Rain POUNDCAKE
数々の銘菓がひしめくスイーツ王国・北海道。その中心地である札幌市で、ひときわファンを増やし続けているのが、焼き菓子とコーヒーの店「Rain」です。2017年の創業以来「雨のようにしっとりとしたパウンドケーキ」を中心に、素材本来の味を活かした焼き菓子を作り続けています。
現在(2026年9月時点)は札幌市内に6店舗を構えるほか、東京上野や北千住にも進出。「北海道産の魅力を焼き菓子を通して伝えていく」をミッションとして、道内外で店舗を拡大してきました。
実は夫婦で営む小さなカフェからスタートしたRain。数あるスイーツの中でパウンドケーキを選んだのは「北海道産素材の美味しさを、一番シンプルに伝えられる」から。福島県出身の奥様が北海道産素材の魅力に惹かれたことと、経営を学んでいた代表の啓晶(ひろあき)さんがパウンドケーキに可能性を感じたことがRainの始まりでした。
創業当初はイートインのみでの営業だったところ、お客様の要望で袋詰めしたケーキを店頭に並べ始めたのが、2号店「RainBakeshop」のきっかけに。その後もマフィン専門カフェやデパ地下常設店、コーヒースタンドなど、時代やお客様のニーズに応えながら歩んできました。
2025年5月には、事業拡大に伴って製造工場をリニューアル。同時に、高度な衛生管理手法である「HACCP(ハサップ)」を包括する食品安全マネジメント規格「JFS-B規格」も取得しました。より安心安全な商品を届けるための環境整備はもちろん、「従業員の衛生管理に対する意識を統一できたのが一番良かった」と啓晶さんは振り返ります。
製造量が増えた現在でも、特に焼き上がり後の異物混入には細心の注意を払い、梱包前の製品は一つひとつ目視でチェック。1日約1600個ものパウンドケーキが製造され、Rainの全店舗へと届けられています。
Rainの看板商品は「プレミアムパウンドケーキ」。最大の特徴は、口の中でほどけるような、しっとりとした食感です。パウンドケーキの概念を覆すその「口どけ」は、厳選された北海道産バターと小麦粉の絶妙なバランスから生まれます。
パウンドケーキのレシピは、その名の通り材料を「1ポンド(pound)ずつ」使うのが基本です。しかしRainでは、材料の配合を1g単位で調整。特にココアなどのフレーバーが入ると生地の水分量が変わるため、微細な調整が必要なのだそう。中にはレシピ完成までに約2年を要したものもあるといいます。
温度や湿度によっても生地の状態は変わるため、ミキシングや焼き上げの工程は手作業で。日々の生地との対話から、Rainならではの「しっとり感」は生まれているのです。
もう一つの特徴は、素材を活かしたシンプルな味わい。パウンドケーキの主な材料は、小麦粉・バター・卵・砂糖の4つのみ。だからこそ、素材選びは妥協せず、一貫して「北海道産100%」にこだわってきたといいます。
小麦粉は、甘みのある香りが特徴的なブランド小麦「きたほなみ」を採用。バターは入手困難な状況下でも、北海道メーカーのよつ葉や日高乳業のバターを使用しています。北海道産のバターは、高温で長時間焼いても風味が損なわれず、後味の重厚さが残るのだそう。
卵は北海道江別市にある「太田ファーム」の赤玉を。濃厚な卵黄と高粘性な卵白が特徴です。砂糖は北海道産てん菜100%でできた「ビートグラニュー糖」を使用し、自然な甘さに仕上げています。
厳選されたこれらの素材を使った「プレミアム」シリーズは全4種類。過去にはフレーバーを増やしたこともあったそうですが、今はあえて種類を絞り、「質」を最優先にしたお菓子づくりを行っています。
2026年で創業9周年を迎えたRain。広がりを続ける一方で、長く通い続けてくれるお客様とのつながりも実感しているといいます。当時ベビーカーに乗っていたお子さんが、小学生になってお店を訪れてくれることもあるのだとか。
今後は、北海道に来られない方にもRainの焼き菓子を楽しんでもらえるよう、オンラインショップやギフト事業の強化を進めているそう。
いずれは海外進出も視野に入れているとのこと。「Rainのおいしさを守りながら、長く愛されるブランドを築いていけたら」と啓晶さんは夢を語ってくれました。
「北海道の焼き菓子といえばRain」そんな声が聞こえる未来も、そう遠くありません。