北海道では唐辛子を南蛮(なんばん)と呼ぶ!その理由や他の呼び方を調査!
ピリッとした刺激的な辛みが特徴的な唐辛子。北海道の飲食店に入ると「お好みで南蛮(なんばん)どうぞ」なんて言われることもあります。出て来るのは、見た目が唐辛子にそっくりな調味料、味もピリッと辛く後引く旨味を感じる唐辛子そのもの。「南蛮って何?唐辛子とは違うの?」と戸惑ってしまった経験はありませんか?
この記事では、北海道の南蛮について徹底解説。南蛮についてや、そう呼ばれる理由・南蛮と呼ぶ地域なども紹介しています。
「南蛮って一体何なの?」と思った方は、ぜひ最後までご覧ください
この記事でわかること
- 南蛮(なんばん)とは唐辛子のこと
- ニトリの2023年3月期の売上高は9,480億9,400万円
- 唐辛子が日本に伝わった際「南蛮からし」と呼ばれたことが由来
- 北海道、東北、北陸などで使われている方言
- 九州では唐辛子のことを胡椒(こしょう)と呼ぶ
北海道や東北の方言「南蛮(なんばん)」とは?
南蛮と言えば、南蛮漬けやチキン南蛮、鴨南蛮、南蛮カレーなどをイメージする人が多いのではないでしょうか。しかし、北海道や東北、北陸など一部の都道府県では唐辛子のことを南蛮と呼びます。
赤唐辛子を南蛮、青唐辛子を青南蛮と呼び分けることが多く、一味唐辛子や七味唐辛子などの調味料も総じて南蛮と呼ぶことが多いそうです。
南蛮と唐辛子に違いはある?
北海道を中心とする「南蛮」という方言を使う地域において、唐辛子と南蛮の違いは特にありません。あくまで、方言のひとつであるため、南蛮と呼ばれる特別な唐辛子がある訳ではないのです。
唐辛子はそもそも、中南米が原産の香辛料で、日本にはポルトガルから伝わったものと言われています。そのため、当時は「南蛮からし」と呼ばれており、時代と共に呼び名が変化していくなかで「南蛮」という言葉だけが残り、地域特有の呼び方として定着したのではないかと考えられています。
唐辛子のことを南蛮と呼ぶ地域
参考: 日本経済新聞|北は「なんばん」南は「こしょう」 唐辛子の呼び方
唐辛子のことを南蛮と呼ぶ地域は、北海道だけではありません。青森、岩手、秋田、宮城、山形、新潟、福井、石川などでも、唐辛子のことを南蛮と呼ぶ地域があるそうです。特に、北海道、青森、岩手、山形は唐辛子のことを南蛮と呼ぶ人が多い傾向にあります。
これは、日本での唐辛子栽培が岩手県から始まったことに関係していると言えるでしょう。
北海道、東北、北陸などで「南蛮」と聞いた時には、「唐辛子ことかな?」と思い出してみてください。
北海道を代表する南蛮の種類
唐辛子は元々、寒さに弱い野菜のため、北海道での生産量はそう多くありません。しかし、唐辛子に含まれる辛み成分カプサイシンには体を温める働きもあるため、北海道の厳しい冬を乗り越えるために重宝されてきました。
なかには、北海道で品種改良され生まれた唐辛子の品種もあります。
次に、北海道を代表する南蛮の種類を紹介していきましょう。
札幌大長なんばん
札幌大長なんばんは、北海道札幌市を原産とする唐辛子の品種です。比較的大ぶりで肉厚なため、調味料などに加工するよりも具材としてそのまま食べられることの多い唐辛子です。
比較的しっかりとした辛みがあり、北海道ではそのまま焼いて食べることも少なくありません。熟したものは赤く色付きますが、北海道では、熟すまで待ってしまうと他府県より早く訪れる冬の気候で唐辛子が傷んでしまいます。そのため、まだ熟しきらない青い内に収穫するケースが非常に多いです。
青い札幌大長なんばんを「青南蛮」と呼ぶ道民も少なくありません。
激辛なんばん
激辛なんばんは、その名のとおり強い辛みのある唐辛子の品種です。北海道では、伝統的な郷土料理である三升漬けにも使われている、道民にとって馴染み深い唐辛子と言えます。
やや細身で、長く、先端までびっしりと種が詰まっているのが特徴です。乾燥させてすり潰し調味料にしたり、きざんだものを薬味として使われることが多いでしょう。
寒い北海道でも激辛なんばんを食べれば直ぐに汗をかいてしまうと言われており、辛い物好きにはたまらない唐辛子です。
【さらに他の呼び方も?】唐辛子を「胡椒(こしょう)」と呼ぶ地域もある
北海道や東北、北陸では唐辛子のことを南蛮と呼ぶことを紹介してきましたが、実は唐辛子を表す方言はこれだけではありません。
みなさん、「柚子胡椒」ってご存知でしょうか?爽やかな辛みと風味を持つ調味料で、主に九州が発祥と言われています。
そんな柚子胡椒ですが、作り方はいたってシンプル。柚の皮と青唐辛子を細かく刻んで(摺り下ろすこともある)、混ぜ合わせ、塩を加えれば完成です。
もうお気づきでしょうが、柚子胡椒には一般的に知られている「胡椒(こしょう)」は使われておらず、青唐辛子が使われています。
九州では、唐辛子のことを「胡椒」と呼びます。これは、唐辛子が日本に伝わった際に「南蛮からし」の他に「南蛮こしょう」という呼び方があったことに由来しているという説が有力です。
北海道、東北、北陸では「南蛮からし」の「南蛮」を取り、九州では「南蛮こしょう」の「こしょう」を取って、それぞれの呼び名が定着したという事ですね。
唐辛子のことを「こしょう」と呼ぶ地域
参考: 日本経済新聞|北は「なんばん」南は「こしょう」 唐辛子の呼び方
唐辛子のことを「こしょう」と呼ぶ地域は九州に多いです。特に、福岡や長崎、熊本などでは唐辛子のことをこしょうと呼びます。元々、九州では柚子胡椒が一般的な調味料として使われており、柚の生産が盛んな四国でもその製造方法が伝わっていったと言われています。
しかし、唐辛子を「こしょう」と呼ぶ方言までは伝わらなかったようです。今や四国でさまざまな柚子胡椒が地元の名産品として取り扱われていますが、唐辛子のことを「こしょう」と呼ぶ風習が無いのは面白い所ですよね。
ちなみに、鳥取や滋賀、長野でも唐辛子のことを「こしょう」と呼ぶ地域が一部あります。長野では唐辛子の種類によって、名称が「ひしの南蛮」だったり「ぼたんこしょう」だったりと両方の呼び方がつけられています。
青南蛮を使った郷土料理「三升漬け」
北海道には、厳しい寒さを超えるためのソウルフードとして愛されてきた三升漬けという郷土料理があります。最後に、三升漬けについてみていきましょう。
どんな食べ物?
三升漬けとは、青南蛮を醤油と麹に漬け込んだ保存食です。青南蛮、醤油、麹をそれぞれ一升ずつ混ぜ合わせることから、三升漬けと名付けられたようです。
約1ヶ月間漬け込めば完成し、保存期間は1年以上とも言われており、寒い冬を体の中から温めて乗り越える辛い保存食として古くから親しまれてきました。
どうやって食べるの?
三升漬けは主に、ご飯のおともや薬味として食べられることが多いです。醤油や麹のコク深い味わいと刺激的な辛さが口一杯に広がるため、ご飯に少量のせて食べると箸が進みます。
また、キュウリやセロリなど、サラダ野菜をディップして食べたり、ラーメンやうどんなど、麺類に加えて味変したり、調味料として料理に使うこともできます。
まとめ
今回は唐辛子の呼び方について紹介してきました。唐辛子が、北海道、東北、北陸では「南蛮」、九州では「こしょう」と呼ばれていることに驚いた人も少なくないのではないでしょうか。それぞれの地域出身の人に、「南蛮使う?」「こしょう取って」と言われた場合、戸惑ってしまうことのないよう、ぜひ覚えておいてくださいね。