北海道のソウルフード「いももち」の歴史や作り方、アレンジ方法を紹介!
北海道のソウルフードと言われ、今でも老若男女問わず愛されるいももちという食べ物をご存知ですか?なかには「いももちは北海道ではなく他府県の名物では?」と思う人もいるかもしれません。実は、いももちは日本各地に伝わっている食べ物で、北海道のいももちとは少し違います。
この記事では、北海道のいももちについて解説します。各地のいももちや北海道のいももちの歴史、作り方、保存方法なども紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事でわかること
- 北海道のいももちはじゃがいもで作る
- 開拓時代の貴重な食料として食べられていた
- 北海道では甘辛いタレで食べるのが一般的
いももちってどんな料理?
いももちとは、芋を餅のような食感に仕上げて作る郷土料理ですが、広い意味で芋をつかった餅として呼ばれることが多いようです。芋だけで作るものや、芋を餅に混ぜ込んで作るものなどさまざまなものがあります。また、原材料として使う芋も、じゃがいもやサツマイモ、里芋など種類はさまざまです。
いももちはどこの郷土料理?
いももちは、さまざまな地域で郷土料理として伝えられているため、各地にそれぞれのいももちがあります。都道府県によって、調理方法や材料、味付けなどに違いがあるのが特徴です。
北海道
北海道のいももちは、じゃがいもを原料として作り、甘辛いタレで食べるのが一般的です。北海道がじゃがいもの生産量日本一であることから、いももちは北海道の郷土料理として知られていることが多いです。
佐渡島(新潟県)
新潟県にある佐渡島に伝わるいももちは、他の都道府県と違い「お菓子」として作られているのが特徴です。サツマイモを潰して、甘く味付けし短冊状にしたものを乾燥させており、現在も定番スイーツとして愛されています。
岐阜県
岐阜県のいももちは、里芋と米を一緒に炊き上げてつくるのが特徴です。岐阜県では稲狩りが終わる頃に作られ、いももちを食べながら一年の米作りを労う風習があったそうです。
和歌山県
和歌山県のいももちは、餅のなかにサツマイモを混ぜたものです。中に甘さを抑えた餡子を包み、きなこをまぶすものもあります。
高知県
高知県のいももちは、干しいもを餅米と一緒に蒸して砂糖で味付けして作る郷土菓子です。干し芋の凝縮された甘みが好まれ、「かんばもち」とも呼ばれています。
徳島県
徳島県のいももちは、生産が盛んなさつまいも・鳴門金時を蒸かし、餅粉を混ぜ込んだ生地で餡子を包みます。表面にきなごをまぶした甘いお菓子として人気です。
鹿児島県
鹿児島県のいももちは、北海道のいももちとは違い餅にサツマイモを混ぜ込んで作ります。九州全域で「ねったぼ」として知られており、鹿児島県では「からいもねったぼ」と呼ぶこともあるそうです。
ポケモン・アルセウスの影響でいももちが一躍話題に
郷土料理として各地で愛されているいももちですが、2022年に一躍話題になったことがありました。それは、子どもから大人まで幅広い年代に支持される人気ゲーム「Pokemon LEGENDAアルセウス」で、いももちが登場したからです。
主人公達が作中で食べるいももちは、北海道に伝わるいももちによく似ていることから、ファンの間では「ゲームの舞台も北海道をイメージしているのでは?」なんて言われています。
北海道のいももちの歴史
北海道に伝わるいももちは、開拓の歴史と共にあると言われています。
明治維新以降に始まった開拓によって、北海道では多くの土地が開かれ農産や海産、産業などが発展していきました。そこで、北海道の広い大地で盛んに栽培されたのがじゃがいもです。特に、北海道では馬鈴薯の栽培が盛んで、植え付けから約100日前後で収穫できることもあり、人々の重要な食料として重宝されていました。
特に、米作りが安定するまで北海道では餅米の入手が難しく、いもを代用して餅を作っていたと言われており、これがいももちの起源と考えられています。簡単に作れて美味しいいももちは、北海道民の開拓史を影ながら支えてきた食べ物とも言えるでしょう。
北海道のいももちに適したじゃがいもの品種は?
北海道のいももちは、じゃがいもを原料としますが、じゃがいもにもさまざまな種類があります。どんな品種のじゃがいもでも作れないことはないですが、もちもち食感を大事にするのなら粘りのある品種を使うのがよいでしょう。
特におすすめは、男爵いもやキタアカリなどの甘みと粘りが強い品種です。また、キタムラサキのような果肉が紫色のじゃがいもを使っていももちを作ると、一風変わった見た目のものが作れます。
北海道のいももちの作り方
いももちの作り方には、2種類あります。1つは、片栗粉を使って手軽に作る方法で、もう1つはじゃがいもだけで作る昔ながらの方法です。それぞれに紹介していくので、ぜひご家庭で作ってみてはいかがでしょうか。
基本の作り方
一般的ないももちは、じゃがいもと片栗粉を使って作ります。特に、メークイン種のような粘りの少ない品種を使っていももちを作る時には、片栗粉を用いた基本の作り方を参考にしてみてください。
作り方
- じゃがいもを皮ごと蒸す(茹でてもOK)
- 芯まで柔らかくなったら皮を剥く
- マッシャーや木べらなどでじゃがいもを潰す
- 片栗粉を満遍なく入れてよく混ぜる
- 温かいうちに形成する
- 表面がキツネ色になる位まで焼いて完成
片栗粉はダマにならないよう、全体に漫勉なく振りかけるのがポイントです。焼きあがったいももちは、お好みの味付けで召し上がってください。
伝統的な作り方
現代では当たり前に使われている片栗粉ですが、昔はカタクリという花の根を原料としており自生数が限られていたことから江戸時代では幕府への献上品などとして扱われていました。北海道開拓が進むにつれて片栗粉の原料に馬鈴薯のデンプンを使うようになったものの、生産販売が開始されたのは1880年代初頭という記録が残っています。片栗粉の流通が安定するまでの間、いももちはじゃがいものみで作られていました。
作り方
- じゃがいもを皮ごと蒸す(茹でてもOK)
- 芯まで柔らかくなったら皮を剥く
- マッシャーや木べらなどでじゃがいもを潰す
- ある程度潰したじゃがいもをすり鉢に入れて、粘りがでるまで擂る
- 粘りが出たら形成する
- 表面がキツネ色になる位まで焼いて完成
じゃがいもを丹念に擂って粘りを出したいももちは、舌触りがよく滑らかでモチモチした食感を楽しめます。
北海道のいももちは片栗粉との黄金比率で作るのがおすすめ
いももちの基本の作り方ではじゃがいもに片栗粉をつなぎとして加えますが、この時の比率が大きな鍵となります。多すぎるとダマになって食感が悪くなり、足りないといももちがモチモチ食感になりません。
北海道のいももちを作るには、じゃがいもと片栗粉を黄金比率で混ぜ合わせるのがポイントです。
編集部おすすめの黄金比率は、じゃがいも:片栗粉=5:1です。
じゃがいもが200gであれば40gの片栗粉を加えていももちを作ってみてください。失敗なしでモチモチの美味しいいももちが作れます。
いももちのアレンジレシピ
北海道のいももちはシンプルな味わいのため、アレンジもしやすいのが特徴です。おやつからおかず、おつまみまで、アレンジして味わいを変えることでさまざまなシーンで食べられています。
タレ
北海道のいももちは、基本的に甘辛いタレで食べることが多いです。砂糖と醤油を煮詰めて作ったみたらし風のタレに付けてたべるいももちは、子どものオヤツにもぴったりでしょう。
肉巻き
いももちをご飯のおかずにするなら、肉巻きにしてみるのもよいでしょう。薄切りの豚バラ肉などでいももちを巻き、カリっと焼き上げれば一品完成です。味付けには、生姜を効かせた甘辛タレや焼肉のタレなどを使うと、ご飯がすすむおかずになります。
チーズ
お酒のツマミにしたい時には、いももちのなかにチーズを入れて焼くのがおすすめです。いももちとチーズ、ダブルのモチモチ味はビールにぴったりのスナックになります。焼くのも良いですが、チーズを入れるなら揚げ調理もおすすめです。よりしっかりと熱が通ってチーズがトロトロになり、糸引く食感を楽しめます。
カレー粉
シンプルでどのような調味料とも調和するいももちは、カレー粉を混ぜ込んでつくればスパイシーな味わいを楽しめます。見た目も黄色く色鮮やかになり、食欲をそそる香りが病みつきになるアレンジです。
スープ
いももちは、スープに入れて食べても美味しいです。味噌汁や中華スープ、コンソメスープ、コーンポタージュなど、どのようなスープにもよく合います。焼く前の状態でスープに入れて味わってみてください。
もちろん、北海道の郷土料理とも良く合うため、三平汁や石狩鍋などに入れるのもおすすめです。
北海道のいももちの保存方法
いももちは冷蔵・冷凍で保存もできます。保存しておけば、食べたい時に食べたい分だけ使えて便利です。続いては、いももちの保存方法を紹介していきます。
冷蔵保存の場合
いももちを冷蔵保存する際には、乾燥しないようしっかりとラップをかけておくことが大切です。冷蔵保存の場合は3日を目安に食べきるようにしましょう。
なお、焼いたものも冷蔵保存可能ですが、冷えることでいももちのモチモチ食感が損なわれてしまいます。食べる前に再度加熱すると、モチモチ食感が復活するので冷蔵保存したいももちは、フライパンやトースターなどで温めてから食べてみてください。
冷凍保存の場合
いももちを冷凍保存する場合は、ひとつずつラップで包んで冷凍保存袋に入れて保存しましょう。食べる時には、電子レンジで解凍してからフライパンなどで焼くか、凍った状態のまま揚げて調理してみてください。
冷凍保存したいももちは、1ヶ月を目安に食べ切るようにするとよいでしょう。
まとめ
北海道の郷土料理・いももちについて紹介してきました。シンプルな材料で簡単に作れるいももちですが、北海道では開拓を支えた歴史のある食べ物ということが分かりましたね。また、全国でさまざまないももちがあることも分かったため、食べ比べてみるのもよいかもしれません。
ぜひ、一度北海道のいももちを味わってみてはいかがでしょうか。