ラムとマトンの違いとは? 特徴や栄養素まで徹底解説

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羊肉のなかでも特に広く知られているラムとマトン。肉の種類は同じでも、それぞれに特徴があり、味わいやにおいなどに違いがあります。ラムやマトンはジンギスカンやラムチョップとして食べる機会も比較的多いですが、中間に位置するホゲットという肉もあることをご存知でしょうか?ラム、マトン、ホゲットの違いを正確に説明できるという人はそう多くありません。

この記事ではそれぞれの特徴や違い、栄養、おすすめ料理等を紹介します。ラムとマトンの違いやホゲットについて、味、におい、栄養の違いなど、羊肉のさまざまな情報を知りたい方はぜひ、参考にしてみてください。

    この記事でわかること

  • ラムとマトンは生育年数と永久歯が違う
  • クセが少ないのがラム、個性が際立つのがマトン
  • どちらも栄養が豊富
  • 北海道ご当地ラーメン
  • スープカレー特集

ラム肉の特徴

ラムとマトンの特徴

ラムとは、生まれてから1年未満の子羊です。子羊の管理状況によって年齢がわからないこともあり、その場合は永久門歯が生えていない子羊もラムに含める分別方法が一般的とされています。

日本の食肉産業のなかでは、牛、豚、鶏がポピュラーで、羊肉は滅多に見かけることがありませんよね。しかし、世界の食材事情を見ていると、羊肉は各国の料理になくてはならない食材として扱われており、なかでも子羊の肉であるラムは高級食材として知られています。

ラムの中でも、母乳だけで育つ生後2~3カ月以内の子羊はミルクラムと言います。ミルクラムは、通常のラムよりも希少で、出回る量は非常に少ないのが特徴です。

マトン肉の特徴

マトン

マトンは、生後約2年から7年を経過している大人の羊のことです。年齢がわからない羊をラムかマトンか判断するときは、永久門歯が2~3本以上生えているかどうかで区別します。

一般的には永久門歯の数によって区別することが多いですが、国によって異なることも多いです。

永久歯が1本しか生えていない羊もマトンとする国もあれば、永久歯が3本までならマトンとする国もあります。日本では永久歯が2本以上の羊をマトンと区別することが多いようです。

その他にも、ニュージーランドの場合は、永久歯がすり減っていなければ、マトンではなくラムに分類されます。インドなどでは、生まれたばかりの頃は羊として認識していてもマトンと呼ばれる年齢に育つとヤギだと認識されるなど、色々な捉え方があります。

ラムとマトンの年齢は歯で区別される

年齢の見分け方

ここで改めて、ラムとマトンの違いについて詳しく紹介しましょう。

ラムとマトンは羊の年齢によって分別されています。しかし、管理方法によっては正確な年齢が把握できないというケースも少なくありません。

そこで、人間が管理している「羊の年齢」以外にも、ラムとマトンを分別する方法として永久門歯の有無を確認します。

羊は門歯と呼ばれる顎の一番前にある部分の歯が、下顎にしかありません。門歯は、人間でいうところの切歯です。顎の一番前の部分にあり、食べ物を噛み切るために用いられる歯で、人間の場合は切歯、動物の場合は門歯と言い換えます。

羊も乳歯と永久歯があり、生まれて数カ月経ってから生え始める乳歯の門歯が抜け落ち、永久歯に生え変わり始めることが生後2年頃と考えられており、ラムとマトンを区別する指標にされています。

このことからラムは永久門歯の生えていない羊、マトンは永久門歯が2本以上生えている羊と区別されているのです。

ラムとマトンの違い

ラムとマトンの違い

ラムとマトンは、羊の年齢によって味わいやにおい、栄養にもさまざまな違いがあります。

ラム 比較的あっさりした味わい、クセがなく食べやすい
マトン 羊肉特有の風味が強く、濃厚な脂と味わいがある

ラムは、味にもそれほどクセや臭みはありません。ほんの少しは羊肉独特の風味はありますが、比較的食べやすく初めて羊肉を食べるという人や羊肉特有の風味が苦手な人に好まれます。

一方、マトンは味に羊肉特有のクセがあり、ジビエ(野生動物の肉)に似た臭みも感じやすいです。好き嫌いが分かれやすいですが、独特な風味がクセになる方も少なくありません。
大人の羊ならではの、濃厚な脂に羊肉特有の風味がのり「羊肉を食べるなら絶対にマトン」という人もいます。羊肉ならではの味わいを楽しみたいなら、マトンがおすすめです。

におい

ラム ほとんどない(ミルクラムは甘い香りがする)
マトン 羊肉特有に強いにおいを感じる

羊肉は、独特なにおいがするというイメージがあるという人も多いでしょう。しかし、生まれて間もないラムにはあまり独特なにおいはなく、クセが気になることは少ないです。ミルクラムは、ほんのり甘い香りがすることで、高級食材として親しまれています。

母羊の乳を飲まなくなり、食事内容が変わりきったマトンは、羊肉特有のにおいがすることが多いです。

牛や豚、鶏を食用として飼育する際には、人間の好む味わいの肉や脂に育つように穀物などをメインとした飼料を与えます。しかし、羊の主な食料は牧草です。牧草を主食として食べているからこそ、羊肉特有のにおいを感じやすいと言われています。

また。羊の脂は特に酸化しやすいため、新鮮さが損なわれてくると急激に強いにおいを放つのも特徴です。

においが気になる場合には、なるべく新鮮なマトンを選ぶと良いでしょう。スパイスや調味料を多く使うと、においを消しやすくなります。

栄養

ラム たんぱく質が豊富でカロリーは少なめ。ラム、マトンに大きな栄養の違いはない
鉄分(ヘム鉄)の含有量が非常に多い
マトン

ラムとマトンには、豊富な栄養が含まれています。ラムとマトンそれぞれに栄養の違いはそれほどないものの、タンパク質はラムよりもマトンの方が豊富なことが多いです。脂肪燃焼を助けるカルニチン、代謝を手助けするビタミンB2、貧血予防になる鉄など様々な栄養が含まれています。

特に、鉄の含有量には注目されており、牛や豚、鶏などに比べると、羊肉には多くのヘム鉄が含まれています。また、脂肪燃焼効果が期待できるL-カルニチンが含まれていることから、ダイエット効果や貧血予防にも注目されており、特に貧血になりやすい女性には羊肉がおすすめです。

ホゲットとは

ホゲット

日本ではあまり広く知られていませんが、羊肉にはラムやマトンの他にホゲットという種類もあります。

ホゲットとは生後約1年から2年、永久門歯が1~2本を羊の肉を指します。しかし、国や地域によって定義が異なっていて、区別が難しいため、あまり出回らないのが知らない方が多いカラクリです。

中間ということもあって、特徴も2つの良いところどり。ラムよりも深みがあり、マトンほどクセが少ない味わいや香りが特徴です。

日本では、ほとんど流通しない羊肉なので、どこかで耳つけた際にはぜひ、味わってみてはいかがでしょうか。

ジンギスカンとして食べるのはラム?マトン?

ジンギスカン

羊肉を食べる機会の多くは、ジンギスカンではないでしょうか。北海道ならなおさらで、ご当地グルメとしてはもちろん、ジンギスカン鍋で家庭でも食べられる料理です。

ジンギスカンに使われているのは、ラムとマトンの両方。違いは次の項目で詳しく解説しますが、クセの少ないラムは味付けなし、独特の風味があるマトンは味付けありで提供されることが多いです。

もちろん、お店によっては、クセが強いマトンを味付けなしで振舞うこともあります。クセが気になるならラムのジンギスカン、あえて風味を感じたいならマトンのジンギスカンを味わってみてはいかがでしょうか。

ラムのおすすめ料理

ラムとマトンを美味しく食べるなら、相性の良い料理・レシピを知るのが一番。調理方法や味付けがわかると、それぞれに合った料理で羊肉を味わえます。ここでは、ラムとマトンのおすすめ料理・レシピをご紹介します。

ジンギスカン

ラム肉のジンギスカン

クセの少ないラム肉は、ジンギスカンで食べるのがおすすめ。タレは生姜やにんにくで手作りしても、市販のタレを購入しても大丈夫。ジンギスカン鍋がなくても、ホットプレートで気軽に楽しめます。たくさんの野菜と一緒に、ラム肉をジンギスカンで食べてみましょう。

しょうが焼き

しょうが焼きは、大人も子どもも大好きな定番メニュー。豚肉が一般的ですが、ラム肉もしょうが焼きと相性が良いです。しょうがやにんにく、玉ねぎなどで漬けこめば、独特なクセが少なくなります。食べ応えがあって、ボリュームのあるおかずになりますよ!

ステーキ

ラム肉のステーキ

ラム肉の風味を存分に味わうなら、豪快にステーキにしてみましょう。表面に焼き目をつけて、好みの焼き加減に火を通したら完成。クセが気になるならハーブソルトやにんにくを合わせたり、赤ワインソースでコクをプラスしたりするのがおすすめです。ちょっと贅沢な夕食やおもてなしにぴったり。

マトンのおすすめ料理

ラムに比べると硬さやにおいを感じやすいマトンですが、羊肉特有の味わいがあり「マトン
の方が好き」なんて人も少なくありません。

マトンは以下の料理で食べるのがおすすめです。

ジンギスカン

ラム肉はもちろん、マトンもジンギスカンで食べるのが定番。ラムよりも風味やクセが強いですが、独特な味わいと旨みを味わえるのが魅力です。スパイスやりんご、にんにくなどで漬け込むと、食べやすくなります。

カレー

マトンカレー

独特な風味を生かすなら、マトンカレーがおすすめ。カレーにマトンの風味や旨みが溶け込み、ポークカレーやチキンカレーとはまた違ったカレーに仕上がります。

クセが気になるときは、ヨーグルトを加えるとまろやかになるので、ぜひ試してみてください。

オイスターソース焼き

料理に強い風味とコクを与えてくれるオイスターソースは、マトンとの相性抜群です。もやしや人参、ピーマンなどの野菜を加えて炒め、オイスターソースで味付けすれば、簡単美味しいマトンのオイスターソース焼きの完成です。

子どもが食べる場合や羊肉特有の風味が苦手な方は、オイスターソースにはちみつを加えるとまろやかでコク深さが増し、美味しくいただけますよ。

まとめ

ラムとマトンは、生育年数と永久門歯の有無で区別されることが多いです。ラムはクセが少なく柔らかい食感、マトンは独特のクセがあるのが特徴。中間に位置するホゲットは、両方の良さを兼ね備えた羊肉です。

羊肉は、炒め物やグリル、ステーキなどと相性が良いので、ぜひラムとマトンを食べ比べてみてくださいね。

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菅原 光拳
ライター / フリーエディター
札幌生まれ、北広島市育ち。学生時代に釧路で環境と自然教育を学んだのち、卒業後も北見を拠点に道東で7年間を過ごす。現在は北海道観光をはじめ、ライフスタイルメディアなど多様なジャンルの記事を執筆中。