ドイツのお菓子一覧!ドイツ発祥のクリスマスマーケットの歴史も紹介
ドイツと言えばビールやソーセージなどが有名ですが、ドイツ人は甘いもの好きが多いと言われており、古くからお菓子の文化が根付いています。素朴な味わいのお菓子もあれば、濃厚な味付けで独特な食感が楽しめるお菓子も多いです。
こちらの記事では、ドイツの伝統的な有名お菓子やドイツのクリスマスマーケットの歴史について紹介します。誰もが知るあのお菓子から知る人ぞ知るドイツのお菓子まで幅広く紹介するのでぜひ最後までご覧ください。
この記事でわかること
- バウムクーヘンは「木のケーキ」を意味する
- ドイツではクリスマスに向けてシュトレンを少しずつ切り分けて食べる
- ドイツの丸いお菓子と言えばシュネーバル
- ドイツ語で渦巻くお菓子と言えばアプフェルシュトゥルーデル
- ドイツのクリスマスマーケットで最も有名なお菓子はレープクーヘン
ドイツの伝統的な有名お菓子一覧
ドイツには、ドイツで生まれたお菓子のほか、隣国で誕生してドイツで広まったお菓子など、古くからさまざまなお菓子が親しまれています。
ドイツの伝統的なお菓子20選
- バウムクーヘン
- シュトレン
- プレッツェル
- レープクーヘン
- シュネーバル
- アプフェルシュトゥルーデル
- シュトロイゼルクーヘン
- マルチパン
- ダンプフヌーデル
- モーンクーヘン
- シュヴァルツヴェルダーキルシュトルテ
- ケーゼトルテ
- ビーネンシュティッヒ
- ドナウヴェレ
- シュペクラティウス
- ベルリーナー
- フランクフルタークランツ
- スパゲティアイス
- プリンツレゲンテントルテ
- アイアシェッケ
それぞれのお菓子について詳しく紹介します。
1.バウムクーヘン(Baumkuchen)
バウムクーヘン(Baumkuchen)は、「木のケーキ」を意味するドイツの伝統的なお菓子です。材料には小麦粉やバター、卵、バニラエッセンスなどを使用し、生地を薄く巻いて何度も重ねて焼きます。断面が木の年輪のような模様が特徴で、「baum(木)」「kuchen(ケーキ)」という意味からその名がつけられました。適度な甘さと焦げの香ばしさがバウムクーヘンの特徴です。
バウムクーヘンの起源は諸説ありますが、北部ザクセン=アンハルト州の「ザルツヴェーデル」で初めて作られたという記録があります。ドイツでは特別な機会に食べられる高級なお菓子として知られるほか、日本では贈答品としても人気です。
2.シュトレン(Stollen)
シュトレン(Stollen)は、ドイツの伝統的なクリスマス菓子です。生地を折りたたんで焼いたような形状が特徴で、「坑道」のある山に似ていることからその名がつけられました。表面はパウダーシュガーで覆われており、まるで雪景色のような見た目をしています。ラム酒やブランデー漬けにされたレーズンやクルミに加え、さまざまなドライフルーツが詰まった豊かな風味が魅力です。
シュトレンの本場はドイツのドレスデンとされ、クリスマスマーケット期間中には巨大なシュトレンが登場する「シュトレン祭り」が開催されます。ドイツでは、クリスマスに向けてシュトレンを少しずつ切り分けて食べる習慣があり、クリスマスになる前から準備されるのが一般的です。少しずつ切り分けて食べることで、変化するシュトレンの風味を楽しめるだけではなく、日々近づいてくるクリスマスを待つ楽しみがあります。柔らかくしっとりとした生地と控えめな甘さが特徴で、ドイツの冬の風物詩として親しまれています。
3.プレッツェル(Brezel)
プレッツェル(Brezel)は、独特の形状と風味が特徴のドイツ発祥のパンです。腕を組んだような見た目をしており、これはキリスト教の修道士が祈る姿を象徴していると言われています。その名前はラテン語の「小さな礼」に由来し、神への感謝を表しているとされています。
プレッツェルは塩水で煮る工程があり、もちもちとした食感と表面に振りかけられた大粒の塩による塩味が特徴です。プレッツェルはビールとの相性が抜群で、スナックやビールのおつまみとして人気です。歴史的には、7世紀のヨーロッパの修道院で、修道士たちが寒い冬を越すための食糧として作られたのが始まりとされます。ただし、諸説あるためはっきりとした歴史はわかっていません。現代ではアレンジされたプレッツェルも多く、幅広いバリエーションで楽しまれています。
4.レープクーヘン(Lebkuchen)
レープクーヘン(Lebkuchen)は、しっとりとした食感とスパイスの効いた独特の味わいが特徴のクッキー菓子です。底にオブラートを敷き、上部がチョコレートや砂糖でコーティングされたお菓子で、保存性に優れています。ハチミツがたっぷりと練り込まれた生地にシナモンやカルダモン、ナツメグ、コリアンダーなどのスパイスが入っています。
レープクーヘンの本場はニュルンベルクとされ、クリスマスマーケットでは定番のお菓子のひとつです。ニュルンベルクの老舗の専門店「シュミット」では、1年を通してレープクーヘンを楽しめると評判です。また、レープクーヘンは風味豊かな味わいと保存性から、クリスマスシーズンには贈答品としても人気が高く、多くの家庭で楽しまれています。伝統的な製法とスパイスの香りが、冬の季節にぴったりの温かみをもたらします。
5.シュネーバル(Schneeball)
シュネーバル(Schneeball)は、小麦粉にバターと卵を加えた生地を小さな球体にし、オーブンで焼いて仕上げに粉砂糖をまぶしたお菓子です。トッピングはさまざまで、チョコレートやナッツ、フルーツ風味のトッピングなどがあります。雪の玉のような見た目で、直径7〜10cmほどが一般的なサイズとなっています。表面が固く、ハンマーを必要とするほどとも言われていますが、一度噛み砕くとクランチな食感と甘さを楽しめます。
シュネーバルの発祥はフランケン地方のローテンブルクとされ、ローテンブルクのシュネーバルは特に有名です。特別な日のお祝い事や結婚式などでよく登場し、保存性も高いためお土産としても喜ばれます。
6.アプフェルシュトゥルーデル(Apfelstrudel)
アプフェルシュトゥルーデル(Apfelstrudel)は、ドイツやオーストリアで人気のある伝統的なデザート菓子です。「リンゴの巻き菓子」という意味があり、シュトゥルーデルと略されることも多いです。薄いパイ生地で細かく刻んだリンゴやレーズン、シナモン、砂糖、オレンジの皮などを巻いて焼き上げたもので、外側がしっとりとした食感に仕上がっています。リンゴの甘酸っぱさとシナモンの香りが絶妙にマッチし、パイ生地のサクサクとした食感が特徴です。また、カフェなどのお店ではバニラソースやバニラアイスクリームを添えて食べることが一般的です。
7.シュトロイゼルクーヘン(Streuselkuchen)
シュトロイゼルクーヘン(Streuselkuchen)は、「クランブルケーキ」を意味するドイツの伝統的なお菓子です。ケーキの上に粒状のトッピング「シュトロイゼル」がまぶされており、焼き上がりは上面がクリスピー生地になり、サクサクとした食感が楽しめます。生地はバターや砂糖、小麦粉を混ぜて作られ、ケーキの中身にはチーズやカスタードクリーム、アップルピューレなどが使われることが多いです。
もちもちとしたケーキ生地と、豊かなバターの風味に加え、クリスピーな食感の組み合わせが魅力です。地域によってはプラムやリンゴ、桃などのフルーツを使用したバリエーションもあり、果物の風味とシュトロイゼルクーヘンも楽しめます。
8.マルチパン(Marzipan)
マルチパン(Marzipan)は、アーモンドの粉と砂糖を主成分とするお菓子です。見た目はシンプルながらも、アーモンドの含有量が多いほど高品質とされ、濃厚な風味が特徴です。ローズウォーターやホワイトチョコレートなどを加えて風味を豊かにしたものもあります。その歴史は13世紀に遡り、ベネチアからやってきたハンザ商人によってドイツに広まったとされます。現代では特にドイツ北部の都市「リューベック」のマルチパンが有名で、リューベックのマルチパンはアーモンド含有量が高く高級品です。また、マルチパンは特にクリスマスシーズンに人気で、ギフトとしても選ばれることが多いです。
9.ダンプフヌーデル(Dampfnudel)
ダンプフヌーデル(Dampfnudel)は、ドイツのバイエルン地方やドイツ南部に隣接する国「オーストリア」の伝統的なデザートです。別名「ヘーフェクレーセ(Hefeklöße)」ともよばれます。見た目は中華まんのような白くふわふわとした蒸しパンです。酵母入りの小麦粉生地を団子状にし、中にジャムを入れて蒸し上げます。仕上げにバニラソースやケシの実をかけて楽しみます。外側がカリッと中はもちもちとした食感が特徴で、バニラソースやフルーツソースと一緒に食べることでより豊かな風味を楽しめます。ダンプフヌーデルは洋菓子店やスーパーではあまり見かけないため、家庭で作られることが多いですがレストランのデザートとしても人気です。
10.モーンクーヘン(Mohnkuchen)
モーンクーヘン(Mohnkuchen)は、ケシの実を主成分とするドイツ発祥のお菓子です。ケシの実を粉にして砂糖やバター、ミルクなどで練り上げ、具材を生地に詰めて焼いたケーキです。プチプチとしたケシの実の食感が特徴で、香ばしい風味が楽しめます。ドイツだけでなく、ポーランドやチェコ、ハンガリーなどの家庭でも古くから親しまれてきました。ドイツでは、ケシの実をフィリングとして生地に渦巻状に練りこんで焼く「モーンシュトリーツェル」も人気があります。モーンクーヘンは、特別な日や祝祭日に食べられることが多いですが、日常のティータイムやカフェでも食べられています。
11.シュヴァルツヴェルダーキルシュトルテ(Schwarzwälder Kirschtorte)
シュヴァルツヴェルダーキルシュトルテ(Schwarzwälder Kirschtorte)は、「黒い森のさくらんぼ酒ケーキ」という意味のデザート菓子です。1930年代ごろからドイツ全土に広まったとされ、その名はドイツの「シュヴァルツヴァルト」地方に由来します。ココアスポンジにドイツのさくらんぼ酒「キルシュヴァッサー」を染み込ませ、間にホイップクリームとさくらんぼを挟んだケーキで、仕上げに削ったチョコレートでデコレーションされます。しっとりとしたココアスポンジとさくらんぼ酒の風味が特徴で、ホイップクリームとさくらんぼの甘さが絶妙な味わいです。
12.ケーゼトルテ(Käsetorte)
ケーゼトルテ(Käsetorte)またはケーゼクーヘン(Käsekuchen)は、ドイツの伝統的なチーズケーキです。見た目はシンプルでありながらも、使用されるフレッシュチーズ「クワルク」によって独特のさっぱりとした味わいが特徴です。クワルクはヨーグルトのような滑らかさとサワークリームのような酸味を持つチーズで、日本の濃厚なチーズケーキとは異なる軽やかな風味が感じられます。そのため、ケーゼトルテは「クワルクトルテ(Quarktorte)」とよばれることもあります。
また、ケーゼトルテはレモンの香りが加えられることが多く、フレッシュで豊かな風味も魅力のひとつです。ドイツでは焼き菓子「アプフェルシュトゥルーデル」と並んで人気が高く、カフェやパン屋で広く親しまれています。また、地域によってはフルーツやチョコレート、クリームなどで装飾されることもあり、さまざまなバリエーションが楽しめます。
13.ビーネンシュティッヒ(Bienenstich)
ビーネンシュティッヒ(Bienenstich)は、「ハチの一刺し」という意味をもつドイツの伝統的なケーキです。上面にぎっしりとコーティングされたアーモンドが特徴で、キャラメルのような甘さと香ばしさがあります。中にはたっぷりとバタークリームが詰められており、上部のサクサクとした食感とクリームのしっとりとした口あたりのバランスが絶妙です。アーモンドの香ばしさと濃厚なバタークリームの甘さが調和しており、コーヒーや紅茶によく合います。歴史的には、蜂に刺されたパン職人がこのケーキを作り出したという逸話があり、そのユニークなエピソードも魅力のひとつです。地元ドイツではベーカリーやカフェで定番の商品であり、ティータイムのお供として親しまれています。
14.ドナウヴェレ(Donauwelle)
ドナウヴェレ(Donauwelle)は、「ドナウ川の波」を意味するドイツの伝統的なケーキです。カットした際に側面が波のように見えることから名付けられました。プレーン生地とココア生地、またはベリー系の赤みのある生地が層を成しており、上部にはバタークリームとチョコレートでコーティングされ、フォークで波模様を描いて作られます。
プレーンとココアの生地が重なり合うことで、甘さとコクが調和し、バタークリームのリッチな風味とチョコレートのコーティングが味全体を引き締めます。さくらんぼやベリーの酸味がアクセントとなり、豊かな味わいを感じられるのも特徴です。
15.シュペクラティウス(Spekulatius)
シュペクラティウス(Spekulatius)は、クッキー生地を薄い木型に入れて形を整え、多様な模様を施して焼き上げるジンジャービスケットです。カルダモンやシナモン、ナツメグ、クローブなどのスパイスが効いており、香ばしくて体を温めるような味わいが特徴です。ベルギーやオランダ、ドイツのライン川沿いの地方に由来するお菓子で、動物や風景などの美しいデザインが楽しめます。シュペクラティウスは、1年中楽しむことができますが、特にドイツではクリスマスの伝統的なお菓子として愛されています。
16.ベルリーナー(Berliner)
ベルリーナー(Berliner)は、ドイツやオーストリアで人気のある揚げドーナッツです。トーストの生地を油で揚げ、内部にジャムやクリームを詰めたパン菓子で、特にカーニバルの時期に多く食べられ、街中でさまざまな種類のベルリーナーが販売されます。見た目は丸くてふっくらとしており、外はカリカリ、中はふわっとした食感が特徴です。中身にはストロベリージャムやラズベリージャム、バニラクリームなどが詰められ、表面には粉砂糖がトッピングされています。
また、ベルリーナーの正式名称は「ベルリーナー・プファンクーヘン」です。しかし、その名の由来や呼び名は地域によって異なります。たとえば、ベルリンではパンケーキという意味の「プファンクーヘン」、南部ドイツやオーストリアでは揚げパンという意味の「クラップフェン」ともよばれます。
17.フランクフルタークランツ(Frankfurter Kranz)
フランクフルタークランツ(Frankfurter Kranz)は、ドイツの都市「フランクフルト・アム・マイン」の名物ケーキです。クランツとは「花輪」という意味があり、フランクフルタークランツはリング状の形をしています。スポンジケーキとバタークリームを何層にも重ね、表面に砕いたヘーゼルナッツやアーモンドをまぶして作られるケーキです。てっぺんに砂糖漬けのチェリーを飾った華やかな見た目が特徴的です。素朴で懐かしさを感じさせる味わいで、バタークリームの濃厚さとナッツの香ばしさが絶妙に調和しています。
18.スパゲティアイス(Spaghettieis)
スパゲティアイス(Spaghettieis)は、ドイツの都市「マンハイム」にあるお店「アイス・フォンタネッラ」のオーナーが開発したとされるスイーツです。見た目はミートスパゲティにしか見えませんが、細長く絞り出したバニラアイスをスパゲティ麺に見立て、ミートソースの代わりにイチゴソースをかけ、粉チーズの代わりに小さく削ったホワイトチョコレートをトッピングしたお菓子です。
見た目のインパクトがありながらも、食感は軽くふんわりとしており、バニラアイスとイチゴソースの甘酸っぱい味わいが楽しめます。現在ではドイツ全土のアイスカフェで提供されており、特に暑い日に食べたいおすすめのスイーツです。スパゲティアイスは1970年代に誕生した比較的新しいスイーツですが、そのユニークな見た目とおいしさから瞬く間に人気となりました。
19.プリンツレゲンテントルテ(Prinzregententorte)
プリンツレゲンテントルテ(Prinzregententorte)は、バイエルン王国の摂政王子「ルイトポルト」を称えて1886年に作られたケーキです。スポンジ生地の「ビスキュイ」とバタークリームを何層にも重ね、ダークチョコレートでコーティングされた華やかなケーキです。当初は王子が支配する7つの行政地域に因んで7層で作られていましたが、現在では6層のプリンツレゲンテントルテもあります。
ビスキュイのサクサク感とバタークリームのしっとり感が絶妙にマッチし、ほろ苦いチョコレートとバタークリームの甘さが特徴です。マーマレードやアプリコットが混ぜられることもあり、豊かな風味が感じられます。
20.アイアシェッケ(Eierschecke)
アイアシェッケ(Eierschecke)は、ドイツのドレスデンやザクセン地方の伝統的なお菓子です。見た目は3層構造になっており、土台は小麦粉を使ったスポンジ生地またはタルト生地、その上にレーズンを混ぜたクワルク(フレッシュチーズ)や生クリーム、さらにカスタードが重なっています。
クワルクやカスタードのクリーミーさとレーズンの甘酸っぱさが絶妙で、食感も楽しめる複雑なケーキです。名前の由来には2つの説があり、ひとつは14世紀頃の男性のチュニックにベルトを留めた姿に似ていること、もうひとつは焼き上がりの表面がまだら(シェッケ)に見えることに由来するとされています。
ドイツのクリスマスマーケットの歴史
ドイツでは、クリスマスの時期になるとほぼ全ての都市でクリスマスマーケットが開催されます。クリスマス風の飾り付けがされると同時に屋台も並び、レープクーヘンやグリューワインを楽しめるドイツを代表するイベントです。特に、ニュルンベルクのレープクーヘンやアーヘンのプリンテン、ドレスデンのクリストシュトレン、肉桂入りの星型クッキーといったお菓子はクリスマスマーケットで欠かすことはできません。
クリスマスマーケットの始まりは、1393年に都市「フランクフルト・アム・マイン」で行われた、厳しい寒さの冬を迎える前に日用品を売買するイベントとされています。現在のクリスマスマーケットのように、デコレーションや音楽で彩られ、芸術品やパン菓子、おもちゃなどが売られるようになったのは19世紀からでした。ドイツ観光局によれば、現在クリスマスマーケットの開催数は大都市だけでも2,500以上とされ、毎年何百万もの人々が訪れ、レープクーヘンやグリューワイン、シュトレンなどを楽しむと言います。ドイツで最も有名なクリスマスマーケットといえばニュルンベルクの「クリストキンドレスマルクト」ですが、このイベントには毎年200万人以上が訪れるそうです。
ドイツのクリスマスとお菓子の関係
ドイツのクリスマスは例年12月24日〜26日の3日間で、この日は家族や親戚が集まって食事やプレゼント交換をして過ごすなど、日本の年末年始のようなイメージです。ドイツではクリスマスのずっと前から楽しみが始まり、11月の終わりからクリスマスまでの約4週間はイエス・キリストの降誕を待ち望む期間「アドベント」とよばれ、クリスマスを楽しみに日々を過ごします。
ドイツの各都市では毎日クリスマスマーケットが開催され、マーケットでショッピングをするほかおいしいものを食べるなどクリスマスの雰囲気を満喫します。ドイツの有名なクリスマスお菓子は次のとおりです。
ドイツのクリスマスお菓子
- レープクーヘン
- シュトレン
- バウムクーヘン
ドイツのクリスマスマーケットのお菓子や飲み物には、スパイスが多く入っていることが特徴で、寒い冬に備えるために体を温める意味があるようです。ここからは、上記3つのお菓子の歴史について詳しく紹介します。
レープクーヘンの歴史
ドイツのクリスマスマーケットでは、レープクーヘンが最も有名です。レープクーヘンは12世紀にベルギーのディナンで発明された焼き菓子です。その後、ドイツのフランケン地方の修道院「アーヘン」へと広がりました。レープ(Leib)は、ラテン語で「平らな」を意味しており、「平らなパン」がその語源となっています。Mかつては「ペッパーケーキ」とよばれていたお菓子で、修道院では断食の期間中に濃いビールとペッパーケーキを食べることが好まれていました。
現代ではニュルンベルクのレープクーヘンが特に有名ですが、これはニュルンベルクの土地が関係しています。ニュルンベルクは中世以降、胡椒や香辛料などが入ってくる交易の中心地でした。さらに、ニュルンベルク周辺の広大な森は「ドイツ帝国の蜂の庭」ともよばれるほど野生のミツバチの牧草地で、大量のハチミツが町へ運び込まれていました。このようにニュルンベルクは、レープクーヘンの材料となるスパイスやハチミツが豊富な土地だったからこそ古くから親しまれ、レープクーヘンが有名な都市となりました。
シュトレンの歴史
レープクーヘンと並び、ドイツのクリスマスマーケットに欠かせないお菓子がシュトレンです。ドイツではクリスマスになると家庭でシュトレンを焼く習慣があり、その歴史は1329年に文書で言及されるほど古いものです。
シュトレンの発祥の地は、ドイツのザクセン州の都市「ドレスデン」と言われており、当時作られていたシュトレンはクリスマス前の断食期間の食べ物でした。現代のシュトレンのようにバターなどは含まれておらず、水と小麦粉だけで作られていた質素な焼き菓子だったと言われています。当時はローマ教会の教義において、シュトレンの材料に水・酵母・小麦粉以外の使用が許可されていなかったためです。しかし、その後バター禁止令の廃止が認められたことにより、おいしいシュトレンが食べられるようになりました。
バウムクーヘンの歴史
バウムクーヘンもドイツのクリスマスマーケットを代表するお菓子のひとつです。日本では一年を通して食べられるお菓子ですが、ドイツでは一部の専門店を除いて基本的にクリスマスシーズンでしか食べられることはありません。バウムクーヘンの起源には諸説ありますが、はじめてバウムクーヘンが焼かれたのは、ドイツ北部ザクセン=アンハルト州の小さな町「ザルツヴェーデル」とされています。1800年代の初めに誕生し、ザルツヴェーデルでは200年以上前のレシピ通りに今も直火で焼かれるバウムクーヘンを見たり食べたりできます。
まとめ
ドイツの伝統的なお菓子はさまざまです。素朴な味わいのものから、濃厚な味付けで独特の食感のものまであります。クリスマスになれば、レープクーヘンやシュトレンを食べるのがドイツの文化です。また、ドイツのお菓子の中には、日本で食べられるものも多いので、気になるお菓子があればぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。