紅茶って体にいいの? 期待できる効果が知りたい

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120カ国以上で愛飲されている紅茶は、世界では緑茶以上に親しまれている茶葉です。紅茶には、たんぱく質や炭水化物、脂質、ビタミンなど主要は栄養素はほとんど含まれていません。しかし、テアニンやカフェイン、カテキン(ポリフェノール)など注目したい成分が豊富です。

    この記事でわかること

  • 紅茶は血糖値の上昇を穏やかにしてくれる
  • 悪玉コレステロールを抑制するのでダイエット向き
  • 1日3杯~4杯を目安に楽しむ
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紅茶に含まれる主成分とは

テアニン

紅茶にはリラックス効果があるテアニンが含まれており、休憩する際などにおすすめです。テアニンは紅茶に含まれるアミノ酸の一種で、爽やかな旨味と甘味を引き出す役割を担っています。

テアニンは含有量の少ない産地で約200mg、多い産地で800mg程度です。血圧の上昇を抑えたり、脳・神経機能の調整に効果があるのではと言われています。リラックス効果の他、集中力を高める効果、睡眠の質を上げることで免疫力を上げる効果も期待されています。

テアニンは紅茶に含まれるアミノ酸の一種

カフェイン

紅茶には200ml(コップ一杯)あたり約60mgのカフェインが含まれています。これはコーヒーに含まれているカフェインの半分ほどの量にあたります。カフェインは眠気の原因になる物質の働きを抑制する効果があるとされています。カフェインをとると目が覚めるのはこういった理由ですね。

その他、カフェインには抗アレルギー作用、偏頭痛解消作用、脂肪燃焼効果などがあるとされ、さらに、カフェインには消化酵素を活性化させて、脂肪を燃焼させる働きや心臓の筋肉の収縮力を強化させる効果もあるので、適度に摂取することで心臓病、糖尿病、認知症などを予防できる可能性があります。

カテキン

カテキンは主に紅茶に含まれるポリフェノールの一種で、お茶の特有の苦み、渋み成分のもとになっている物質です。カテキンは抗酸化作用がある他、抗菌作用も期待されています。

抗酸化作用とは、体内の活性酸素の働き(=体内のサビ付き)を抑える効果のことです。活性酸素は皮膚や粘膜を劣化させる作用があるため、カテキンによって抑えることで免疫力を保つ効果が期待できます。

茶葉の種類によって異なる風味

日本ではお茶といえば緑茶(グリーンティー)ですが、欧米ではティーといえば紅茶のことを指します。グリーンと区別するためにブラックティーという言い方もあります。中国で紅茶が発見されたのは約400年前。さまざまな歴史を経て欧米に広がり、愛飲されている飲み物です。

実は、緑茶、ウーロン茶、紅茶は、同じ茶樹の葉から作られます。色や風味が異なるのは、発酵させるか否かの違いです。緑茶は発酵させずに作った茶葉で、紅茶は茶葉に含まれる酵素で酸化発酵して作られます。ウーロン茶はこの発酵が浅い、半発酵茶と言われます。

紅茶に含まれるポリフェノールの含有量は、栽培中の一日の温度差が大きければ大きいほど増えると言われます。産地によって風味が変わってくるのは、こういった理由からです。

茶葉の種類によって異なる風味

ダージリン

フルーティーで爽やかな香りとコクがあり、「紅茶のシャンパン」とも言われる茶葉です。インドで唯一、栽培に成功した中国産の茶葉でもあります。色味はやや薄いですが、香り高い、上品な芳醇さが人気です。

インド・西ベンガル州のダージリン県およびカリンポン県で栽培・生産されています。2004年からは「ダージリン・ティー」は地理的表示に登録され、ダージリンまたはカリンポンの特定地域で生産された茶以外は名乗ることができなくなっています。茶葉を摘む時期により、フローラルなファーストフラッシュ(初摘み)、フルーティーなセカンドフラッシュなどがあります。

ウバ

すっきりとしたメントール系の香りと、バラや青リンゴのような香りが心地良い爽やかな茶葉です。強い渋みがあり、深い赤色が出ます。色味を楽しむならストレートティーですが、ミルクとの相性も良いので、ミルクティーにもおすすめです。スリランカの、昼夜の気温差が激しい高地で栽培され、これによって独特の「ウバフレーバー」を生み出します。

キーマン

中国を代表する紅茶で、程よい渋みと濃厚な深みを持つ茶葉です。熟した柿や梨のような甘い香りが特徴で、紫がかった深い赤色が出る個性的な茶葉です。よく知られるアールグレイは、茶葉にベルガモットで柑橘系の香りをつけたフレーバーティーですが、そのベースにはキーマンが使われることが多いです。

キャンディ

スリランカのキャンディ地方で栽培されるお茶の総称です。味や香りに癖がなく、飲みやすいので、紅茶初心者の方にもおすすめです。渋みやえぐみも少なく、マイルドな味が好まれています。

スリランカ紅茶の茶葉の産地の中ではちょうど真ん中くらいの高さ(ミディアムグロウン=中地産)で作られるため、季節風の影響を受けにくく、茶葉の生産量も安定しています。

ヌワラエリア

スリランカで高地栽培される茶葉で、昼夜の寒暖差が深い香りを生み出します。緑茶を思わせる爽やかな渋みと、若葉のような香りの中にフルーティーな甘い香りを感じます。淡い色合いから、「セイロンティーのシャンパン」といわれることも。ストレートで飲むのがおすすめです。

ルフナ

スリランカの中でも低地で栽培される茶葉で、日本では馴染みのない名前かもしれませんが、実はスリランカの紅茶生産量の約60%がルフナで作られている茶葉です。気温が高いため茶葉は大きく育ちます。野性的で、ややスモーキーな香りと濃厚で深いコクが楽しめます。高品質のものは黒蜜のような香りがすることもあるとか。

ミルクとの相性がよく、ミルクティーにするならこの茶葉がぴったりです。

期待できるうれしい健康効果

上記で紹介したように、紅茶にはテアニンやカテキンなど、うれしい効果のある成分が含まれています。その効果を少し詳しくご紹介します。

血糖値の上昇を抑える

紅茶は血糖値の上昇を抑える

パンやご飯などの炭水化物は、アミラーゼ・マルターゼ・スクラーゼなどの酵素によって糖に分解、吸収されます。その分解が急激に進行することで血糖値の急激な上昇が起こります。紅茶を飲むと、ポリフェノールが糖の分解を抑制するため、糖の吸収がおだやかになり、血糖値の上昇を抑えられる可能性が期待されています。

また、紅茶には食物繊維が含まれており、これも血糖値の急激な上昇を抑えることができるため、紅茶は糖尿病予防の役に立つとされています。もちろん、健康的な食生活や適度な運動が糖尿病予防の基本ですが、紅茶を飲むのもその助けになりそうですね。

脂質の吸収を抑えて動脈硬化予防

紅茶に含まれるポリフェノールは脂肪の吸収を抑える効果があるとされています。同じ茶葉から作られる緑茶や烏龍茶などと比較した実験では、紅茶が最も脂肪の吸収を抑えたようです。脂質の吸収を抑えることは、動脈硬化予防にも役立ちます。血栓ができたり動脈硬化が進行するのは、血管の老化現象というべきもので、いろいろな原因で傷ついた血管内壁にコレステロールや脂肪、カルシウムなどが付着し、血管が硬く狭くなる状態を動脈硬化と言います。そうなると、血小板が凝集しやすくなって血栓ができやすい状態になります。紅茶には、その血小板の凝集を抑制する作用があります。

また、茶カテキンは悪玉コレステロールを抑制する作用もあり、血栓の予防に役立つと考えられています。このように複数の作用が重なることで、紅茶には動脈硬化の進行を抑え、脳梗塞や心筋梗塞になるリスクを下げる効果があるといえます。

高血圧も予防

紅茶に含まれているカテキンとテアニンは共に、血管を拡張する働きがあるとされています。血管が拡張されると、血管内の圧力が低下する傾向にあるため、高血圧を予防できるとされています。実際にカテキンを高血圧自然発症ラット (SHR) や脳卒中易発症高血圧ラット (SHRSP) に投与してその血圧、脳卒中に及ぼす影響を調べたところ、血圧の上昇が明らかに抑えられ、脳卒中発症が抑制されたという報告もあります。また、高血圧の患者19人が1日2回の紅茶(フラボノイド129mg含有)を飲むグループと飲まないグループに分けて血圧と血管の硬さを比較したイタリアの臨床試験では、紅茶を飲んだグループは、高めだった血圧値が下がり、正常に近づいたという報告もあります。

血圧が上がってしまうのにはさまざまな要因がありますが、血管内壁が硬くなっていることもその要因のひとつです。上記の動脈硬化予防と合わせると、紅茶には期待大ですね。

相乗効果でダイエット

紅茶の香りでリラックスしつつ、糖や脂肪の吸収をおだやかにし、悪玉コレステロールも抑制。それに加えて血管を拡張する働きで血流も改善……これらのことから、紅茶はダイエットにも効果的といわれています。紅茶に含まれているカフェインには、筋肉の働きを活発にする作用や脂肪燃焼効果もあるので、これがダイエットにつながります。

インフルエンザへの効果にも注目!

紅茶に含まれるカテキンは抗酸化作用のある物質で、免疫力を保つ効果が期待できます。同じく免疫力を高める働きがあるレモンを加えると風邪やインフルエンザなどの予防にもなると言われています。

カテキンはウイルスなどの表面にある突起状のタンパク質に付着し、感染力をなくすともいわれており、こういったことから感染症の予防に効果的です。また、緑茶にも含まれるエピガロカテキンガレートに、紅茶に含まれるテアフラビンが加わると殺菌力が増し、ウイルス感染の予防に役立つことが報告されています。カップ1杯の紅茶を、5~10倍に薄めたものでうがいをすると、この効果が期待できるという研究があります。

インフルエンザへの効果にも注目!

紅茶に含まれているテアフラビンは発酵過程で生成されるポリフェノールのひとつですが、この成分には、インフルエンザ感染を著しく低下させる働きがあることが実験によって示唆されています。この実験によるとテアフラビンの最大の特徴として、従来型、新型を問わずインフルエンザウイルスの感染力を抑える効果が期待されるとのことです。ただしミルクを加えると、テアフラビンがミルクのたんぱく質に取り込まれてしまい、効果がなくなるといわれているので、レモンティーかストレートで飲むのがおすすめです。

カテキンやテアフラビンは紅茶のタンニン(ポリフェノールの1種)に含まれているもので、抗がん性や抗酸化性、抗菌性の作用が確認されています。たとえば濃くいれすぎてしまった紅茶を飲むと、舌の上に残る渋みを感じますよね。それがタンニンです。様々な効果を考えると、濃くなってしまった紅茶もなんだかおいしく感じられるかもしれません。ただし、タンニンには鉄分の吸収を阻害する効果もあるので、貧血気味の方はご注意を。

飲み過ぎ注意?

飲み過ぎ注意?

紅茶には、免疫力アップなど様々なうれしい効果がありますが、飲むタイミングには注意が必要です。上記のように、鉄分吸収を阻害する効果があるので、食事の時に紅茶を飲むと、食事からの鉄分が充分にとれない可能性があります。どうしても食事といっしょにとりたい時には薄めにいれるなど配慮するといいかもしれません。

また、紅茶に含まれているカフェインは覚醒作用があるので、寝付きを悪くしたり、睡眠を浅くする可能性があるため、眠る前には気をつける必要があります。カフェインの効果はおよそ3~4時間と言われています。眠る4時間前にはカフェインの含まれる紅茶は控えましょう。カフェインをとりすぎると消化器系への刺激により、利尿作用だけでなく下痢・吐き気・嘔吐を起こす可能性も指摘されています。適切な量は1日3~4杯くらいまで。これを守れば素晴らしい効果を得られます。

適量を守って、よい紅茶ライフを!


writerprof_minagawa
皆川 今日子
ライター
札幌在住。旅行誌を中心に、観光・グルメ系メディアにて執筆中。趣味は料理とゲーム。長年、掃除を苦手としていることで悩んでいたが、「掃除に必要な才能を生まれ持たなかった」と割り切ることで気が楽になった。