意外と知られていない「ひきわり納豆」の隠れた事実とは?
大豆の種類や粒の大きさが違うものなど、色々な種類の納豆が売り場に並んでいます。その種類のひとつに「ひきわり納豆」がありますが、他と何が違うのかご存知でしょうか?
この記事では、ひきわり納豆の特徴や使い方について解説。自宅で簡単に作れる“即席ひきわり納豆”についても紹介しているので、要チェックです!
ひきわり納豆と糸引き納豆との違い
多くの人は、ひきわりを「普通の納豆を刻んだもの」と思っていることでしょう。
ひきわり納豆は、ただ刻んでいるわけではなく、臼で大豆を砕き、皮を取り除いたあとに納豆菌を加えて発酵させたものです。通常の糸引き納豆は、大豆の皮がついたまま納豆菌を加えて発酵させるので、ひきわり納豆とは作る工程が大きく異なります。
ひきわり納豆の消費量は東北地方が高め!?
ひきわり納豆の消費量は、全国で販売されている納豆全体において7~8%程度と言われています。その中でも東北地方は40%前後と特に高めです。その理由は、東北地方では昔から割れてしまった納豆を食べる習慣があったからなのだそう。
4種類の納豆を紹介
ひと口に納豆と言っても、その種類はさまざま。この項目では、大きく分けて4つに分けて紹介します。
糸引き納豆
糸引き納豆は、蒸した大豆に納豆菌を発酵させたもので、我々に一番馴染みのある納豆。特徴は、豆のふっくらとした食感がそのまま味わえる納豆です。
「糸引き納豆」という名前は、“ネバネバと糸を引く”様子から名付けられたと言われています。このネバネバは納豆菌が作り出したもので、人間の健康に役立つ働きをします。
ひきわり納豆
ひきわり納豆は、大豆を臼で挽き砕いてから皮を取り除き発酵させたもの。皮を取り除いているので食べやすく、柔らかいということもあり、高齢者や小さな子供に好まれています。また、大豆が細かくなることで発酵面積が大きくなり、栄養価やうまみ成分が多いという特徴も。
その歴史は古く、今から900年以上も前に八幡太郎義家軍が俵詰めにした煮大豆を馬の背に乗せていたところ、大豆が割れて糸を引いていました。兵士たちは、誰もが腐っていると思いましたが食糧も底をついててたため、恐る恐る食べてみることに。すると、思いのほか美味しかったため徐々に広まっていったのが、ひきわり納豆の由来です。
五斗納豆
五斗納豆は、山形県米沢市で昔から食べられている納豆の種類です。ひきわり納豆に米麹菌と塩を加えて発酵熟成させたもので、すでに塩味が付いているので醤油を加える必要がありません。
「五斗」の意味には諸説あり、五斗も入る樽で作られていた、あるいは大豆一石に麹五斗、塩五斗を使うことからだとも言われています。ネバネバとした粘着性と塩味が強く、寒さが厳しい山形県の保存食として重宝しました。
寺納豆
大豆に納豆菌ではなく、麹菌を加えて発酵させたものが「寺納豆」です。他の納豆に比べて黒っぽく、ネバネバと糸を引かないのが特徴。京都ではお茶漬けにして食べるのが一般的なのだそう。
代表的なものでは、京都の大徳寺納豆、浜松の浜納豆、奈良の浄福寺納豆などがあります。寺納豆は、お寺で作られたことからその名がつけられました。
ひきわり納豆と糸引き納豆の栄養価
ひきわり納豆と糸引き納豆では、同じ大豆から作っていても栄養価が異なります。糸引き納豆と比較して骨粗鬆症や動脈硬化を防ぐビタミンKが約1.5倍多く含まれています。その理由としては、ひきわり納豆の方が納豆菌が付着する表面性が大きいためです。
また、ビタミンK以外にも認知症を予防する「スペルミジン」という成分が豊富に含まれていることが判明しました。スペルミジンは、脳細胞の寿命を伸ばし認知症を予防してくれる働きがあります。
このように、ひきわり納豆は糸引き納豆と比較して栄養価が高い食品といえるでしょう。
“即席ひきわり納豆”の作り方
ご自宅で、糸引き納豆からひきわり納豆にするには包丁やフードプロセッサーなどで、糸引き納豆を細かく刻む方法があります。糸引き納豆を細かく刻むことで、ひきわり納豆の口当たりと食感を再現できます。
ひきわり納豆の美味しい食べ方
ひきわり納豆は、ご飯にかける以外にもさまざまな料理に加えることで、より美味しく楽しめます。
鶏ひき肉とひきわり納豆のふんわり焼き
鶏ひき肉に、ひきわり納豆を加えることでふわふわとした食感が生まれます。納豆が苦手な子供でも食べやすいので、試してみる価値あり!
材料(大人3人分) | 分量 |
---|---|
鶏ひき肉 | 150g |
ひきわり納豆 | 2パック |
青ネギ | お好みの量 |
とうもろこし | 1/3カップ |
★小麦粉 | 大さじ4 |
★卵 | 1個 |
★しょうゆ | 小さじ1 |
★塩 | 少々 |
★こしょう | 少々 |
油 | 大さじ1 |
【簡単な作り方の解説】
- 青ネギをみじん切りにする
- ボウルに鶏ひき肉・ひきわり納豆・青ネギ・とうもろこし・★のついた材料を全て加えてまとまるまで混ぜる
- フライパンに油をひき熱したら、小さじ山盛り1杯くらいのタネを丸く落として焼く
- 両面がこんがりきつね色になるまで焼いたら完成(蓋はしなくてもOK)
梅肉とひきわり納豆の冷奴
副菜の定番冷奴に、さっぱりとした梅肉とひきわり納豆をのせれば豆腐のうまみが引き立ちます。
材料(大人1人分) | 分量 |
---|---|
ひきわり納豆 | 1パック |
梅干し | 1個 |
豆腐 | 1丁 |
しょうゆ | 少々 |
刻みネギ | 大さじ1 |
刻みのり | 少々 |
【簡単な作り方の解説】
- 梅干しは種をとり、包丁で果肉をたたいてペースト状にする
- ボウルに納豆とペースト状にした梅肉・しょうゆを加えて混ぜ合わせる
- 豆腐を器に盛りつけて、先ほど混ぜ合わせた納豆の梅肉和えをのせる
- 最後に刻みネギ・のりを添えて完成
ひきわりビビンバ
ビビンバは、たくさんの野菜がとれるので栄養満点。ひきわり納豆を加えることで、美味しさと栄養もプラスされます。
材料(大人1人分) | 分量 |
---|---|
ひきわり納豆 | 1パック |
ほうれん草 | 4/1束 |
もやし | ひとつかみ |
にんじん | 4/1個 |
ゼンマイ | 30g |
ごはん | 茶碗1杯 |
ごま油 | 少々 |
塩 | 少々 |
コチュジャン | 少々 |
【簡単な作り方の解説】
- ひきわり納豆は、付属のたれを入れてよく混ぜておく
- ほうれん草、もやし、にんじん、ぜんまいは食べやすい大きさに切り、それぞれ下ゆでしてごま油・塩で和えておく
- ごはんに2.を盛り付け、ひきわり納豆をたっぷりかけて完成(お好みでコチュジャンを加えるのも◎)
まとめ
ここまで、ひきわり納豆の特徴や美味しい食べ方について紹介しました。ひきわり納豆は、糸引き納豆を刻んだものではなく、大豆を臼で挽き砕いてから発酵させたものです。また、皮も取り除いているので食べやすく、栄養価も高いのが特徴。
納豆を選ぶ際には、味や好みだけではなく、食べやすさや栄養価の違いも意識して選んでみてください。