エビの旬や種類、産地は?背わたの取り方や下処理方法も解説

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子どもから大人まで幅広い年代に愛される魚介類のひとつエビ。日本人は特にエビを好む人が多いとされ、世界でもエビの消費量が多い国です。

この記事では、日本人が大好きなエビの種類や旬、産地、下ごしらえの方法、エビに含まれる栄養なども徹底解説します。エビの種類や生体について知りたい人や、エビを美味しく食べたい人はぜひ参考にしてみてください。

    この記事でわかること

  • エビは3000種類以上いるけど食用は20種類ほど
  • 日本のエビの産地は佐賀県と北海道
  • クルマエビ科のエビが一番多く食べられている
  • エビを食べる時は背ワタを取り除く下処理が必要
  • 北海道ご当地ラーメン
  • スープカレー特集

エビって実はこんな生き物

エビって実はこんな生き物

お寿司や揚げ物など、身近な料理の食材として使われているエビですが、どのような生き物なのかご存知ですか?食用としてのエビを紹介する前に、エビの生態や生き物としての特徴についてみていきましょう。

エビとは

エビは節足動物の一種で、十脚目のうちカニとヤドカリ以外は全てエビに分類されます。カニやヤドカリと体の作りは似ているものの、地上でも活動可能なカニやヤドカリに対して、エビは水中でしか生きられません。

多くの種類が確認されており、海や川、池、深海などあらゆる水のある環境にさまざまなエビが生息しています。

エビの漢字は海老?蝦?魵?

エビは一般的に漢字表記で「海老」と書きます。これは長い髭がついており、Cの字型に曲がった背中が老人を連想させたから海老という漢字が宛てられたという説があります。

また、エビには蝦や魵という漢字もあり、砂底を歩かず海中を泳ぐエビを蝦や魵という漢字で表すことがあるそうです。しかし、これらは厳密に区別されている訳ではなく、一般的には海老の漢字が用いられています。

英語ではエビの大きさによって呼び方が変わる

エビを英語で表す場合「shrimp(シュリンプ)」を連想する人が多いでしょう。しかし、これは小さい種類のエビを差す言葉です。車エビのような中型のエビになると「prawn(プローン)」と呼ばれるようになります。

さらに大きいエビの場合は、さまざまな呼び方がありますがアカザエビを差す「lobster(ロブスター)」と呼ばれるのが一般的です。例えば、イセエビは英語で「spiny lobster」と呼ばれます。

海外でエビを注文しようとして「shrimp」と言うと、小さなエビが出てくるので使い分けには注意してくださいね。

エビの種類は3000種以上にのぼる

エビは世界中で3000種以上が確認されています。海水の中でも浅瀬に生息するものや深海に生息するもの、淡水の中でも川や湖、沼などそれぞれに生息する種類が異なります。

数多くの種類があるなかで、食用とされているのは約20種類程度です。エビは雑食性のため、生息域によっては泥などを多く含み食用に向かなくなることも多くあります。大きさや肉質、味など全ての条件を満たしたわずかな種類のエビだけが食用とされているのです。

日本の主なエビの産地は佐賀県と北海道

日本の主なエビの産地は佐賀県と北海道
都道府県 水揚げ量
佐賀県 1,940t
北海道 1,400t
兵庫県 1,398t
石川県 859t
愛媛県 727t

参照:農林水産省 海面漁業生産統計調査2020 海面漁業生産統計調査 確報令和2年漁業・養殖業生産統計 年次2020年 | 政府統計の総合窓口(e-stat.go.jp)

2020年に農林水産省が発表したエビの都道府県別水揚げ量の調査結果によると、日本で最もエビの水揚げ量が多いのは佐賀県でした。続いて、北海道、兵庫県と続きます。

しかし、日本人のエビ消費量は年間26万トンと言われているため、国内の水揚げ量では到底まかないきれません。実は、日本で流通しているエビのほとんどはインドやベトナムなどから輸入しているものです。エビの国内自給率は約4%ほどといわれているため、国産のエビは希少価値が高く、高値で取引されているものが多くなります。

クルマエビの養殖水揚げ量日本一は沖縄県

クルマエビの養殖水揚げ量日本一は沖縄県

沖縄と言えば、マグロの水揚げが多いことやモズクの養殖が盛んな事で有名ですが、実はクルマエビの養殖水揚げ量日本一であることをご存知でしょうか?

元々、沖縄近海にクルマエビは生息していませんでしたが、豊かな自然の中でクルマエビの繁殖や養殖に成功。今や養殖クルマエビは沖縄県の名物とも言われています。

養殖が盛んで新鮮なクルマエビが流通しているため、沖縄県には美味しいクルマエビを食べられるお店が数多くあります。

日本人が一番好きなエビって何?

エビの天ぷら

エビの一大消費国である日本では、エビフライやお寿司、エビの天ぷら、エビチリなどの料理でエビが食されています。

さまざまな種類のエビがある中、もっとも多く消費されているのはクルマエビ科のエビだと言われています。確かに、エビフライやエビ天に使われるものとして定番のクルマエビ。バナメイエビやアカエビなどもクルマエビ科に属します。

続いて、多く食べられているのは高級食材として知られるイセエビ科のエビです。子どもに人気の甘エビが消費量3位なんだそうです。甘エビよりもイセエビの方が多く消費されているのは、何だか意外な結果ですね。

日本で食用されるエビの種類と旬・特徴

続いては、日本で食用されているエビの種類やそれぞれの特徴を紹介します。

ホッコクアカエビ

ホッコクアカエビ

ホッコクアカエビはタラバエビ科のエビです。一般的に甘エビとして知られていますが、新潟近郊ではナンバンエビ、山形近郊では紅エビと呼ばれることもあります。

深海の砂泥に生息し、春から夏にかけて産卵を迎えます。12~3月頃は出産を目前にし、もっとも身付きのよいホッコクアカエビが食べられる旬の時期と言えるでしょう。

ホッコクアカエビは死後しばらく経つと徐々に甘みが増す特徴があります。そのため、流通し店頭に並ぶ頃が一番食べごろです。

刺身や寿司として食べられる他、塩辛のように漬物にしたり、天ぷらなどでも美味しく食べられます。

シラエビ

シラエビ

シラエビはオキエビ科のエビです。よく似た名前のエビに「シロエビ」がありますが、これはクルマエビ科のエビで違う種類になります。また、地方によってはヨシエビ属のエビやスジエビ類のエビをシラエビと呼ぶこともあるそうです。

富山県はシラエビの水揚げが盛んな事で知られています。透明で透き通るような見た目をしているシラエビは富山湾の宝石と呼ばれ、富山の名物としても親しまれているエビです。

シラエビは美味しい出汁がでるため、吸い物などに用いられることも多いです。その他、天ぷらやエビ団子、昆布締めなどにも用いられ、近年富山県の名物としてシラエビバーガーなどとしても食べられています。

旬の時期は4~7月頃ですが、小振りで生食することはあまりないため冷凍保存されたものが年中流通しています。

ボタンエビ

ボタンエビ

ボタンエビはタラバエビ科のエビです。体の側面にある斑点が牡丹の花のように見えることから、牡丹エビと名付けられました。

ボタンエビは日本固有種であるものの、年々漁獲量は減少。現在は、三重県で希少なエビとして水揚げされています。そのため、高級エビとして料亭や高級寿司店などで取り扱われており、刺身やしゃぶしゃぶ、天ぷらなどにして食べられることが多いです。

秋から春に旬を迎え、充分に成長したボタンエビはプリプリとした身と甘くとろけるような味わいをしています。

クルマエビ

クルマエビ

クルマエビはクルマエビ科のエビで、世界各国の海に広く生息しています。その中でも、特にインド太平洋沿岸地域に多く生息しているエビです。

体の縞模様が車輪のように見えることからクルマエビと名付けられ、食用エビとして古くから親しまれてきました。

日本近海にも天然モノが生息していますが、漁業だけでなく養殖も盛んに行われています。中大型のエビであるため、刺身、天ぷら、塩焼き、エビフライなどさまざまな料理に用いられます。特に加熱した際の身の締まりや風味がよいことから、エビフライや天ぷら、BBQなどの食材にもよく使われるエビです。

クルマエビは冬眠するエビのため、秋から冬にかけて冬眠前に充分な栄養を蓄えた頃が一番美味しいと言われています。

コウライエビ

コウライエビ

コウライエビはクルマエビ科のエビです。かつて大正組が輸入業を行い国内に流通させたエビであるため大正エビと呼ばれることもあります。

国内ではほとんど養殖などもされておらず輸入に頼っている状態のため、現在の流通量は左程多くありません。スーパーなどで「大正エビ」として売られているエビの中には、コウライエビではなくインドエビであることも多いので注意してください。

旬の時期は秋から冬にかけて。クルマエビによく似た味わいをしており、特にエビフライにすると絶品です。

バナメイエビ

バナメイエビ

バナメイエビはクルマエビ科のエビです。温かい海に生息しており、かつてメキシコ沿岸で多く水揚げされていました。現在は世界各国で養殖されているエビで、世界の養殖漁獲量はクルマエビよりも多いといわれています。

日本ではクルマエビの代用品として徐々に流通量が増加傾向にあります。むき身として流通しているものも多いのが特徴です。養殖ものが多いため旬の時期に関係なく流通しており、甘みが強くクセがないのでさまざまな料理に用いられています。

ホッカイエビ

ホッカイエビ

ホッカイエビはタラバエビ科のエビで、北海シマエビやシマエビと呼ばれることもあります。世界でも特に北海道東部に多く生息しているエビです。網走市や北見市、佐呂間町、湧別町、別海町などの特産品として知られています。

旬は7月中旬頃から8月下旬にかけての時期です。ホッカイエビの多くは水揚げ後すぐに釜茹でにされます。新鮮なホッカイエビを茹でると、縞模様が残ったまま赤色になるため見た目にも華やかです。高級エビとしても知られており、茹でてあるエビをそのまま味わうのが定番の食べ方として好まれています。

イセエビ

イセエビ

イセエビはイセエビ科のエビです。エビにはさまざまな種類がありますが、イセエビ科のエビはイセエビ1種のみとされています。イセエビにはさまざまな呼び名があり、千葉県産は外房エビ、三重県産は志摩エビ、神奈川県産は鎌倉エビと呼ばれることもあります。

イセエビは日本の固有種で、新年の季語とされるなど日本人には古くから好まれてきたエビです。大型のエビのため、姿造りやステーキなどとして食べられる他、水揚げ地ではイセエビを使った味噌汁イセエビ汁が郷土料理として親しまれています。

イセエビの旬は冬の時期、特に11月から3月にかけてもっとも美味しくなると言われています。

セミエビ

セミエビ

セミエビはセミエビ科のエビで、モンパ、クツエビ、アカテゴザ、カブトエビなど地域によってさまざまな呼び方をされています。

イセエビと同等の大型エビで、分厚く平たい姿形が特徴です。セミエビという名前の由来は、見た目がセミに似ているところから名付けられました。その味は大変美味として好まれ、刺身や塩ゆでなどに調理され高級料亭などで提供されています。

11月から3月頃までの時期は身付きがよく旬の時期とされる一方、5月から初夏までの雌は内子がついていることから高値で取引されることも多いです。

サクラエビ

サクラエビ

サクラエビはサクラエビ科のエビで、深海に生息する小型のエビです。多くのエビは灰色がかっており、加熱することで赤味を帯びます。しかし、サクラエビは生体のままでも透き通ってピンクがかった色をしており、その色合いが桜色であることからサクラエビと名付けられました。

日本では駿河湾が一大産地とされており、旬の時期は春と秋の2回です。産地では新鮮なサクラエビを生で食べることもありますが、多くは釜揚げや素揚げ、かき揚げなどで食べるのが一般的です。

ウチワエビ

ウチワエビ

ウチワエビはセミエビ科のエビですが、1種を差すのではなくウチワエビ属の総称としてウチワエビと呼ばれています。うちわのような平たく押しつぶした形が特徴的で、ウチワエビモドキやオオバウチワエビが、ウチワエビとして市場に流通しています。宮城県ではパッチンエビ、パタエビ、高知県ではタビエビ、徳島県ではセッタエビ、京都府ではバタバタと呼ばれることもあるエビです。

成人男性の手のひらほどの大きさですが、あまり身は多くありませんが、甘くてとろけるような舌触りが人気で、刺身や塩ゆで、味噌汁などに調理して職されます。ウチワエビの旬は冬から初夏にかけてですが、長崎県の五島列島では秋にも旬を迎えたウチワエビが水揚げされます。

ゾウリエビ

ゾウリエビ

ゾウリエビはセミエビ科のエビです。名前のとおり草履に似た形をしており、黒褐色や黄褐色、灰色などさまざまな色の個体がいるのが特徴です。

広い海域で水揚げされるものの、漁獲量が多くないため産地で消費され流通することはあまりありません。大変美味しいエビとして産地で親しまれており、刺身や茹でエビとして食べられています。旬の時期は9月から3月頃です。

エビの種類・おすすめの料理・旬の一覧

ホッコクアカエビ

  • 別名
    甘エビ
    ナンバンエビ
    紅エビ

  • 冬~春
  • おすすめの料理
    寿司
    刺身

シラエビ


  • 年中
  • おすすめの料理
    吸い物
    天ぷら

ボタンエビ


  • 秋~春
  • おすすめの料理
    刺身
    しゃぶしゃぶ

クルマエビ


  • 秋~冬
  • おすすめの料理
    エビフライ
    天ぷら
    焼きエビ

コウライエビ

  • 別名
    大正エビ

  • 秋~冬
  • おすすめの料理
    エビフライ

バナメイエビ


  • 年中
  • おすすめの料理
    エビフライ
    天ぷら
    アヒージョ
    エビチリ

ホッカイエビ

  • 別名
    北海シマエビ
    シマエビ

  • おすすめの料理
    塩ゆで

イセエビ

  • 別名
    外房エビ(千葉)
    志摩エビ(三重)
    鎌倉エビ(神奈川)

  • 秋~冬
  • おすすめの料理
    姿造り
    ステーキ

セミエビ

  • 別名
    モンパ
    クツエビ
    アカテゴザ
    カブトエビ

  • 秋~春
  • おすすめの料理
    刺身
    塩ゆで

サクラエビ


  • 春と秋
  • おすすめの料理
    素揚げ
    かき揚げ

ウチワエビ

  • 別名
    パッチンエビ(宮城)
    パタエビ(宮城)
    タビエビ(高地)
    セッタエビ(徳島)
    バタバタ(京都)

  • 冬~初夏
    秋(長崎のみ)
  • おすすめの料理
    刺身
    塩ゆで
    味噌汁

ゾウリエビ


  • 秋~春
  • おすすめの料理
    刺身
    塩ゆで

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川のエビは食べられないの?

食用エビの多くは海水に生息しているものです。淡水に生息しているエビの多くは、泥臭く食用には向きません。しかし、中には食用として養殖されている淡水のエビもいます。

テナガエビやスジエビは淡水に生息するエビですが、養殖されているものが食用として流通していることもあります。

【背ワタの取り方】エビの下処理方法

【背ワタの取り方】エビの下処理方法

エビの背ワタは泥くささを感じるため、下処理の際に丁寧に落としておくのがよいでしょう。

下処理の方法は以下のとおりです。

 
  1. 頭から2番目の殻の隙間に爪楊枝を横から刺し、真上に引き上げて背ワタを取り除く
  2. 殻を全て剥き取る
  3. 足を全て取り除く
  4. エビにあら塩と片栗粉をまぶしてよく揉む
  5. 流水でよく洗い流してキッチンペーパーで水分を拭き取る
 

以上の方法で下処理をすれば、泥臭さを感じさせる背ワタをとり、エビの持つ独特な臭いを落とすことができます。その後はお好みの通りに調理してください。

エビに含まれる栄養

エビは良質なタンパク質が豊富に含まれており、タウリン、ビタミンE、アスタキサンチン、DHAなどさまざまな栄養が一気に摂れる食材です。

中でも、肝機能を高めるタウリンや、アンチエイジング効果が期待できるアスタキサンチンなどの栄養分を効率良く摂取できることが分かっています。

低脂質、高たんぱくのためダイエットにも適しており、美味しいものを食べつつ充分な栄養を補い美しく痩せたい人にとって、エビは最適な食材と言えます。

まとめ

エビについての情報や、日本で食用されているさまざまなエビの種類について紹介してきました。エビには数多くの種類がいるものの、私達が食用しているのはほんの一部。もしかすると、未発見の美味しいエビがまだ世界のどこかに存在しているかもしれません。

ぜひ、日本で食用されているさまざまなエビを旬の一番美味しい時期に、美味しく食べれる料理で味わってみてはいかがでしょうか。特に刺身やしゃぶしゃぶは旬の時期にしか味わえない食べ方です。

一方、アヒージョやパスタなどにエビを使うのであれば、旬の時期に水揚げしたエビを冷凍保存する冷凍エビやシーフードミックスを使うのもおすすめ。エビの産地から取り寄せたシーフードミックスは、冷凍と思えない味わいです。美味しい魚介類をぜひご家庭で味わってみてはいかがでしょうか。

PREZO編集部
PREZO編集部
美味しいものに目がない。食べ歩きやお取り寄せ大好きなPREZOのスタッフが、地域の魅力や商品にまつわるストーリー、北海道の豆知識など、とっておきの情報を発信!