りんごの旬はいつ?種類別の特徴やおいしいりんごの選び方をご紹介
小さな赤ちゃんから年配の方まで、多くの人から愛される定番果物りんご。日本でも数多くの品種が出回っており、今や1年中気軽に食べることができます。
しかし、作物には最も美味しい旬の時期があるもの。りんごも例外ではありません。美味しいりんごを食べたいなら、旬の時期に収穫されたものを選ぶと良いでしょう。
この記事ではりんごの品種や特徴、旬の時期などを紹介。りんごが一番美味しくなるタイミングを知りたい人は参考にしてみて下さいね。
この記事のまとめ
- 一般的にりんごの旬は冬場
- 美味しいりんごを選ぶには「色」「形」「重さ」を確認
- りんごはエチレンガスを放出するので他の青果と一緒に保存する時は要注意
りんごってどんな果物?
身近な果物であるりんごですが、実はどういった果物なのか知らないという人も多いのではないでしょうか。
りんごはバラ科りんご属の果実で、原産は中央アジアです。品種も多く、世界には1万種程のりんごがあると言われています。世界的に古くから栽培されており、エジプトでは紀元前1,300年頃から、トルコでは紀元前6,000年頃から既に栽培が始まっていたと言われている程です。
日本で栽培が始まったのは江戸時代。この頃は栽培量も少なく、希少な果実として献上品などに使われていました。明治に入ると栽培量が一気に増え、一般人にも広く普及するようになりました。
りんごには旬の時期がある
スーパーなどでは、1年中りんごが流通していますよね。これは最新の栽培方法や保存技術によって、収穫後のりんごを長く保存できるようになったからです
作物には、果実が一番美味しくなる旬の時期があります。どんなに優れた保存方法でも、旬の時期の美味しさをそのまま維持するのは難しいでしょう。りんごにも旬の時期があり、一番美味しくなるタイミングで収穫されたりんごの味は格別です。
冬場に旬を迎える種類が多い
りんごは品種が多いので、それぞれに旬の時期もバラバラです。中には夏の時期に旬を迎えるものもありますが、元来低温の地域でよく育つこともあり、多くのりんごは秋から冬にかけて旬を迎えます。
りんごには早生種や晩生種がある
みかんなどの作物でお馴染みの早生種や晩生種。早生種は短い栽培時間で作物を収穫できる品種で、晩生種は栽培時間が長くかかる品種のことを言います。
りんごにも早生種や晩生種の品種があり、晩生種ほど美味しく食べられる期間が長いと言われています。超早生種や早生種は8月頃に旬の時期を迎え、中生種は9月頃、晩生種は10月以降に旬を迎える品種が多いのが特徴です。
同じ品種でも生産地によって旬がちがう
同じ品種のりんごを栽培していても、土地の気候によって成長速度には差が出ます。「この品種はどこで育てても、旬の時期は変わらない」なんてことはないでしょう。
例えば、りんごの品種としてよく知られている「ふじ」は、長野なら11~12月頃に旬を迎えますが、青森では1~4月頃が旬だと言われています。
品種別の旬の時期はあくまで目安。どの土地で栽培されているのかによっても、りんごの旬は変わってきます。
夏のりんごは美味しく食べられる期間が短い
秋から冬にかけて旬を迎えるりんごですが、超早生種や早生種のものは夏に旬を迎えます。元々、りんごは高温多湿を嫌う果実。そのため、夏場に収穫されたりんごは美味しく食べられる期間が短いと言われています。
夏場に収穫したりんごは保存し難いものと理解して、なるべく早く食べきってしまうのが良いでしょう。
りんごの生産量が多い都道府県
りんごの生産量が多いことで知られる東北。特に青森はりんごが名産品となっており、生産量日本一を誇ります。
都道府県 | りんごの収穫量 |
---|---|
青森県 | 463,000t |
長野県 | 135,400t |
岩手県 | 47,200t |
山形県 | 41,500t |
秋田県 | 25,200t |
福島県 | 21,100t |
北海道 | 8,270t |
出典:農林水産省 作況調査(果樹) 令和2年産りんごの結果樹面積、収穫量及び出荷量
寒い地域で育ちやすいなら、土地も広くて気温も低い北海道の方がりんごの栽培に向いているのでは?と思う人も少なくないでしょう。
青森や長野の生産量が圧倒的に多いためあまり知られていませんが、北海道では特別寒い気候だからこそ育てられる希少なりんごなども栽培しています。特に余市町などではりんごを使ったジュースやジャムなどが名産品として有名です。
北海道で栽培されるりんごの種類7つと特徴・旬の時期
続いては、北海道で栽培されているりんごの品種と特徴、旬の時期を紹介します。有名なものから、希少なものまで北海道ではさまざまなりんごが栽培されています。
1.ふじ(サンふじ)
国内で最も多く生産されているふじ。スーパーなどでもお馴染みの品種です。ふじと良く似た名前のサンふじは同じ品種で栽培方法が異なるもの。果実に袋をかけて栽培したものをふじ、袋をしないで栽培したものをサンふじと言います。
特徴
シャリシャリとした強い歯ごたえと、甘み酸味のバランスが特徴的なふじ。蜜が入りやすく、流通量も多いため人気の品種です。
旬の時期
流通のために早めに収穫するため10月頃から収穫スタート。11月頃から12月頃までの間が旬で、収穫期間内で最も蜜入りの多いふじが収穫されます。
2.つがる
ふじに次いで生産量の多いつがる。青森県の津軽地方で品種改良されたことから、その名前がつけられました。
特徴
強い甘みと、潤沢な果汁が特徴的なりんごです。特に、北海道で栽培されたつがるは甘みの強さが特徴。北海道産つがるは、高い評価を受けています。
旬の時期
つがるが旬を迎えるのは9月から10月にかけて。特に甘みが強く、ジューシーなつがるが収穫されます。
3.王林
ふじやつがるに次いで生産量第3位の王林は、貯蔵性に優れた品種です。長期間鮮度を保ちやすいため、年中流通しています。ちなみに、王林という名前は「りんごの王様」という意味から名付けられたそうです。
特徴
酸味が少なく歯ごたえの強い王林は特に、小さなお子さんなどに好まれる味です。果汁も多いため、何個でも食べたくなってしまうのが特徴。他の品種に比べて香りが強く、甘く爽やかな風味を感じることができます。
旬の時期
ふじと同じく流通のために早期収穫され10月に収穫期を迎えますが、旬な時期は11月頃から2月頃までの寒さが強くなる時期です。この時期の王林は、皮を剥く前から食欲をそそる強い香りを放っています。
4. マオイ
本州ではあまり流通していない、北海道原産の品種であるマオイ。北海道で交配して生まれ、2000年には北海道優良品種として認定されています。マオイとはアイヌ語で「ハマナスの実があるところ」という意味だそうです。
特徴
北海道で最も早く収穫を迎える品種で、爽やかな酸味と香りが特徴です。青緑色の果実で、いわゆる青りんごと呼ばれる品種で、見た目にも爽やかさを感じられます。
旬の時期
マオイの収穫時期は9月上旬。旬のマオイは特にさっぱりとした味わいを楽しめるりんごで、甘すぎる物が苦手な大人の方に特に人気です。
5.ニュージョナゴールド
知名度の高いジョナゴールドの枝変わり品種であるニュージョナゴールド。ジョナゴールドよりも早く収穫でき、縦縞の濃さで見分けることができます。
特徴
味はジョナゴールドと同じく、酸味と甘みのバランスが良く、果汁が多いのが特徴です。味が濃厚なので、子どもから大人まで年齢を問わず好まれています。
旬の時期
ニュージョナゴールドの旬の時期は10月中旬頃。この頃に収穫されたニュージョナゴールドは比較的甘みが強いので、生絞りジュースなどでも楽しまれます。
6. ハックナイン
マオイと同じく北海道で交配されたハックナイン。1985年に北海道優良品種として認定、道産子品種第一号の品種でもあります。
特徴
甘みと酸味が丁度良いバランスで果汁量も多いため、さっぱりとしたりんごの味を楽しめます。北海道産のりんごはやや小ぶりの物が多いですが、ハックナインは実が大きく本州産のりんごにも見劣らない立派な果実が特徴です。
旬の時期
ハックナインが最も美味しく味わえるのは10月中旬頃。豊潤な味わいの果汁をたっぷり蓄えたフルーティなりんごを楽しめます。
7.ひめかみ
盛岡で交配されて誕生したひめかみ。2001年には、北海道が生育に適しているとされ奨励品種として認定されました。
特徴
蜜が入りやすく濃厚な甘さが特徴。加熱しても果肉が崩れにくいことから、料理やスイーツなどにも広く使われています。
旬の時期
ひめかみの旬は10月中旬。もともと蜜が多く入りやすいひめかみですが、この頃は特に豊潤で薫り高く濃厚な甘さを堪能できます。
その他の有名な品種
青森や長野で多く生産されているりんご。日本全国でさまざまな品種が栽培されています。続いては、その他の有名な品種について見ていきましょう。
シナノスイート
果肉が柔らかく、しっとりした食感が特徴的なシナノスイート。10月頃から11月頃にかけて旬を迎えます。
トキ
黄色と薄いピンクが入り混じった可愛らしい見た目のトキ。シャキシャキした食感と甘い果汁の多さが特徴。10月頃から11月頃にかけて旬を迎えます。
紅玉
アメリカ原産の品種である紅玉。生だと酸味が強く、加熱すると甘みが増すことからスイーツなどに使われることも多い品種です。旬の時期は10月から11月にかけての数週間で、旬の時期が短い事でも有名な品種。
こうとく
生産量が少なく幻のりんごと呼ばれるこうとく。蜜が豊富で希少価値があるため、贈答用などにも選ばれています。旬を迎えるのは11月頃から12月にかけて。完全に熟しきってから収穫する珍しい品種です。
シナノレッド
さっぱりとした酸味と甘さが特徴のシナノレッド。爽やかな味わいが人気の品種です。超早生種のため、8月頃から9月にかけて旬を迎えます。
恋空
シナノレッドと同じく超早生種で、比較的新しい品種の恋空。硬めの食感と飽きの来ない優しい甘さが特徴ですが、果肉や柔らかくなりやすく貯蔵性が低いためあまり多くは流通しません。8月から9月にかけて旬を迎えます。
シナノゴールド
黄緑色の見た目が印象的で、サクサクした軽やかな触感が特徴のシナノゴールド。柑橘類を思わせる爽やかな香りが好まれ、ジワジワと人気を延ばしている品種です。10月頃から12月にかけて旬を迎えます。
夏緑
その名の通り、緑色が鮮やかな夏緑は超早生種。果汁量が多く、夏場に流通することからお盆などのお供え物に使う地域もあるそうです。貯蔵性が低く流通量少ないため、生産地まで足を運ばないと手に入れるのは難しいかもしれません。旬は8月中旬から下旬にかけてだと言われています。
むつ(陸奥)
鮮やかな色味が美しいむつは、栽培方法で色味が変わる少し変わった品種です。袋を被せて日を遮ると黄緑色に、日の光に当てると紅色になります。生産地では文字絵りんごなどにも使われるそうです。旬の時期は11月頃から12月頃です。
美味しいりんごを選ぼう!選ぶ時のチェックポイント
旬の時期のりんごは格別ですが、できればその中でも一番美味しいものを選びたいですよね。りんごを選ぶ時には3つのポイントに着目すると、美味しいりんごを選びやすくなります。
色
品種にもよりますが、しっかりと太陽を浴びて育ったりんごは濃く色付き、甘みも増します。お尻の部分までよく確認して全体がしっかりと色付いているものを選ぶのがおすすめです。
形
リンゴはお尻の部分が深く窪んでいて、左右均等な形になっているものほど味が良いとも言われています。窪み周辺にも傷みなどが無いか確認し、左右均等な形になっているものを選びましょう。
重さ
いくら大きく立派なリンゴでも軽く感じるものは蜜や果汁が少なく、甘みを感じにくくなってしまいます。手に取ってみてズッシリと重みのあるものを選んでみて下さい。
リンゴの保存方法
美味しい旬のりんごを手に入れたけど直ぐに全ては食べきれないという場合は、正しい方法で保存し美味しさをキープしましょう。
冬場は常温保存で1ヶ月程保存できますが、夏場は冷蔵庫に入れて保存します。りんごは乾燥してしまうと果肉が柔らかくなったりパサパサしたりしてしまいます。冷蔵庫に入れる際は、1個ずつ新聞紙などで包んでビニール袋に入れて保存して下さい。
旬のりんごを美味しく食べる方法
りんごは、生はもちろん料理やスイーツ、ジュース、ジャムなどさまざまな食べ方ができる果物です。その中でも、旬のりんごを最も美味しく食べる方法について考えてみましょう。
旬のりんごはそのまま食べるのが一番
旬のりんごは、甘みや香りを強く感じさせる品種が多いため一番のおすすめは、そのまま食べる方法です。皮の部分はポリフェノールやペクチンなどの栄養が豊富に含まれているため、よく洗って汚れを落としてから皮ごと食べるのがよいでしょう。
旬が過ぎてしまった場合
保存している内に、果肉が乾燥してしまったりんごは、ジャムやコンポートにすると瑞々しい状態で美味しく食べることができます。その他にも、アルミホイルで包んでじっくりとオーブントースターで加熱すると甘みの増した焼きりんごとしても美味しく食べられますよ。
りんごの豆知識
最後に、りんごに関する豆知識を紹介します。りんごの事をよく知り、さらに美味しく食べたり上手に保存したりするヒントにして下さいね。
りんごを他の青果と一緒に保存する場合はエチレンガスに注意
りんごが持つ酵素からはエチレンガスという気体が放出されています。エチレンガスには青果の成熟を早める性質があるため、他の野菜や果物と一緒に保存してしまうと鮮度を低下させてしまうことがあります。
りんごを野菜室などで保存する際には、必ず個別に包装してビニール袋で密閉し、エチレンガスが漏れないように気を付けて下さいね。
切ったりんごは塩水や蜂蜜で変色を防いで保存
りんごはとても酸化しやすい果物です。切った果実をそのままにしておくと、直ぐに茶色く変色してしまいます。塩水やレモン水、砂糖水、蜂蜜水などには酸化を防ぐ働きがあるため、切ったりんごをこれらの液に浸すと変色を防ぐことができます。
ピカピカのリンゴはワックスでコーティングされているの?
ピカピカに磨かれたりんごを見て「防腐剤やワックスなどがついているのかな?」と思う人も少なくありません。 このピカピカの正体は、皮に含まれるオレイン酸や不飽和脂肪酸などの天然成分。これらの成分の影響で皮の外に膜が張られ、布などで膜を広げながら磨くとピカピカ輝くりんごになります。
りんごの艶は天然成分なので、安心して皮ごと食べて下さいね。
まとめ
りんごについて、品種や旬の時期、選び方や保存方法など紹介してきました。1年中食べられる果物だからこそ、旬の一番美味しいりんごを食べると感動も一塩です。
ぜひ旬のりんごの味を、堪能してみて下さいね。