米粉とは?メリット・デメリットと小麦粉との違いを紹介
近年、小麦の価格高騰により注目を集めている米粉。どういったものなのか、特徴や米粉を使うメリット、使い方などをご存知でしょうか。
この記事では、たくさんの魅力を持つ米粉について徹底解説します。小麦粉との違いや、種類、メリット・デメリットなども紹介しているので参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 米粉にはさまざまな種類がある
- グルテンフリーなので、小麦アレルギーの人でも食べられる
- 米粉は揚げ物のカロリーを抑えてくれる
- アレルギー体質の人やダイエット中の人におすすめ
米粉の原料とは
米粉は、米を細かく挽いて粉状にしたものです。粒子の大きさや米の種類によって、さまざまな米粉があります。
日本ではうるち米やもち米を使ったものが主流ですが、海外ではインディカ米や赤米で米粉を作ることもあるようです。
米粉と小麦粉の違いとは
米粉はこれまで、和菓子など限られた料理に使われるだけでした。現代の日本で主流となる粉ものは麦を原料とした小麦粉だからです。
米粉と小麦粉には以下の違いがあります。
米粉 | 小麦粉 | |
---|---|---|
米 | 原料 | 麦 |
無し | グルテン | 有り |
多い | アミノ酸含有量 | 少ない |
低い | 脂の吸収率 | 高い |
上新粉、もち粉、白玉粉、寒梅粉、道明寺粉、玄米粉など | 種類 | 強力粉、中力粉、薄力粉 |
小麦粉に含まれるグルテンは弾力や粘りを出す成分として知られています。小麦粉は洋食化がすすむ現代の日本では、麺類やパン、ケーキなどの洋菓子を作る際にも用いられている重要な食材です。
一方で、小麦粉に含まれるグルテンはアレルギーを起こす可能性を持つ成分です。そのため、グルテンを避ける「グルテンフリー」という考え方も徐々に広まりつつあります。米粉は、グルテンフリーを求める人にとってぴったりの食材として注目されている背景もあるのです。
米粉の種類
米粉には、米の種類や挽き方によってさまざまな種類があります。それぞれの特徴や違いについてみていきましょう。
上新粉
上新粉はうるち米を原料として製粉された米粉です。精米後のうるち米を粗く挽いて作られています。そのため、他の米粉に比べると粉のキメが粗く、もちもちでしっとりした食感が残りやすいのが特徴です。
上新粉は古くから、お団子や大福、ういろうなど、粘りやもちもち感のある和菓子を作る際に用いられています。
もち粉
もち粉は、もち米を原料として製粉された米粉です。餅の粘りと滑らかさを併せ持っているため牛皮を作る際によく使われます。そのため、「ぎゅうひ粉」と呼ばれることもある米粉です。
牛皮の他にお汁粉や最中を作る際にも、もち粉を使います。
白玉粉
白玉粉は、もち粉と同じくもち米を原料とする米粉ですが、製粉方法は異なります。
白玉粉を製粉する場合、吸水させたもち米に水を加えながら挽く「水挽き」という手法を用いるのが特徴です。1度水挽きした米粉から粗粒を分離して、さらに水挽きします。最後に沈殿したデンプンを脱水して、脱水したデンプンを乾燥させれば白玉粉の完成です。
昔は、寒さの厳しい時期に作られたことから「寒晒粉(かんざらしこ)」と呼ばれることもあります。
白玉粉はもち粉と同じもち米から製粉されているものの、ほぼデンプンで出来ているため強いねばりと滑らかな口当たりが特徴です。冷めても固くなりにくいため、白玉団子や大福などを作る時に用いられます。
寒梅粉
寒梅粉は、こめ粉を原料としている米粉のひとつです。もち米を蒸して平たく伸ばし、乾燥させたものを製粉しています。
もち米の新米が実る寒梅(寒いなか早咲きの梅が咲く頃)に作ることから、寒梅粉と名付けられました。「焼きみじん粉」「上焼味甚(じょうやきみじん)」などと呼ばれることもあり、同じ製法でうるち米を使ったものは「並寒梅粉(なみかんばいこ)」と言います。
寒梅粉は滑らかで火を通さなくても美味しく食べられることから、落雁や練り切りなどの和菓子に使われることが多いです。
道明寺粉
道明寺粉も、もち米を原料として作られる米粉です。蒸したもち米を乾燥させて、粗く砕いたもので、大阪にある道明寺が発祥地と言われています。
粗さに段階があり、全粒、2ツ割れ、3ツ割れ、4ツ割れ、5ツ割れに分類されており、用途に合わせて使い分けることができるのも特徴です。桜餅やおはぎなどを作る時に用いられています。
玄米粉
玄米粉は、玄米を原料とする米粉のひとつです。製粉方法によって「生玄米粉」「焙煎玄米粉」「発芽玄米粉」に分類され、玄米の栄養を手軽に取れるとして注目を集めています。
米粉が注目される理由とは
米粉の歴史は古いものの、現代の洋食文化によって和菓子などの製造以外で見かけることは多くありませんでした。
そんな米粉が注目されるようになったのには3つの理由があります。
小麦粉の価格が高騰しているから
米粉は小麦粉の代用品としても使用できます。
本来、米粉は製造に手間がかかるため小麦粉よりも高価になります。しかし、年々小麦粉の価格が高騰しているため、価格の差が僅かとなりつつあるのが現状です。
米粉は、小麦粉と比較した際にもさまざまなメリットがあるため、同じ価格帯なのであれば米粉を選ぶという人も増えています。
アレルギーの人が増えているから
アレルギーは昔からある症状ですが、年々患者数が増加しています。特に年少児の食物アレルギー患者は急増しており、「アレルギー物質を含まない食べ物」の需要が高まっているのです。
小麦粉はさまざまな食品に用いられているものの、含まれるグルテンにはアレルギーを起こす可能性があります。そのため、グルテンを含まず小麦粉の代用が可能な米粉が、非アレルギー食品として注目を集めています。
製粉技術が向上したから
米粉が普及しなかった理由は、価格だけでなく粉の粗さによる使い難さもありました。最も小麦粉に近い上新粉は粉が粗く、小麦粉のように使い勝手がよくありません。
しかし、製粉技術が向上し細かく製粉することが可能になりました。細かく製粉した米粉は、小麦粉の代用品により近付いたのです。
米粉を選ぶ7つのメリット
米粉にはさまざまなメリットがありますが、今回は7つのポイントを紹介していきます。
メリット1.栄養豊富で低カロリー
米粉は人間が食べ物からしか得られない必須アミノ酸という成分を豊富に含んでいます。これらの必須アミノ酸は、小麦粉にも豊富に含まれていますが、アミノ酸の一種であるアスパラギン酸やアラニンなどは、米粉の方が多く含んでいます。
アスパラギン酸には、疲労回復や解毒効果もあるため、積極的に摂りたい栄養素です。
また、米粉自体のカロリーは小麦粉よりも高いですが、米粉は脂の吸収率が低い食材です。揚げ物料理などに用いたとしても、小麦粉を使った場合よりカロリーを抑えることができるでしょう。
メリット2.消化しやすい
米粉の原料は米です。そのため大変消化しやすく、吸収しやすい食材です。体調が悪い時などでも、米粉を用いた料理であれば比較的食べやすいでしょう。
メリット3.揚げ物がサクサクに仕上がる
米粉は小麦粉の代用品として用いることができます。そのなかでもおすすめなのが、天ぷらなどの揚げ物に使う方法です。米粉は粘り成分のグルテンを含まないため、揚げ物に使うとサクサクに仕上がります。また、油を含みにくいため時間が経ってもベタベタになりにくいのが特徴です。
メリット4.使用用途が広い
米粉は麺類やパン、スイーツ、料理のとろみつけなど様々な料理に使うことができます。
また、最近は米粉を使った子どもが口に入れても安全に使える玩具なども開発されています。米粉は料理以外の面でも広い使用用途を持っている食材です。
メリット5.ダマになりにくく使いやすい
米粉は、油分をほとんど含まないためサラサラしています。料理に使う場合も、粉を振るう必要がありません。
また、水分と馴染みやすい性質もポイントです。水などで溶くときにもダマにならず滑らかに仕上げられるでしょう。天ぷらの衣やカレーやシチューのとろみつけにも最適です。
メリット6.小麦アレルギーの人でも食べられる
小麦はグルテンを含まないため、小麦アレルギーの人でも安心して食べられます。小麦アレルギーの人は、小麦を使ったパンや麺などを食べられない人が多いですが、米粉を使ったパンや麺なら安心して食べられるでしょう。
米粉は小麦アレルギーの人にとって、重要な食材です。
メリット7.血糖値が上がりにくい
米粉は低GI食品です。GI値とは食後の血糖値の上昇率を表す数値で、55以下の食品が低GI食品として認められます。米粉を食べた後は血糖値が上がりにくく、糖質を緩やかに吸収できるということが証明されているのです。
血糖値の急上昇は、肥満や糖尿病、動脈硬化などを引き起こすリスクが上昇します。低GI食品である米粉を食べて、血糖値の急上昇を抑えましょう。
米粉を選ぶデメリット
米粉にはさまざまなメリットがありますが、一方でまだ一般的に普及している食品とは言えません。
一般のスーパーなどでは米粉を入手するのが難しい場合もあるでしょう。また、小麦粉より僅かに価格が高いことなどもデメリットと言えます。
一方、小麦粉の価格上昇に伴い「同じ価格帯なら健康によいものを選びたい」という消費者の考え方や、米粉を使った新しい食感の料理を開発したいという飲食店の考えも徐々に広まってきています。
今後、米粉への注目は益々集まることが予想されるため、デメリットがなくなる可能性 もあるでしょう。
家庭で使うときの米粉の選び方
米粉にはさまざまな種類がありますが、一般家庭で選ぶならなるべく粉のきめが細かいものを選ぶのがおすすめです。
きめ細やかな米粉なら、パンや麺類、お菓子、料理など幅広い用途で使いやすいでしょう。また、パンや麺類、お菓子などの弾力を求めるものを作るなら、もち米を原料とした米粉を選ぶのもおすすめです。もちもちと柔らかい食感を作りやすくなります。
【小麦アレルギーでも食べられる】米粉パンは普通のパンと何が違うの?
米粉を用いた食品のなかでも、特に知名度が高いのは米粉パンです。しかし、実際に小麦粉を使ったパンと米粉パンが、どのように違うのか分からないという人も多いでしょう。
食べ比べてみるとその違いがよく分かりますが、ここでは簡単に違いを解説します。
食感
米粉パンは小麦粉を使ったパンと比較するともちもちとして歯ごたえが出るのが特徴です。
これは、パンに限らずスイーツなどでも同様と言えるでしょう。また、お米を噛みしめ続けると甘みが出てくるのと同じように、米粉を使ったパンやスイーツには優しい甘みがあります。
腹持ち
米粉は水分と馴染みやすく腹持ちがよいと考えられています。また、粘りや歯ごたえによって咀嚼回数が増えるため、満腹感を得やすい特徴もあります。
ダイエットには米粉がおすすめ
小麦粉に含まれるグルテンには、食欲を増進させる作用があります。そのため、本当はお腹が満たされているのに何となく食べ続けてしまう現象が起こりやすいです。一方で、米粉パンにはグルテンが含まれないため、必要量でピタっと食事をやめやすいのも特徴と言えるでしょう。
その他にも、米粉は油分を吸収しにくく血糖値を上げ難いため、ダイエット中の人におすすめです。
ダイエット中だけどパンやお菓子を食べたいという人は、米粉パンや米粉スイーツを選んでみてはいかがでしょうか。
米粉を使ったレシピ
最後に米粉を使ったレシピを紹介します。自宅でも米粉を使って美味しくヘルシーな食事を味わってみてください。
米粉のお好み焼き
米粉に卵を加えて出汁で溶いた下地に、細切れにしたキャベツやもやしなどを入れれば、ヘルシーなお好み焼きができます。
米粉のお好み焼きは小麦粉で作ったものより外がパリっと、中がもちっとしやすいので、キャベツなどの野菜は多めに入れるのがおすすめです。
豚バラ肉の薄切りを乗せてジューシーに仕上げると、子どもから大人まで大満足の一品に仕上がります。
米粉のトロトロ中華スープ
鶏ガラスープにおろし生姜を入れて味を整え、豆苗やきのこ類を入れた中華スープを作りましょう。とろみ付けには、少量の水で溶いた米粉をいれます。
お好みのとろみがついた後に、溶き卵を入れると、卵がふわっとしあがりより美味しく仕上がります。
米粉のエビフリット
フリットは、小麦粉や卵黄などが入ったメレンゲに食材を付けて揚げるイタリアの代表的な料理です。
小麦粉の代わりに米粉を使って揚げれば、サクッと歯ごたえのよいフリットになります。また、米粉を使うことで油の吸収率を下げられるため、カロリーを抑えたい人にもおすすめです。
下処理したエビに塩コショウをして米粉をまぶし、揚げるだけの簡単レシピです。レモン汁やタルタルソースなど、お好みの味で楽しんでください。
まとめ
栄養価が高く、カロリーを抑えることもできる米粉は、今後ますます注目を集めることが予想される食材です。すでに小麦粉の代用品ではなく、米粉ならではの食感や味わいを活かした料理やスイーツも数多く販売されています。
ぜひ、米粉を使ったさまざまな料理やスイーツを、美味しくヘルシーに味わってみてください。