長芋の旬はいつ? すぐれた栄養成分と上手な保存方法、食べ方を紹介
独特の粘りやシャキシャキした食感が特徴の「山芋」。北海道が山芋の名産地であることをご存じですか? 実は全国で流通している長芋の約50%が北海道産。道民にとって長芋は、非常に身近な野菜のひとつです。
今回は、長芋の旬や健康的な食べ方、長持ちする保存方法を紹介します。
北海道は長芋生産量全国第1位!
農林水産省による作物統計調査によると、2019年の北海道の長芋生産量は7万4,400tでした。
順位 | 都道府県 | 生産量 | シェア |
---|---|---|---|
– | 全国 | 149,700t | – |
1位 | 北海道 | 74,400t | 49.7% |
2位 | 青森県 | 55,800t | 37.3% |
3位 | 長野県 | 6,730t | 4.5% |
参考:農林水産省 作物統計
全国に流通している長芋の約半分が、北海道で作られていることが分かります。ではなぜ、北海道は長芋の生産が盛んなのでしょうか。
北海道で長芋生産が盛んな理由としては、寒い地域でも育ちやすく、広大な作付け面積が確保できる点が挙げられます。中でも、十勝・帯広地域は広大な作付け面積が確保できるため、長芋の生産が盛んな地域です。また、北海道で生産された長芋は国内だけではなく、アメリカや台湾にも輸出されています。
台湾で長芋は「山薬」とも呼ばれており、薬膳料理としても人気の食材なんだそうです。
長芋の旬は秋と春
長芋の旬は、秋と春の2回あります。ここでは秋と春、それぞれの長芋の特徴をみていきましょう。
11月頃から収穫される「秋堀り」
11月頃から収穫される長芋は「秋掘り」と呼ばれています。秋堀りの長芋は、皮が薄くアクも少ないのが特徴。
秋掘り長芋のシャキシャキの食感を楽しむためには、浅漬けやサラダなどがおすすめです。また、秋堀り山芋に含まれるディオスコリンαは、インフルエンザの抑制効果が期待できます。ディオスコリンαは、体内に侵入したウイルスと接触すると、約1分で破壊してくれるんだとか。
1週間に3回以上長芋を食べると、インフルエンザの発症率が44%も減ったという実験結果もあるくらいです。
3月~4月に収穫される「春掘り」
秋に収穫せずに、春まで越冬させた長芋は「春堀り」と呼ばれています。春掘りの長芋は、地温が1〜2℃の土中で休眠状態になっています。
休眠状態の長芋はより追熟が進み、デンプンが糖質化します。そのため、甘みや旨味が強いのが特徴。粘り気があり、トロトロした食感を楽しめます。
春掘り長芋は、甘みや粘り気を活かした「とろろ」がおすすめです。
北海道で栽培されている長芋の品種
北海道で栽培されている長芋には、さまざまな品種があります。一部ではブランド化されている長芋もあり、高級品としても扱われているほど。北海道で栽培されている長芋のブランド品種を紹介します。
根張星(ネバリスター)
ネバリスターは、カネコ種苗株式会社によって開発された品種です。ネバリスターは、イチョウイモと長芋を掛け合わせた品種で、2008年に商標登録されました。
通常の長芋と比較して、ネバリスターは粘り気があり、舌触りが滑らかなのが特徴です。
とかち太郎
とかち太郎は名前の通り、十勝で誕生した長芋の新品種です。8年間の試行錯誤を経て、2017年に商標登録されました。
とかち太郎の特徴は、その「太さ」。一般的な長芋の太さは直径6㎝程ですが、とかち太郎は直径7㎝を超えるものもあります。太さを追求することで、収穫・輸送の作業率をアップさせた品種です。
十勝4号
十勝4号は、従来の品種「音更選抜」から突然変異して生まれた新品種。北海道で育った既存の長芋よりも太く、より多くの量を栽培できます。
また、十勝4号は同じ大きさでも密度が高く、通常の長芋と比較して重量があります。味も他の長芋と比較して粘り気があり、甘味のある味わいが特徴です。
長芋に含まれる栄養素と効果
長芋には、体にいい栄養素が多く含まれていることが分かっています。この項目では、長芋に含まれる栄養素と効果について詳しく解説します。
食物繊維
長芋には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」が多く含まれています。水溶性食物繊維は、糖質の吸収をおだやかにし、食後の血糖の上昇を抑えてくれます。
不溶性食物繊維は、腸内善玉菌のエサとなり、善玉菌を増加させます。長芋を食べて善玉菌を増やすことで、腸内環境の改善が期待できます。
カリウム
ミネラルであるカリウムも、長芋に多く含まれています。長芋100gに対し、なんとカリウムの量は430mg。これは、芋類では最も多い含有量です。
カリウムは過剰に摂取したナトリウムを排出する働きがあるので、むくみの解消や高血圧に効果があります。
ビタミン類
長芋には、以下のビタミン類が多く含まれています。
- ビタミンC:皮膚や粘膜を健全に保ち、身体の抵抗力を強める
- ビタミンB1:疲労回復の効果があり、倦怠感を解消
- ビタミンB6:免疫機能を正常に保ち、身体の成長を促進する作用
- ビオチン:疲労回復はもちろん、肌や爪、毛髪の健康を保つ効果
ビタミンの中でも、長芋に多く含まれるのはビタミンB1。疲労や倦怠感を解消してくれるので、夏バテや滋養強壮にもぴったりの食材です。
長芋の栄養素を活かす健康的な食べ方
長芋の栄養素をそのまま取り入れたいのであれば、やはり生食が一番効果的です。
すりおろしてとろろにすると、スルスルと召し上がれます。山芋を上手におろすコツとしては、酢水につけておくこと。酢水につけておくことで、長芋の変色とぬめりを抑えてくれます。
調理する際の注意点としては、“加熱しすぎない”こと。
長芋に含まれるビタミン類や消化酵素は、熱に弱い性質があります。そのため、長芋の栄養素をしっかりと摂りたい方には、生食がおすすめです。
長芋の正しい保存方法
一度では食べきれずに、ついつい余らせてしまうことが多い長芋。変色しやすく傷みやすい長芋ですが、工夫次第で長持ちする食材です。この項目では、長芋の正しい保存方法についてご紹介します。
常温の場合
長芋は、一本丸ごとの状態であれば常温保存が可能です。常温保存の場合は、全体を新聞紙で包み、直射日光が当たらない風通しのいいところに保管しましょう。
ただ、夏場や気温が20℃以上になる場合は、冷蔵庫の野菜室で保存してください。
冷蔵の場合
使いかけの山芋を冷蔵庫で保存する場合は、切り口の部分をキッチンペーパーで覆い、その上からラップで包みます。そして、冷蔵庫の野菜室で保存してください。キッチンペーパーで切り口を覆うことで、色の変色や乾燥を防ぐことができます。
冷凍の場合
長芋を冷凍保存する場合は、あらかじめすりおろしたり、カットしたりしておくと便利です。
下処理しておけば、調理する時の時短にもなります。冷凍する長芋は、ラップに包んでチャック付きの保存袋に入れることで乾燥も防げます。
解凍する時は、レンジを使わずに自然解凍するのがおすすめです。自然解凍することで、風味や食感が損なわれずに美味しく味わえます。
まとめ
ここまで、長芋の旬や栄養素、正しい保存方法についてご紹介してきました。北海道は、全国でも有数の長芋の名産地。長芋は北海道独自の品種も開発されており、海外でも人気のある食材です。
ぜひ、北海道産の長芋の美味しさを一度味わってみてください。