北海道民にお馴染みの中華まんじゅうとは?肉まんとは違う?知って驚く道産子トリビア

北海道で「中華まんじゅう」を頼んだ所、不思議な形をしたどら焼きを提供されたという話を聞いた事がありませんか?実は、北海道の「中華まんじゅう」は、三日月型の和菓子のことを指します。
今回は、そんな北海道の中華まんじゅうについて解説します。中華まんじゅうがどのような食べ物なのか、歴史や人気のお店も紹介します。これから北海道を訪れる方は、ぜひ北海道の中華まんじゅうについて知ってみてください。
この記事でわかること
- 北海道の中華まんじゅうとは、三日月形のどら焼きのこと
- 冠婚葬祭の定番菓子として親しまれている
- 生地を「中花種」と呼ぶことから名付けられたと考えられる
北海道の郷土菓子「中華まんじゅう」ってどんなもの?

「中華まんじゅう」と言えば、コンビニなどで手軽に購入できるホットフードをイメージする人が多いのではないでしょうか?肉まんやあんまん、ピザまんなどさまざまなバリエーションで、寒くなると温かい中華まんを食べたくなりますよね。
しかし、北海道の中華まんじゅうは本州の人のイメージする食べ物とは全く違うものです。
中華まんじゅうは三日月型の和菓子

北海道で親しまれている中華まんじゅうは、三日月型をしたどら焼き風の和菓子です。しっとりとした生地の間にはあんこが挟まれており、化粧箱に詰めて引き出物として用いられるようなお菓子でした。現在は、スーパーやコンビニなどでも取り扱われている事から、手軽に購入でき、オヤツ感覚で食べられるようになっています。
葬式の引き出物の定番
最近はあまり見かけなくなりましたが、北海道では葬式や法要の際の引き出物やお供え物として中華まんじゅうを贈る風習があります。理由は定かではありませんが、道民のなかには「中華まんじゅうは葬式の際に貰うもの」というイメージを強く持っている人も少なくありません。そのため、一部では「葬式まんじゅう」と呼ばれることもあります。
中華まんじゅうの歴史

北海道の中華まんじゅうを知れば知るほど「和菓子なのに中華?」なんて疑問が浮かんでくる人もいるのではないでしょうか。
実は、和菓子に卵や砂糖などを用いるようになったのは江戸時代に始まったポルトガルやスペインとの交易がきっかけでした。ポルトガルやスペインから持ち込まれたカステラや金平糖などの卵や砂糖を使った菓子の影響を受け、和菓子の文化が変化していったと考えられています。
当時がポルトガルやスペインなど、南蛮由来の菓子を「ちうか」と呼んでおり、中華まんじゅうに使われる卵や砂糖、小麦粉を使った生地を「中花種(ちゅうかだね)」と呼ぶことが語源になっていると考えられるでしょう。
中華まんじゅうの「中華」は中国とは何の関係もなく、「中花種」がルーツとなっているという説が有力です。
全国の中華まんじゅうに似たお菓子
中華まんじゅうは北海道民にとってメジャーであるものの、他府県民にはほとんど知られていません。また「中華まん」と勘違いしやすい名前であることから、北海道の中華まんじゅうを見て驚く人も少なくないでしょう。
しかし、全国には中華まんじゅうにそっくりなお菓子が多々あります。続いては全国の中華まんじゅうに似ているお菓子についてみていきましょう。
【新潟県】中皮
新潟県には、三日月型の中花種にあんこを挟んだ和菓子「中皮(ちゅうか)」があります。サイズは、北海道の中華饅頭より一回り小さく、手軽に食べられる銘菓として親しまれているお菓子です。中皮は、黒こしあん、白こしあんで作られることが多いですが、お店によっては粒あんで作っているケースもあります。
【東京都】残月
室町時代から続く日本でもっとも古い和菓子店・とらや。創業は京都府ですが、現在は東京都に本社をかまえ「とらやの羊羹」と言えば、贈答用の高級和菓子として有名です。そんなとらやでも、中華まんじゅうに似ているお菓子「残月」があります。
残月は生地の表面にすり蜜が塗られているのが特徴です。薄い雲がかかった月を表して三日月型にしており、こちらも中華まんじゅうに比べると一回り小さいです。
とらやの残月の詳細はこちら【長崎県】千代香
江戸時代、盛んに交易が行われた長崎県でも、中華まんじゅうによく似たお菓子が伝わっています。それが「千代香(ちよか)」です。千代香は、三日月型というよりも、やや餃子をイメージさせる形が特徴的です。中身は、同じくこしあんが包まれています。 中華まんじゅうや他府県の似たお菓子にくらべて、生地の表面をしっかり焼き上げるのが千代香のポイントです。外はさくっと中はしっとりしています。
北海道民おすすめ!人気の中華まんじゅう3選
北海道にある多くの和菓子屋で取り扱われている中華まんじゅうですが、お店によって味やこだわりはさまざまです。最後に、北海道民がおすすめする中華まんじゅうが美味しい和菓子店を紹介します。北海道土産に中華まんじゅうを買い求める方は、ぜひ参考にしてみてください。
1.壺屋総本店
壺屋総本店は、旭川創業の老舗和菓子店です。お店の看板菓子「き花」はモンドセレクション連続受賞の銘菓としても知られています。
壺屋では焼きたてを直ぐに店頭にならべるため、生地がフワフワと柔らかくコク深いこしあんがたっぷりと入った中華まんじゅうを味わうことができます。真空パックなどにしていないため、日持ちはしませんが「とにかく美味しい中華まんじゅうを食べたい」というのであれば、壺屋総本店がおすすめです。
壺屋総本店では「中華まんじゅう」ではなく「中花まんじゅう」という名前で販売されているので、探してみてくださいね。
壺屋のHPはこちら2.サザエ食品
北海道民にとってはお馴染みの食品メーカー「サザエ」からも、中華まんじゅうが販売されています。十勝産の小豆を使ったサザエの中華まんじゅうはスーパーなどでも手軽に購入できることから、日常的におやつとして食べている道民も多いのではないでしょうか。
サザエの中華まんじゅうは、生地をやや薄めにしてあるのがポイントです。生地を薄めにすることで、あんこの美味しさを充分に感じることのできる一品。あんこ好きにはたまらない中華まんじゅうです。
サザエ食品のHPはこちら3.千秋庵
1921年に札幌で創業した千秋庵は、北海道を代表する菓子店のひとつです。同店の看板商品であるノースマンは、北海道土産として大変な人気を集めています。
そんな千秋庵の中華まんじゅうは、生地とあんこの絶妙なバランスが魅力です。フワフワすぎず、固すぎない生地に、ややしっかりとした固さのもつこしあんを挟んでいる同店の中華まんじゅうはファンも多く、老若男女に支持されています。
千秋庵のHPはこちらまとめ
北海道の中華まんじゅうについて紹介してきました。他府県民の方は、北海道で「中華まんじゅう食べる?」と聞かれた時には要注意です。想像しているのとは全く違った中華まんじゅうが提供され、驚くことになるでしょう。
しかし、北海道で中華まんじゅうと出会い、その素朴な美味しさに魅了される人が後を立たないのも事実です。「北海道で食べた中華まんじゅうが忘れられない」と、お取り寄せする人も多いのだとか。
北海道に訪れた際には、ぜひ銘菓・中華まんじゅうを味わってみてくださいね。