常温・冷暗所・要冷蔵・要冷凍の違いとは?意外と知らない食品の保存方法について
食品を長く安全に楽しむために重要なのが、適切な保存方法です。日頃何気なく見ている商品ラベルに書かれた「要冷蔵」「常温」「冷暗所」などの保存方法ですが、それぞれ具体的な温度や環境をご存知でしょうか?
この記事では、基本的な食品の保存方法について詳しく解説し、家庭で実践できる保存方法のポイントをご紹介します。食品の種類や特徴に合った保存方法を知っていると、食品を無駄なく使い切ることができますので、ぜひ参考にしてみてください。
食品の保存方法の基礎知識
食材の鮮度やおいしさを保ちつつ、無駄なく使うためには適切な保存方法が重要です。最近では冷蔵庫の機能も多様化しており、保存場所や保存方法によって食品の鮮度や日持ちが変わることがあります。正しい知識を身につけることで、日々の料理がよりスムーズになりますよ。
ここでは、要冷蔵、要冷凍、常温保存、そして冷暗所保存とはどんな保存方法なのか、詳しくご紹介します。
要冷蔵とは
要冷蔵とは、冷蔵庫で保存することを指しています。
食品に具体的な温度が書かれている場合は、その温度以下での保存が求められますが、要冷蔵の一般的な温度は「10℃以下」であることがほとんどです。
なお、冷蔵庫の各室によって適正温度は変わりますが、3℃〜6℃が目安です。
要冷蔵は主に牛乳やチーズ、卵、肉類などに適した保存方法ですが、食品によっては適切な温度帯が異なることも。冷蔵庫のチルド室や野菜室を上手く活用し、それぞれの食品に合った環境を整えることが大切です。
また、開封後は劣化が進みやすいので、たとえ冷蔵保存していても早めの消費を心がけてくださいね。
要冷凍とは
要冷凍とは、食品を0℃以下で保存することを指しています。
食品衛生法では、冷凍食品は有害微生物が増殖できない「−15℃以下」で保存することが定められていますが、生産や流通業界では食品の品質保持のため、さらに低い「−18℃以下」での保存が基本となっています。また、家庭用冷蔵庫の冷凍庫の温度もJIS規格で「−18℃以下」と定められています。
要冷凍の食品は、魚介類、肉類、加工した野菜や果物、冷凍食品などが対象で、特に肉や魚は冷凍保存で新鮮さを長持ちさせることができます。ただし、冷凍によって風味が劣化する場合もあるため、保存期間には注意が必要です。
常温保存とは
常温保存とは、冷蔵や冷凍を必要としない食品を保存する方法です。
常温に対する明確な温度は定められていませんが、私たちが生活している環境での保存を指しているため、温度帯は「15℃〜30℃」が目安です。特に夏場は外気温を越えないよう注意しましょう。
常温保存の食品は、乾燥パスタや缶詰、スパイス類など。保存のポイントは直射日光を避け、湿気を防ぐことです。特にスパイス類は特に光や空気に弱いため、遮光性のある容器に移しておくと良いでしょう。
冷暗所保存とは
冷暗所保存とは、一定の低温を保ち、直射日光が当たらない場所で保存する方法を指します。
食品保存での「冷暗所」に対する明確な温度の定義はありませんが、医薬品の規格を定めた日本薬局方によると、冷所は「1℃〜15℃」と定められています。医薬品と全く同じ保存方法ではないものの、温度の目安として参考になる基準と言えるでしょう。
さらに、温度を「一定に保てる」場所で保存することもポイントです。
冷暗所保存の食品は、ワインやジャムなどの加工食品や調味料など。温度変化が少なく、直接的な光が届かない場所で保存することで、品質を維持しやすくなります。
どの保存方法がいい?食品別の注意点
食品の保存方法は、その食品の特性に応じて選ぶことが大切です。特に野菜や果物、肉・魚類、パンや米などは、それぞれ特有の保存方法があります。
ここからは、食品別に保存方法とポイントをご紹介します。保存方法を見直すことで食材のムダを減らし、おいしい状態で楽しめますよ!
野菜と果物の保存方法
新鮮な野菜と果物を長持ちさせるには、それぞれの特徴に合わせて保存することが重要です。
代表的な野菜・果物の保存方法を以下の表にまとめてみました。
食品保存方法一覧(野菜・果物) | ||
---|---|---|
食品名 | 保存方法 | メモ |
青菜類 | 冷蔵 | 下茹でして冷凍もOK |
イモ類 | 冷暗所 | ネットに入れて風通しの良い場所で保存 |
玉ねぎ | 冷暗所 | ネットに入れて風通しの良い場所で保存 |
大根 | 冷暗所 | 葉はカットして紙で包む、カットしたものはラップに包んで冷蔵保存 |
きゅうり | 冷蔵 | 紙で包んで立てて保存 |
にんじん | 冷蔵 | 紙で包んで立てて保存 |
りんご | 冷暗所、または冷蔵 | 春夏はビニール袋に入れ冷蔵保存 |
バナナ | 常温、または冷蔵 | 追熟後は一本ずつ袋に入れ冷蔵保存 |
青菜類は湿度を保つために濡れた新聞紙やキッチンペーパーで包んでからポリ袋に入れ、冷蔵庫で保存すると長持ちします。茹でたものは冷凍保存することで、保存期間を延ばすことができますよ。
根菜類やイモ類は低温を嫌うため、風通しの良い冷暗所で保存しましょう。
果物も種類によって保存方法が異なりますが、一般的には乾燥を避け、冷蔵庫の野菜室で保存することをおすすめします。
肉・魚類の保存方法
肉や魚は鮮度が命。肉を冷蔵保存する場合は、冷蔵庫でも温度の低いチルド室やパーシャル室で保存しましょう。保存する前にはドリップをペーパーなどで拭き取り、ラップで密封することがポイントです。すぐに使わない場合は小分けにしてラップで包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍しましょう。
魚を冷蔵保存する際は、えらや内臓を取り除き、ペーパーで水気を拭き取るのがポイントです。早めに処理して1日ほどで食べきりましょう。
食べきれない場合は冷凍用保存袋に入れて空気をしっかり抜き、冷凍保存も可能です。
肉と魚、いずれも空気に触れないようしっかり密閉するのがポイントです。
肉・魚類の保存方法のポイント
- 肉:チルド室やパーシャル室で冷蔵。小分けにして密閉袋で冷凍も可
- 魚:下処理後水気を拭き取り冷蔵。食べきれない場合は密閉袋で冷凍
パンや米の保存方法
主食として常備することの多いパンや米は、保存方法で味や品質が大きく変わります。
パンは常温保存が基本ですが、気温や湿度が高い時期や、長期保存したいときには冷凍保存がおすすめです。1枚ずつラップで包み、冷凍用保存袋に入れることで、しっとりとした食感をキープできます。
米は高温多湿がNG!冷暗所での保存が基本です。密閉容器に入れて、湿気や虫から守りましょう。よりおいしさを長持ちさせるためには、密閉容器や袋に入れ、冷蔵庫の野菜室での保存がおすすめです。
パン・米の保存方法のポイント
- パン:基本は常温保存。1枚ずつラップで包み密閉袋に入れて冷凍も可
- 米:基本は冷暗所保存だが、冷蔵庫の野菜室での保存がおすすめ
知っておくと便利!食品の意外な保存方法
野菜や肉、魚以外の食品の意外な保存方法をご紹介!
普段あまり気にせず保存している食品はありませんか?身近な食品の意外な保存方法を知っておくことで、よりフレッシュな状態を楽しむことができますよ。
食品保存方法一覧(野菜・果物) | ||
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食品名 | 保存方法 | メモ |
卵 | 冷蔵 | ドアポケットではなく冷蔵庫の奥で保存 |
焼きそば麺などの茹でた麺 | 冷凍可 | 開封したものはラップに包んで密閉袋に入れ冷凍 |
練り物 | 冷凍可 | ラップに包んで密閉袋に入れ冷凍。食感に多少変化あり |
こんにゃく | 開封後は冷蔵保存、冷凍も可 | 保存容器に入れ水に浸して冷蔵保存。カット後は水気を切って密閉袋に入れ冷凍 |
あんこ | 冷凍可 | 小分けにしてラップに包んで冷凍 |
バター | 冷凍可 | 小分けにしてラップに包んで冷凍 |
ヨーグルト | 加糖のものは冷凍可 | 保存容器に入れ冷凍 |
納豆 | 冷凍可 | パックのまま密閉袋に入れ冷凍 |
実は卵は、冷蔵庫のドアポケットよりも冷蔵庫の奥での保存がベスト。温度変化が少ないのでより長持ちします。
こんにゃくは開封後に水と一緒に保存容器に入れて冷蔵します。カットした後は冷凍も可能です。冷凍するときのポイントは、水気をしっかりと拭き取ること。こんにゃくは冷凍すると食感が変わるので、揚げ物やステーキにアレンジするとおいしく楽しめます。
また、焼きそば麺や茹でたそうめんは冷凍保存して長持ちさせることができます。あんこは糖分が高いため冷凍しても固まらず、使いたい分だけを取り出して利用できます。バターは開封すると風味が落ちやすいので、小分けにして冷凍しておくと便利です。
どれも日常的に手に取りやすい食品ですが、ちょっとした工夫でおいしさがぐっと長持ちしますよ。
食品表示ラベルの確認でより効果的な保存を
食品ラベルとは、食品表示法に基づいて表示されているラベルのこと。食品の安全性を保つためには、食品ラベルの情報を理解することが重要です。特に、食品ラベルに書かれている保存方法は、食品の品質を保つためのガイドラインになるため、必ずチェックしましょう。
食品表示ラベルでは「推奨保存方法」を確認
食品ラベルには、食品に適した保存方法が詳しく記載されています。
例えば「要冷蔵(10℃以下)」や「直射日光を避け、常温で保存してください」など。これらの指示を守ることが、食品の品質や安全性を保つポイントです。
また、保存方法の近くに記載されている消費期限や賞味期限も合わせてチェックし、期限内に消費するようにしましょう。
開封後の注意点
食品ラベルに記載されている保存方法は、主に「開封前」についての情報です。
食品は開封前と開封後で保存方法が変わるケースが多くあるため、注意書きが追記されていることもあります。「開封後は要冷蔵」や「開封後は早めにお召し上がりください」などの注意書きを見逃さないようにしましょう。
開封後の食品は、雑菌が繁殖しやすくなるため、他の食品と接触しないよう保存して早めに使い切ることが大切です。生鮮食品やチーズやハムなどのデリケートな食品は、開封後はなるべく早く消費することをおすすめします。
まとめ
食品の保存方法には、常温保存、冷暗所保存、要冷蔵、要冷凍などさまざまな選択肢があります。それぞれの温度帯や特徴を理解し、食品に合った保存方法を選ぶことで、食品をよりおいしく長く楽しむことができますよ。
また、食品表示ラベルにある保存方法を守ることで、食品をより効果的に管理できます。保存方法を正しく理解し実践することで、食品の無駄も減らすことができ、節約にもつながります。
この記事を参考に、ぜひご家庭の食生活をより豊かにしてみてくださいね。