北海道の雲海スポット14選 早朝に楽しむ感動の絶景
心を奪われる幻想的な風景、雲海。旅行番組やSNSなどでシェアされた絶景スポットの雲海を見て、誰もが一度は“眼下に広がる雲海”を体感したいと思ったことがあるのではないでしょうか。北海道は雄大な自然がそこここにある国内屈指の自然体感ゾーン。そこには知る人ぞ知る雲海スポットが数多くあります。今回は北海道の雲海スポットをご紹介します。
- 雲海の発生条件は寒暖差と水蒸気の量
- 北海道で雲海を見るなら6月か7月の初夏
- 山々が連なる場所は雲海が発生しやすい
- 北海道のおすすめ雲海スポット
この記事で分かること
人を魅了する神秘の雲海
雲海は、いくつかの条件のもとに現れる自然現象。確実に見られる保証がないからこそ、数少ないチャンスをものにし運よく遭遇したときの感動は忘れられず、その神秘度が一層増してみえるところもあるかもしれません。
「雲海」って、なんだろう?
いつでも見られるわけではない雲海ですが、では、何からできているのでしょうか。
ひと言で「雲海」といっても、発生する要因はいくつかありますが、大きなポイントは寒暖の差と水蒸気の量。このため、雲海は霧や雲によって発生します。
雲海が発生しやすいタイミングと場所
では、雲海は、どんなときに発生しやすいのでしょうか。
最も目にしやすいのは、飛行機の窓から見る雲海ですが、写真などでよくみかけるのは、山の上から眼下に広がる雲海です。山が多いところで目にすることが多いかもしれませんが、それは高い山では気温が低く、その冷気が下に降りて、山々の合間にたまりやすい特徴があるからです。また、土の地面や樹木が多く、水蒸気が空気中に多く含まれやすいなどの条件も雲や霧が発生しやすく、雲海になりやすいといえます。
つまり、周りに山が多くある場所は雲海が発生しやすい場所といえます。
また、湿度が高く水蒸気が発生しやすいところとして、湖や川、海などが近くにある場所も雲海が発生しやすいといえます。水辺が近くにあり、風がないときも雲海が発生するチャンスです。
世界の雲海スポット
国や地域を問わず、多くの人を魅了する雲海ですが、世界のなかで知られる雲海がある風景とは、どんなところがあるかというと、そのひとつはアフリカのタンザニアにある山、キリマンジャロです。森林地帯のほか、頂上付近には氷河があり、雨季になると雲海がみられます。
近年、気候変動の影響でキリマンジャロの氷河がなくなるかもしれないと危惧されており、気候変動によっては、雲海がみられるチャンスが減ってくるのかもしれません。
このほか、南米、ペルーの「マチュピチュ」も歴史的文明の遺跡と雲海がセットになり、より印象的な風景が広がる景観が知られているほか、スイスアルプスも見てみたい雄大な風景の雲海スポットです。スイスのゴルナーグラート鉄道の登山電車や、終点のゴルナーグラート展望台から見るマッターホルンなどのスイスアルプスと雲海のコントラストもまた絶景です。
そして日本では、「富士山」にかかる雲海の風景が知られていますね。富士登山では、5合目・6合目付近が雲海発生スポットですが、富士山にかかる雲海を見るなら、長野県の高ボッチ山や山梨県の甘利山、静岡県の大観山など多くの絶景スポットがあります。
北海道の大自然で雲海を見よう
日本全国、そして世界に目を向けても標高が高い山々をはじめ雲海絶景スポットは多くありますが、「もう少し手近な場所で」というときにおススメの日本の雲海スポットのひとつが北海道です。
北海道と雲海
海に囲まれ、森や湖が多い北海道。夏に朝夕の寒暖差が激しい地域も多く、国内有数のよく知られる雲海スポットのほかに地元の人は知っている名所が少なからずあります。
雲海スポットへのアクセスは、車でのドライブ移動がメインになりますが、早起きとドライブを楽しめるなら、北海道は予想以上に雲海に遭遇するチャンスが多いところかもしれません。
北海道の雲海、見ごろは6月・7月の初夏
本州などでは、9月頃から冬にかけて雲海が発生するところも多いようですが、北海道で雲海が多くみられる時期といわれているのは、5月・6月・9月。
7月でも山間部などでは早朝の気温が0℃近くなることもあり、場所とタイミングによっては、7月・8月も雲海を見るチャンスがあります。
霧の発生とも深い関係がある雲海ですが、たとえば、霧の街として知られる釧路などの釧根エリアでは、霧は1年中立ち込めるわけではなく、発生し始めるのは4月から。8月頃まで霧はよく見られますが、9月頃より秋から冬にかけては晴れた乾燥した日が多くなり、冬が終わるまでは霧は滅多に発生しません。
一般的に北海道の冬は冷え込みと共にとても乾燥するので、そういう点からも北海道で雲海が多く見られるチャンスは、初夏から秋にかけてが多いといえそうです。
北海道、エリア別雲海スポット
素晴らしい雲海を見られるスポットが、道内各地にあります。ここでは、エリアごとにおすすめ&人気のスポットをご紹介。とはいえ、雲海は自然の産物。必ず見られるとは限りませんので、発生しやすいタイミングなどをよく読んで参考にしてください。
道央エリア
毛無山展望所(小樽市)
札幌から車で約50分。小樽の市街地からなら車で約30分で到着する、知る人ぞ知る雲海スポットが小樽の「毛無山展望所」です。国道393号沿いにある毛無山峠にある日本海・石狩湾を臨む展望所で、晴天の日は海を挟んで対岸の増毛連山やピンネシリなどの山並みが美しく、眼下には小樽の街並みが見える景観スポットです。特に春から初夏にかけては、小樽市街地に濃霧や低い雲が発生しているときは、展望所から市街地や石狩湾を覆う雲海を見るチャンスです。冬期は閉鎖しています。
毛無山展望所
橇負山/羊蹄パノラマテラス(留寿都村)
標高715mの橇負山(そりおいやま)は、夏はパラグライダーの発射場にもなります。頂上から“蝦夷富士”とも呼ばれる羊蹄山や留寿都村の街が一望できる眺望スポットで、早朝、条件が合えば雲海が臨めることも。山頂までは車で行けます。冬、山の斜面は「ルスツリゾート」のスキーゲレンデですが、夏は遊園地のアトラクションとして、山頂の「羊蹄パノラマテラス」までゴンドラ(有料)が利用できます。
橇負山(そりおいやま)
Mt.USUテラス(壮瞥町)
特に春から初夏にかけて雲海が見られやすい「Mt.USUテラス」。2020年にゴンドラをリニューアル、2021年に洞爺湖を一望するカフェ併設の展望デッキがオープンしました。「有珠山ロープウェイ」公式サイトではライブカメラで雲海を確認できる点もポイントです。晴れた日は、ソファに座ってのんびりと洞爺湖や昭和新山などの爽やかな自然景観を楽しめます。
MT.USUテラス(有珠山ロープウェイ)
札幌市内の雲海スポット
タイミングさえ合えば、札幌で最もアクセスしやすい雲海スポットといえる「藻岩山」。標高531mとそれほど高くはなく雲海発生のチャンスは限られますが、地上近くで低い雲に覆われている夕方近くに「藻岩山ロープウェイ」で雲を抜けて山頂駅へ行くと、一面の雲海と北西の方角に札幌市民のシンボル「手稲山」が顔を出す光景を目にすることも。「もいわ山山頂駅」へは、札幌市中央区の「山麓駅」からロープウェイとミニケーブルカー(各有料)で山頂駅まで行く手段と、札幌市南区の藻岩山観光自動車道(有料)を利用し中腹駅駐車場まで車でアクセスし、中腹駅からミニケーブルカーで山頂駅まで行く方法があります。
札幌もいわ山ロープウェイ(山麓駅)
札幌もいわ山ミニケーブルカー(中腹駅)藻岩観光自動車道料金所
また、多少体力を要しますが、1972年の冬季オリンピックの会場にもなり、山頂の送信所アンテナがシンボルの「手稲山」(標高1,023m)山頂でも雲海を見られるチャンスがあります。手稲山山頂へは、オリンピックハウス付近に車を停め、冬はゲレンデとなる山の斜面を徒歩で山頂(ロープウェー降り口)まで上がります。下界が霧(雲)やガスに包まれているとき、雲を抜けて山頂に達すると、青空が顔を出し、眼下には雲海、遠くは羊蹄山を臨む光景が広がっているかもしれません。なお、手稲山はゴールデンウィークまでスキー場として営業しており、春先はスキーやスノーボードを楽しむ際、ゴンドラで山頂へ上がったときに雲海を目にするチャンスもあります。
手稲山(オリンピックハウス付近)
道東エリア
雲海テラス(占冠村)
ダイナミックな雲海が見られる「雲海テラス」。空中に浮かぶデッキ「Cloud Walk」や、フォトジェニックな飲み物を楽しめる「雲カフェ」など、雲海を見るための特別なスポットから迫力の雲海を堪能できます。星野リゾートトマムに宿泊すると「雲海ゴンドラ」まで送迎バスを利用でき、早朝でもアクセスしやすい展望スポットです。
雲海テラス(星野リゾートトマム)
パールスカイライン(上士幌町)
林道のヘアピンカーブが多く自然感溢れる幌鹿峠(ほろしかとうげ)を擁し、糠平湖(ぬかびらこ、上士幌町)と然別湖(しかりべつこ、鹿追町)を結ぶ「パールスカイライン」(道道85号)。「ぬかびら温泉郷」がある糠平湖から然別湖へ向かうと、幌鹿峠の頂上手前の糠平湖が見えるポイントで、糠平湖にかかる雲海が見られます。なお、パールスカイラインは冬期通行止めがあるので、道路情報を確認のうえアクセスしてください。
パールスカイライン(道道85号)
十勝が丘展望台(音更町)
十勝川温泉にある、十勝平野と日高山脈を一望できる展望台です。大きな花時計「ハナック」がある公園にあり、夕日の絶景や満点の星空、十勝川温泉・帯広市街の夜景、冬には十勝川の“けあらし”が見られるスポットとして知られています。早朝、平地に霧がかかっているときが雲海発生のチャンスです。
十勝が丘展望台
摩周第3展望台(弟子屈町)
夏には高確率で霧が漂う「摩周湖」と日本最大のカルデラ「屈斜路カルデラ」を臨む展望台。摩周第1展望台(弟子屈町)と裏摩周展望台(清里町)より標高が高く、6月から8月の明け方は雲海発生の確率が高くなります。摩周湖と屈斜路カルデラの雲海を一度に見るチャンスも。道道52号は冬期通行止になるので、道路情報を確認してアクセスしてください。
摩周第3展望台
道南エリア
函館山展望台(函館市)
日本有数の夜景スポット「函館山展望台」は、4月から8月にかけては雲海スポットでもあります。
夜空が晴れ渡った翌早朝、放射冷却現象で空気が冷え込むと雲海日和です。特に初夏に発生しやすく、まれに夜明け頃に発生した薄い雲海と夜明け夜景の奇跡のコラボを体験できることも。
展望台へは車でアクセスできるほか(冬期通行規制有り)、時間帯によっては「函館山ロープウェイ」が利用できます。
函館山展望台(山頂駐車場)
函館山ロープウェイ山麓駅(函館山山麓観光駐車場)
城岱スカイライン(七飯町)
七飯町市街地から“大沼国定公園”へ抜ける「城岱(しろたい)スカイライン」は、函館山からの“表夜景”に対する“裏夜景”が人気のドライブコース。近くの大沼は霧が発生しやすく、それが雲海スポットといわれる所以です。雲海から横津岳などが顔を出す景観は幻想的。冬期(11月~4月頃)は通行止になるので、道路情報を確認してください。
城岱スカイライン・城岱牧場
函館七飯ゴンドラ
函館市街地から車で約45分、大沼国定公園にほど近く、冬は“函館七飯スノーパーク”としてスキー・スノーボードを楽しめる場所ですが、4月下旬からは展望デッキで眺望を楽しめる「函館七飯ゴンドラ」として営業。新函館北斗駅とJR大沼公園駅から無料シャトルバスも利用できます。
頂上の展望デッキからは大沼国定公園、遠くは羊蹄山、噴火湾などを臨め、雲海が出ると独創的な形の北海道駒ヶ岳が雲間にぽっかりと顔を出す絶景が見られます。
函館七飯ゴンドラ
道北・オホーツクエリア
みずほパーキング(名寄市)
旭川の北にある名寄市と日本海側の遠別町を結ぶ道道688号の名寄市街地から約15kmの辺りにある「みずほパーキング」は、雄大な自然の中に拓けた名寄市街地を見ることができる景観スポットですが、タイミングが合えば、森の間にたなびく雲海が見られる場所でもあります。特に雲海が広がるなか、夜明けの朝日が昇る瞬間は息を飲む美しさ。特に秋の早朝に雲海発生の確立が高くなるスポットです。冬期は通行止になるので、道路情報を確認してアクセスしてください。
みずほパーキング
桃岩展望台(礼文町)
日本最北の島、礼文島は霧が多く、霧がかかった早朝に雲海が発生することがあります。島にはいくつか雲海スポットがあり、そのひとつは標高225mの「桃岩展望台」。フェリーターミナルから車で(近くにレンタカー有り)展望台の駐車場へ行き、徒歩5分もかからずに到着です。隣の島の「利尻富士」が雲海に浮かんでいるような光景が印象的。車や自転車のほか、お花畑に囲まれたトレイルコースのハイキングを楽しみながらアクセスする方法もあります。
桃岩展望台(桃岩展望台駐車場)
津別峠(津別町)
道道588号(屈斜路津別線)の「津別峠」。屈斜路湖(くっしゃろこ)を臨むビュースポットのひとつで、道道588号から林道を入ると中世ヨーロッパの古城のような「津別峠展望施設」があります。晴れた日は屈斜路湖と周りを囲む森、名峰、雌阿寒岳や摩周岳、硫黄山、斜里岳、遠くは大雪山やオホーツク海の眺望を楽しめますが、雲海が発生すると、景観は一変、絶景が広がります。道道588号は冬期(11月~5月頃)は通行止になるので、道路情報を確認してアクセスしてください。
津別峠展望施設
まとめ
地元の人が日常的に目にしている北海道の雲海スポットは、今回ご紹介したほかにもまだあります。雲海は気象条件がいくつもそろったときにはじめて見られる気まぐれな自然現象ですが、旅の途中、自然が多いエリアやその近くに滞在したときには、案外身近にあるかもしれません。
旅の途中、霧や曇りのお天気になると、つい残念な気持ちになりがちですが、そんなときこそ雲海に出会うチャンスです。北海道の美しい自然を楽しむ早朝ドライブで、雲海との遭遇を期待しながら絶景スポットを探してみてはいかがでしょう。一期一会の思いがけない光景が待っていてくれるかもしれません。
なお、北海道全域で、冬期は通行が規制される道路があるので、11月~5月頃、雲海スポットにアクセスする際は、道路情報を確認してくださいね。