マルワ製麺
北海道の東部、道東と呼ばれる地域に位置する美幌町は、広大な原野と町を流れる60本もの清流がもたらす豊かな実りに恵まれた場所。この地で昭和38年の創業から、地域に根付いた麺作りを行っているのが「マルワ製麺」です。ラーメン、うどん、そばなど幅広く麺類を扱うほか、地元の高校生が育てた農作物を活用した商品や町内ではるゆたか小麦を作付けする農家さんと協力して生ラーメンを開発するなど、小規模だからこそできる商品作りを積極的に行っています。
マルワ製麺のモットーは「お客様の食生活を麺と食材から豊かにしていく」こと。2004年に創業者から二代目の窪 和広さんへとバトンが引き継がれた今も、時代の変化に順応しながらその精神を守り続けています。これまで積み上げてきた製麺のノウハウだけに頼らず、手間を惜しまず技術を磨く。これもひとえに、同社の麺を食する方に「おいしい」を届けるため。時に、地元の農家さんから持ち込まれた野菜を麺に活かせないかという難題に挑戦するなど、町民からも頼られる同社。美幌町の企業として真摯に食と向き合いながら、麺作りを通して豊かな食文化の発展に日々奮闘しています。
マルワ製麺のこだわりのひとつに、原材料の特性に合った麺作りがあります。これは安定した品質の製品を提供するためであり、それと同時に長年麺作りに携わる会社として美味しさを追求したいから。妥協はできません。かねてから‟最高の小麦で麺を作りたい”と考えていたところ、農林水産省が2010年から推し進めていた「6次産業化」の取り組みの一環で、同じく美幌町にある三雄産業の喜多秀雄さんと「はるゆたか」の栽培プロジェクトがスタート。
一般的な小麦の品種と比べて、そもそも扱いが難しい「はるゆたか」。寒暖の差が激しいオホーツクエリアでの栽培となればさらに難度があがります。品種の特性、土地柄、気候とあらゆる条件を吟味して、通常と異なる春の作付けと短期間での収穫を実施。繊細な管理と手間のかかる栽培ですが、マルワ製麺の「私たちは原料ではなく‟商品”を作っている」という言葉に後押しされて、見事栽培に成功。収穫後さらに1年以上の商品開発期間を経て誕生したのが「ひでちゃん小麦®」シリーズです。協働から生まれた同シリーズは、生産者の顔が見える商品、そして美幌町の名物として徐々に広がりを見せています。
小麦の生産量1位を誇る北海道で、その1/3の量が収穫されている美幌町。マルワ製麺では、地元産を中心に北海道の小麦を使ったコシのある麺を多数製造しています。北海道土産の定番として新千歳空港や物産展で見かける「かにみそラーメン」や「北のラーメン 三本勝負」は、実は同社のもの。パッケージを見れば「これ見たことある!」という商品も少なくないでしょう。このほかにも自宅で手軽に使える蕎麦やうどんなどの生麺と乾麺、前述の「ひでちゃん小麦®」シリーズのパスタに加えて、最近はホットケーキミックスも展開しています。
工場の規模が小さいため、平日は午前4時半から製造ラインを稼働。製麺は繊細な作業も多く大変な仕事ですが‟食べてくれる人の笑顔” を想像しながら、加工・包装・発送までを一つひとつ丁寧に行うスタッフの皆さん。ここで働くスタッフの皆さんこそがマルワ製麺の一番のファン。公式SNSを通して、自社商品のアレンジレシピなども発信しているのでぜひ覗いてみてください。