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もしもクマに遭遇したら?被害を防ぐために知っておきたいクマ対策

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近年、住宅街や登山道などでクマの目撃情報が相次いでいます。ニュースでクマの被害を耳にするたび、「もし自分が遭遇したらどうすればいいの?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。

クマは基本的に人を襲う動物ではありませんが、出会い方や人間の行動次第では、重大な事故につながることもあります。被害を防ぐためには、クマの習性を理解し、遭遇しないための行動や、出会ってしまったときの正しい対処法を知っておくことが大切です。

この記事では、クマの生態や遭遇時の対処法、街中での出没が増えている理由などを詳しく解説します。いざというときに慌てないためにも、正しい知識を身につけて備えましょう。

この記事でわかること

  • 日本に生息するクマはツキノワグマとヒグマの2種類
  • 熊鈴などで人の存在を知らせてクマとの遭遇を避ける
  • クマとの遭遇時は距離に応じて適した対応をとる
  • 死んだフリ、走って逃げるなどの行為は逆効果で危険
  • クマの出没増加は、食料不足や人里の環境変化が関係している
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クマの生態・習性とは?

ヒグマとツキノワグマの大きさ

日本には、ツキノワグマとヒグマの2種類のクマが存在します。ツキノワグマは胸の三日月模様が特徴で、ヒグマは体長2mを超える大型のクマです。両種とも優れた感覚と身体能力を備えており、犬のように鋭い嗅覚や、遠くの音を聞き分ける聴覚をもっています。そのうえ、時速40kmで疾走し、木登りや泳ぎも得意です。クマは肉食のイメージをもっている方も多いかと思いますが、食性は雑食で、食事の大半はドングリなどの木の実や果物、山菜といった植物です。

普段は非常に警戒心が強く臆病な性質ですが、特に冬眠に備えて大量に餌を食べる秋の「飽食期(9月〜11月)」は、活動が活発になります。この時期は餌を求めて人里に現れることも増え、人との遭遇が増加する傾向にあるため住民は注意が必要です。また、クマによる攻撃の多くは子を守るため、あるいは不意の遭遇で驚いた際の防御的な行動です。

ヒグマの特徴

ヒグマ

ヒグマは北海道にのみ生息する、日本で最も大きな陸上哺乳類です。体長は1.5mから、大きいものでは2.8m近くに達する個体もおり、体重はオスで300kg〜500kgに達することもある巨大な体を誇ります。毛の色は茶色や黒褐色が基本ですが、地域差も見られます。ツキノワグマのような胸の三日月模様はなく、力強さの象徴である盛り上がった肩の筋肉と、そこから繰り出される強靭な腕力が主な特徴です。

ヒグマの圧倒的な体格は、まさに北海道の自然を代表する存在と言えるでしょう。

ツキノワグマの特徴

ツキノワグマ

ツキノワグマは本州と四国の森林に生息するクマです。その名のとおり、胸に三日月(月の輪)のような白い模様があるのが最大の特徴で、全身は黒い毛で覆われています。体格はヒグマよりひと回り小さく、体長は110cm〜180cm、体重は40kgから大きいオスでも150kgほどです。足には鋭い爪を備え、木登りを得意とします。

かつては九州にもツキノワグマが分布していましたが、現在は絶滅しています。さらに、四国に生息する個体群も絶滅の危機に瀕しており、その生息域は狭まっている状況です。

日本国内のクマ生息分布図

クマと遭遇しないための対策

山登りやハイキングなどでクマの被害を避けるためには、そもそもクマと遭遇しないことが大切です。

クマと遭遇しないための対策

  • 山中では自分の存在を知らせる
  • クマが活発な時期・場所を知っておく
  • どんな場所でも油断しない

①山中では自分の存在を知らせる

山中では自分の存在を知らせよう

クマと遭遇しないために、山中では自分の存在を知らせることが重要です。クマは本来、警戒心が強く臆病な動物なため、山に入る際は音を出して人間の存在を知らせ、クマに自ら離れてもらうことが遭遇回避の基本となります。最も一般的な対策は、「熊鈴」をリュックなどに取り付けて常に音を鳴らすことです。特に、人の気配が少ない場所や単独行動では欠かせません。

しかし、沢の音や強風、雨天時など、鈴の音が周囲の音にかき消されてしまう状況では注意が必要です。このような場合は、より遠くまで響くホイッスルや警笛を定期的に鳴らして、人間の存在を知らせます。

また、山菜採りなどで移動が少ない場面では、鈴が鳴りにくいため携帯ラジオを流すといった工夫も有効でしょう。ただし、クマが同じ音に慣れる可能性も指摘されているため、種類の違う鈴やホイッスルを使い分けるなど、音にバリエーションをもたせることが推奨されます。

ご自身の安全を確保するため、登山や不慣れな山域に入る方は、必ず専門知識を持ったプロの登山ガイドと行動を共にしてください。登山の際は登山計画書(入山届け)を行政に提出しましょう。

②クマが活発な時期・場所を知っておく

クマとの遭遇リスクを減らすには、彼らの行動パターンを理解し、活動が活発になる時間や場所を避けることも重要です。クマは主に明け方や夕暮れに活発になるため、この時間帯の行動は控え、日中の明るい時間に行動計画を立てましょう。

また、沢沿いや見通しの悪い藪、ドングリなどが豊富な林は、クマの餌場や通り道になりやすい場所です。特に、山菜が採れる春や木の実が実る秋は、人とクマの活動範囲が重なりやすいため、より一層の注意が求められます。出かける前には、自治体のWebサイトや現地のビジターセンターなどで最新の出没情報を確認し、危険が報告されているエリアには近づかないようにしましょう。

参考リンク:市町村ヒグマ関連情報リンク集|北海道

③どんな場所でも油断しない

山中では、どのような場所でも、クマは現れないだろうと油断してはいけません。クマは犬以上に鋭い嗅覚をもつため、特に食べ物のにおい管理が遭遇対策に欠かせません。山中では、食料をにおいが漏れない密閉容器で管理し、休憩中も放置しないようにしましょう。食べ残しやゴミは防臭袋などに入れて必ず持ち帰ります。甘い香りの化粧品や芳香剤にも注意が必要です。

また、キャンプ場では、テント内での食事を避け、食料は車内などテントから離れた場所に保管することが鉄則です。使用後の食器もすぐに洗い、においの元を断ちましょう。人間の食べ物の味を覚えさせないよう、どんな場所でも徹底したにおい対策が求められます。

クマと遭遇したときの対処法

山中だけでなく、クマの生息域となる街中でも、突然クマと遭遇する可能性はゼロではありません。万が一クマと遭遇してしまった際は、クマとの距離に応じて適切な対応を行う必要があります。

クマと遭遇したときの対処法

  • 100m付近で遭遇:その場から離れる
  • 20m〜50m付近で遭遇:ゆっくりと後退する
  • 至近距離で遭遇:クマスプレーを噴射する

①100m付近で遭遇:その場から離れる

100m先にクマと遭遇したら

100mほど離れた場所にクマを発見した場合、最も重要なのは冷静に行動し、クマを刺激しないことです。基本は、落ち着いて静かにその場を離れることに徹します。

まず、クマがまだこちらに気づいていないようであれば、物音を立てずにクマから視線を逸らさずにゆっくりと後ずさりして距離をとりましょう。もしクマがこちらを認識していても慌てず、その場からすぐに立ち去るのがポイントです。

万が一、クマが興味を示して近づいてくる素振りを見せた場合は、人間であることを穏やかに知らせる必要があります。例えば、石などの少し高い場所に立ち、腕を振るなどして自分を大きく見せながら、静かな口調で声かけをしましょう。

また、特に注意すべきは子グマとの遭遇です。子グマの近くには必ず母グマがおり、子を守るために極めて攻撃的になるため、絶対に近づいてはいけません。いかなる状況でも、大声を出したり背中を見せて走ったりする行為は、クマの攻撃性を引き出す危険な行動なので厳禁です。

②20m〜50m付近で遭遇:ゆっくりと後退する

50m先にクマと遭遇したら

クマと20m〜50mほどの距離で遭遇した場合、何よりもまず冷静に行動することが重要です。パニックにならず、クマを驚かせないように、ゆっくりと両腕を振りながら穏やかに声をかけ、自分の存在を知らせましょう。

次に、クマから視線を逸らさず、様子を注意深く観察しながらゆっくりと後ずさりします。その際、クマとの間に立ち木などの障害物を挟むように移動すると安全性が高まります。もしクマがその場から動かない場合は、近くに子グマや餌がないか、周囲の状況を冷静に確認することも大切です。また、街中で偶然クマと遭遇してしまった場合は、車や建物などの物陰に隠れてクマの視界から離れるほか、人通りのある方向へ移動するのがポイントです。同時に110番に通報すると、自治体がすぐに対応してくれます。

決して背中を見せて走ったり、大声を出したりしてはいけません。こうした急な行動はクマを不必要に興奮させ、かえって危険な状況を招く恐れがあるためです。

参考リンク:ヒグマに遭遇した時は|北海道警察

③至近距離で遭遇:クマスプレーを噴射する

至近距離でクマと遭遇したら

もしクマと至近距離で鉢合わせてしまった場合、それは極めて危険な状況であり、クマが攻撃してくる可能性も考えられます。このような切迫した場面では、クマ撃退スプレーが最も有効な自己防衛の手段です。クマ撃退スプレーの使用は、効果を最大限に発揮させるため、クマを十分に引きつけてから顔面めがけて噴射します。そのためには、登山の際は常にすぐに手に取れる場所に携帯し、使い方を事前に確認しておくことが不可欠です。自分の身を守るため、ためらわずにスプレーを噴射しましょう。

万が一、スプレーを使う間もなく襲われてしまった場合は、うつ伏せになって両腕で頭部や首の後ろといった急所を覆い、致命傷を避ける防御姿勢をとってください。パニックになって大声を出したり、背中を見せて逃げたりする行為は、クマをさらに刺激し事態を悪化させるため、絶対に避けなければなりません。

死んだフリは危険!クマに遭遇したときのNG行為

クマに遭遇したときのNG行動は次のとおりです。

  • 死んだフリ
  • 背中を見せて走って逃げる
  • 大声を出す
  • 石を投げつける
  • リュックをその場において注意を逸らす

クマに遭遇した際、「死んだフリ」をすれば助かるというのは迷信であり、むしろ絶対にしてはいけない危険な行動です。同様に、恐怖心から背中を見せて走って逃げるのも最も危険な行為のひとつです。クマは逃げるものを本能的に追いかける習性があり、人間が走り勝つことは不可能なため、かえって攻撃を誘発してしまいます。

また、パニックになって大声を出したり、石を投げつけたりする行為も、クマを過度に刺激し事態を悪化させるだけです。特に至近距離では、クマを驚かせ防衛的な攻撃を引き起こす恐れがあります。

そのほか、食べ物が入ったリュックなどをその場に置いて注意をそらそうとするのもNG行為です。一時的に難を逃れたとしても、クマに「人を襲えば食料が手に入る」と学習させ、他の登山者まで危険に晒すことになりかねません。

万が一の遭遇時には、これらの行動を避け、冷静さを保つことが身の安全を確保する上で不可欠です。

人間の生活圏でのクマ被害が増えている

街中に出没したヒグマ

かつては深い山奥にいるとされたクマですが、近年は人里に近い低山や里山での出没が急増し、より身近な存在になっています。その背景には、山での食料不足や暖冬による冬眠明けの早まりなど、さまざまな要因が考えられます。そのため、山中だけでなく、人間の生活圏でもクマを寄せ付けない対策が欠かせません。

人里・街中でのクマによる被害

人里におけるクマの被害は、畑の農作物や養蜂場のハチミツが狙われるなど、深刻な問題となっています。これは、山での食料不足に加え、収穫されずに放置された野菜や生ゴミなどを、クマが「簡単に手に入るごちそう」だと学習してしまうことが大きな原因です。

クマは知能が高く、一度餌場と認識した場所には執着して繰り返し現れる習性があります。被害を防ぐためには、まず餌となるものを徹底的に管理し、クマを誘引しない環境を整えることが不可欠です。さらに、畑などを物理的に守る手段として、クマが痛みで危険を学習する電気柵の設置が非常に効果的とされます。

人里・街中でのクマの出没が増えている理由

人里や街中でのクマの出没が急増している背景には、複数の要因が複雑に絡み合っていると言われています。主な要因は次のとおりです。

  • 山での食料不足
  • クマの分布域の広がり
  • 人間社会の変化
  • クマが人里に餌があることを学習

山中におけるブナの実の凶作といった食料不足が、クマを行動範囲の拡大へと駆り立て、人里へ誘い出す直接的な引き金となっています。クマの分布域が広がり、個体数そのものが増加傾向にあることもクマの出没が増えている要因です。

また、人間社会の変化も、クマ出没の要因として指摘されています。過疎化や高齢化により、かつて山と人里の間に存在した里山という「緩衝地帯」が失われました。これにより、クマの生息域と人間の生活圏が隣接、あるいは重複するようになったのです。

そのほか、クマ自身の変化も見過ごせません。人里には放置された果樹や農作物といった魅力的な餌があることを学習し、執着する個体が増えています。中には、車の音などに慣れて人間への警戒心が薄れた「アーバンベア(都市型クマ)」とよばれるクマも現れており、これが市街地での出没増加の一因となっています。

人間の生活圏内でクマが出没しやすい場所

人間の生活圏内でクマが出没しやすい場所には、いくつかの特徴が見られます。

一つ目は、川沿いのエリアです。河川敷やその周辺に生い茂る草木は、臆病で人目を避けたいクマにとって格好の隠れ場所となります。そのため、川は山から市街地へ安全に移動するための「道」として利用されやすいのです。

二つ目は、山と平野の境にある、人の手が入らなくなった林です。かつては薪集めなどで人々が日常的に利用していましたが、現在では活動が減り、クマが安心して移動できるエリアに変わっています。

さらに市街地でも、住宅の周りに植えられた「屋敷林」のような緑地は注意が必要です。クマはこうした緑地を中継地点、つまり飛び石のように利用し、点と点を結ぶように移動します。これにより、田園地帯だけでなく新興住宅地の奥深くまで侵入するリスクも高まります。これらの場所は、クマにとって山と街をつなぐ侵入経路となっているのです。

クマとの共存を目指すことが大切

熊出没注意の標識

クマとの共存を目指すには、一方的に駆除するのではなく、人間側がクマを生活圏に引き寄せないための配慮をすることが不可欠です。クマが人里に現れるのには、そこに餌があったり、身を隠せる場所があったりといった理由が存在します。

そのため、まずは嗅覚の鋭いクマを惹きつける誘引物を徹底的に管理することが求められます。例えば、生ゴミのポイ捨てをやめ、収集時間を守ることが重要です。庭に実る柿や栗などの果実を放置せず早めに収穫する、ペットフードや農作物を屋外に置かないといった対策も有効です。

さらに、クマが安心して移動できる環境をなくす対策も求められます。家の周りや山との境界にある藪や背の高い草を刈り払い、見通しを良くすることで、臆病なクマは警戒して近づきにくくなります。必要に応じて電気柵を設置するのも対策のひとつです。一人ひとりがしっかり対策することで、クマが人里に興味をもつきっかけを断ち、互いの領域を守る「棲み分け」を促すことができます。

クマを見かけたらまずは各自治体に連絡しよう

クマは人を襲う目的で行動する動物ではありませんが、出会い方によっては被害につながることもあります。山中では熊鈴やラジオで自分の存在を知らせ、遭遇を避けることが大切です。万が一出会った場合も、慌てずに距離をとり、冷静に対応しましょう。

ただし、対処法は状況によって異なります。クマを見かけたときは決して近づかず、必ず各自治体や警察に連絡し、安全を最優先に行動してください。

PREZO編集部
PREZO編集部
美味しいものに目がない。食べ歩きやお取り寄せ大好きなPREZOのスタッフが、地域の魅力や商品にまつわるストーリー、北海道の豆知識など、とっておきの情報を発信!