北海道随一の自然が広がる
ひがし北海道の主要都市・釧路市
釧路市は、北海道東部、太平洋岸に位置する道内第6位の人口を誇る都市。
市域は釧路駅を中心に広がる市街地と阿寒町、白糠町の隣にある音別町で構成されています。2005年(平成17年)当時の釧路市・阿寒町・音別町が合併し、現在の「釧路市」が誕生したのが、ひと続きになっていない理由です。 広大な自然を有する釧路湿原国立公園、原生林が残る阿寒摩周国立公園という2つの国立公園が近くにあるのは、世界的にも珍しいこと。釧路湿原は一面緑に覆われ、国の特別天然記念物のタンチョウが生息する貴重な場所で、他にも多くの希少な動植物が暮らしています。カルデラの上に広がる阿寒摩周国立公園には、阿寒湖、屈斜路湖、摩周湖が近接。阿寒湖には、タンチョウと同じ国の特別天然記念物である“阿寒湖のマリモ”が生育しています。
釧路市にある空の玄関・たんちょう釧路空港は、札幌から電車で約4時間、羽田空港から約1時間30分でアクセス可能です。 道内からの利用はもちろん、ひがし北海道の空の玄関として、道外からの観光客も多く迎えています。
かつて日本一の漁獲量を誇り、日本有数の漁業基地・釧路港を有する釧路市。釧路で食べる水産物は鮮度が違うことから、鮮魚ならぬ「釧魚」と表現されるほど。北海道を代表する海産物の数々は、道内だけではなく、都心の料亭で使用されることも多く、鮮度とその味わいは料理人の折り紙付きです。
多彩な海産物が一挙に集まるのが、北海道三大市場に数えられる和商市場。地元客や観光客で賑わい、鮮魚や青果などを買い求めています。ご飯を片手に市場を練り歩き、好きな魚介類を乗せてつくる「勝手丼」は市場の名物です。
海の幸以外にも、釧路市には地元グルメがいっぱい。釧路ラーメン、スパカツ、ザンギ、シカ肉料理など、個性豊かなグルメを飲食店や居酒屋などで楽しめます。
海産物を筆頭に加工品や
地元グルメが目白押し
漁業の発展で育ち、アイヌ文化を受け継ぐ町
江戸時代末期から現代へ、変わる漁業
昭和40年頃には当時のソ連やアラスカで行う北洋漁業が盛んになり、水揚げ量が大幅に増え、昭和44年から昭和52年まで毎年水揚げ量日本一に。しかし、自国沿岸から200海里の海に外国の船が入れない決まりの影響を受けて、昭和53年の水揚げ量は全国2位になってしまったものの、釧路近海の漁業で盛り返し昭和54年に再び日本一に返り咲きました。その後も多くの年で水揚げ量日本一を記録し、形を変えながらも漁業が釧路市を支えています。
現在も釧路市を育て続ける漁業は健在。
季節によって獲れる海産物が異なり、種類が豊富です。春はトキシラズやヒメマス、夏はツブ、秋は秋シャケやサンマ、イカ、スケトウダラ、シシャモ、冬はワカサギなどが漁獲されています。「キチジ」と呼ばれる高級魚・キンキ(メンメ)やアナゴの仲間のクロハモなども、釧路市が誇る海の幸です。
アイヌ文化が受け継がれる町
古くから暮らしていたとされ、狩猟や漁業、採取によって自然と共生しながらも、他の民族とも積極的に交易を行っていたそう。着物や装身具に施された芸術的な文様・アイヌ文様や文字を持たず口承によって伝えられたアイヌ語は、アイヌ文化独自のものです。アイヌ語は身近なところでも使われていて、シシャモやラッコ、トナカイはそのひとつ。
阿寒湖温泉には、北海道最大級のアイヌ民族の集落・阿寒湖アイヌコタンがあります。芸術的な木彫作品や刺繍作品などを扱う民芸店をはじめ、アイヌ料理を味わえる飲食店、アイヌ民族の伝統的な古式舞踊とデジタルアートが融合した舞台演目を体験することができる「阿寒湖アイヌシアター<イコㇿ>」、祭具や生活様式等が展示されている「伝統・創造オンネチセ」といった文化体験ができる施設もあります。
寒さの違いが生み出す、自然現象
全面結氷した未積雪の湖上、気温マイナス15度以下の早朝、ほぼ無風といったフロストフラワーが発生しやすい条件がそろっているのが阿寒湖。市街地は冷たい風が吹きますが、阿寒湖温泉は風が比較的穏やかで寒さが厳しいのが特徴です。フロストフラワーを見られるチャンスが多く、観光客はもちろん、フォトグラファーからも人気を集めています。
けあらし(蒸気霧)も阿寒湖で見られる自然現象です。
水面の水蒸気が冷やされることによって発生し、まるで蒸気のように霧が舞い上がります。けあらしが発生した朝には、ダイヤモンドダストが発生しやすいと言われ、光り輝く景色を目の当たりにできるかも!?
人々を虜にする「釧魚」の数々
釧路で採れた海産物はここが違う
釧路で獲れる海産物の数々は、他で獲れるものとは一線を画しています。一つひとつが大きいながらも決して大味ではなく、鮮度や味わいも比べものになりません。地元民は、ひと口で釧路産かそうではないかがわかるそうで、観光客が食べれば味わいの違いに驚くことでしょう。
舌の肥えた地元客もよく訪れるのが、1954年に設立された「市民の台所」である和商市場です。旬の海産物がこれでもかと並び、活気あふれる昔ながらの市場を体験できます。
お刺身や海鮮丼で楽しむだけではなく、海産物を使用した加工品も多彩。サンマの一夜干し「さんまのいちばんぼし」や鮭フレーク「本チャン紅鮭ほぐし」、糠さんま、ワカサギの佃煮など、そのまま食べるのとはまた違った、味わい深さを感じられます。
マリモに、レイクロブスターに、日本酒も
恵まれた自然や冷涼な気候を生かした、釧路市ならではの商品も見逃せません。
阿寒湖に生育する“阿寒湖のマリモ”をモチーフにした「まりもようかん」は、羊羹を覆うゴムをつまようじで刺すとプルンと羊羹が現れて、食べる前から楽しめます。最近は、同じ仕掛けを採用した「まりもプリン」も評判です。
かつては厄介者だった外来種・ウチダザリガニをレイクロブスターと名付けて売り出した、レイクロブスタースープも阿寒湖温泉の名物。深いコクと香り高さが特徴で、美味しいスープに姿を変えたレイクロブスターは今や人気者。
最後に紹介したいのは、ひがし北海道を代表する地酒「福司」。北海道米と湿原から浸透する地下水を使用し、すっきり芳醇な日本酒作りが行われています。地元の老舗和菓子店「なかじま」の「福司ケーキ」、フレンチレストランが考案した「ほろ酔いプリン」「horo酔カタラーナ」など、福司の味わいと香りがアクセントになったスイーツも人気を集めています。
どこに行く?人気スポット満載の釧路観光を満喫
夕日を見たら、暗くなるまで待って
フィッシャーマンズワーフMOOの近くに架けられた幣舞橋(ぬさまいばし)からの夕日は、世界三大夕日に数えられています。1日として同じ夕景はなく、四季折々毎日異なる表情を見せてくれる夕日は、ぜひ見てほしい景色です。
暗くなってからライトアップされた景色も見どころで、高台にある公園から見渡すと、街灯に照らされたノスタルジックな釧路を堪能できます。
釧路市の文化や歴史を学ぶなら、釧路市立博物館がおすすめ。釧路の自然や歴史、アイヌ文化などに関する、興味深い資料が展示されています。
釧路湿原を観光するうえで外せないのが、なんといっても“くしろ湿原ノロッコ号”(例年4月下旬~10月上旬に運行)。釧路湿原をゆっくりと走行する観光列車で、ドライブでは見られないビュースポットをのんびり眺められます。他にも、釧路湿原を一望できる釧路市湿原展望台、国の特別天然記念物のタンチョウが保護飼育されている釧路市丹頂鶴自然公園、北海道最大の広さを誇る釧路市動物園などにも訪れてみてはいかがでしょうか。
阿寒で自然と出会う、ネイチャートリップ
釧路市の自然を楽しむなら、阿寒湖温泉周辺を観光するのがおすすめ。
阿寒摩周国立公園では、「釧路市阿寒湖のマリモ展示観察センター」でマリモを見たり、湖遊覧船に乗って湖面や山々を観察したりできるほか、阿寒湖の森ナイトウォーク「カムイルミナ」や、カヌー、フィッシング、サイクリング、ハイキングなど、大自然の中で阿寒湖温泉ならではのアクティビティや文化体験ができます。
北海道三大秘湖のひとつ、オンネトーも見どころ。見る角度や時間によって色が変わり、神秘的な表情を見せてくれます。オンネトー湯の滝は国の天然記念物に指定されており、マンガンが生成されている世界唯一の場所です。
大自然をとことん満喫した後は、温泉に浸かって旅の疲れをリフレッシュ! 酸素濃度日本一と言われる阿寒湖温泉の自然や空気を感じながら、至福のひと時を過ごしてみてはいかがでしょう。
釧路市の主なイベント
1月 ~ 3月 | あいすランド阿寒、ICE・愛す・阿寒 |
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1月 ~ 3月 | SL冬の湿原号運行 *例年1月下旬から |
2月 | くしろ冬まつり |
4月 | 阿寒湖水開き、阿寒湖砕氷帯観光遊覧 |
5月 ~ 11月 | 阿寒湖の森ナイトウォーク「カムイルミナ」 *例年5月中旬から |
7月 | くしろ霧フェスティバル |
7月 | 阿寒ふるさとまつり、ヒメマス祭り~カパチェプノミ~ |
8月 | くしろ港まつり |
9月 | 釧路大漁どんぱく |
10月 | まりも祭り |