども発掘され、縄文人の祭祀や儀礼について多くの資料が多く発見されている遺跡です。
特に、高砂貝塚からは妊娠したまま亡くなった女性の人骨が発掘されており、他とは違った形で埋葬されていることなども分かっています。これらの出土品から、新しい命を宿した女性は特別な形で埋葬されるといった儀式が行われていたと推測できます。
住所 | 北海道虻田郡洞爺湖町高砂 |
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電話 | 0142-76-5802(入江・高砂貝塚館) |
北海道の世界遺産を巡ろう
世界でも高い価値を評価されている世界遺産。北海道では2カ所の世界遺産が、多くの人々の手によって保護・管理され後世に残すべきものとして守られています。
北海道へ訪れたのなら、ぜひこれらの世界遺産に触れ、私達が守るべき自然の大切さや歴史を感じてみてはいかがでしょうか。