おしることぜんざいの違い、知っていますか? 似ている2つには地域別の特徴もあった

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寒い季節に食べたくなるのが、おしるこやぜんざい。優しい甘さの小豆餡(あん)が餅や白玉団子に絡む美味しさは、冬の甘味の定番とも言えるでしょう。

体も心も温めてくれるおしるこやぜんざいですが、2つの違いはご存知ですか? 改めて聞かれると「あれ?違いが曖昧だな」という方も多いのではないでしょうか。なぜならおしることぜんざいは、地域によって特徴に違いのある食べ物だからです。

この記事では、おしることぜんざいの違いについて、それぞれの名前の由来や歴史、地域ごとの特徴まで詳しくご紹介します!

この記事でわかること

  • 「おしるこ」の語源は江戸時代に広まった「餡汁粉餅」
  • 「ぜんざい」の語源は「善哉」と「神在餅」
  • 関東のおしることぜんざいの違いは、汁があるかないか
  • 関西のおしることぜんざいの違いは、こしあんか粒あんか
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  • スープカレー特集

「おしるこ」と「ぜんざい」の由来

おしることぜんざいは、どちらも甘く煮た小豆に餅や白玉団子を加えた食べ物です。しかし名前には「小豆」や「餡(あん)」「餅」などは入っていませんよね。では、なぜ「おしるこ」や「ぜんざい」と呼ばれるようになったのでしょうか? まずは、それぞれの名前の由来についてご紹介していきましょう。

「おしるこ」の語源

お汁粉

おしるこの語源は諸説ありますが、江戸時代に広まった「餡汁子餅(あんしるこもち)」から始まった、という説が有力です。 1967年に発刊された『和菓子の系譜』という書籍には「餡(あん)の汁の中に子(実)として餅を入れるので餡汁子餅であり、略して汁子、転じて汁粉になった」と書かれています。

「餡汁子餅」から「汁子」「汁粉」と呼び名が変わり、現在の「おしるこ」に至ったと考えられています。

「ぜんざい」の語源

ぜんざいの語源は、次の2つの説が有力とされています。

  1. 仏教用語の「善哉(よきかな)」が語源
  2. 出雲の神事で使われた「神在餅(じんざいもち)」が語源

もう少し詳しくご紹介していきましょう。

1つ目の説である語源は、漢字表記の「善哉(ぜんざい・よきかな)」。元々は南アジアや東南アジアで使用されていた、サンスクリット語が由来とされています。意味は「素晴らしい」。仏が弟子を褒めるときに使っていた言葉だそうです。 日本では、室町時代にぜんざいを初めて食べた僧侶が、あまりの美味しさに「善哉(よきかな)」と言ったことが始まりと言われています。これを音読みするようになり、現在の「ぜんざい」に至ったとされています。

出雲大社

2つ目の説である「神在餅(じんざいもち)」は、島根県の出雲で行われる神在祭での御供えとして使われていたものです。 神在餅の「じんざい」がなまって「ぜんざい」になった、という言い伝えがあり、出雲は「ぜんざい発祥の地」とも言われています。現在は「出雲ぜんざい」の名で、多くの観光客や地元の方から親しまれている食べ物です。

「おしるこ」と「ぜんざい」の違い

おしるこやぜんざいの名前の由来から、どちらも古くから日本で親しまれてきた甘味であることが分かりました。 歴史や語源は違いますが、使う原料が似ているため「食べ物としての違いは曖昧」という方も多いのではないでしょうか。 そこで、おしることぜんざいはそもそもどんな食べ物なのか、一旦整理してみましょう。

「おしるこ」とは?

あずき

おしるこは、小豆を甘く煮て作った粒あんやこしあんを水でのばしたものに、餅や白玉団子を入れた食べ物です。関西では、こしあんで作った汁粉だけを「おしるこ」と呼びます。

元々のおしるこは、小豆を乾燥させて粉末にしたものに水を加えた「小豆汁」に、餅や団子を入れたもの。江戸時代に広まった当時のおしるこは、塩味で酒のつまみとして出されていたそうです。

「ぜんざい」とは?

お汁粉

ぜんざいは、小豆を甘く煮て、餅や白玉団子、栗の甘露煮などを入れた食べ物です。小豆を潰さず作ることが、ぜんざいの大きな特徴。地域によって、汁気があるかないかの違いがあります。

つまり「おしるこ」は粒あんやこしあんを「水でのばした」もの、「ぜんざい」は「小豆の粒を残して煮た」もの、という違いがあるのです。

「おしるこ」と「ぜんざい」は地域ごとにも違いがある!

関東と関西の呼び方の違い

それぞれの作る過程から区別されている、おしることぜんざい。しかし、おしることぜんざいは地域ごとにも違いがあります。 ここでは大きく関東、関西、九州、北海道に分けて、それぞれの特徴についてご紹介していきます。

関東

関東では、汁が多いものを「おしるこ」、汁が少ないものを「ぜんざい」と呼ぶ風習があります。粒あんかこしあんかの違いではなく、汁があるかないかで「おしるこ」と「ぜんざい」を区別しているのが、関東地方の特徴です。

また、地域やお店によって、おしるこの中でも「使う小豆の状態」で呼び方が変わることもあります。こしあんのおしるこを「御膳(ごぜん)汁粉」、粒あんのおしるこを「田舎汁粉」や「小豆汁粉」と呼ぶ場合もあるそうです。

関西

関西では、使う小豆の状態によって呼び方が変わります。こしあんを使ったものが「おしるこ」、粒あんを使ったものが「ぜんざい」です。 どちらも汁気のあるもので、汁気のないぜんざいは「亀山」や「金時」と別の名称で呼ばれています。

九州

九州での「おしるこ」と「ぜんざい」の違いは、基本的に関西と同様です。こしあんを使った汁気のあるものを「おしるこ」、粒あんで汁気のあるものを「ぜんざい」と呼びます。

しかし九州の一部地域では、餅入りを「おしるこ」、白玉団子入りを「ぜんざい」と言い、その逆の場合もあると言われています。

北海道

かぼちゃしるこ

北海道では「おしるこ」と「ぜんざい」について、はっきりと区別されていません。 しかし北海道の一部の地域では、餅や白玉団子の代わりにかぼちゃを入れた「かぼちゃしるこ」があります。かつて厳しい寒さによりもち米が不作だった際に、かぼちゃを代用したことが始まりと言われています。

地域別の違いまとめ

ぜんざいとお汁粉の呼び方

地域で微妙に違うおしることぜんざいの特徴について、最後に一覧でまとめてみました。

関東

・おしるこ…粒あんかこしあんで汁気が多いもの
・ぜんざい…粒あんかこしあんで汁気の少ないもの

関西

・おしるこ…こしあんで汁気が多いもの
・ぜんざい…粒あんで汁気が多いもの

九州

・基本的には関西と同じ分け方

北海道

・おしることぜんざいの区別はあまりされていない

まとめ

ぜんざい

おしることぜんざいには、歴史や作り方のほか、地域ごとにも違いがあります。 使用するのは粒あんか、こしあんか。汁があるのか、ないのか。同じ日本でも地域ごとに、おしることぜんざいの区別が異なります。それぞれの違いやルーツを知ることで、よりその美味しさを楽しむことができるのではないでしょうか。

おしるこやぜんざいを地域別に食べ比べてみるのもおすすめです!また、知人や友人に「おしることぜんざいの違いとは?」と尋ねてみるのも面白いかもしれません。

寒い冬には、温かいおしるこやぜんざいはぴったりの食べ物。この記事を参考に、ぜひ各地の味を楽しんでみてくださいね!

PREZO編集部
PREZO編集部
美味しいものに目がない。食べ歩きやお取り寄せ大好きなPREZOのスタッフが、地域の魅力や商品にまつわるストーリー、北海道の豆知識など、とっておきの情報を発信!