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kokochi屋

kokochi屋のメインイメージ
今ここにあるもの、に新たな価値を
農作副産物から生まれる創作雑貨
農作の副産物である「もみがら」や規格外大豆がもつ魅力を最大限に生かした、まくら、チェア、カイロなど、暮らしに溶け込む雑貨をお届けします。
農作の副産物である「もみがら」や規格外大豆がもつ魅力を最大限に生かした、まくら、チェア、カイロなど、暮らしに溶け込む雑貨をお届けします。
kokochi屋の外観 kokochi屋の店内 kokochi屋の店内
運命の出会いで当別へ。できることをカタチに、花苗2台からスタートしたお店

山々に囲まれた豊かな自然が魅力のまち、当別町。米や小麦、大豆や野菜などの農業が盛んなほか、道内トップクラスの花卉(かき)生産地でもあります。そんな町の中心部から約5km。北東に伸びる国道275号線を走ると見えてくる田園住宅の中でひと際目を惹くのが、小さな雑貨店兼カフェ「kokochi屋」。札幌からこの地に移住した林田ナオさんが、暮らしとともに営むお店です。

林田さんがこの地に来たのは2009年。それまでは札幌のマンションで家族と暮らしていました。しかし、子育てを通じて住まいに制約を感じるようになり、「もっとのびのび子どもを育てたい」と移住先を探す中で当時分譲中だった当別町金沢地区の一区画に出会い、移り住みました。

札幌でライター業を営み、様々な人の話を聞くうちに「わたしも何かしたい」と思っていた林田さん。移住後、自分にできる「何か」を模索する中で始めたのが、自宅で育てた花苗の販売でした。2013年より前身である「花苗屋はっぱごこち」をスタート。2台から始まった花台は、翌年4台に。2017年からは雑貨の販売も開始。少しずつ商品を増やし、現在に至ります。雑貨と苗の販売に加え、屋外カフェをオープンさせたのが2020年7月のこと。もともとカフェは、敷地内で旦那さんが主となり営業していましたが、コロナ禍の影響により休業。「せっかく作ったメニューをなくすのは残念」と林田さんが引き継ぎ、店舗を改装して現在の営業スタイルとなりました。

kokochi屋のもみがらチェア kokochi屋のもみがらまくら kokochi屋の商品に使われるもみがら
移住で気づいた「今ここにあるもの」の豊かさ

kokochi屋の看板商品である「もみがら」シリーズは、林田さんが知人の米農家を手伝ったときの、ある体験から生まれた商品です。農作業の休憩時間に「この上に座って」と渡されたのが、もみがらの詰まった麻袋。独特の座り心地に感動し、最初に作り始めたのが「もみがらチェア」でした。チェアの形や大きさ、布の手触りなどを確かめながら試作を繰り返し、3年ほどかけて完成。完成後も改良を続け、使い心地、座り心地を追求しています。

チェアで培った技術とアイディアをもとにできあがったのが「もみがらまくら」。kokochi屋一番の人気商品で、林田さん自身も愛用しているそう。使っているもみがらは、稲作から出る副産物。稲から米を取り出す処理過程で大量に出るもみ殻は、廃棄されてしまうことがほとんどです。運よくもみがらを保管している地域の農家さんと出会えたことでkokochi屋の商品が生まれたと言います。

「もみがら」シリーズとともに人気なのが、「天然のチカラ・大豆カイロ」。かつて飼っていた羊の飼料だった、規格外品の大豆がヒントとなり生まれた商品です。「小豆カイロがあるなら、大豆でもできるのでは?」というアイデアから、温める時間やサイズなど試行錯誤し、商品化に至りました。

kokochi屋の林田さんが取材を受ける様子 kokochi屋の商品に使われる大豆 kokochi屋の商品
店舗も商品も。素材のチカラを引き出すことで生まれるもの

どの商品にも共有しているのは、「素材そのものの良さを生かす」こと。「あるもので作る」をモットーに、できるだけゴミを出さない、持続可能な消費生活を目指して、素材の良さを最大限に引き出した商品を作り続けてきました。

「あるもので作る」スタイルは、kokochi屋の店舗そのものにも反映されています。もともと地域の集会所として使われていた木造小屋を、林田さん自ら自宅敷地内に移築。旦那さんや地域の方の手を借りながら、半年ほどかけて1から再建してできたのが、今の店舗なのです。

当別での暮らしから「できない」と思っていたことが実現できる喜びを知り、リユースやリサイクルへの関心が一層深まったという林田さん。商品をより良くする努力を続ける一方で、「ここにあるもので最善を尽くす」姿勢はブレません。「私みたいなやり方があってもいいんじゃない?って。池に小さな石を投げるように、お店を続けていけたらいいなと思っています」。

Message
わたしたちがお届けします!
kokochi屋のオーナー・林田さん
地元資源の魅力を見いだし「誰かの暮らしに役立つもの」として届けたい

今、ここにあるものに新しい価値を見つけ、誰かに役立つものとして届けたい。そんな想いを大切にしながら、地元の農作副産物や、植物、食材が持つ魅力を生かした雑貨、加工品を作り始めて11年ほどになります。
天然素材ならではのクッション性とフィット感が味わえる「もみがら」シリーズは、米の副産物を使用したもの。カイロに使っている大豆は、一般には流通しない規格外のもの、いわゆる「ハネ品」を使用しています。そのままでは捨てられてしまうものの良さを見つめ直すことで、最後まで有意義に使ってあげたい。そんな想いで手仕事を続けています。

kokochi屋の商品に付けられたオリジナルタグのイメージ1 kokochi屋のまみがらまくらの裏地のイメージ2 kokochi屋の敷地に咲いているお花のイメージ3
自然の恵みとともに歩みながら、やさしい循環を生み出したい

自分にできることを一つずつ形にすることで、お店を続けてきた林田さん。ゴールを定めずに歩んできたからこそ今がある。だからこそ、これからのkokochi屋がどうなるのか、自分でも楽しみにしているそう。また、林田さんにとって、捨てられてしまう、なくなってしまうものの良さを再発見することも、大きな楽しみのひとつ。仕事と暮らしを分けることなく生きるスタイルは、kokochi屋のお店づくりそのものにも反映されています。

初年度の売り上げは年間5万円という小さなスタートでしたが、今では「誰も来ない日はない」とのこと。「買ってくれるということは、必要とされているということ。それが何より嬉しいです」と林田さんは言います。

kokochi屋で扱うほとんどの商品は、地域や自宅で採れた天然素材を使ったもの。天然素材ならではの魅力がある一方で、完璧ではない点もあります。「完璧じゃないものも受け入れる世の中になれば」という願いも込めて、林田さんは商品作りを続けています。自然と人を繋ぎ、やさしい循環を生みだすkokochi屋の商品。何気ない暮らしの中に、新たな視点や選択肢を与えてくれます。