「発酵バター」は普通のバターとどう違うの?特徴やおすすめの使い方を紹介
コク深く食欲のそそる香りが魅力のバター。パンのおともやお菓子の材料などに用いられることも多い、身近な食材のひとつです。さまざまなシーンで使われるバターですが、実は種類が豊富だということをご存知でしょうか。
今回は、バターの一種「発酵バター」を紹介します。発酵バターとはどのようなものなのか、起源や普通のバターとの違い、発酵バターを使うのにおすすめのシーン、発酵バターの栄養や効果についても解説します。
この記事でわかること
- 発酵バターは原料を発酵させて作るバター、または完成したバターに乳酸菌を混ぜ込んで発酵させたもの
- 日本のバターは非発酵バターが主流だがヨーロッパでは発酵バターが主流
- 発酵バターは比較的消費期限が短い
発酵バターとは
発酵バターとは、原料を発酵させて作ったバターのことを言います。生乳から取り出した脂肪分の高いクリームに乳酸菌を加えて発酵させることでできます。
通常のバターと異なり、発酵バターは発酵プロセスを経て作られるため、より豊かな風味と特有の酸味を持っています。
日本では、非発酵製法で製造されたバターが一般的ですが、ヨーロッパでは発酵バターが主流です。
近年日本でも大手乳業メーカーが発酵バターを商品化するなど話題になっています。
発酵バターと普通のバターの違い
発酵バターは、普通のバターと以下の点が違います。
- 香り高い
- 味が濃厚
- 風味が良い
- コクがある
- 酸味がある
発酵させていることで、普通のバターとは違った味わいが楽しめます。特に、乳酸を発酵させることで得られるコク深さは発酵バターならではと言えるでしょう。バターでありながらヨーグルトやチーズのようなほのかな酸味を持っているのも発酵バターの特徴です。
発酵バターは技術不足から生まれた?
バターは、原料となる生乳を分離・攪拌(かくはん:かき混ぜること)して作ります。この際、攪拌に時間がかかってしまい自然と生乳の発酵が進んでしまうことから、発酵バターが生まれたと言われています。
つまり、バターは元々、発酵バターが主流だったということです。
技術が発達し、短時間で手早く攪拌できるようになってからは、発酵前にバターを完成させられるようになり、未発酵バターの製造技術が完成しました。
やがて、衛生面から生乳を事前に殺菌してバターを作るようになり、現代の長期保存が可能な非発酵バターが誕生します。
日本にバターが普及したのは明治頃といわれています。この頃には、技術力も高まり日本では非発酵のバターが一般的に普及しました。一方、ヨーロッパでは独特な風味やコク深さが好まれ、技術力が発展した現代でも発酵バターが好まれ一般的に普及しています。
発酵バターの作り方
発酵バターには、原料である生クリームを乳酸発酵させて作る方法と、バターが出来上がってから乳酸菌を混ぜ込んで発酵させる方法があります。
今回は、家庭でも作ることができる原料を発酵させる作り方を紹介します。
原料を発酵させる方法では、生クリームに乳酸菌を加えて発酵を促します。家庭で作る際には生クリームにヨーグルトなど加えることで乳酸発酵させることが可能です。
- 生クリームにヨーグルトを加えて約40度で6~8時間発酵させる
- 冷蔵庫に入れて6~10時間寝かせる
- 発酵した生クリームを攪拌する
- 分離してきたら乳清を取り除く(有塩バターの場合は塩を加える)
- 布巾などに包んで冷蔵庫で1晩寝かし、水気を切って完成
乳酸菌を加えて発酵させた生クリームはやや黄色っぽくなるのが特徴です。ヨーグルトメーカーなどを使用すると、40度前後をキープしたまま長時間生クリームを発酵させることができます。
発酵バターはどんなシーンで使うのがいいの?
発酵バターは普通のバターに比べて香りやコクを強く感じられるため、バターの味や風味を活かすシンプルなお菓子や料理に使うのがおすすめです。
特に、お菓子ならクッキーやマドレーヌ、サブレなどに使うと、発酵バターのコク深さや香りが際立つでしょう。
もちろん、そのままパンに塗って食べるのもおすすめです。普通のバターよりも濃厚な味わいをストレートに楽しむことができます。
発酵バターの栄養と特徴
発酵バターは、脂質とビタミンが主な栄養素です。
発酵バターは高脂肪の食品であり、主に飽和脂肪酸から構成されています。脂質はエネルギー源として機能し、体内のビタミンの吸収を助ける役割もあります。
また、ビタミンAやビタミンB、ビタミンD、ビタミンEなど、ビタミン群の栄養を豊富に含んでおり、抗酸化作用や免疫力の向上効果が期待できます。 バターに含まれるビタミンは、それぞれに以下の栄養効果が期待できます。
ビタミンA | ・体調を整え、肌の健康を維持する ・動脈硬化の予防効果も期待できる |
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ビタミンB | |
ビタミンD | 免疫力の向上 |
ビタミンE | 抗酸化作用 |
バターに含まれるビタミン類は脂溶性で吸収しやすく、体内から健康を保ってくれます。
発酵バターは消費期限に要注意
普通のバターは水分が少なく乳脂肪分が高いため、長期間の保存が可能です。一般的に約6ヶ月前後を消費期限と定めているものも多く、冷蔵庫で衛生的に保存できるでしょう。
一方、発酵バターは普通のバターに比べると傷みやすく消費期限も短い傾向にあります。使用後に再び保存する場合はラップなどでしっかり包み、冷蔵庫で保存します。市販されている発酵バターの場合、消費期限は3ヶ月前後になっているものが多いようです。
消費期限内に使い切れない場合には、小分けにしてラップに包み冷凍保存することができます。ただし、冷凍保存したものも1ヶ月を目安に使い切るようにしましょう。
まとめ
発酵バターについて、起源や普通のバターとの違いについて紹介してきました。普通のバターと比べるとコクや風味など、味わいの深さが特徴の発酵バター。シンプルなお菓子などで上手に活用することで、仕上がりが1段階も2段階も良くなります。
ぜひ、まろやかでコク深い発酵バターを美味しく召し上がってみてください。