和菓子の種類一覧!干菓子・半生菓子・生菓子の種類別に紹介
日本が世界に誇る伝統的な食べ物「和菓子」。和菓子は普段のおやつやお茶請けとして食べられるだけではなく、美しい見た目とやさしい味わいからお祝い事や贈り物、冠婚葬祭の場など幅広く活用されています。和菓子にはさまざまな種類がありますが、実際に何種類あるのか、どのように分類されているのかご存知でしょうか。
こちらの記事では、和菓子の種類と分類方法について詳しく解説します。
- 和菓子は水分量の違いで3種類に分けられる
- 水分量に加え製法・材料でさらに細かく分けられる
- 同じ和菓子でも水分量や製法などで分類が異なることがある
- 有平糖や金平糖、カステラはポルトガルから伝来した
和菓子の分け方は大きく3種類
基本的には、和菓子は水分量によって大きく次の3つに分類することができます。
和菓子の分類
- 干菓子|水分量10%以下
- 半生菓子|水分量10%~30%
- 生菓子|水分量30%以上
ただし、和菓子の分類法は複雑で、和菓子の名称だけでは一概にも分類できないので注意が必要です。たとえば、寒天や砂糖、水あめで作る「錦玉羹(きんぎょくかん)」は水分量が少ないと半生菓子に該当しますが、水分量が多いものは生菓子に分類されます。そのため、和菓子を正確に分類するためには、和菓子の水分量を確認することが重要です。ここからは、それぞれの分類について詳しく解説します。
種類①干菓子|水分量10%以下
干菓子(ひがし)は、水分量が10%以下の和菓子を指します。水分量が少ないため固めの歯ごたえに加え、日持ち・保管しやすいことが特徴で、1カ月以上保存できるものが多く、中には半年近く日持ちするものもあります。たとえば、あられ(おかき)やボーロ、せんべいなどが干菓子の一種です。
種類②半生菓子|水分量10%~30%
半生菓子は、水分量が10%〜30%の和菓子を指します。適度に柔らかい食感の物が多く、生菓子よりも日持ちしやすいことが特徴です。基本的に1〜3週間ほど日持ちするため、お土産や手土産としての利用が適していますが、贈り物として購入する際は賞味期限を確認するのが大切です。半生菓子に分類される和菓子には、最中や石衣(いしごろも)、寒氷などがあります。
種類③生菓子|水分量30%以上
生菓子は、水分量が30%以上の和菓子を指します。干菓子や半生菓子と比べてみずみずしくもちもちとした食感が特徴です。一方で、日持ちしにくく賞味期限は当日中か長くても2〜3日なので、生菓子を作ったり購入したりした際は早めに食べ切ることが大切です。たとえば、どら焼きや饅頭、団子、餅、カステラなどは基本的に生菓子に分類されます。
和菓子は製法や材料によってさらに細かく分類される
和菓子は水分量で分類するほか、製法や材料によってさらに細かく分類することができます。主な小分類の項目とその特徴は次のとおりです。
小分類 | 特徴 |
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打ち物 |
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押し物 |
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餅物 |
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蒸し物 |
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焼き物 |
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揚げ物 |
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飴物 |
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掛け物 |
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岡物(おか物) |
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あん物 |
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流し物 |
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練り物 |
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和菓子の分類法は複雑で、小分類には焼き物や練り物など製法による分け方もあれば、あん物や餅物といった素材による分け方もあります。和菓子は素材やその配合、製法が多岐に渡り、一概に分類することが難しいため奥深い食べ物です。
干菓子の代表的な和菓子10選
干菓子に分類される代表的な和菓子には以下があります。
代表的な干菓子
- 落雁(打ち物)
- 村雨(押し物)
- ボーロ(焼き物)
- 千歳飴(飴物)
- 有平糖(飴物)
- おこし(掛け物)
- あられ・おかき(焼き物)
- 金平糖(飴物)
- せんべい(焼き物)
- けんぴ(焼き物)
それぞれの和菓子について詳しく紹介します。
1.落雁(打ち物)
落雁(らくがん)は、穀物や砂糖などを木型に入れて成型し、冷やし固めて作られる伝統的な干菓子です。主材料には和三盆糖や上白糖が使われ、米粉や豆などの穀物粉を加えたネキ水が上品な甘さと独特の食感に仕上がります。四季折々の草花や縁起物をモチーフにした繊細な彫刻と色彩など、見た目の美しさも魅力のひとつです。室町時代に発祥したとされており、現代では祝儀や茶道、供え物としてよく用いられます。
2.村雨(押し物)
村雨(むらさめ)は小豆や砂糖、米粉を混ぜて蒸し上げて作る和菓子です。そぼろ状の生地が雨のように見えるため、「村雨」や「時雨(しぐれ)」とよばれます。口当たりがほろりとして繊細で、控えめな甘さが特徴です。かつて江戸時代に大阪で生まれたとされていますが、現代では村雨の生地であんを包んだり、羊羹と重ね合わせたりする創作和菓子もあり、四角い形状やロール状など多種多様です。
3.ボーロ(焼き物)
ボーロは、小麦粉や馬鈴薯に砂糖・卵を混ぜて焼き上げた和菓子です。クッキーに似た食感で、干菓子の焼き物に分類されます。地域によっては佐賀県の「丸ぼうろ」や京都府の「蕎麦ぼうろ」「衛星ボーロ」などがあり、それぞれ違った風味や味わいを楽しめるのが魅力です。また、ボーロは16世紀にポルトガルから日本に伝わったとされるほか、日本では室町時代に発祥したという説もありますが、現代では手軽に楽しめるお菓子として親しまれています。
4.千歳飴(飴物)
千歳飴は江戸時代に発祥した和菓子で、砂糖に水あめを加えて煮詰め、冷やしながら棒状に成形して作る和菓子です。見た目はシンプルな棒状で、紅白や白×黄色、白×緑などのカラフルなツートンカラーが特徴です。味わいは砂糖と水あめの軽い口当たりとほのかな甘みに加え、抹茶やイチゴ、ミルクなど多様なフレーバーも楽しめます。千歳飴はその折れやすい材質が成長過程の子どもを象徴しており、七五三のお祝いに欠かせない縁起物とされるほか、日常のおやつや茶菓子、記念日の贈り物としても人気があります。
5.有平糖(飴物)
有平糖(ありへいとう)は、砂糖に水あめを合わせて高温で煮詰めて作る和菓子です。サクッと崩れるような食感が特徴で、干菓子の飴物に分類されます。色鮮やかで透明感のある見た目が魅力で、四季折々の自然や縁起物を模したデザインの有平糖も多く存在します。主なフレーバーには抹茶やイチゴ、マンゴーなどがあり、上品で軽やかな甘さと爽やかな風味を楽しめるお菓子です。また、かつては安土桃山時代にポルトガルから伝来し、日本で独自に進化したとされます。
6.おこし(掛け物)
おこしは、「おこし種」とよばれる米や砂糖、水あめなどで作られる和菓子です。材料に砂糖液をかける掛け物に分類されます。香ばしく歯ごたえが特徴ですが、地域によって風味や味わいに違いがあります。関東では米の形を活かしたおこしが一般的で、特に浅草の「雷おこし」が有名です。一方、関西では米を砕いて粟のように見せる「粟おこし」が主流で、大阪の「岩おこし」は硬く生姜の風味が特徴的です。
7.あられ・おかき(焼き物)
あられ・おかきは、もち米を成形して火で炙り、塩や醤油などで味付けして作る和菓子です。あられは小さめに、おかきは大きめに切り分けられるといった違いがあります。干菓子の焼き物に分類され、歯ごたえがあるもののソフトでしなやかな食感を楽しめるのが特徴です。
また、あられやおかきの味付けは多様で、塩味や醤油味のほかに、エビや梅しそ、昆布などで味付けされている物もあります。中でも、さまざまな色合いと味付けがほどこされた「ひなあられ」は、3月3日のひな祭りに備えられる和菓子としても人気です。
8.金平糖(飴物)
金平糖(こんぺいとう)は、砂糖の結晶を回転釜で加熱しながら蜜を加えて作る和菓子です。星のような形とカラフルな見た目が特徴で、子どもから大人まで幅広く愛されています。素朴な砂糖の甘さが楽しめるだけでなく、フルーツ味やお茶味など幅広いフレーバーを味わえます。
また、安土桃山時代にポルトガルから伝来したとされており、金平糖という名前はポルトガル語の「コンフェイト(=砂糖菓子)」に由来します。長期間保存が可能で、慶事や季節行事などに食べられる和菓子です。
9.せんべい(焼き物)
せんべいは、米粉や小麦粉を練り、薄く延ばして焼いた和菓子です。干菓子の焼き物に分類され、塩や醤油で味付けされた歯ごたえのある食感が特徴です。せんべいには、「草加せんべい」など米を原料とし塩や醤油で味付けされるものと、「瓦せんべい」など小麦粉や卵、砂糖などを使って甘い味付けにする2種類があります。形状も多様で、丸いものから四角、ハート型までさまざまなせんべいが存在します。
10.けんぴ(焼き物)
けんぴは、平安時代または室町時代に発祥したとされる和菓子で、高知県の郷土菓子です。小麦粉や砂糖、卵、水を原料とし、生地を薄く延ばして細切りにし焼き上げて作られます。はじめは堅い食感で噛むうちにザクザクとした心地いい食感になり、次第に口の中で柔らかく溶けて風味豊かな香りが広がるのがけんぴの魅力です。また、けんぴは通常焼き物ですが、さつま芋を使用した「芋けんぴ」という派生菓子もあり、油で揚げてから乾燥させる製法のものは揚げ物に分類されます。
半生菓子の代表的な和菓子10選
半生菓子に分類される代表的な和菓子には以下があります。
代表的な半生菓子
- 石衣(あん物)
- 最中(岡物)
- 桃山(焼き物)
- すはま(岡物)
- 甘納豆(豆菓子)
- 寒氷(流し物)
- 茶通(焼き物)
- ゆべし(蒸し物、餅物)
- かのこ(岡物)
- 錦玉羹(流し物)
それぞれの和菓子について詳しく紹介します。
1.石衣(あん物)
石衣(いしごろも)は、小豆あんを練ってあんこ玉を作り、その表面をすり蜜でコーティングした和菓子です。上品な甘さが特徴の半生菓子で、関東や東海、九州では「石衣」、関西では「松露(しょうろ)」とよばれます。白い砂糖の外皮があんこ玉を覆うような見た目をしており、石が衣をまとっているように見えることからその名が付けられました。外皮のサクッとした食感と中のあんこの甘みが特徴で、製品によってはこしあんや白あん、抹茶など多様な風味が楽しめます。小ぶりなひと口サイズで食べやすく、老若男女問わず親しまれる和菓子です。
2.最中(岡物)
最中(もなか)は、もち米を原料に薄く伸ばして焼いた「最中種」という皮に、こしあんやつぶあんを挟んで作る和菓子です。サクッとした食感の外皮と、上品な甘さのあんこが魅力です。一般的にはシンプルな形状ですが、求肥(ぎゅうひ)や栗、柚子などを加えたものもあり、多様なバリエーションが存在します。また、平安時代の文献にその名が登場し、江戸時代には「最中の月」として販売されていたとされる和菓子です。現代ではおやつとして楽しまれるほか、縁起物としてお祝い事の贈り物としても人気です。
3.桃山(焼き物)
桃山は、白あんに卵黄と砂糖を混ぜた生地を型に入れ焼き上げた和菓子です。しっとりとした食感とやさしい甘さが特徴で、卵黄の風味が漂う上品な味わいが楽しめます。縁起物やお供え物としても利用され、特にお正月やお祝い事には干支や鯛を型取った桃山が人気です。江戸時代以降に発祥したとされ、京都の「桃山御殿(伏見城)」の瓦模様にちなんで名付けられました。
4.すはま(岡物)
すはま(州浜)は、大豆を原料とする粉(すはま粉やきな粉)に砂糖、水あめ、求肥を練り合わせて作る和菓子です。京都名物として知られ、製造過程で熱を加えないため半生菓子の岡物に分類されます。すはま粉やきな粉の香ばしい香りと、水あめや求肥による柔らかく弾力のある食感が特徴です。あっさりとした風味に加え、素朴な味わいと独特な形状が楽しめます。また、切り口が美しい曲線を描くように成形される和菓子で、浜辺の輪郭にできる曲線「州浜」を模した形状からその名前が付けられました。
5.甘納豆(豆菓子)
甘納豆は、小豆や黒豆、えんどう豆などの豆類を水煮し、砂糖漬けにして作る和菓子です。半生菓子の一種ですが、小分類のどれにも当てはまらないため、一般的に豆菓子とされます。豆の種類によって色や味わいが異なるため、豊富なバリエーションが楽しめるのが特徴で定番の小豆のほか、いんげん豆や金時豆、大福豆などが使われ、豆本来の風味と甘さが魅力です。砂糖をまぶして乾燥させた昔ながらの「甘納豆」と、砂糖をまぶさない「ぬれ甘納豆」の2種類があります。ひと口サイズで見た目は素朴ですが栄養価が高く、おやつやお茶請け、贈答品などに人気です。
6.寒氷(流し物)
寒氷(かんぴょう)は、寒天と砂糖を煮て溶かし練ったものを型抜きし、乾燥させ固めた和菓子です。見た目は華やかで、星形や花形、雪の結晶など多様な形状があり、さらに薄青や薄紫、琥珀色などのパステルカラーで彩られています。外側はシャリッと、中はしっとりとした食感で、強い甘みがありながらも洗練された後味が特徴です。寒氷は製造に手間と時間がかかるため高価ですが、味と見た目に優れていることから茶会やおやつ、贈答品などに人気の和菓子です。また、発祥は不明ですが、名古屋の銘菓として知られています。
7.茶通(焼き物)
茶通(ちゃつう)は、小麦粉に卵白や砂糖、抹茶を練り混ぜた生地でこしあんを包み、焼いて作られる和菓子です。焼饅頭の一種で半生菓子の焼き物に分類され、円筒型や丸型の形状が一般的です。焼き上がりの上部に茶葉を散らすことが多く、素朴な見た目をしています。
カリッとした香ばしい生地の食感と、しっとりとしたこしあんの甘みが絶妙に調和し、抹茶のほのかな苦みが魅力です。主に新茶シーズンの5月にシーズンを迎える茶通ですが、通年で楽しむことができます。また、発祥は不明ですが京都銘菓として知られています。
8.ゆべし(蒸し物、餅物)
ゆべし(柚餅子)は、柚子やくるみ、餅生地を用いて蒸したり練ったりして作られる和菓子です。製法によって半生菓子の蒸し物または餅物に分類され、保存食や携帯食としても食べられています。地域によって材料や作り方が異なり、柚子系とくるみ系の二つに大別されます。西日本では柚子の香りが楽しめる柚子系が多いのに対し、東北や関東ではくるみを使ったくるみ系が主流です。おやつやお茶請け、お酒のつまみなどさまざまな用途で楽しめます。
9.かのこ(岡物)
かのこは、江戸時代中期に発祥した高級和菓子です。求肥や羊羹などをあんこで包み、表面に小豆の蜜漬けを隙間なくほどこし、仕上げに寒天を塗って作られます。鹿の子どもの背中の斑点を模した見た目をしていることから「かのこ(鹿の子)」と名付けられました。求肥のもちもちした食感に加え、あんこの上品な甘さ、小豆の香りと風味、寒天のなめらかな口どけが魅力です。そのまま食べるのはもちろん、目でも楽しめる美しいデザインをしており、プレゼントやお祝い事にぴったりの和菓子です。
10.錦玉羹(流し物)
錦玉羹(きんぎょくかん)は、寒天に砂糖や水あめを加えて煮詰め、型に入れて冷やし固めた和菓子です。表面はシャリッと、内部はぷるんとした食感が楽しめるほか、ガラス細工のように透明で夏の涼を感じさせる美しいデザインが特徴です。角氷のような直方体や角切りな形状が一般的ですが、葉型や花形など多様な形状をした錦玉羹も存在します。色もブルーやエメラルドグリーン、赤、緑、琥珀色など多彩です。金魚やアユの形をした練り切りを入れることで、夏の風物詩となります。
生菓子の代表的な和菓子10選
生菓子に分類される代表的な和菓子には以下があります。
代表的な生菓子
- どら焼き(焼き物)
- 饅頭(蒸し物、焼き物)
- 羊羹(流し物)
- 桜餅(餅物、焼き物)
- 団子(蒸し物、餅物)
- 練り切り(練り物)
- かるかん(蒸し物)
- 今川焼き(焼き物)
- きんつば(焼き物)
- カステラ(焼き物)
それぞれの和菓子について詳しく紹介します。
1.どら焼き(焼き物)
どら焼きは、二枚の円盤状のスポンジ生地に小豆あんを挟んで作られる和菓子です。夫婦円満や親子の絆を象徴する縁起のいい菓子として人気です。小麦粉や卵、砂糖を同量ずつ混ぜて焼き上げた生地であんこを挟むのが基本的な製法です。中身のあんこはつぶあんを使用したものが伝統的ですが、そのほかに生クリームや栗あんなどを使用したものも存在します。親しみやすい味わいと見た目も魅力で、毎日のおやつのほかにも手土産や祝い事の贈り物としてもおすすめです。
2.饅頭(蒸し物、焼き物)
饅頭は、生地にあんこを包んで蒸したり焼いたりして作られる和菓子です。小麦粉や米粉を練った皮であんこを包み蒸し上げるのが一般的で、あんこの種類はこしあんやつぶあん、白あん、栗あんなどさまざまです。さらに饅頭の種類は豊富で、たとえばそば粉を使った「そば饅頭」や、麹を混ぜて作る「酒饅頭」、お祝いの「紅白饅頭」、温泉地で食べられる「温泉饅頭」などがあります。
3.羊羹(流し物)
羊羹(ようかん)は、あんこを寒天で固めた和菓子です。寒天の量によって「練り羊羹」と「水羊羹」に分類されます。練り羊羹は寒天が多く、ねっとりした食感で甘みが強く、日本茶と相性ぴったりです。一方、水羊羹は寒天が少なく水分が多いため夏に好まれるつるっとした食感です。羊羹の種類は豊富で、たとえば栗を入れた「栗羊羹」や「芋羊羹」「抹茶羊羹」などがあります。シンプルで洗練された見た目に加え多様な風味が魅力で、和菓子の中でも特に人気です。また、羊羹はかつて鎌倉時代〜室町時代に発祥したとされており、もともとは羊肉の汁料理「羹(あつもの)」が起源と言われています。
4.桜餅(餅物、焼き物)
桜餅は、塩漬けした桜の葉であんこ入りの餅を包んだ和菓子です。桜の葉に含まれるクマリンによって桜の香りが楽しめ、風味高いことが特徴です。桜餅には関東風と関西風の2種類があり、それぞれ見た目や製法が異なります。関東風は小麦粉を溶いて焼いた皮にあんを包み、しっとりとした食感が特徴です。一方、関西風は道明寺粉を蒸して作ったつぶつぶとした食感の生地であんを包みます。江戸時代中期に発祥したとされており、春を感じさせる桜の季節にぴったりの和菓子として、日本中で愛されています。
5.団子(蒸し物、餅物)
団子は、米粉に湯を混ぜてよくこねて丸め、蒸したり茹でたりして作る和菓子です。代表的な種類にはみたらし団子、三色団子、胡麻団子、月見団子などがあります。縄文時代に発祥したとされ、現代では伝統的な団子のほかに、カラフルでお洒落にデコレーションされた団子も一般的です。また、団子は通常生菓子の蒸し物や餅物に分類されますが、花見団子や月見団子は基本的に餅物です。団子は小さくて食べやすく見た目も可愛らしいため、おやつやお茶請け、贈答品など幅広いシーンで親しまれています。
6.練り切り(練り物)
練り切りは、白あんをベースに求肥や山芋をつなぎとして加え、練り上げて作られる和菓子です。四季折々の自然を色や形で表現する美しい見た目が特徴です。練り切りは「上生菓子(じょうなまがし)」「主菓子(おもがし)」ともよばれ、格式高い和菓子としてお茶会や祝い事に欠かせない存在です。白あんの上品な甘さと、彩り豊かな美しいデザインが楽しめる、まさに日本独特の芸術品と言えます。
7.かるかん(蒸し物)
かるかんは、すりおろした山芋に米粉や砂糖、卵白などを加えて蒸して作られる鹿児島の銘菓です。見た目は長四角型と饅頭型(丸型)の2種類があり、長四角型はプレーンタイプ、饅頭型は中にあんこが入った「かるかん饅頭」として知られています。白色の見た目が一般的ですが、ピンクや抹茶など異なる色味のかるかんもあります。
かるかんは山芋の粘りと香りが特徴で、しっとりもっちりとした食感と上品な甘さが魅力です。特に、九州南部のシラス台地で育った自然薯を使ったかるかんは、風味が豊かで栄養価も高いと評判です。特に鹿児島土産や冠婚葬祭、おやつ、デザートとして幅広く利用されます。
8.今川焼き(焼き物)
今川焼きは、小麦粉や卵、砂糖などを水で薄く溶いて作った生地を型に流し込み、小豆あんを入れて焼き上げた和菓子です。円柱形のシンプルなデザインで、外は香ばしく中はぎっしり詰まったあんこの食べごたえが特徴です。近年では、カスタードクリームやチョコレート、ホイップクリーム、チーズ、ジャムなど、さまざまなバリエーションの今川焼きが登場しています。「大判焼き」「回転焼き」という名称もあり、それぞれ呼び名の由来は異なるものの、いずれも製法や味わいは同じものを指します。親しみやすい和菓子として食べ歩きやおやつ、手土産として人気があるほか、冷凍保存できるのも魅力です。
9.きんつば(焼き物)
きんつばは、鍋で煮詰めたあんこを成型し、あんこの周りに小麦粉の生地をつけて六面を焼き上げた和菓子です。つぶあん・小麦粉・寒天というシンプルな材料ながら、なめらかなあんこの食感と小豆の風味が絶妙に調和し、味わい深い菓子です。見た目は羊羹に似ていますが、表面はガサガサとして武骨な見た目ながら、内側のつややかな小豆あんとのコントラストを楽しめます。バリエーションも豊富で、栗や胡麻、抹茶などを加えたものなどさまざまです。上品で高級感があり、贈り物やお茶請け、おやつとして幅広く利用されています。
10.カステラ(焼き物)
カステラは、小麦粉・鶏卵・砂糖・水あめなどを混ぜた生地を焼いて作る和菓子です。安土・桃山時代にポルトガルから伝来した和菓子で、生菓子の焼き物に分類されます。発祥地はポルトガルですが、長崎で特に親しまれ、日本の定番土産として広く知られています。ふんわりとした食感とやさしい甘みが特徴です。カステラという名称はスペインの「カスティーリャ王国」に由来するとされ、和と洋を融合させた菓子として、多くの日本人に愛されています。
季節の和菓子とは?
和菓子の中には、季節を感じさせるものも存在します。ここからは、四季折々の季節を感じられる和菓子を紹介します。
春の和菓子
春を感じさせる和菓子には以下があります。
春の和菓子
- 桜餅
- 三色団子
- 柏餅
- べこ餅
- ちまき
春の和菓子の定番は桜餅です。淡いピンク色をした春を感じさせる見た目をしており、桜の葉を原料に用いることで桜の香りも感じられます。三色団子も春を代表する和菓子のひとつで、三色の餅は上から順に桜の花を表すピンク色、残雪を表す白色、雪の下の草を表す緑色と決まっています。春の和菓子は華やかで美しい色合いのものが多いです。また、3月から4月にかけては桜味の和菓子が多いですが、5月ごろになると抹茶味の和菓子も増えてくる傾向にあります。
夏の和菓子
夏を感じさせる和菓子には以下があります。
夏の和菓子
- 葛桜(くずざくら)
- 水羊羹
- 葛切り
- わらび餅
- 若鮎(わかあゆ)
初夏を代表する和菓子は葛桜です。こしあんや桜あんを入れた葛餅に、塩漬けした桜の葉を巻いた和菓子で、みずみずしく爽やかな見た目が特徴です。関西では「葛まんじゅう」とよばれます。夏の和菓子は見た目や口当たりが「涼」を感じさせるものが多く、清涼感のある和菓子はお中元など夏の贈り物におすすめです。
秋の和菓子
秋を代表する和菓子には以下があります。
秋の和菓子
- 芋羊羹
- 栗きんとん
- 栗つづら
- 月見団子
- おはぎ
秋には、栗や芋といった秋の味覚を使った和菓子が多く食べられています。芋羊羹や栗きんとん、栗つづらなどは秋を代表する和菓子で、旬の味わいを感じることができます。また、秋は月を眺める行事「十五夜」が行われるため、月見団子も秋を代表する和菓子のひとつです。そのほか、9月のお彼岸に食べられるおはぎは、春には「ぼたもち」夏には「夜船」冬には「北窓」と、季節により名前を変える和菓子です。
冬の和菓子
冬を代表する和菓子には以下があります。
冬の和菓子
- 花びら餅
- 鶯餅(うぐいすもち)
- 斗棒餅(とぼもち)
花びら餅は年末から1月にかけて、正月の時期によく食べられる和菓子です。梅の花びらに見立てて作られる和菓子で、白い梅の花がモチーフとなっています。新年の祝いの場ではよくお茶と一緒に食べられます。鶯餅は鮮やかな緑色の見た目をした1月下旬〜3月ごろによく食べられる和菓子です。「春告げ鳥」ともいわれるうぐいすをモチーフとしており、鶯餅は春の訪れを感じさせてくれます。
和菓子の種類は全部で何種類あるの?
和菓子の種類は多種多様で、明確に種類数は定かになっていません。和菓子の分類方法は複雑なうえ、同じ名称の和菓子でも材料や製法などで別の和菓子として分類されることがあります。たとえば、錦玉羹は基本的に半生菓子に分類されますが、水分量が多いものは生菓子に分類されます。そのほか、桜餅は関東と関西では材料や製法が異なり、味わいも違うためそれぞれ違うものとして考えるのが自然です。
また、近年ではどら焼きや今川焼きにおいてあんこを使用した伝統的なもののほか、クリームや栗あんなどを使用した変わり種のものも食べられており、多種多様な和菓子が常に生まれています。そのため、和菓子が全部で何種類なのか数え切るのは難しいでしょう。
まとめ
和菓子にはさまざまな種類があり、分類方法も複雑です。基本的には水分量で干菓子・半生菓子・生菓子の3種類に分けることができますが、同じ和菓子でも水分量が異なるケースもあるため、一概に3種類に分類することは難しいです。しかし、和菓子の分類方法を知っておけば食べ比べするなどして、和菓子をより楽しめると思いますので、ぜひいろんな種類の和菓子を試してみてください。