プリン・パンナコッタ・ババロアの違いは?固めプリンとなめらかプリンの違いも解説
甘くて美味しいスイーツは時代を選ばず多くの人を笑顔に変えてきた食べ物です。そのなかでも、オヤツの代名詞といえるプリン。子どもから大人まで、世代を問わず愛されるスイーツです。
しかしパンナコッタやババロアなど、よく似たスイーツもあり店頭で「プリンとどう違うんだろう?」と疑問に思ったことのある人も多いのではないでしょうか。
今回はプリンとよく似た食べ物についてさまざまな違いを紹介します。パンナコッタやババロアとの違いやプリンの食感の違いについても解説しています。
- プリンはイギリス発祥のスイーツ
- パンナコッタとプリンの違いは卵とゼラチンの有無
- ババロアとプリンの違いはホイップクリームとゼラチンの有無
- プディングはプリンではなく、焼き・蒸し料理の総称
この記事でわかること
プリンとは
プリンはイギリス発祥の食べ物で、私達が一般的にイメージするのはカスタードプディングと呼ばれるプリンです。
カスタードプディングは卵に牛乳と砂糖を混ぜて型に流し込み加熱して固めたもので、現在はさまざまなバリエーションで食べられるようになりました。
ちなみに、プリンはスペイン語でフラン、フランス語でクレーム・カラメルと呼ばれています。外国で「プリン」と伝えても意味が通じにくいのでご注意ください。
パンナコッタとプリンの違い
プリンとよく似ており、間違えられることも多いパンナコッタ。なかには、プリンを別の言い方にしているのがパンナコッタなのでは?という人もいます。
しかし、これは大間違い。プリンとパンナコッタは全く別のスイーツです。続いて、パンナコッタとはどのようなスイーツなのか、プリンとの違いをみていきましょう。
パンナコッタとは
パンナコッタはイタリア発祥のスイーツです。イタリア語で「煮詰めたクリーム」という意味を持ち、生クリームに砂糖を加えたものをゼラチンで固めています。
キャラメルソースなどを添えることが多く、これがプリンのカラメルに似ていることから間違われやすいと考えられます。
イタリアの中でも北部・ピエモンテ州の伝統的なお菓子で、1990年代にアメリカで大流行したのをきっかけに日本でも知られるようになりました。
プリンとの違い
プリン | パンナコッタ | |
---|---|---|
卵 | 〇 | × |
牛乳 (生クリーム) |
〇 | 〇 |
砂糖 | 〇 | 〇 |
ゼラチン | × | 〇 |
加熱 | 〇 | × |
プリンとパンナコッタの決定的な違いは、卵の有無です。プリンは卵の凝固作用を利用して固めているのに対して、パンナコッタはゼラチンを利用しています。
「煮詰めたクリーム」という意味を持つパンナコッタですが、実はそれほど煮詰めることもなく、ゼラチンや砂糖が溶ける程度にしか加熱しません。その部分も、蒸しあげて固めるプリンとの大きな違いです。
※ゼラチンを使って固めたケミカルプティングというプリンもあります(後述)
ババロアとプリンの違い
プリンと見た目がよく似ているババロア。味や食感の違いは明確ですが、それ以外で2つのスイーツの違いをハッキリと答えることができるでしょうか?
ババロアとはどのようなスイーツなのか、プリンとの決定的な違いについても紹介していきます。
ババロアとは
※画像はコーヒーババロア
ババロアはフランス発祥だということが分かっているものの、そのルーツには2つの説があります。
1つは、当時のバイエルン王国貴族のために作られたスイーツとして作られたから「バイエルン国のもの」という意味を持った「バヴァロア」と命名されたという説。2つ目は、1815年にアントレナン・カレームという人物が降園したという説です。
ちなみに、アントレナン・カレームは1700年代後半から1800年代初頭にかけて活躍したシェフパティシエで、「国王のシェフかつシェフの帝王」なんて呼び名を持つフランス料理界やスイーツ界の偉人といえる存在です。アントレナン・カレームはバヴェリア地方の飲み物を参考にババロアを考案したといわれていますが、何故か当初はチーズも入っていないのにフロマージュ・ババロアと名付けられていたそうです。
牛乳に卵黄、砂糖などを混ぜ合わせた液にホイップクリームを加えて、ゼラチンを使って固めた冷たいスイーツで、ゼリーに似た滑らかな口当たりとふわっと濃厚な生クリームの味わいが特徴的です。
プリンとの違い
プリン | ババロア | |
---|---|---|
卵 | 〇 | 〇 |
牛乳 (生クリーム) |
〇 | 〇 (ホイップクリーム) |
砂糖 | 〇 | 〇 |
ゼラチン | × | 〇 |
加熱 | 〇 | × |
ババロアとプリンの違いはゼラチンと加熱工程の有無です。プリンと同じく卵を使っているものの、ゼラチンを使って凝固させているため口当たりの滑らかさが変わってくるでしょう。
一般的にババロアはホイップクリームを用いるため、加熱すると生クリームが溶けてしまいます。加熱せずに固めることが出来るゼラチンを用いて、冷やし固めているのがプリンとの決定的な違いです。
他のスイーツとはどう違う?プリンと似ているけど違うスイーツ
パンナコッタやババロアは日本でも知名度の高いスイーツですが、他にもプリンと見た目が似ているスイーツはたくさんあります。
ブラン・マンジェ(ブラマンジェ)との違い
プリン | ブラン・マンジェ | |
---|---|---|
卵 | 〇 | × |
牛乳 (生クリーム) |
〇 | 〇 (アーモンドミルク) |
砂糖 | 〇 | 〇 |
ゼラチン | × | 〇 |
加熱 | 〇 | × |
ブラン・マンジェはフランス発祥の冷たいスイーツで、砂糖や洋酒などで味をつけた牛乳をゼラチンで固めたものです。日本風で言えば牛乳ゼリーといったところでしょうか。
本来は、アーモンドミルクを用いることが多いそうです。現在はスイーツとされていますが、中世では肉などを入れて料理の〆のような一皿として提供したこともあったんだとか。歴史の中では上流階級のみが食べられる品であったと記録されています。
クリームブリュレとの違い
プリン | クリームブリュレ | |
---|---|---|
卵 | 〇 | 〇 (卵黄のみ) |
牛乳 (生クリーム) |
〇 | 〇 (アーモンドミルク) |
砂糖 | 〇 | 〇 |
ゼラチン | × | × |
加熱 | 〇 | 〇 |
クリームブリュレはプリンと大変よく似ているスイーツです。フランス発祥で、「焦がしたクリーム」という意味を持つクリームブリュレ。材料はほとんどプリンと同じですが、卵黄だけを使っているため濃厚でまったりとした口当たりが特徴的レです。
また、プリンは滑らかなカラメルソースを用いるのに対して、クリームブリュレは表面に乗せた砂糖をバーナーなどで焦がすのがポイント。この部分がプリンとの決定的な違いといえるでしょう。
ここまで見ると焼きプリンとクリームブリュレは同じスイーツなの?と思う人もいるでしょうが、厳密に言えば違います。焼きプリンは本来蒸して作るプリンを焼いたものです。そのため、表面の焼き色はカスタードクリームが焦げてできたもので、しっとりとします。
一方、クリームブリュレは砂糖をバーナーなどで炙って焦がしているため、食感がパリッとします。これが焼きプリンとクリームブリュレの違いです。
プリンにも色々種類がある?名前や食感の違い
プリンと似たさまざまなスイーツの違いが分かってきましたが、違いが分かるほど新たな疑問が湧いてくるものです。続いては、プリンの名前や食感の違いについてみていきましょう。
プディングとプリンは意味が違う?
プディングとプリン、これは「同じプリンのことでしょう?」と言う人も多いです。しかし、実はちょっとした違いがあることをご存知でしょうか。
プディングとは焼く、蒸すなど加熱して固めた料理の総称です。そのため、クリームブリュレはプディングの一種ですし、砂糖やゼラチンなどを溶かすために加熱して冷やし固めたパンナコッタやババロアも広い意味ではプディングとされています。
プリンのことは「カスタードプディング(カスタードを蒸して固めたもの)」と区別されています。
固いプリンとなめらかなプリンの違いは?
日本で食べられているプリンには、型から取り出しても形の崩れない比較的歯ごたえのあるプリンと、トロトロととろけるような滑らかな食感のプリンがあります。
前者はカスタードプディングに分類され、後者はケミカルプディングとして分類されていることはあまり知られていません。
ケミカルプディングとは、プリンをゼラチンで冷やし固めているものです。そのため、トロっと滑らかな口当たりになります。ゼラチンの配合量によっては、型から取り出せるくらいの固さを持つものもありますが、カスタードプディング特有の卵で固まった口当たりはなく、ゼリーに似たツルンとした食感が特徴的です。
プリンと似たスイーツのカロリーの違いは?
スイーツを食べるうえで、どうしても気になるのがカロリーです。甘い時点でカロリーが高いことは予想できるものの、なかには「できるだけカロリーの低いものを選びたい」なんて人もいるのではないでしょうか。
スイーツは使う材料によって総カロリーが大きく異なりますが、一般的なレシピで作られたベーシックなスイーツのカロリーでそれぞれを比較してみます。
100gあたりのカロリー | |
---|---|
カスタードプディング(プリン) | 116kcal |
ババロア | 204kcal |
パンナコッタ | 240kcal |
ブラン・マンジェ | 261kcal |
クリームブリュレ | 354kcal |
生クリームを使ったスイーツは比較的カロリーが高くなる傾向にあります。生クリームを使わず牛乳を使っているものや、豆乳、アーモンドミルクなど牛乳よりも低カロリーな食品を使っている商品であれば、今回紹介しているよりもカロリーを抑えることができるでしょう。
まとめ
パンナコッタやババロアなど、プリンと似ているスイーツの違いについて紹介してきました。それぞれに、伝統や歴史があり、作り方や材料の違いなどもあります。それぞれに魅力の違ったスイーツを好みに応じて召し上がってみてください。